ハイスクールD×D Re:Joker of despair 作:カルパン
毎日毎日やること(主にゲーム)が多過ぎる毎日ですが何とか生きてます
今後もド級の亀更新な本作を期待せずによろしくお願いします
-リアスside-
黒い帷が空を覆う時間、ライザーとのレーティングゲームが始まるまであと10分という時間にまで迫った
駒王学園の旧校舎2階にあるオカルト研究部には今回のチームグレモリーの主である私と、合宿を終えて更に逞しくなった自慢の眷属達、そして私達が強くなれるように導いてくれた彼、皇 帝の計8人が集まっていた……のだけど……
「むむむむむむむむ……んぅー!」
ここ20分、大きく開けた学園指定のブレザーの前からネクタイを弄り回していた。それでもなかなか上手くいかないようで鏡に熱く視線を向ける度に地団駄を踏んでいる。彼には申し訳ないけれど、珍しくむくれているのがちょっと可愛い
「ちょっと見せてもらえるかしら?」
「あー……頼む……」
バツの悪そうな表情で帝は私の元へと寄ってきた。私的には綺麗な逆三角形になっていると思うけど、彼がそれを求めているから仕方ない
そう言えばこのような光景は見たことがある。あれは……そう、映像媒体で人間界のことを学んでいた時のことだ。ドラマ、と呼ばれるストーリー性のある映像だ。確かその時に新婚のラブラブな夫婦のワンシーンでこの後……
そこまで思い出して顔が熱くなってきた。もちろん想い人である彼には私の初めてを捧げたいし彼の初めても欲しい。そして行く行くは結婚してあのドラマのような甘い結婚生活を送ってみたい。彼のことだから好きな相手にはとことん甘くなるんだろう。彼の包容力に包まれて思いっきり甘えてみたいし、逆にいつも兄として頑張っている彼をでろでろになるまでいっぱい甘やかしてみたい
この戦いが終わったら、少し怖いけど少しずつ彼に思いを伝えようと思う。お弁当を作ってあげたり、勉強を一緒にしたり、もっと積極的に話しかけてみたり……もっともっと彼との時間を増やして、多くの思い出を共有したい
初めて会った時はとても胡散臭いような立ち居振る舞いだったけど、イッセーと美優を見た途端に浮かべた優しい笑みが元の顔立ちと相まって綺麗だった。初めて握手をした時、グレモリーの名前に拘らず弟と妹から聞いた話だけとは言え未熟な私を認めてくれた。弱い私達を見捨てることなく最後まで励ましてくれた。そして友達だからという枕詞が付くけど、それでも困ってるから助けると言い切ってくれた優しさ。彼の好きな部分を挙げ始めるとキリが無くなる
「あ、あの……リアス?ちょっと近すぎじゃ……てか当たって……」
私は、リアス・グレモリーは皇 帝が好きだ。皇 帝に恋をしている。彼の調子だと他にも落としてそうな女の子はいっぱいいそうだけど関係ない。私は彼の1番になりたい。彼にとっての特別が欲しい
そう考えると先ほどのファーストキスという手段は大いにアリだ。ファーストキスの記憶というものは色濃く残るらしい。そうなれば私と彼とでの初めての特別な思い出……舌を入れて大人のものにしてみればもっと色濃い思い出になってくれるだろうか……
「はい、できたわよ……どうしたの……?」
「オァァァァァァァァ」
危ない方向に舵を取ろうとした思考を戻して彼の顔を覗き込むと、顔を両手で覆って声にならない奇声を上げながらドラム式洗濯機みたいにガタガタと振動していた
「……いやらしいです、部長……」
「えっ子猫?」
割と付き合いのある眷属に恨みがましそうな白い目で非難された
「ふふふ、ここを使って魅了だなんて、部長も隅に置けませんわ」
「それは……彼のネクタイを結ぼうとしただけで……」
朱乃は自身の胸を強調させながら揶揄ってくるけど、私自身にそんなつもりは無かった。でも……
「アガガガガガガガガ」
「どうなってんだこれ……お、オオオオオオオオオ」
「先輩、ドラム式洗濯機みたいな揺れ方してますね」
イッセーはイッセーで帝で遊んでいるし、祐斗は冷静に私と同じ感想を告げていた。帝の反応は……照れてる……ということになるのだろうか……?リアクションのベクトルがおかしい気がするけど……
「お、お兄ちゃん……あともう少しで始まります……」
「レジギガガガガ……んはっ!?」
しかし美優の一言で帝の奇行?は治った。たった一言で彼を動かせる彼女の立場が羨ましい
