召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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なんかストーリーで偉そうだったので、正しいヘル様を書かなきゃいけない使命感に襲われたので更新です。



え? 向こうのほうが正しい姿? ちょっとなに言ってるかわかりませんね


死の女王ヘルの受難

 「死の呪いからは逃げられぬ」

死の女王・ヘルは(すでに手遅れなのは否めないが)ボスの雰囲気を出しながら死の国にやってきたアスク王国王子・アルフォンスに近づく。

 (いや、前回はむこうのホームグラウンドでやったのが原因だから。私のホームゲームだったらヘルちゃん勝利ヴィクトリーは確定的に明らか)

そんな雰囲気にそぐわない思考をしながらアルフォンスに近づくヘル。

しかし、その歩みはピタリと止まる。

それはアルフォンスの表情を見たからだ。

アルフォンスの表情は喜びを浮かべていた。今までの苦労から解放される表情をしていた。具体的に言うと社畜が会社に辞表を出した直後の表情を浮かべていた。

 「……死ぬの怖くないの?」

 「怖いなんて飛んでもない!! これで胃痛と胃薬地獄から解放されると考えるだけで……ハハ、さぁ、ヘル!! 今なら父上もいない!! 邪魔する者もいない!! 僕はここにいるぞ!! さぁ、僕を殺してみせろぉぉ!!!」

 「ちょっとぉぉぉぉ!! おかしい!? おかしいでしょ!! いや、百歩譲って死ぬの怖くないのはいいよ!? あの鬼畜クソ外道と同類と考えれば済むからさ!? でも原因が胃痛と胃薬地獄からの解放って駄目でしょ!! 主人公的に考えて!!」

ヘルは思わず叫んでいた。いや、これで理由が「呪いは九日後に死ぬ。それなら九日間の間に貴様を倒せば済む(キリッ)」だったらボス的にオッケーだが、理由が酷かった。アルフォンスくんをこんな苦労人間に誰がした。

 「ちょっとそこの赤毛隊長!! あの鬼畜クソ外道はどうした!! あいつにSEKKYOUしなくちゃいけなくなったんだけど!!」

ヘルはアルフォンスに同行していたヴァイス・ブレイブの(名目上の)隊長に話しかける。

 「あぁ、あの鬼畜クソ外道だったら途中のヘルがエイルちゃんに拷問していたところで楽しそうに拷問器具を物色していたわよ」

 「オォォォォォォ!!! しまったァァァァァァ!!! 片付けるのを忘れてたァァァァァァ!!!!」

アンナの言葉に前衛的芸術のような態勢になるヘル。娘のエイルもいないと言うことは道具の解説に強制的に残されているのだろう。あの器具をあの鬼畜クソ外道が使う? 考えただけで背筋が凍る。間違いなく使い道が自分だからだ。肝心のリーヴとスラシルは負けたフリして速攻でトンズラした。汚い、流石建国者汚い。

 「あんたたちはあの鬼畜クソ外道を自由にしていることに良心は痛まないのか!!」

 「良心は痛むわよ? でもねぇ……ほら、シャロン、言ってやんなさい」

 「はい!! 召喚士さんを私達は勝手に召喚してしまったんで強く言えないんです!!」

 「笑顔!! めっちゃ笑顔!! 王女がこんな能天気で大丈夫なのアスク王国!!」

ヘルの悲痛な訴えはムスペル王国組とニフル王国組はそっと視線を逸らした。ムスペルとニフルも事実上三軍師によって間接統治されているために強く言えないのだ。しかも自分達が治めていた時より良い方向に進んでしまっているためになおさらである。特にスルト、レーギャルン、ロキ、フリーズ、フィヨルムの表情は複雑だ(レーヴァテイン、ユルグはよくわかっていない。スリーズ? 語る必要もあるまい)。

 「く!! こうなったら仕方ない!! ここは死の王国!! 私のデスパワーは1000%発揮できるホームゲーム!! ここを鬼畜クソ外道の墓場にしてこの世界の平和を取り戻してやる!!」

