デジモンクロスウォーズ 叛逆のラグナロク 作:ちんみぃ
それを救える術があったなら
人というものはそれがどんなに愚かでも、手を伸ばすのだろう
とある男の日記より
「 改めて自己紹介をしよう」
デビドラモン達との戦闘を終えた一行は、微笑みの里に来ていた。
疲れた体を休ませるためと、ゆっくりと話をするためには里の中にいる方が最適だと踏んだからだ。
各々が地面に腰を下ろし、最初に口を開いたのはタイキだった。
「 俺の名前は工藤タイキ。それからこっちが相棒のシャウトモン」
「 おう、俺はデジモンキングでもあるんだ。よろしくな」
「 そうか、あなたは王様だったのか」
だから先ほどのピコデビモン達が驚いていたのだな、と納得したように大輝は頷く。
王様がいきなり現れたとあっては、普通は驚くだろう。
「 俺は明石タギル!タイキさんの後輩で、スーパースターだ!そんでこいつはガムドラモン」
「 デジタルワールド1の暴れん坊、ガムドラモン様だ!」
決まった、とばかりにキリッとした顔をするタギルとガムドラモン。その顔があまりにもそっくりで、思わずタイキは吹き出してしまう。
一方大輝の方は、所々理解ができない内容であったのか、頭にハテナマークが出現しそうなほど首をかしげている。
「 えーと、うん、よろしく?すーぱーすたー、ってどういう」
「 あー、あんまり気にしなくていいから。僕は天野ユウ。こっちにいるのが僕の友達、ダメモン」
「 いきなり困らせるなんて、ダメダメネ!」
ユウの膝の上に座っているダメモンは、タギルとガムドラモンを指差して得意のダメ出しをする。
それに対して「 なんだとー!」とおきまりの台詞を返すタギルとガムドラモン。
このやり取りはある意味日常茶飯事だ。
「 さて、それじゃあ君の素性を聞かせてもらってもいいかな? 」
「 その前に1つだけ教えて。君たちが勇者様っていうのは、本当?それってどういうことなの?」
「 あぁ、それは」
「 それは彼らが、この世界を救った英雄、ある意味で選ばれし子供達ってことだからだよ!」
ガサガサとユウの座っていた近くの草が不自然に揺れた。
徐々にこちらに近づくその影はやがて、草の中から飛び出して彼らの前に姿をあらわす。
それは真っ白いウサギのような、猫のような可愛らしいフォルムをしたデジモン。
そう、タギル達がここに来ることの原因となったあのデジモンだった。
「 ああ!!さっき俺がハントし損ねたデジモン!!!」
「 アリスモン!こんなところに居たのか」
アリスモン、と呼ばれたデジモンはニコニコと無邪気な笑みを浮かべたままピョンピョンとウサギ特有の歩き方で大輝の方へと近づく。
そして当たり前のようにその膝の上にチョコンと収まった。
「 まさか、お前が彼らを呼んだのか?」
「 そうだよ!だって君がいくら強くても、あの人数相手じゃ不利だっただろ?それに、君はきっと彼らから学ぶべきことがたくさんある。英雄としても、デジモンのことにしても。なにより、僕らはこの世界は初心者も同然だからね。現地の人の手助けがなければ、困ってしまうよ?」
得意げな顔で大輝を見上げるアリスモンとは対照的に、大輝は困ったような戸惑ったような表情を浮かべている。
詳しいことはわからないが、この二人はつまり、相棒同士ということなのだろう。
「 たしかに、アリスモンの言うことは最もだよ?だけど、危ないことに関係のない人を巻き込むなんて、ダメじゃないか。」
そう言いながら、大輝のアリスモンの頭を撫でる手は優しかった。
だが、アリスモンのほうはどうやら不服らしく、先ほどまでの笑顔が消え失せどこか不機嫌そうな顔をしている。
随分とコロコロと表情が変わるものだ。
「 君はまたそう言うこと言う....お小言を言いたいのは僕の方だよ!せっかく助けに来てくれたのに、結局一人で突っ走ってしまうなんて!周りの心配をするのはいいけど、君はもっと自分を大事にして欲しいんだけど!」
ぷりぷりと怒りながら、前足で大輝の膝をタンタンと叩いて抗議をしている。
それに対して、大輝は苦笑いを浮かべながらどうにかアリスモンを宥めようとしていた。
「 ....なんか、あいつさっきまでと性格違くねぇか?」
「 戦っていた時はなんか野生の狼って感じだったけど、どちらかと言うと犬っぽいよね...」
すると、その会話が聞こえていたのかアリスモンの耳がピョコピョコと動きクルリとタギルとユウの方へ振り返った。
その顔は特に怒った風でもなく、どこか得意げに微笑んでいる。
