前作を書いた時にやりたいなーなどとほざいてから結構経ちましたが、ようやくお見せできます。
Q.艦これと銀魂のクロスオーバーなんて需要あるの?
A.知らね。
Q.このサイト内に元ネタ丸かぶりしてるのあるけどいいの?
A.知らね。
Q.完結できんの?
A.知らね。けど、頑張る。
「え? え? ちょっと待って。つまり、俺とお前の2人っきりでここで仕事しろってこと?」
「は、はい。万事屋の坂田銀時さんですよね? 秘書艦の電なのです。よろしく……お願い致します」
照明もなく薄暗い部屋の中で、男と少女が向かい合っている。電と名乗る少女がおどおどした様子で自己紹介すると、対する男、坂田銀時は自身のおかれた状況に顔を引き攣らせていた。
が、やがてフッと笑い大きく息を吸い込むと
「あのクソ提督ううううううう!!!」
「はわわわわっ?」
突然の大絶叫に目の前の電はびっくりするが、銀時はお構いなしに喚き散らす。
「なぁぁぁにがおニューの司令部だ!? ただのボロボロの廃墟じゃねぇか!」
銀時が部屋を振り返ると堆積した埃、至る所に散らかるゴミが、この建物が廃墟であるということをありありと表していた。
そのままの勢いで銀時は窓にツカツカと近寄り勢いよく開け放つ。
「なぁぁぁにが南国リゾート気分だ!!? ただの『ことうぐらし!』じゃねぇか!」
銀時の目の前には茫漠たる海が広がっていた。さらに言えば銀時が居る建物周辺には鬱蒼と茂る森しかなく、人の生活や文明の類など微塵もない。
「おまけに!」
「はわ!?」
銀時は振り返りざまに電に指を突き付けると
「あの鉄仮面みてェなボインの秘書が就くとか言っといて、居るのはツルペタのガキ1人だけじゃねェかあああああ!!」
「はわわわわわわ!?」
銀時はひとしきり叫ぶと、大きくため息をつき項垂れた。
「こんなのに手ェ出した瞬間、ジャンプ、いや集英社ごと俺の存在が消されかねねェよ。どうすんだよこれ……」
「あ、あの……」
「あん?」
ぶつぶつと文句を垂れる銀時に、電がおずおずといった様子で話かける。
「確かに電は、全然小さいですけど……」
両手を握り締め、意を決したように叫ぶ。
「毎日牛乳を飲んでお胸を大きくするので、待っていてほしいのです!」
「何言っちゃってるのこの子オオオオオ!?」
「り、立派なバインバインのナイスバデーになるのです!!」
「い、いや。アノ。だからね……!」
「な、なんなら。司令官さんに揉んでいただいて、育てるというのも……」
「ストーーーップ!! 分かった! 分かったからもうやめて! 銀さん消されちゃう! 丘の上ひなげしの花で占うあの人に消されちゃうから!!」
顔を真っ赤にして体をモジモジさせる電をなんとか宥めて落ち着かせようとする銀時。年端もいかない少女に何を言わせているんだという罪悪感と共に、なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないという憤りを感じるのであった。
(こうなったのも、全部あのクソババアとクソ提督のせいだ……!)
