召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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奴が……奴が来る……!!

終わりじゃぁ!! このヴァイス・ブレイブは終わりじゃぁ!!


天才魔道軍将襲来編

 「勝手に召喚石版が起動している?」

 「は、はい」

俺が執務室で執務をしていると、秘書・イシュタルから奇妙な知らせが入った。

 「誰も起動していないのに何故か起動しているんだな?」

 「はい。つい先ほどに突如起動が始まり、現在も召喚するようにオーブを明滅させています」

不安そうなイシュタル。だが、俺には不安はなかった。

 「すまんがイシュタル。烈火メンバーを召喚室に集めてくれるか」

 「あの……それが皆様、召喚石版が自動起動に入ったと聞いたら『あ〜、あいつが来たか』とどこか納得したご様子で召喚室に集まっております」

流石は烈火組。手慣れている。

俺は執務室から出て召喚室に向かう。

 「敵の新手の魔術でしょうか?」

 「いや、それはない。いや、素直に味方にカウントしてもいいか怪しい人間ではあるが」

 「はい?」

イシュタルの問いに俺は召喚室に入る。そこにはバカ二人しかいなかった。

 「おう、バカ二人。他の面々は?」

 「こんなことやるのあいつしかいないからね。みんな歓迎会の準備に行ったよ」

エリウッドの言葉に頷きながら召喚石版を見ると、凄まじい魔力の奔流が召喚石版に集まっている。

 「なにこれ。ひどい魔力の奔流だな」

 「なぁ、召喚士。これどうなってんだ?」

 「おそらくはあのバカが向こうの世界から無理やりこっちの世界に扉を繋いでいるんだろうさ」

 「……そんなことできんのか?」

 「あのバカだったらできるとしか言いようがないな」

ヘクトルの問いに答えながら俺は自己主張の激しい青のオーブを石版に叩き込む。

吸い込まれるオーブ。浮かび上がる砂煙。出てこないシルエット。

 「「「あれ?」」」

まさかのスカ召喚に一瞬俺たち三人から不思議そうな声が漏れる。予想ではハイテンションにあのバカが出てくると思ったのだが。

だが、すぐにその心配は杞憂に終わる。

召喚室に鳴り響くワルキューレの騎行。飛び散る花吹雪。そして虚空から現れる豪奢なゴンドラ。乗っているのは当然のように笑顔あふれるあの男。

 「やぁやぁ、みんな。久しぶりだね。頼れるみんなの人生勝組天才イケメン魔道軍将パントさんの登場だよ」

 「なんでそんな派手な登場なんだよクソイケメン」

 「限定ガチャとか恥ずかしくないの?」

 「奥さんは配布だぞ。見習えよ」

 「はは!! 恒常ガチャに未実装組の嫉妬が醜いね!!」

そしてゴンドラから三回転半をつけて飛び降りてくるパント。

 「やや? みんなの魔力を察知していたのに、知っているのは鬼畜クソ外道軍師に腹黒親バカ、それにエロ脳筋だけじゃないか。みんなはどこだい? 特にうちの可愛い子供達なんだけど」

 「クレインくんは召喚石版が自動起動したと聞いたらパントが来ることを察知したんだろうね。医務室に胃薬をもらいに行ったよ。クラリーネちゃんはその付き添い」

 「う〜ん!! クレインもいいかげんに慣れればいいのに!! 今回は私だけじゃなくて三馬鹿は揃っているからもっと大変だぞぉ!!」

 「笑顔で言うことか。あ、イシュタル。パントが召喚されたことを知ったアンナが異界か別の国に高飛びかまそうとするはずだから、ふん縛って捕らえておいて」

 「……は!? はい!! わかりました」

パントの吹っ飛んだ登場に意識が飛んでいたイシュタルは俺の言葉に慌てた様子で飛び出して行った。

 「今の子は誰だい? あぁ、いや。言わなくてもわかる。私と軍師……あぁ、ここでは召喚士だったね。彼女はズバリ召喚士の新しい女だろう? いよ!! このスケコマシ!!」

 「ぶち殺すぞ貴様」

パントの煽りに俺が半ギレしながら胸ぐらを掴むが、パントの爽やかな笑みはなくならない。

 「はっはっは。冗談さ。彼女はあれだろう? きっと召喚士が異世界放浪している時に教師役を務めた子供なんだろう?」

 「なんでわかんの?」

 「天才だからさ!!」

キラーンと歯を光らせて満面の笑みを浮かべるパント。どうしようもなく殴りたいこの笑顔。

 「まぁ、待ちたまえ。今回、召喚士の本命は私と同時実装されているシグルーンさんだろう?」

 「召喚される奴が実装とか言うなよ」

 「細かいことはいいじゃないか!! 今なら私のちょっとした魔法の応用で星5確定ガチャだよ?」

 「なん……だと……!?」

俺はパントの言葉に召喚石版に赤のオーブを叩き込む。

吸い込まれるオーブ。舞う砂埃。浮かび上がるシルエット。

 「邪神ドーマ様の僕、セリ「すり抜けじゃねぇか!!!!!」

 「はっははぁ!! 星5確定と言ったけど、シグルーンさん確定と言った記憶はないね!!」

 「ぶち殺すぞ貴様ァァァァァ!!!!!!」

俺のブチギレにバカ二人は俺を指差して嘲笑い、パントはイケメン笑顔で盛大に煽ってくるのであった。

 




パント
「全国烈火ファンの皆、待たせたね!! そう人生勝組天才イケメン魔道軍将パントとは私のことだ? え? あとがき? 私の力を使えば乗っとるなんて容易いことさ!! まぁ、めんどくさいから私の紹介文だけだけどね!! ルイーズのことだったらあとがきに収まらないレベルで語れる……む、運営側の動きが早い。それでは今回はここまでだ。また会おう!!」



こんな感じで1フェーでパントが我がヴァイス・ブレイブに登場。ちなみにクリフとモウディとセリカ(闇落ち)、フローラ(ノーマル)もすり抜けで来ました。シグルーンさんは来てくれなくて作者は悲しい。

さて、パントが来たと言うことは我がヴァイス・ブレイブの暴走に拍車がかかる結果になります。いやぁ!! これで二次創作でお約束の女体化ネタとかショタ化ネタが書けますよ!!

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