「こほん、皆様準備はよろしいでしょうか」
「グ、グレイフィア!?いつの間に……」
「つい先程でございます。彼とのことについては後ほど
「ーーーーっ!!」
一部始終を見られてしまった。よりにもよって身内であるグレイフィアに。恐らく彼への想いも既にわかっているのだろう
「グレイフィアさん、その前に一つ確認事項があるんですけど大丈夫ですか?」
問題の彼は思い出したかのようにこちらに近づいて来た
「はい、如何されましたか?」
「今回のレーティングゲームは公平性を保つために俺が直接的に手を出すことは禁止……でしたよね?」
「はい、前回魔王ルシファー様と共に話し合いの場に着いた時にもそのように」
「あのすいません、魔王ルシファー様って確か部ちょ……リアス様の……」
「はい、左様でございます」
そんな話聞いてないとばかりに彼へ一斉に視線が向けられた。勿論私もこのことは初耳だ
「あのなぁ……お前ら束になっても俺に勝てなかっただろ?その時点で俺の力がどんなもんかわかる筈だが?」
それは確かにそう。私達に修行をつけてくれた帝が私達より弱いわけがないとは思う。でも士郎や凛の使い魔を相手取って勝ちをもぎ取ったとはいえ彼にそんな滅茶苦茶な実力は無いはずだ
「待って、でもフェニックスの能力を妨害できて尚且つ完璧に倒すにはーー」
「知ってる。というかそもそも俺は直接的には手を出せねぇぞ?まぁ向こうがフェニックスの涙……だったか?それを使わない限りはだけど」
彼の発言に何かを言いたげなものを覚えたけれど、気のせいかとグレイフィアへと視線を移した
「その通りでございます。模擬レーティングゲームとは言え両者共に公平性を保っていただくための措置です」
しかしそれは暗に帝の実力がゲームそのものをひっくり返しかねないと言うことの証明となる。何しろ魔王の右腕にその実力を認めさせたと言うことなのだから
「まぁそういうこと。それに俺が首突っ込んだとは言えあくまでもお前らの問題だからな。そのための修行だったわけだし。しっかり気張ってくれや」
自分の用事が終わった帝は壁際の椅子に向かって歩き出した
帝は私の前を通り過ぎる際に「それと」と続けて小さく私の名前を呼んだ
「ほんとはこういうのってダメなんだけど……もう無理だって思ったらすぐに呼べ。いつでも助けにいくから」
彼の言葉に私は何も返すことが出来ないまま異空間に作られたフィールドへと行くこととなった
光が晴れるとオカルト研究部の部室そっくりに作られた部屋に辿り着いた
「あれ、転移できてない……?」
あまりにも精巧に、そして位置も完璧なためかイッセーは転移の失敗をしたのではと首を捻っていた
「そんなことは無いよ。ここはオカルト研究部の部室そっくりに作られた場所だから、そう思うのかも。空を見てみればわかるよ」
祐斗の説明を受けて外の様子を見に行ったイッセーは初めての景色に随分とはしゃいでいる。子供のような反応で少し微笑ましい
「部長、今回はどのような作戦を立てられますか?」
「そうね……みんな、集まってちょうだい。今回の作戦を伝えるわ」
朱乃に促され私は今回の作戦を伝えるために全員を招集した
「まず今回の作戦なのだけど……帝にはフィールドを駆け回ってもらって偵察と情報収集を行ってもらおうと思うわ。そして5分毎に状況報告をしてもらってそこから柔軟に対応をしていく形になるわ」
「ん……出来た。リアス、ほい」
先程から手元で何かを弄っていた帝は作業を終え、小さいものをこちらへコイントスのように飛ばしてきた
「これは……イヤリング?」
「それ、連絡用な。魔力を通してちょっと刺激を与えたら俺に連絡が来るから」
ほらこれ、とばかりに帝は自身の耳に指を刺す先を見ると全く同じデザインのイヤリングが着けられていた
「わかったわ。お願いね、帝」
「おう。頑張れよお前ら」
隅でひそひそと話し合っていた眷属達に向けて帝は激励を送るとそのまま窓から木へと飛び乗りこの場を離れていった
「さて、それじゃあ本筋の作戦を伝えるわ。祐斗、朱乃の2人はこの旧校舎から東西に分かれて罠を張っておいてちょうだい。イッセーと子猫は今回のフィールドの中央となる体育館を制圧して安全を確保すること」
『はい!』
「部長、私は何をすればいいでしょうか?」
