召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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嘘みたいだろ? これでキャラ崩壊してないんだぜ?


召喚士とサイラス

 「やっぱりガチャって良くないと思うんだよ」

俺がスマホから視線を上げずに呟くと、勝手に部屋に入ってきて酒盛りを始めたバカ2人の視線が俺に向けられる。俺はそちらを見ずにさらに続ける。

 「『欲しいキャラがいるならガチャを回してね? え? 出ない? 実は課金という制度があってね……』と考えるような運営は絶対に駄目だと思うんだ。そして最高レアリティが出たと思ったらすり抜けとか、そのすり抜けで出てきたキャラが好きだったとしてもブチギレもんだと思うわけだ」

そこで俺は初めてバカ2人をみる。すると至極真面目な表情をしながら俺を見てくるバカ2人。そして同時に口を開いた。

 「「それでエレちゃんは出たのか?」」

 「出ねぇぞクソガァアァッァ!!!!!」

 「「ザマァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」」

俺の魂の咆哮に俺を指差して嘲笑うバカ2人。

 「いやぁ!! 召喚士の不幸で酒が美味い!!」

 「FEHでも『余裕で新カミラ姉さんと新カム子来たからミコトマッマも余裕だろ』とか言いながら石版にオーブ叩き込んで出てきたのがナンナちゃん(星5)だった時の召喚士の複雑そうな表情とか控えめに言って最高だったよね」

 「ウルセェぞ脳筋に腹黒!! 飛空城でちょいちょい負けやがって!! 使えないド低脳どもが!!」

俺の叫びに脳筋と腹黒は愉快そうに笑う。

 「俺たちのせいにすんなよな」

 「これも召喚士が設備とかめんどくさがって『もうお任せでいいや』ってしているせいじゃないか」

 「黙れカスども!! だからリンとウルスラのスキル見直しをしているところだろうが!!」

そこで腹黒にあることに気づく。

 「あれ? 割とスキルが整っている伝承脳筋はいいとして」

 「お前らは俺を罵倒しねえと会話できねぇのか?」

ヘクトルの言葉を俺たちは当然のようにスルー。

 「僕がほとんど初期スキルのままだけど?」

 「奥義はつけてやったろ?」

 「奥義だけだよね?」

エリウッドの言葉に俺は力強く頷く。

 「貴様にくれてやるわざマシンなぞない」

 「ぶち殺すぞ」

俺とエリウッドが胸ぐらを掴みあうのとヘクトルがゴングを用意するのはほぼ同時だった。

そして熱き語り合い(物理)をいざ開幕と言ったところで俺の扉が勢いよく開かれる。

 「親友同士で殴り合いなんか駄目だ!! 召喚士!!」

やってきたのはカムイ’sの(自称)親友の暑苦しい男サイラスだった。

 「俺はカムイ達から召喚士とエリウッドとヘクトルは親友だって聞いている!! だから殴り合いなんてよせ!!」

俺とヘクトルとエリウッドは視線だけで会話して小さく頷く。

 「この愚か者がぁぁぁ!!!!」

 「ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁs!!!!!!!!」

相性有利のヘクトルの拳を受けて壁際まで吹き飛ぶサイラス。突然殴られて意味がわからないと言った表情をした。

 「な、何をするんだヘクトル」

 「勘違いしないで欲しい。サイラス。ヘクトルが君を殴ったのは君の間違いを正すためだ」

 「な、何を言うんだエリウッド!! 親友同士が殴り合うと言うことが正しいとでも言うのか!?」

エリウッドの言葉に血相を変えるサイラス。

 「例え話をするとしよう」

そして俺がゲンドウポーズを取りながら言うとサイラスの視線が俺に向けられる。俺はそれを確認してから言葉を続ける。

 「例えばカムイ達が大量虐殺をしようとする「カムイ達はそんなことはしない!!」うん、例え話だって言ったよな。とりあえず最後まで聞け」

俺の例え話に光速で俺の胸ぐらを掴むサイラス。とりあえずヘクトルがアルマーズで大人しくさせてから言葉を続ける。

 「俺たちだってカムイ達がそんなことをしないってことはわかっている。なにせ何回も同じ手口でアンナの詐欺に受けているからな」

あの自重しない女は異世界英雄達(純粋系)をターゲットに絞って金を巻き上げている。もちろん発覚するたびに治安維持部隊に踏み込まれて逮捕され、不当に得た資金はヴァイス・ブレイブ自治領預かりの資金となっている。

アルフォンスはアンナの裏に俺とルフ男とルフ子がいると思っているようだが失礼な話だ。俺たちはきちんと証拠をすべて掴み、ある程度金が貯まってからきちんと逮捕させていると言うのに。

