召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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鬼畜クソ軍師(挨拶)


先日、ユンヌを召喚し「お、初めての神様キャラ」と思いきや彼が編成画面にいたので彼の出番です


召喚士とドーマ

(超)珍しく俺が部屋で一人でいたら、えらく暗い表情をしたドーマがやってきた。どう考えても面倒ごとだと思って早急に部屋から追い出そうとしたら必死に部屋に入ろうとしたので、仕方なく部屋に入れてやった。

 「それで? 何かあったか?」

俺の言葉に一瞬だけ言い淀んだが、すぐに覚悟を決めた表情で俺を見てくる。

 「私ってひょっとして影が薄いのか?」

 「え? 今更?」

 「なん……だと……!!」

思わず言ってしまった俺の発言にガチの驚愕表情を浮かべるドーマ。俺的には今更そのことで相談されるとは思っていなかった。

 「い、いや……おかしいとは思っていたのだ……ロリーズには『ドーなんとかさん!!』と元気よく呼ばれ、他の英雄には『なんとかマさん』と呼ばれている時点でなんとなく察してはいたのだ。だが、これでも神の1柱だし、ラスボスでもあるから恐ろしくて名前は呼びづらいのだなと勝手に考えていたのだ」

 「ギムレーとユリウスなんか呼び方『ドーちゃん』だけどな」

ラスボスの威厳とはなんだったのか。

 「しかし、今日食堂でチャーハンを食べている時に後ろに座っていたセリカ(闇落ち)が『あぁ、ドーマ様の降臨はいつ……?』と嘆いているのを聞いて、思わずレンゲを落としてしまったのだ。そして他の面々も誰も私のことを気にした風がなかったから、思わず私=ドーマと認識されていないのかと思ったのだ」

 「想定外に面倒見がいいもんな、ドーマ。ラスボスとは思えないくらい普通だし」

 「待て、召喚士。ラスボス全てがギムレーやロプトウスやイドゥンのようだと思うな。いや、私のような存在が圧倒的少数派なのは確かなんだが」

自分で言っておいて頭痛を抑えるポーズになるドーマ。

 「おかしい。これでもメガクェイクというかなり便利な専用スキルを持っていて、原作ではアルムのファルシオン以外ではとどめを刺せない仕様のはずなのだが……」

 「リザイア」

 「うちのシマではノーカンだ」

原作でも数少ない止めを刺せる魔法をなかったことにしたいらしい。ラスボスとはどいつもこいつも微妙な奴ばかりだな。

 「少しラスボスらしい悪事をしたらいいのか……?」

 「ドーマが考えるラスボスらしい悪事ってなんだ?」

俺の問いに必死な表情を浮かべながら悩むドーマ。これでポンと悪事が浮かばないあたり人の良さが滲み出ている。俺やルフレ’sなんか浮かびすぎて困るくらいだというのに。

そして20分ほど悩んだ末にドーマは何か思いついたような表情になった。

 「シャロン王女が育てている花壇に勝手に別の花を植えるとかどうだろう?」

 「お前の中で悪事ってどんなのなん?」

想像以上にドーマの良い人っぷりが出てしまっている。

 「いや、しかし。勝手に花壇に別の花を植えるなど悪事の極みだろう?」

 「お前、そこはせめて花壇を荒らすとかにしろよ」

俺の発言に驚愕したような表情を浮かべて立ち上がるドーマ。

 「き、貴様!! それでも人間か!! そんな外道行為が許されるわけがなかろう!!」

 「お前本当にラスボス?」

小学生レベルの悪戯を最悪の外道行為のように罵るドーマ。こいつはダメかもわからんね。

 「第一、そんなことをしたらイドゥンが黙っていないだろう」

 「あの迷惑竜はなぁ。何かに理由をつけて英雄達と戦おうとするからなぁ」

そのせいで修羅三人衆の強さがやばいことになっている。それに触発されてイドゥンもさらに自重しなくなるという負のスパイラル。この世界が平和になるか、イドゥンが完全に自重を捨てて混沌の世界に入るかのチキンラン状態。

 「いや、私も本気を出せばイドゥンをどうにかできるのだぞ? やらないだけで」

 「それは興味深いですね」

ドーマの発言に壁をぶち破って美少女迷惑竜イドゥンがエントリーしてきた。それを見た瞬間にドーマの顔色はやばいことになり、俺はいつでも逃げ出せるように窓際に逃げる。

 「私をどうにかできる……なるほど、さすがは神と言われるだけはある。それは是非とも戦わなくては。ええ、これはまさしく私に課せられた試練。神を殺しさらなる試練を味わうための極上の試練」

どこか酔ったように演説を始めるイドゥン。これはやばい状況である完全に目が逝ってしまっている。

そしてギュルンとドーマをみるイドゥン。その瞬間にドーマから小さな悲鳴が流れたが、俺は聞こえなかったことにした。

 「相手に攻撃すれば報復がある、それは当然のことです」

イドゥンはそう言いながらドーマに近づく。ドーマは一歩下がるが、すでに壁際であった。

そしてイドゥンは最高にイイ笑顔を浮かべる。

 「私はこれから殴る。お前も殴り返せよ」

その言葉と同時に繰り出された一撃は壁を粉砕してドーマを外に飛び出させた。

 「ふははははは!!! どうしましたかドーマ!! さぁ、殴り返してきなさい!!」

そう叫びながら追撃に出るイドゥン。俺しかいなくなった部屋は台風でもきたかのように荒れ果てている。

 「召喚士、生きてる?」

 「おぉ、リンか。なんとか生きてるよ」

そう言ってやってきたのは治安維持部隊隊長のリン。

 「暴走したイドゥンは?」

 「ヴァイス・ブレイブの領地を飛び越してアスク王国の方向に行ったわ? 誰? 迂闊な発言をしたのは?」

 「ドーマだよ」

 「あぁ、あのラスボスとは思えないくらい人の良いラスボスね」

残念ながらドーマ=人が良いというのが共通認識であるらしい。

 




ドーマ
人がよすぎる系ラスボス。そして影が薄い。その人の良さはロリマムクート達にお父さん扱いされるほど。この作品のラスボスにしては珍しく普通。普通すぎて影が薄くなる結果になった。

イドゥン
自重しないアマッカス系ラスボス。出す予定なかったのに勝手に出てきた。



こんな感じでドーマ編です。前書きにある通り、ユンヌを召喚した時に『初めての神様キャラかぁ。どうキャラづけすっべ』と思っていたときに編成画面にドーマ様を発見。思わず『あっ』ってなりました。

今更ですけどツイッター始めました。多分呟くことは圧倒的にソシャゲになるかと。そっちでもアンケート投げても構わないので、お好きな方でリクエスト出してください。
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