ハイスクールD×D Re:Joker of despair   作:カルパン

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「うん、もう作者、この際怒りはしない。実際前回の投稿より空きが少なくなってるし。でも三ヶ月ってのはちょっと……ね?」

……はい、滅相もございません

「申し開きがあるなら言ってみ?俺は知らんけど」

申し開きというか完全に言い訳なんですが、FGOとかSwitchとかPS4とか、バイトとか勉強とかバイトとかFGOとかで中々時間が取れず……スランプ気味ってのもありますけど、一応構想は無駄に膨らんでたんで忘れたときはなかったんですが……

「おう完璧言い訳だな!?しかもほぼ作者自身の問題!……と、まあ作者自信も一応悩んでる訳ですが、そこら辺は寛容になって戴けると作者は喜びます。超喜びます」

長期間時間が空くタイプのド腐れ亀更新になりますが、それでも見ていただけると幸いです。何気にタイトル変更しましたが、これからも当作品をよろしくお願いいたします


もうなんかふざけたタイトルとか思い浮かばない。そんなことよりバナナくれ

「ふぅぁ……いやぁ、収穫祭のためとはいえ、この量はキツいな……」

 

 決してそう暖かくもない10月の最終日、青年は額から多くの汗を流し、少し悪態をつきながらも満更でもない様子で首から掛けるタオルで汗を拭った

 

「おーい若いの!そっちは順調かー?」

 

「おーう!じいちゃんも頑張ってそっち終わらしてくれよー!」

 

「クケケ、わぁっとるわい!若造にゃまだまだ負けんぞう!」

 

 見る人が見れば、何てことのない、ある平和な村の仲の良い祖父と孫に見えるだろう

 

「おーし!そんじゃ、俺も一丁頑張りますか!」

 

 手に持つ鎌で、収穫の対象であるツタを切り裂き、その細身に似合わぬ剛力でカボチャを軽々しく持ち上げた

 

 

「こんにちは!お兄さん何やってるの?」

 

 村中の少年少女は青年へと駆け寄り、手に持つ彫刻刀とカボチャを見て疑問符を浮かべた

 

「こんにちは。今はジャック・オ・ランタンを作ってるとこで、最終仕上げの途中なんだ。おかげで中身がいくつか余っちまったから、礼儀正しい皆には、後でカボチャのクリームパイを作ってやろう」

 

「やったぁ!お兄さん大好き!」

 

 子供たちはそう叫ぶと青年に向かって思い切り飛び込んだ。ここまでのやり取りを見れば嫌でも察するだろうが、どうやら青年は余程気に入られ、信用されているらしい

 

「ハハハ、わかったから一回離れなさい。危ないだろ?」

 

 朗らかに、慈愛を込めた微笑みを浮かべる青年は、最早母性とも言うべき包容力が漂っていた

 

「ほら、終わったら呼んでやるから、向こうで遊んで来い。子供の本職は元気に外で遊ぶことだからな。わかった人は返事!」

 

『はーい!』

 

「よーしそら、行ってこい!」

 

 この程度の煽り文句であればお茶の子さいさい、十二分に子供たちの扱いの要領を得ている彼には、一種のカリスマとも呼ぶべき才能が備わっているだろう

 

「ごめんなさいねぇ、村の子たちが面倒かけちゃってるみたいで……」

 

「いえいえ、このくらいは分けないですよ。むしろ可愛らしくて微笑ましくて、少しほっこりしたぐらいですから」

 

 幾ばくか年を重ねた婦人が、青年に申し訳なさそうに声をかけるが、青年は無問題として優しい笑みを浮かべた。その笑顔には魅了の呪いがかかっているかのように、遠巻きから見ていた村の若い娘たちは余すことなく皆等しくその笑顔を目にして倒れた

 

 当の本人はその光景を目の当たりにして、思わず苦笑いを浮かべた

 

 イケメンは何をやっても絵になるようだ

 

 

 そこらかしこでビールジョッキがぶつかり合う音が響くと共に、収穫祭は開幕した

 

 彼らの杯の中には、麦から作ったビール、ブドウを発行させ、果汁をふんだんに使った葡萄酒(ワイン)、さらに変わり種として、ポテトビールやパンプキンビールなんて物まであった