それはさておき

俺の言葉に納得したのか大人しく椅子に座るサイラス。

 「いいかサイラス。もしカムイ達が『ちょっと無垢な民を皆殺しにするから一緒にやらない?』と言われたらお前は一緒にやるか?」

 「やるわけがない!! それは騎士の道に反することだ!!」

サイラスの言葉に俺は力強く頷く。

 「その通り。そのようなことは人としてありえないことだ」

 (すげぇな。こいつから人の道が出るとか明日は天変地異かよ)

 (きっと第3章で死ぬんだよ。なんか予告でそんな感じだったじゃないか)

とりあえず超絶失礼な脳筋と腹黒は後で嫁’sに処刑ものの情報を流すとしよう。

 「だがそれでもカムイ達は無理にでも虐殺を行おうとしたらどうする? カムイ達の家臣であり親友であるお前はどうする? 大人しく一緒に虐殺を行うか?」

 「そんなことはしない!! 絶対にカムイ達は俺が止めてみせる!!」

 「だが、お前は親友であるカムイ達に拳は愚か剣も向けられないだろう?」

俺の言葉に動揺するサイラス。だが俺は安心させるように微笑む。

 「いいかサイラス。暴力を振るわないことが親友ではない。時に間違ったことをしようとした時に無理矢理にでも止めるのも親友の仕事だ」

俺の言葉に驚愕の表情を浮かべる前髪クセ毛。

 「俺たちだって好きで罵倒したり殴り合ったりしたりしてるわけじゃないんだぜ?」

 「普段から意識づけしていなくちゃいざって言う時にできないからね」

ヘクトルとエリウッドが拳を軽く小突き合いながら告げる。そこには確かな信頼関係がある(少なくともサイラスからはそう見えるだろう)

そして俺は言葉を続ける。

 「いいかサイラス。俺も普段からお前とカムイ達のやりとりを見ているが、どこか遠慮があるように見える」

 「え、遠慮だって!? カムイ達が俺にか!?」

サイラスの言葉に俺は力強く頷く。

 「いいか。お前達が本当に親友だと言えるなら、軽い罵倒や殴り合いなんか挨拶みたいなもんだ。俺たちみたいにな」

俺がバカ2人に視線を向けるとバカ2人も力強くサムズアップ。

 「そうか……そうだったのか……俺とカムイ達に足りなかったのは魂を込めた拳だったのか!!」

 「その通りだサイラス!! まず手始めに相性有利なカム男を殴ってこい!!」

 「わかったぞ召喚士!! 今行くぞカムイぃぃぃぃ!!!!!」

入室してきた以上の勢いで部屋から飛び出していくサイラス。俺たち3人はそれを生暖かく見送る。

そして黙って俺たちのやりとりを呆れて見ていたリンがポツリと呟く。

 「貴方達は親友同士だった?」

 「「「時と場合と条件によっては」」」

 

 

ちなみにカム男を殴りに行ったサイラスはカムイファミリー家臣筆頭のフローラによって氷像にされた。

 




サイラス
この作品の男キャラで数少ないキャラ崩壊をしていないキャラ。壊さずに使い勝手のいいキャラって素敵やね。ちなみにこの男が我がヴァイス・ブレイブに来たのは作者が『オフェ欲しいなぁ。同色ピックアップもサイラスだから引くかぁ』と思った結果。予想通り星4落ちしていて複雑な気分。でも物理壁には最適すぎるわ。

カムイファミリー家臣団
筆頭家臣 フローラ
傅役 ギュンター
護衛 スズカゼ サイラス
虫けら ジョーカー フェリシア

三馬鹿の友情関係
普段は煽りと罵倒と生贄に捧げながらも、本当にやばくなった時は文句を言いながらも結局助け合うツンデレ系友情関係。そして助けられた1人が残りの2人にそのネタで死ぬほど煽られてブチギレまでがテンプレ。尚、助けられた回数が一番多いのは脳筋。



この作品でキャラ壊せないとか男キャラとかラインハルト以外にもおったわ。でも壊さない方が使い勝手がいいような気がする友情の騎士サイラス。我がヴァイス・ブレイブでは星5槍騎馬は貴重なので助かってます。

感想にてシャラの死亡セリフがルフレとサーリャの転生体だって示唆されているそうですね。作者はFEシリーズ初プレイの烈火で間違ってダーツをロストして以来『ロスト0プレイ』をしているので知りませんでした。なのでシャラの死亡セリフも知りませんでした。だからこの作品ではカムイ達は外道になりません。カムイ達は純粋キャラなんや!!(建前)。それにこれ以上外道が増えると困るんだ!!(超本音)

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