「 ふふ、大輝はね、集中してると人が変わってしまうんだよ。その上さっき凄く強い力を使っただろう?あれは強力なだけ大輝の負荷もかなりのものだからね。今は省エネモードなのさ!」
そう得意げに話す彼女の顔は、仕方ないと言わんばかりだが、どこか憎めないような愛情に満ちた笑みをたたえていた。
一度決めたら一人で突っ走り、集中している間は全力で挑み、その反動で終わった後は疲弊してしまう。
タギルとタイキさんを掛け合わせたような人だとユウは一人心の中で思った。
それも2人のいいとも悪いともとれる癖を抽出してるあたり、あのアリスモンがあれほど過保護になってしまうのも頷ける。
「 そうだ、さっきの力、あれなんだったんだ?」
「 あーえっと。そうだな。とりあえずそれを説明するためにも1から話すね。少しだけ長くなってしまうけど、構わないかな?」
大輝の問いかけにコクリと3人と3体は頷く。
それをみて大輝も少しだけ愛好を崩した。
「 まず、俺はね、別の世界からやって来たんだ」
「 別の世界?それは人間の世界ってことなのか?それとも、デジクウォーツ?」
タイキの質問に、大輝は首を横に振った。
「 いや、違うんだ。君らは〝パラレルワールド″って知っている?」
「 ぱられるわーるど??デジタルワールドの仲間かなんか?」
「 たしか、パラレルワールドっていうのは時間のある時期から分岐して生まれる平行世界のことだよ。」
トンチンカンな発言をしたタギルに対し、ユウが的確な説明をする。
だがその説明自体が難しく、タギルとガムドラモンとダメモンは全く同じ動きで首を傾げた。
「 言い換えるなら、この世界にタギルくん達の知っているデジタルワールドや人間界は複数存在しているってことなんだ。だけど、それらはどこかが違っていて、同じ世界はない。そして決して行き来することは出来ないし、干渉することも出来ない場所同士にある。」
「 なるほど...?え?でもお前はここにいるじゃん?」
「 それはアリスモンの力のおかげ。どういう原理かは俺にもわからないけど、アリスモンは空間と空間を行き来することができるみたいなんだ。」
大輝の言葉を聞いてアリスモンはとても得意げに胸を張ってみせる。
「 うん!どんな場所、どんな時間にも連れて行ってあげられるよ!別の本を手にとって読む行為に等しいからね。でも結構疲れるから、暫くは力を何も使えなくなっちゃうし、体も省エネモードになっちゃうんだけど。」
「 そうか、つまりアリスモンはクロックモンとよく似た力を使える、ということか。そしてその姿も本来のものじゃない」
「 そうだよ、タイキくん!本当は僕だってもう少し大きいんだから。」
「 ...まあ、なんとなーく理屈はわかったけど。どうして別の世界からこの世界に来たんだ?」
まだ少し噛み砕けていないのか、少し曖昧な物言いをタギルはする。
一方その質問に大輝はほんの少しだけ、哀しそうな、それでいて悔しそうな顔をした。
あまり表情が変わらないのかとてもわかりにくい変化ではあるが、そう感じたことは恐らく間違いではないと何故かタギルは思う。
「 うん、俺らがこの世界に来た理由。それは
世界の消滅を、止めるためだよ」
「 せかいの、しょうめつ?」
確かめるように口にしてみても全く実感が湧かなかった。
ここ最近デジタルワールドもデジクウォーツも人間界も、そのような恐ろしいことが迫っているとは思えないほど平和でほとんど代わり映えのしない日々を送っているからだ。
「 そう、世界の消滅。今この世界に全てを消し去ろうとしている力が迫って来ているんだ。
「
「 ...
「 〝ワイルドハンター″?」
「 ワイドハントという伝説を知っている?死を司る精霊を従えた伝説上の人物の霊を先頭とした狩猟集団だ。たとえば有名どころだとアーサー王だとか言われている。彼らをみたものには災いが降りかかり、死は免れられない。」
「 その伝承になぞって付けられているのか。現れて災いをもたらすから?」
「 うん、概ねそんなところ。
何故
俺の世界を、彼らが滅ぼしてしまったからだ」
大輝の言葉にその場にいる誰もが息を飲んだ。
まさか自体がそこまで深刻であったとは、誰も予想できなかったのだ。
「 じゃあ君の世界は...」
「 ... もう既に闇に取り込まれ、滅びてしまった」
「 一体、どうしてそんなことに...」
「 ...そうだね、ここからは俺と仲間たちの話をしようか。
これは、もう1つの世界の選ばれし子供達、そしてその末路の話だ」
私の力不足で最大4人ほどしか動かせないため、デジモン達が空気になってしまっているのが悔しいです
戦闘になったら凄い動くと思います
きっと