 

「ふふ、あの方達の笑顔が、まるで宝石のように輝かしく見えますね」

 

「あぁ。この日のために頑張って準備してきた甲斐があったよ」

 

 隣に座る、長い金髪を三つ編みに止めた清楚な女性はにこやかに隣の彼へと話しかけた。そして彼女の言葉を肯定すべく、その銀の頭とアホ毛は縦に揺れた

 

「にしてもさすがはハロウィン発祥の地とされるアイルランドだな。流石に俺が知っているのとは少し違うけど」

 

 青年が目線をやると、その先には仮装した子供たちが楽しそうに手を繋ぎあって踊っていた。意外や意外、ハロウィン発祥の地たるアイルランドのハロウィンは、彼の知り得ることもなく進化を遂げていた

 

 まぁ事実を言うとこの村特有の、この村だけのハロウィンイベントで、他の所では似通ったものや全く別の事が行われているのだが

 

「………………おい、涎………………」

 

「ハッ!?い、いえこれは仕方ないことなんです!この料理たちが美味しそうなのがいけないんです!ですので私は悪くありません!」

 

 早口で捲し立てるように必死に弁明をするが、その言葉とは裏腹に、彼女の目線はがっつりと料理を捉えて離さなかった

 

「全く、ほら食うぞ。いつまでも隣で涎をダラダラと滝のように流されてはこっちがたまらんからな」

 

「で、ですから私のせいじゃないんですってばぁ!」

 

 彼女の抵抗も虚しく、彼はただ悪戯っぽく笑みを溢すだけであった

 

「む、しかし美味いな、このアイリッシュシチュー。羊肉の噛み応えもさることながら、スープも野菜の甘味と肉の旨味、そして調味料からくる食欲を推進させるこの辛味……控え目に言って美味い……!」

 

「このソーダブレッドも美味しいですよ!素朴な味わいながらも小麦粉とバターミルクからくる素材由来の甘味がとてもいいです!」

 

「コルカノンもいいな。 旬のケールの味がよく引き立っているが、玉ねぎ、西洋ネギ、温めた牛乳の甘味がいい。ベーコンとマッシュポテトも確かに美味いが、何より塩胡椒のシンプルな味付けが素材の味を最大限に引き立たせているな!」

 

「ほ、本当です!ジャケットポテトはもう食べられましたか?くりぬいたじゃがいもにバター、鶏肉、そして外にはチーズが覆われているのですが、外はカリカリ、中はフワフワと、最高の食感になっていますよ!」

 

「何!?是非それは食わないとな!それはそれとしてラム肉のグリル焼きは食ったか?」

 

「はい!グレイビーソースに使われた肉汁、小麦粉、片栗粉、そして今回収穫された野菜のエキスの味がラム肉と見事に噛み合っていましたね!それとフィッシュ&チップスも美味しかったです!」

 

「だよな!流石ジャガイモ大国と言うべきか、チップス(ポテトフライ)の味が全然違ったな!だがローストサーモンのフライ(フィッシュ)も美味かった!身がプリプリとしていて、それでいて身がよく引き締まっていた!あ、そういやあれだ、ハニーポークロインは肉と思って食うなよ。あれは肉と呼ぶには 余りにも甘ったるすぎる……」

 

 な、なんというかことか……付け入る隙がなかった……二人とも食べるの大好きすぎでしょ。君たち実はそんな大食いキャラだったの?やるならどっかでやりなさい。どっかで。これは飯テロ小説じゃないんだから

 

 多少投げやりになってしまったが、それほどこの二人の饒舌っぷりが凄まじい。いやもうホントだから

 

 さて、そんなアイルランドの郷土料理を喉の奥へと滑らせる彼らだが、楽しい時はあっという間で、彼らが気がつけば朝となっていた

 

「……起きた。そしてなんだこの状況……」

 

 パッチリと目を覚ました彼は今自分の置かれている状況に目をパチクリとさせた。寝起きが良いのは彼の長所の一つだったりする

 

 彼の困惑の原因は、すぐ隣に眠る一糸纏わぬ彼女だった

 

