召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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結局福袋を両方買ってしまった結果に思いついたネタ。


ガチャ裁判〜課金の是非を問う〜

俺は今、大広間に作られた裁判の被告人席に座らされている。検察側にはリン。弁護側にはインバースが立っている。

中央にいるアルフォンスは疲れ切った表情で口を開く。

 「え〜、それでは被告人『召喚士』が行った妻に無断で課金を行った罪の裁判を行います」

そう、今回の裁判は俺がリンに無断で課金を行ったことでついにブチギレたリンが裁判を起こしたのだ。

 「それでは検察側……リンさんから証言をお願いします」

アルフォンスの言葉にリンは検察台に立つ。

 「まず被告人には今月の家計が圧迫されている事実を承知していながら、課金を行った事実があります」

 「失礼します、お母様。それに証拠はありますか?」

インバースの言葉にリンがフィンガースナップをすると一人の女性が証言台に立つ。

 「アンナじゃねぇか!!」

思わず叫ぶ俺。確かに俺は奴からオーブを手に入れている。しかし、そこには守秘義務があるからこそ購入しているのだ。商人である奴は商売は信頼関係が重要であることを知っている。なのになぜ上顧客である俺を売ることに繋がったのか……!?

俺の視線の意味に気づいたのか、アンナは敗北した者の表情で呟く。

 「最近手を出した商売がヴァイス・ブレイブ法典のギリギリのラインでね」

 「あ(察し)」

つまりアンナの手を出した商売を摘発されたくなければ俺を売れと言うことに繋がったのだろう。

敗北者……!! 我々は圧倒的敗北者……!!

 「アンナ。証言を」

 「はい。確かに私は召喚士に福袋パックを2つ販売しました」

それだけを言ってアンナは証言台から降りる。

 「わかりますか!? 福袋パックを2つです!! つまり2フェーです!! 今月は家計が圧迫していると言うのに2フェーは許されると思いますか!!」

テンションが高まったのか怒鳴るリン。

 「異議あり!!」

そこにインバースが待ったをかける。

 「お父様は最近は色々と暗躍していますが、ここに来た理由は異世界の英雄を召喚してこの世界を救うためにやってきたことです!! 今回の課金はその仕事を全うしようとしただけです!!」

 「その金額が行き過ぎだと言っているのよ!!」

 「世界平和のために必要経費です!!」

 「それならばヴァイス・ブレイブの資金を使えばいい!! 私たちの家計から出す必要はないわ!!」

リンの言葉に口を挟んだのはヴァイス・ブレイブで金融を取り仕切るルフ子であった。

 「すいませんがそれはできません。召喚は確かに戦力拡充ではありますけど、基本的にヴァイス・ブレイブの軍資金は常備軍の維持に使われますので召喚に使える余裕はありません」

流石はヴァイス・ブレイブの金庫番、言うことが厳しい。

ルフ子の言葉にリンは頷く。

 「公金が使えないのなら、私的なお金。つまり私たちの給料から出さねばならないわ」

そこでリンは力強く検察台を叩く。

 「うちはただでさえ馬鹿達がしでかしたことの尻拭いでお金が飛んでいくのに……!!」

 『言われているぞ、エリウッド』

 『ははは、ヘクトルと召喚士のことでしょ?』

 『『二人ともです』』

馬鹿二人が揃って嫁に説教を食らっているがそっちは無視する。むしろ死んでくれた方が世界平和のためだろう。

 「ふっ、笑止ですよお母様」

 「どう言う意味かしらインバース」

リンの言葉にインバースが力強くリンを指差しながら力強く叫ぶ。

 「真のガーチャーは課金を躊躇わない!!」

 「その金額が問題だと言っているのよ!!」

インバースの言葉にリンが怒鳴り返す。

 「少しいいだろうか」

 「なに? 辞世の句かしら?」

 「リンは夫(仮)に対して辛辣すぎない?」

リンの冷たい言葉に俺は軽く返す。こんな扱いは慣れっこだ。アルフォンスから発言を許可されたので口を開く。

 「そもそもFEHとはどう言うゲームだろうか? 答えは簡単だ。FEシリーズのキャラがたくさん出てくるパーティーゲームだ。FEシリーズには魅力的なキャラがたくさんいる。当然のように好きなキャラだって人それぞれいるだろう。それが実装された時の喜びは筆舌に尽くしがたい。動画を見てスキルが良くてテンションが高くなり、実装されたらステータスが微妙で悲しい気分になることも頻繁だ。だが、そんな時のために限界突破というシステムがある。それに必要になるのは当然のように同じ英雄と羽だ。そして羽を手に入れるにはどうすればいいか? 答えは簡単だ。とにかく召喚するしかない。そして有能なスキルを好きな英雄にスキル継承させて好きな英雄を強くして悦に浸るのがこのゲームの楽しみだ。だからこそ課金をしてまで英雄を召喚するんだ」

 「それが運営の搾取だとわからないの!?」

 「わかっているさ!!」

リンの言葉に叫び返す俺。

 「確かに課金という制度は運営による搾取だろうさ!! だけどな!! それでも自分の好きなキャラ(英雄)が出てくれば課金してまで欲しいのがファンの心理だ!! 自分に『これは運営へのお布施だから……このゲームをより良いものにしてもらうための投資だから……』と言い聞かせて課金をしているんだ!!」

搾取されている自覚はある。それでも課金をしてしまうのが課金沼に嵌った者の末路だ。

 「そして今回は狙いだったニケの途中でリアーネとティバーン。さらにすり抜けでターナ、総選挙ルキナ、ハーディンも出た!! わざマシンとしても有能だ!!」

 「話にならないわ!! これだから課金地獄に染まった人間は救いようがないのよ!! 裁判長!! 厳正なる審判を!!」

リンの言葉に全員の視線が(厳正なるくじ引きの結果)裁判長であるオツムが足りない系魔法少女ティルテュに集まる。

ティルテュはう〜ん、と言った感じで首を傾げる。

 「なんか難しい話でよくわからなかったけど、家族に迷惑をかけてるんだったら有罪かな!!」

俺の火刑が決定した瞬間である。

 




ヴァイス・ブレイブ裁判
時折行われる裁判。裁判長はくじ引きで決定する上に、裁判長の心持ち次第で判決が左右されるため公平さなど存在しない。

課金
運営による搾取




そんな感じで課金についてのあれこれでした。召喚士の言葉は作者の思いと思って頂ければと。飛空城が始まったら益々課金兵と無課金兵の差が出てきましたね。みなさんは当然のように一人は10凸キャラが置いてあり、それが高確率でラインハルトに涙を隠せない作者。仕方ないので陛下に消し飛んでいただいてミカヤでブチ殺してます。

次回は未定です。というかエースコンバット7が発売されてしまうため書く時間もあるかどうか怪しいです。下手くそですけど好きなんですよねエスコンシリーズ。

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