デジモンクロスウォーズ 叛逆のラグナロク   作:ちんみぃ

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初めまして。こちらのサイトを利用するのは初めてなので、左右もわからない状態ですがよろしくお願いします。
この作品は随分前から温めていて、吐き出し場所がなく勿体無いと思っていたものを今回書かせていただきます。
物語は時かけアニメの一年後を想定しております。
更新頻度はあまり高くないかと思いますが、最後まで書き切るつもりですのでお付き合い願います



プロローグ うさぎの穴にまっさかさま

 

闇が世界に溢れていく。

 

 

 

すでに一筋の光すら許されていないこの世界で、たった1人残された少年は震える手で地面を弱々しく叩きつける。

 

あの時も今も、自分にもっと力があれば。

 

己の無力さに、血が滲むほどキリキリと歯を唇に食い込ませる。

どれだけ願っても時間は戻らなない。

大切な相棒も、大好きな仲間たちも、もう帰っては来ない。

だんだんと周囲の音が遠ざかっていく。

このまま消えてしまう他ないのだろうか

 

「少年、諦めるのはまだ早いよ」

 

気がつくと少年の目の前に誰かが立っていた。

顔を上げると、1人の少女が微笑みながらこちらを見下ろしている。

色なんてものを知らないのではないかと思うほど、少女は真っ白だった。

唯一大きな瞳だけが血のように赤い色を放つ。頭にはウサギの耳を生やし、背後に猫の尻尾を携えた少女は病的に白い手を彼に差し出してきた。

 

「 世界を救いたいなら、力を貸して上げる。だけどきっとそれは、君にとってとても過酷な戦いになるだろう。それでも、もう一度立ち上がる勇気はあるかい?」

 

少女の背後には、彼女とは対象的な黒い闇が広がっている。

徐々に世界を侵食していくその様は、まるで今にも彼を食べてしまおうとしているように感じられた。

 

このままただ待つだけなら、これ以上苦しい思いはしなくて済むのだろう

 

だが自分は、術があるのなら諦めたくなどない

自分にとって諦めることと死ぬことは同義だ

この絶望的な世界の中で、彼女の白さはあまりに眩く輝いているようだった。

そうだ、まだ希望は失われてなどいない

 

彼は迷うことなくボロボロになった手で、小さな少女の手を握る。

ほんのりと冷たい体温が心地よかった。

 

「 僕の名前は"アリスモン"。君の名前は?」

 

 

 

 

「 俺の、名前は ________ 大輝(たいら)

 

 

時雨 大輝 」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

プロローグ うさぎの穴に真っ逆さま

 

 

 

 

「 遅いなぁ〜タイキさん」

 

 

蒸し暑い路地で1人の少年がそうぼやいた。

ツンツン髪に炎のような赤いメッシュを入れた少年、明石 タギルは茹だるような暑さに完全にバテていた。

とても暑い。本当に暑い。これは溶ける。

クーラーの効いたコンビニもあることにはあるのだが、ここより五分歩いた先にあるため必然的にここから離れなくてはならない。

今は人を待っている最中だ。

予定と違う場所にいることはできない。

故にとにかく耐えるしかないのだ。

 

「 仕方ないだろ?タイキさんは今年受験生なんだから、僕らと違って色々忙しいんだよ」

 

それを諭すように金髪の少年、天野 ユウが同じく少し疲れた顔で告げた。

正直な話、待ち合わせ場所を室内にすべきだったかもしれない、とは思うのだが。

しかし彼らにとってなるべく人目につかない場所の方が色々と都合がいいのだ。

『ったく、だらしないぜタギル!この程度の暑さでへばるなんてよ。しっかりしろ!これからハントだってのに大丈夫かよ?』

 

どこからか三人目の声がした。

しかしあたりに人影はなく、いるのはタギルとユウだけ。

そしてそれはタギルが手にもつ、玩具のような機会から発せられているらしい。

 

「 おー大丈夫だってガムドラモン。今日こそはデジモン見つけてハントしてやるんだからな。それにしてもクロスローダーの中は涼しそうで羨ましいぜ...」

 