そう言って普段は封印しているデスパワーを放出するヘル。その姿は某野菜人に似ている。

 「そんな面倒なことしなくても僕に死の呪いをかけるだけでいいんだ!!」

 「少年!! 君は疲れているんだ!! 私がその疲れの元凶を取り除くから、それからまた同じやりとりをしよう!! そしたらきっと正しい選択肢を選ぶはずだ!!」

アルフォンスの訴えを却下するヘル。あの鬼畜クソ外道には天罰を下さねばならない。奴を倒してこの世界に安定と秩序を取り戻すのだ。

 『あ』

そしてアスク王国連合軍から思わず溢れてしまった声が揃って出る。それにヘルは不思議に首をかしげる。恐怖されるならわかる。このモードの時は溢れ出る死のオーラに生物だったら恐怖を抱くからだ。だが、連合軍から溢れたのはやっちまった的なつぶやきだ。

そして全員が後ろ後ろというジェスチャーをしている。

それに倣ってヘルは後ろを向き、そしてそれをみた瞬間に凍った。

そこにいたのは銀髪オッドアイの美少女。超スーパー迷惑竜イドゥンだった。イドゥンはめっちゃ笑顔だった。異性だけでなく同性でも見惚れるような笑顔だった。でもヘルはちょっとちびった。恐怖しか感じなかったからだ。

 「貴様がヘルだな? よし死ね」

静かな言葉と共に繰り出された拳によってヘルの上半身が汚ねぇ花火になった。だがヘルは溜めていたデスパワーを使って超再生する。

 「ちょっとぉぉぉぉぉ!!! この迷惑竜がいるとか聞いてませんよ!? これは駄目な奴でしょ!! リトルリーグの試合に大リーガーが参戦するようなものですよ!!」

ヘルの必死の叫びも虚しくアスク王国連合軍は逃亡を開始していた。誰しも巻き添えを食らって死にたくないのだ。それがヘルの絶望を助長した。

 「おぉぉ……なるほど召喚士さんのいう通り超回復を持っているのですね。いいでしょう。これは私に課せられた試練……不死身の存在を殺せという試練なのですね……ふふふ、フハハハハ!! いいでしょう!! このイドゥンを本気にさせましたね!!!」

 「ちょっとぉぉぉぉ!! この超迷惑竜連れて帰って!! いくら私が不死身でも」

ヘルは言葉の途中でイドゥンの一撃を受けて再び弾け飛ぶ。しかしすぐに回復する。

 「もうやめて!! 私のライフポイントはもう0よ!!」

 「フハハハハ!! やはり死にませんか!! いいでしょう、私も少し本気を出すとしましょう!!」

 「うっそやだ!! こっちの話を全く聞か」

再び言葉の途中でザクロになるヘル。しかし何度でも蘇る。ヘルだって学習する。回復直後に即座に離脱!! 空に逃げれば逃亡が可能なのだ!! なにせ相手は重騎だ。1マスしか移動できない!!

が、無駄!! ヘルはイドゥンが投げた小石によって再び消し飛ぶ。

 「ちょっとぉぉぉぉ!!!! このバグどうにかして……あ」

叫んでいる途中で容赦のない一撃がヘルを襲う!!

 「ふふふ、フハハハハ!! これでも死にませんか!! いいですよ!! 試練はこうでなくてはいけませんとも!!」

 「ちょっとぉぉぉぉぉ!!!! こっちの話を」

ノリノリのイドゥン様は当然のように話をきくわけもなくヘルを殴って消し飛ばす。

しかし……!! 期待をすれば希望は来るのである……!!

 「ヘル〜!! 拷問しようぜ!! 対象お前な!!」

鬼畜クソ外道が絶望(拷問道具)を持ってきたことでヘルは逃亡一択で必死になって逃げ回るのであった。

 




ヘル
死の女王。原作でなんか偉そうだけどこの作品ではこんな扱いである。

アルフォンスくん
この作品一番の被害者。死んで楽になろうと思ったのに楽になれなかった。アルフォンス君は泣いていい。

イドゥン
語る必要もない超迷惑竜。試練を与えるだけでなく、自分が試練に挑戦するのも大好きな求道者。



なんか原作でヘル様が偉そうだったので正しいヘル様を書かなきゃいけない使命感に襲われた。そして死んで楽になりたいと考える社畜の末期症状のアルフォンスくん。頑張れ。超頑張れ!!

ツイッターの方で『リンちゃん大好きなベルカちゃんを書いて(超意訳)』なお題をいただきましたが、すいません無理です。というか原作違うキャラ同士でどうやって狂愛を書いていいかわからりません。

ちなみにツイッターの方では作者のプロフィール欄にお題箱のURLを貼っているのでそちらにどうぞ。確認するのを忘れるんでこちらのアンケートに投げていただくのが確実ですが。
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