「そうね……美優はここに残ってちょうだい。敵の兵士がここに入ってくると厄介だからここに残って私の護衛を頼めるかしら。アーシアもここに残って欲しいわ。いざ戦闘になった時の回復は貴女に任せたいの」
『はい!』
それと皆に連絡用にと術式を組み込んだ魔力球を渡し、耳の中へと入れさせた
「さぁ、相手は不死身のフェニックス。本来なら勝てるかすら怪しい相手だったけれど、私達なら大丈夫よ。なんと言っても帝に17日間も鍛えてもらったのだから私達なら勝てるわ!さぁ、やるわよ可愛い眷属達!」
『はい!』
〈あーあー、マイクテストマイクテスト。本日ハ晴天ナリ。聞こえてるー?〉
「聞こえてるわ。早速だけど報告をお願いできるかしら?」
〈はいよ。南東と南西の方……祐斗と朱乃の方か。そっちにそれぞれ3人ずつ。体育館の方に4人。騎士と戦車が巡回中、それと女王が上空から隙を伺ってる。それ以外のやつの姿は見えないな……大方、屋内にでもいるんだろう〉
少しだけ、思考を巡らせた。今の朱乃と祐斗ならそれほど時間をかけずに対処できるはず……イッセーと子猫が体育館を制圧するまでには朱乃も合流できる筈
「そう……なら体育館を吹き飛ばすのは予定通りで大丈夫そうね……」
〈ちゃんと中制圧させてからやれよ。そんじゃまた5分後に〉
「えぇ。引き続きお願いね」
〈おうよ。任せとけ〉
軽快な調子で発せられたその言葉は私の心をとても安心させてくれた
リアスside out
三人称side
「さてと……盗み聞きは関心しないなー。もうバレてんだから出て来いよ」
旧校舎とはまた別の棟から戦場を見渡す帝が徐に告げると、空から羽音が届いた
「あら、野良犬らしく随分と鼻が利くのね。優秀な貴方は番犬くらいに格上げしてあげてもいいわよ?」
侮蔑の視線を携えながら降りてきたのはライザーの女王、ユーベルーナだった。言葉使いからも帝を侮っているのは一目瞭然だった
「はっ、抜かせ。野良犬相手にこそこそ動くなんざそっちこそ恥ずかしくねぇのかよ」
「口も回るだなんてお利口さんね。でも噛み付く相手は選んだ方がいいわよ」
「選んだ上で言ってんだよ。そろそろ口以外に
「……このクソガキ……!!」
「動くならとっとと動けよ。それとも加齢で動きが鈍いのかよオバさん」
「もういいわ……爆ぜなさい!」
煽り合いの末に怒りに火が付いたユーベルーナは自身の得意とする爆破の術式に魔力を通し帝を中心とした半径3m以上の範囲を爆破した。相当にイラついて魔力を込めすぎていたのだろうか、爆破を起こした際に軽い眩暈を起こしてふらついた
爆破による煙が収まり帝の姿が消えていた様子を見て、ユーベルーナは腹の虫が収まったかのようににやりと笑みを浮かべると再び空高くへと戻っていった
「さてっと、体育館に着いたわけだけど……既に陣取られちまってんな……どうする子猫ちゃん?」
体育館外部から入り口の隙間を覗き見る一誠は一足遅かったと表情を歪めた
「いえ、こうしてもらえた方が相手の駒や戦力の把握をしやすいです。それに奇襲も仕掛けやすいですし。イッセー先輩、合図をかけます。ゼロになったら私が扉を飛ばします。相手が硬直している間に私は戦車を。イッセー先輩は兵士3人を落として下さい」
「わかった……けど、マジで大丈夫かな……そりゃ前より確実に強くなった自信はあるよ。でも確実にやれるかと言われると……」
一誠の懸念はある種最もである。グレモリー眷属の中では最弱というレッテルを持ち、組み手とはいえ終ぞ帝に敵うことはなかった。実戦経験の不足や成功体験の不足によって持ち前の熱血さはなりを潜めていた
「大丈夫です。今のイッセー先輩なら確実に獲れます。間違いなく」
声をかけられた一誠ははっと子猫を見た。その眼差しに込もった感情に先日帝にかけられた言葉を思い出した
『多分イッセーはお前らの中で一番の成長性を持っている。昨日ちょっとした裏技で一年分の戦闘経験を積ませてみたが……まさかさっきみたいなことになるとは思ってなかったよ。気ぃ抜いてるとその内抜かれるぞ?』
「今グレモリー眷属内での近接戦闘能力トップはイッセー先輩です。今は経験が足りないだけですが……でも、帝先輩が褒めていました。自分に届き得るって。私もそう思います。だから自信を持って」
歯を食いしばり、拳を硬く握った。『情けない』浮かんだ言葉だ。ここまで奮い立たせられて、ここまでお膳立てされてそれに応えないのは先輩……いや、漢じゃない!