ガムドラモンに答えるタギルの声には力が入っていなかった。

体の8割は元気でできてます、というようなタギルであるためこれは相当に参っているらしい。

 

『ユウ、大丈夫ネ?』

 

また別の声がする。

今度はユウが手にもつクロスローダーからだ。

 

「うん、大丈夫。ありがとうダメモン」

 

時折そんな会話をしながら2人が待っていると、パタパタと足音が近づいて来た。

やってきたのは、少し長めのフサフサとした髪をした2人より背の高い少年だ。

 

「 遅れてごめんな。2人とも久しぶり 」

 

『 タイキんとこの先生の話が長くってよ。待たせちまったな』

2人より1つ年上にあたる工藤タイキとその相棒のシャウトモンは、最近は忙しくなかなか予定が合わないことが多い。

故に今日は三人が久々に揃う日なのだ。

 

「 久しぶりっす、タイキさん!」

 

「お疲れ様です。大丈夫ですよ、僕らも来たのは7分前くらいですし、連絡は事前に貰ってましたからね」

 

『待ちくたびれたぜ王様!よし、全員揃ったしさっさとハントに行こうぜ!』

 

「 おう!!てことで早く行きましょうタイキさん!」

 

ワクワクと玩具を手にした子供のようにはしゃぐタギルに、思わずタイキは苦笑いをこぼす。

タギルのこういうところは相変わらずであり、タイキ個人としては非常に好ましい。

 

「 ああ、そうだな。よし、行こうか」

 

タイキの言葉を合図に三人の少年はそれぞれクロスローダーを宙に掲げる。

 

「 タイムシフト!!」

 

クロスローダーからデジタル時計のような時空の歪みが生まれ、彼らは迷うことなくその中へと飛び込んだ。

 

_____________________________________

 

薄暗い空と、どこか寂れた雰囲気の街並み。鬱蒼としげるデータの苔。

久方ぶりに訪れたデジクォーツは、相変わらず不気味な雰囲気を醸し出している。

 

「 けど、最近はほとんどハグレデジモン達も見なくなって来ましたね」

 

「 ああ、恐らくデジモン達の数がこの空間から減って来ているんだろう

このハグレデジモンハントも終わりが近いのかもしれないな」

 

あの戦いから一年が経過した。

時計屋の言葉通り、あの頃はデジクォーツにも多くのハグレデジモン達が謳歌していたが、それも徐々に数を減らしつつある。

それは世界にとっては良いことであるが、彼らにとっては相棒との別れが近づいているようで正直寂しい気持ちもあった。

 

「 くっそー!今日もみつからねぇ!!」

 

「 ここんとこ毎日だな。7日連続は最高記録だぜ」

 

タギルとクロスローダーから出て来ているガムドラモンは悔しそうに顔を歪める。

こうも捜索が難航していては、さすがに腹も立つものだ。

 

「 この辺りにはいないようだから、少し捜索範囲を広げてみた方がいいかもしれないな」

 

「 隣町まで行ってみますか?今から行けばまだ時間的には余裕があると思います」

 

「 んー見つかんないなら仕方ねぇか.....

んじゃあ早いとこ隣町まで行こう ぜ? 」

 

その時、タギルはふと視界の隅に何かが動いた気がした。

慌てて目線で追いかけると、その先には一台の少し古めかしい車が停車している。

 

その上にそれはいた。

モコモコとした体に、真っ直ぐそそり立つ耳。

滑らかな尻尾をゆらゆらと揺らめかすそれは、真っ赤な瞳でじっとこちらを凝視している。

 

小さいが、あれは間違いなくデジモンだ

 

「 見つけたぜ!!!行くぞ、ガムドラモン!」

 

「 おうよ!久しぶりにうでがなるぜ!!」

 

見つけるやいなや2人は目にも留まらぬスピードでそのデジモンめがけて走り出す。

それをみて慌ててユウとタイキも後に続いた。

 

「 あんなデジモン見たことないな・・・一体どんなやつなんだろう」

 

「 とにかく追いかけるしかない。このままだとタギルもデジモンも見失ってしまう」

 