「……ひゃぁっ!?痛いです!い、いきなり何をするんですか!?」

 

「いやそれ俺のセリフだからな?何をしてるのかを聞きたいのは俺の方なんだからな?」

 

 だから無表情で何も言葉を発さずにお前の頭を叩いた俺は悪くないと彼は心の中でひっそりと弁明をした

 

「な、何ってその……ナニです……最後まで言わせないでください……」

 

「おい待て、まさか俺の記憶がちょっとないのってまさか……」

 

 恥ずかしげに顔を赤らめ、少し潤んだ目でこちらを見つめられては流石に彼もたじろぎ、そして段々と語尾にかけて声を震わしていった

 

「酷い……あんなにめちゃくちゃにしたっていうのに……ちゃんと責任、取ってくれないと困るんですからね。旦那様♥️」

 

「こら、これ以上迷惑かけんじゃないっての」

 

「あうっ!もう!何をするんですか、オルタ!せっかくマスターとありもしない既成事実を取り付けて一生お側に置いてもらおうと思っていたのに!お姉ちゃんちょっと悲しいです!」

 

「あ、やっぱそうか」

 

「だから誰もあんたの妹じゃないって言ってるでしょ!それからマスターも、もっとしゃんとしなさい!」

 

「お、おう……とりあえずありがとう」

 

「全く……言ってくれたら私でもしてあげるのに……」

 

「ん?今何でもするってーー」

 

「言ってない!そもそもあんただって、皇帝なんて大層なDQNネーム持ってんだからもう少しハッキリ物を言えるぐらいにはなりなさい!」

 

「あっ!お前触れてはいけないところに触れたな!意外と結構気に入ってるけど反面DQNネームってこと気にしてんだからな!お母さんから人のコンプレックス弄りはしちゃいけないって言われなかったのか!?」

 

「ふんっ!そもそも私に母親なんて存在はいないわよ!」

 

「っ!?実は私はオルタのお姉ちゃんじゃなくてお母さんだったなんて……!?ではオルタ、これから私のことはお母さんとーー」

 

「あんたが入るとややこしくなるんだからちょっと黙ってなさいよ!」

 

 うーん……カオス

 

 話を聞く限り、青年の正体は皇 帝だった

 

 おぉ帝よ、こんなところで農民になってしまうなんて情けない。というかそもそも冒頭のお前誰だよ、いくらなんでもキャラ崩壊しすぎだろ

 

 尚、彼女達の説明については追々

 

 彼らは任務のためにこの村の滞在中である。しかし、何時まで経っても任務に取りかからないのはとある事情があってのため

 

「そういやもうそろそろ出来てるかな……」

 

 帝はそう呟くと、押し入れの中にに入れていた壺を取り出し、蓋を開けた

 

 中身を見ると同時に顔を臭いものでも匂ったかのように歪め、張られた水の奥底のある赤い布を引きずり出した

 

「しかし、今までよくもっていたな。急造とは言えここまでならたいしたもんだよ。うん、俺スゴい」

 

 彼の視線の先は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と超速的な再生を繰り返す左腕だった

 

 というのも、彼は異世界にて左腕にある竜を封印したためである

 

 3ヶ月前、丁度帝が任務に就き始めた辺りからこの症状が顕れていた

 

 緩んだ封印から抜け出さんと竜が暴れ、結果として溢れ出る魔力が彼の内側から左腕を焼いているのである

 

 そんな彼の対策手段として造られたのが、異臭を放っている赤い布、封印の聖骸布である。その空間にいる3人からすれば、文字通りの鼻摘みモノだ

 

 効果として、強力な封印の概念を内包した布で物体、及び生命体を覆うと、覆っている間のみにてその運動や作用、生命活動を一時的に強制停止させる、正に名前通りのアイテム。魔術世界においては一種の概念礼装と読んでも過言ではない一品である

 

 そんな魔術師が聞けば卒倒するようなアイテムを腕に巻いている帝が考えていることはといえば、

 

(残った水は隙を見計らって敵にブン投げよ)

 

 という、残り湯を洗濯に使う感覚である

 

「うっわ、あんた厨二感半端ないわね……」

 

「うっせ。てかそれ完璧にブーメランだぞ」

 