銀時は2日前の出来事を思い出し頭を抱えるのであった。
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瓦葺の低い街並みと近代高層ビルが混在する街並み。
それらを見降ろすように異星の船が悠然と空を飛ぶ町。
ここは江戸の町。
20年ほど前突如この国にやってきた宇宙人、通称『天人』。彼らの持つ圧倒的軍事力に恐れをなした幕府は、不平等な条約を飲みそれに反対する侍を弾圧した。侍達が廃れるのと反比例するように、科学技術は急速な進化を遂げた。かつて侍の国と呼ばれていたこの江戸で、天人の高度な技術力によって江戸中心部にそびえる『ターミナル』をはじめとした高層ビルや、その周りを飛び交う宇宙船を見ることはもはや珍しい事ではなくなった。
そんな江戸の町のひとつである『かぶき町』。夜になれば様々な欲望に彩られるこの街も昼間ともなれば騒がしいながらも比較的おとなしい顔色を見せる。そんなかぶき町の一角に『スナックお登世』の看板を頂く店があった。現在、暖簾は店の中に仕舞われ準備中となっているが店内には2人の人物が居た。
カウンター内に陣取りテレビを見ていた着物姿の老女が、タバコの煙を吐き出しながらぼやくように呟く。
「また出たみたいだね……」
この老女はお登世。このスナックお登世の店主であり、かぶき町四天王の1人と囁かれるほどの女傑である。
お登世のつぶやきに反応したのは、カウンターを挟んだ向かいに座りパフェを突っつく男だった。
「あ? 何が? ゴキブリ?」
食事中とは思えない発言を繰り出すこの男は坂田銀時。スナックお登世の上に居を構え『万事屋銀ちゃん』というなんでも屋を営んでいる。
銀時はお登世の方を眠たげな目でチラと見ると眉をしかめる。
「しっかりしろよクソババア。テメーの店ぐらいちゃんと管理しろよ。ウチにまで出たらどうすんだよコノヤロー」
「そうだねぇ、目の前のでかいゴキブリもさっさと駆除した方が世のためかねェ?」
お登世が額に青筋を浮かべながら答えると、やれやれと言った様子でテレビに顎をしゃくる。
「違うよ。アレのことさね」
「あん?」
お登世に促され銀時がテレビに目をやると、お昼のニュース番組が流れていた。画面いっぱいに激しく炎上する大型貨物船の映像が映っており、カメラアングルからヘリコプターからの中継映像だと分かった。テレビからローター音に負けないようにするためか、女性アナウンサーの怒鳴り気味の声が流れる。
『えー、現在襲撃があった現場海域まで来ています。ご覧頂けるでしょうか? コンテナ船が激しく燃えています。積荷か燃料に引火したのでしょうか? 黒煙が私の乗っているヘリのところまで届きそうです。あっ、画面映りますでしょうか!? 船体横に大きな穴が空いています。攻撃を受けた所でしょうか? 幕府は今回の襲撃も深海棲艦によるものと見ています。ここも危なそうなんで! さっさと帰りましょう! 現場からは以上です』
「……深海棲艦?」
画面が切り替わり、スタジオのキャスターの画に切り替わったところで銀時が呟いた。海で襲撃というので、てっきり海賊の仕業かと思ったが聞きなれない単語が出てきたため思わず聞き返したのだ。
そんな銀時にお登世が呆れ顔で答える。
「あんた知らないのかい? 最近海で暴れまわっている天人らしいよ。なんでも小さいクジラみたいななりをして、突然、海から現れて口から大砲ブッ放してくるヤバイ連中だとか。おまけに海賊みたく積荷を強奪するでもなく問答無用で船を沈めていく訳のわからない連中なんだとさ」
「ふ~ん、んちゃ砲ブッ放せるのは鳥山先生の専売特権じゃなくなったのな。世の中変わったなぁバーさんよォ」
お登世の話を聞いても銀時は興味なしと言いたげに適当なコメントを吐くと、目の前にあるパフェをパクつくことに集中する。
銀時のつれない様子にお登世は眉をひそめる。
「ちょいと、人ごとじゃないよ。おかげで色んな物の流が滞って物価が軒並み跳ね上がってんだから」
「……そういや最近物が高ぇと思ったら、そいつらが原因かよ」
身近にある影響に気付かされた銀時は流石に思案顔になる。日々金に余裕が無い銀時にはこのところの物価高は身に迫る脅威といっても過言ではないものだった。
「そういうわけだから、今月からアンタんところの家賃2倍ね」
お登世のセリフに銀時は思わずスプーンをカウンターに落として血相を変える。
「ハアアアアッ!? ふざけんじゃねぇぞウンコババア! こちとら先月分も払えてねぇのに、いきなり倍増されて払える訳ねぇだろ!」