瞼を閉じた一誠は大きく息を吸い、大きく吐き出した。心が凪いでいくことを感じ、繰り返すこと3度。集中を高め、心が落ち着いたと感じると目を開けた
「……よし、ごめん子猫ちゃん!もう大丈夫!行こう!」
「期待してますよ。行きます!」
いつもの調子に戻ったイッセーに笑みを溢すと、合図とともにそれなりの重さがあるはずの扉が轟音と共に吹き飛んだ
「何事っ!?」
「全員構えてっぐっ……!?」
指示をかけた戦車の雪蘭は構えを取る前に子猫から顔目掛けての膝蹴りを受けた。辛うじて腕を挟み込んだものの、想定以上の威力に腕ごと押し込まれることとなる
「っし……俺だって!!来い!お前らの相手は俺だ!」
「退きなさい!貴方なんて相手にすらならないわ!」
言われたところで退くものかとばかりにミラに突貫する一誠
獲物の棍を一誠の鳩尾目掛けて突き出したミラはまず1人目とばかりにほくそ笑んでいると、次の一誠の行動に驚愕した
カンッと木が軽く叩かれた音と共に一誠の体が彼女の顔の高さへと舞っていた
「行けたっ!このままもらうぜ!」
驚愕の間に身体を捻り、腕の力で回転。遠心力の乗った空中での回し蹴りはミラの頬を確実に捉え悲鳴を上げる間も無く蹴り飛ばされた
「ナイスですイッセー先輩」
「しっ!行ける……行けるぞ!」
一誠は高揚していた。帝から叩き込まれた技術は間違いなく活きた。全てが帝の一撃よりも軽く、遅く見えた
「「ば……バラバラにしてやるんだからぁ!」」
「よっしゃ来やがれ!兄貴より遅い攻撃なんて当たるかよ!」
一誠がイル、ネルの獲物をへし折ろうと拳を突き出したその瞬間、轟音と共に爆炎が巻き起こった
「ったく、魔力感知がザルすぎてビビるわ。あんなんでも勝ち抜けるレーティングゲーム公式戦って結構チョロいんだろうな」
ユーベルーナが去って暫くした後、彼女が居た真後ろの木から姿を現した帝はイヤリングを軽く弾くとリアスに連絡を取り始めた
「緊急連絡〜緊急連絡〜」
「どうしたの!?まさか襲撃!?」
間延びした声で通信をすると凄まじい剣幕で通信越しに詰められた帝は後退りと共に当てられたことに若干引いていた
「あーうん……正解……女王からの襲撃だ。その後は体育館方面に……ぉっと……遅かったか……」
言い終わる前に遠くからの爆発音と地響きから全てを察した。魔力の性質からユーベルーナであると帝は断定した
「……って訳だ。悪い、連絡が遅れて」
「……いえ、貴方は悪くなんてないわ。ありがとう、少しでも勝てる確率を上げようとしてくれて」
「……それより、相手の女王は朱乃が抑えているみたいだ。リアスはイッセー、子猫、裕斗への合流指示を。俺はこのまま偵察を続ける」
リアスの了承の言葉が返ってくると同時に通信が閉じられた。それと同時に帝は考えを巡らせる
1分に満たない思考、その間に彼がユーベルーナと邂逅した時の疑念が晴れたと同時に嘲るような笑みが浮かんだ
「ふーん、それならワンサイドゲーム確定か」
こりゃクソゲーだろうなという思考と共に、つい先日の会談を思い出す
「さて、本題に入りたいところだが聡明な君のことだ。既にわかっているかもしれないが……」
紅髪の青年は帝に問いを投げかけた
「ええ、わかっていますよ。直接的な介入をしてほしくないのでしょう?ルシファー様」
「まぁそうなのだが……今は公的な場ではないのだしいつものように呼んでくれてもかまわないのだよ?」
「俺の中での区切りみたいなものです。気にしないでください」
苦笑を浮かべるルシファーは少し落ち込んだ。いつもの溌剌とした彼は今この場にいないのだと考え直し、彼女の未来を案ずる1人の兄として気を入れ直した
「しかし、状況によっては君の介入も已むなしと考えているんだ。時に帝君、今回のゲームについて先程話したルールを覚えているかい?」
「……変則ルールは無し、致死性の高い攻撃を意図的に放った場合反則により退去、そして最後にフェニックスの涙の所有または使用を確認された場合反則……」
しばらくの沈黙の後になるほど、と呟きが響いた
「……戦いはフェアにやってこそ価値がありますからね?」
「あぁ、君が同意見であることを嬉しく思うよ」
帝とルシファー、両名の妖しい笑い声だけが静寂に取り残された
〔ライザー・フェニックス様の女王、フェニックスの涙の使用による反則が判明しました。反則によるルール適用のため只今より皇 帝様の直接戦闘行為を許可いたします〕
碧眼が鋭く揺らめいた
To be continued.