 尚、帝が頭を殴られたのは避けられようのない運命だった

 

 

「ぐぅぉっ!?」

 

「飛びましたね」

 

「というか飛ばしたわね」

 

うっせぇわこのヤロウ

 

「というかお前らさっさと退け!」

 

そんなこんなである港に飛ばされやって来た帝達。とはいえ実は何度か情報収集ののために足を運んでいたりする

 

そんな彼らが見つめるのは、遠く離れたある島。時代錯誤も甚だしいくらいにそれっぽい中世とかそこらの作りの城を見やる

 

あとそれと人払いの結界とかなんかそんな感じのアレで周囲にも人がいなかった

 

「ああ、作者とうとう面倒臭くなってきてやがんな……それよりだ、いかにもこのお誂え向きに用意されたモーターボートは……確か神の子を見張る者(グリゴリ)からの支給品だったか」

 

さらっと飛び出るビッグネームだが、それはこの際無視しよう

 

「お前ら、もう大丈夫だ。後はアーチャーとアサシンに引き継いでとっとと霊体化してくれ」

 

「えー、出番少なすぎませんか?だめ?そんなぁー」

 

「ま、精々足掻いてもがくことね。ほら、さっさと引くわよ、白いの」

 

姉を名乗る不審者と呼ばれる少女も、これではただの妹である

 

そんな彼女らは存在した痕跡を綺麗さっぱりと消し、代わりに二人の男性が虚空から表した

 

呼び出された小柄な美丈夫の仮名アサシン(以降アサシン)は下卑た雰囲気を見せず、むしろ友好的なニヤニヤとした笑みを主たる帝に向けた

 

「今さらながら嬢ちゃんらの扱いが雑だねぇ、マスター」

 

「そうでもないだろ。むしろ全力でボケに回ってその上で強烈なイジリをするよりはマシだろ」

 

「自覚は一応あるんだな……」

 

「言うな。というか着いてこれるアイツらこそ異常だろ!たまに上回ってくるから尚のことだっての……」

 

「それでも、()()であることに代わりはねぇだろう?」

 

「……まぁ、な。かけがえのない存在ってことは認めるよ。アイツらは、それぐらい俺にとって存在が大きくなりすぎたんだよ。ったく、これだから繋がりってのは憎めねぇ」

 

「マスター、未だ会えぬ友に思いを馳せるのは結構ですが、そろそろ本題に入っては?」

 

まるで側仕えのように帝に忠言を漏らすのは仮名アーチャー(以降アーチャー)

 

「ああ、すまないアーチャー」

 

「いえ、これも使い魔()の仕事ですから」

 

「こほん、これより堕天使より引き受けた任務の遂行段階に移行する。目標はあの島に建つ城の調査、そして可能であれば被験体の回収・保護。期間は一週間を目処とし、初期段階はアサシンとアーチャーによる偵察を行ってもらう。その間に俺は全体的な地形の把握に務める。有事の際にはパスを通して報告するように。中段階にはアサシンは城内に潜入して情報収集。人の出入りを確認することが出来ていれば変装による情報収集を。城内の構造も把握してもらえると理想的だ。その間に俺とアーチャーは作戦の構想を練る。可能ならその段階に作戦を立てられるといい。……とまあ、希望的観測がフライハイしまくった挙げ句前置きも随分と長ったらしくなっちまったが、何、やることは俺達からしたら遊びみたいなもんだ。肩の力抜いて気楽にやって、後は観光なり何なり遊び回ってやろうぜ」

 

実はこの任務、下手すれば魔術世界において多大なる影響を及ぼす可能性のあるものなのだが、それにしては帝の言葉は酷く軽かった

 

しかしそれは同時に自身の実力と使い魔達の実力を充分に理解した上での裏付けであった

 

嫌な予感がするが……まぁいいか。んなことより腹減った。誰かバナナ寄越せ

 

若干報酬に負けた感が否めない帝は心にもないことを考えてみては、その思考を泡沫のものとした

 

蛇足の蛇足ではあるが、帝の考えが実は使い魔達に筒抜けで、彼らは主のアホらしい思考に呆れ、しかしなんだかんだで帝に信を置いている彼らであった

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued.


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