「さりげなく先々月の分をすっぽかすんじゃないよ! こっちもあのエイリアンのせいで客足減っちまってヤベェんだよ!! 払えねぇってんなら腎臓でも金○でも売って金作ってこいや! それが出来なきゃさっさと出て行くなり仕事見つけてくるなりしやがれこのプー太郎がアアアッ!!」
前触れもない急激な家賃の吊り上げに銀時は抗議の声を上げるが、家賃の滞納癖がある銀時に慣れっこのお登世は鬼の形相で金がないなら作ってこいと啖呵を切る。
なおも言い募ろうと銀時が口を開こうとするが突然、店の引き戸が開けられる。
「どうも、お久しぶりですお登世さん。……今、お取り込み中?」
「おや? 誰かと思ったら……大丈夫さね」
「あ、オイ……!?」
入ってきたのは一人のスーツ姿の男だった。開店時間でもないのに突然やってきた男をお登世は出迎える。お登世はこの街の顔役でもあるためこのような訪問者は珍しくなく、様子から察するに昔馴染みの知り合いなのだろう。
お登世の注意が他に向いてしまったため銀時は舌打ちすると、喉まで出かかった言葉を器に残っていた溶けたアイスと共に飲み込む。空になった容器をカウンターに叩きつけると、しかめ面をテレビ画面に向ける。
テレビではグラフやら映像やらを使って深海棲艦の脅威に関する何かを解説している。銀時は先ほどの燃え上がる船や別の破壊された船の映像をいくつか見ると、しだいに目の焦点が合わなくなってきた。別に眠くなったわけではない。
(終わったと思ってるのは俺だけかねェ……)
銀時の目はここではない、そう遠くない過去を見つめていた。自然とスプーンを持つ手に力が入り、段々と目が据わっていく。
「――とき―――んとき―――オイ銀時!」
「――っ!?」
お登世の呼びかけに銀時はハッとした様子で振り向く。見るとお登世と先ほど店に入ってきた男が銀時のことを見ていた。
銀時は耳を掻きながら気ダルそうに向き直る。
「んだよババア? デケー声出すんじゃねーよ」
「ぼさっとしてるオメーが悪ィんだろうが」
お登世が短く文句を言うと、先ほど入ってきた男に顎をしゃくる。
「あんたに客だよ」
「あ? 客だぁ?」
銀時はこの時初めて男に注意を向けた。男はオールバックに髪を撫でつけ、三白眼をたたえる顔立ちは如何にもさえない中年男性という印象を銀時に植え付けた。
お登世に紹介された男は、どうもどうもと軽く会釈しながら銀時に近づくと名刺を差し出す。
「万事屋の坂田さんですね? 私、こういうものです」
「ああ、俺のことは銀さんとでも呼んでくれや」
自己紹介を済ませる銀時は受け取った名刺を見ると、即座に眉をしかめることになった。
「江戸海軍、横須賀ちんじゅふ? 艦隊総司しr……って、なんだこの寿限無みてーな長ぇ肩書はよォ?」
「江戸海軍横須賀鎮守府艦隊総司令官。要するに海軍における横須賀のドンってことです。まぁ、長ったらしいから周りからは横鎮提督って呼ばれています」
「ふ~ん、海軍さんね。で? そのはみチン提督さんが俺に何の用?」
「横鎮ね」
横鎮提督と名乗る男は銀時に突っ込むと隣に腰かけ用件を切り出す。
「一から説明すると長くなるから端折って言うと、代わりの人材が見つかるまで管理職代行としてウチで働いて欲しいんですわ」
「は?」
提督の話に銀時は怪訝な顔を隠せない。
「おたくら公務員だろ。俺みたいなパンピーに、それも管理職なんて重要な仕事させちゃまずいんじゃねぇの?」
「本来はそうなんだけどね。そうも言ってられないのよ」
提督は銀時のもっともな指摘に首肯しつつ、困った様に頭をポリポリと書きながら続ける。
「その名刺にある『江戸海軍』って組織、元あった水軍が組織改変されて新しく出来たやつでね。ぶっちゃけ人気無い部署なわけ」
「あん? どういうことだ? もろチン提督さんよ?」
「横鎮ね。新設された部署は倦厭されるお役所気質が半分、もう半分がアレのせい」
提督があれと指さす先に銀時が目をやると、先ほどから付きっぱなしになっているテレビ画面だった。
「あのハゲたおっさん?」
「いやいや、深海棲艦の方ね」
テレビではまだ深海棲艦の話題を取り上げており、現在は海洋学者によるうんちくを垂れ流しているところだった。
横鎮提督は一つ咳払いすると話を続ける。
「目下、海軍の重大事案は深海棲艦の脅威から海上を航行する船舶の護衛及び、領土領海への侵攻を未然に防ぐことの二つになるんだわ」