小さな、それこそキュートモンほどの大きさのそのデジモンは、タギル達がこちらに向かってくるのを見るやいなや、くるりと向きを変えてどこかへと突然走り出す。

随分とすばしっこいらしく、それだけで一気に距離が開いてしまうほどだ。

 

「 まずいぜタギル!あいつ逃げられちまう」

 

「 くっそぉ!ここで諦めてたまるかぁあ!」

 

どうやら久々のデジモンに、止まることを知らないタギルの悪癖が発動してしまったらしい。

中学2年生になってからはこの性格も鳴りを潜めていたのだが、よほど力が有り余っていたのだろう。

獲物を狙う獣のごときギラギラとした瞳で全速力でタギル達はデジモンを追いかけた。

 

________________________

 

「 も、もうダメ.....疲れた」

 

「 ったくだらしねぇな!と、いいてぇとこだが、正直俺っちもこのままじゃ拉致があかねぇと思うぜ。あいつちょっとすばしっこすぎやしねぇか?」

 

もうかれこれ30分近くはあのデジモンを追い回していた。それまでの道のりで、山あり谷ありの障害物は無かったが、それにしても全速力で走り続ければそろそろ限界というものだ。

何度か攻撃を仕掛けたり、先回りをして見たりするのだが、残念なことに全てかわされてしまう始末である。

 

「 だけど、あのデジモンまるで僕たちをどこかへ連れて行こうとしてるように思える」

 

「 ああ、それは間違いないだろうな」

 

2人のいう通り、あのデジモンの動きは明らかに誘導をするもののそれだ。容赦無くこちらの攻撃も届かない範囲まで差は広げるものの、視界から外れないように、こちらが見失えば立ち止まりただじっと待っている、そんな行動をくり返来ていた。

 

「 アイツの行く先に何かあるってことっすかね?」

 

「 わからない、だが何かただ事じゃなさそうだ」

 

「 あ!動き出した!追いかけよう!」

 

再び先頭をデジモンが走り出したことにより、三人と一匹も後に続く。

そうしてまだ鬼ごっこが長引くかに思われたが、その終止符は突然に訪れた。

小さなデジモンが向かう先にあったのは小さな公園であった。

必要最低限の滑り台やブランコなどの遊具がある程度の寂れた公園である。

そのど真ん中の空間を占めている砂場に向かってそのデジモンは真っ直ぐ突き進んでいた。

何故そんな場所に来たのかは、誰が見ても一目でわかる。

 

「 なんすか!?あれ」

 

「 なるほど、俺たちをここに連れて来たかったわけか」

 

そこには謎の空間の歪みが発生していた。

形はまるで鏡ように見えるが、デジクウォーツへの入り口とどことなく似ている。

そんなものがなぜ、この場所に展開しているのだろうか

 

「 これは、どこかに繋がっているのか?」

 

「 けど、それって一体どこに....?」

 

「 どうするんだ、タギル」

 

謎の入り口を前に彼らは考える。

飛び込むべきか、否か。

 

「 へんっそんなの決まってるぜ!この先に行くぜ!」

 

「 こんなものができてるってことはこの世界にまた何か異変が起こっているってことだよね」

 

「 ああ、このままほっとけない!」

 

彼らに迷いはない。

デジモン達にまた何か被害が及ぶ可能性があり、それを彼らが見逃せるはずがなかった。

 

「 よっしゃぁ!タイムシフト!!」

 

この先にどんなものが待ち受けているのだろうか。

期待と不安を胸に、彼らは光の中へと飛び込んだ。

 

彼らがいなくなったのち、光のゲートは粒子となって弾け飛ぶ。

あとには、ただ寂しげな公園が残るばかりである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 




あともう1話ほど書き溜めているので近々公開できたらと思います。
この回では主人公が完全にタギルですが、次まで大輝くんはあんまり出てこないかなと思います。
クロスウォーズは一応全て見てはいましたが、大分前なのと他作品は中途半端にしか手をつけられていないのでそれをご了承の上読み進めていただけますと助かります
20話ほどを想定しておりますが、普通に伸びたり縮んだりしますきっと。
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