「あー仰々しく言ってっけどアレか? 要するに船の用心棒とビーチの監視ってことでOK?」
「……ま、いいか」
「イヤ、いいのかいそれで?」
お登世が突っ込むが話が進まないと判断した提督は銀時の曲解を放置し説明を続ける。
「知っての通りこの国は四方を海に囲まれていて、物流の主幹は海洋船が主だっている。空輸だと高くつくからね。で、その肝心な船が襲われないように護衛している訳なんだけど、正直手こずっていてね。この通りあまり芳しい成果が上げられないでいるのよ」
「つまり出世する点数稼ぎに向かない職場だから人が集まらねェってか? へッ。大した公務員様だなオイ?」
銀時が鼻で笑うと、提督は全くだと言わんばかりに肩をすくめる。
「おまけに上は早いところ成果を上げて批判をかわしたいから、反攻作戦の音頭を執ったりしたもんで、人手が割かれてこちとらてんやわんやなわけ」
「それじゃあ猫の手も借りたくなるわけさね。で板挟みになってアタシに泣きついて来たってわけかい? アンタも苦労するねェ」
「いやはや全く。だからこうして休日返上して、人材探しの旅に出ないといけない訳なんですわ」
組織に振り回されている提督が面白いのか、半笑いしながらお登世が茶化す。提督は申し訳なさそうにお登世に頭を下げると、一転して真面目な顔で続ける。
「正規の手段で来ないのは分かっている。なりふり構っているられる状況でもない。それで昔お世話になったお登世さんに紹介してもらおうと思ったんですよ。そしたらば、丁度よさそうな仕事をしている人が上に住んでいるじゃありませんか」
提督はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら銀時を見るが、銀時はわざと目を合わせないように虚空を見つめながら鼻をほじる。
「と言う訳で管理職代行の依頼、お願いしたいんだけど」
と両手を合わせて提督はお願いするが、銀時はプイとそっぽを向いてしまう。
「悪ィが他を当たってくれ。俺に兵隊の頭は務まらねェよ」
「大丈夫、大丈夫。ぶっちゃけ制度上いなければならない程度の単純なお仕事だから。ね? お願い」
にべもなく断る銀時に提督はすがりつくようにお願いする。
すると、そのやり取りを見ていたお登世が横から口を挟んできた。
「ちょいと銀時、アンタ仕事を選り好みしている場合かい?」
口から紫煙を吐き出しながらお登世は指を二本立てる。
「二ヶ月分の家賃」
「ぐっ……」
「それと今月の倍になった家賃。ついでにこれからの生活費……アンタ払えるのかい?」
「……チッ」
銀時はお登世が立てる四本指を忌々しげに睨み付ける。そう、銀時は今まさに金が入用なのだ。このままでは、闇医者のお世話になるか家を追い出されるかの二択を迫られるのだ。ただ、銀時は自身の過去のこともあり、宮仕えというのは全く気乗りしない。むしろイヤだ。
銀時が唸っていると、提督が胸ポケットをゴソゴソしながら口を開く。
「じゃあこうしよう。滞納分の家賃を前金として今払う」
「「え?」」
銀時とお登世の声がはもる。提督はカウンターの上にやや厚めの封筒をポンと置く。さらに封筒と一緒に出した電卓を叩きながら
「それとは別にウチでの給料を働いた日数に応じて支払うってことでどう? とりあえず二週間を目途に考えてるから……」
提督がホイと見せてきた電卓の数字を見た瞬間、銀時の目がギョッと見開かれる。
「マジで?」
「マジマジ、大マジ」
「提督、嘘つかない?」
「つかない、つかない」
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(今思えばあの時、金に目がくらんでホイホイ仕事を引き受けちまった時からケチがつき始めやがった……!)
銀時は今の自身のおかれている状況を省みてそう結論付けるのだった。
「で、ですから! ここにっ! ここにおいて欲じいのでずう゛う゛う゛っ!!!」
「だあああああ! やかましい!! 別にどこにもやらねえつってんだろうが! オイッ! オレの一張羅に鼻水つけんじゃねぇ!!」
自分の腰に泣きながらすがりついてくる電をなんとか振りほどこうとしながら、銀時は心の中で毒づいた。
(なんで絶海の孤島でガキの子守なんざしなきゃならねぇんだあああああ!?)
後書き
ここまでお読み頂きありがとうございました。
なんか説明ばかりで艦これ要素が少ないなーと思い初回から豪華二本立てでいっちゃいます。
続きを読みたいという奇特な方はもう少しお付き合いください。