甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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お久しぶりです。

仕事大変

みなさんもお身体には気をつけてください。




22話

林間学校も終わり夏が近づいてきた。

制服も夏服に変わり薄着となったシャツには汗が滴り色々と透ける夏の風物詩。

そんな中で今日この頃の昼時。林間学校のグループメンバーで屋上に集まり昼食を囲む。

メンバーの半数以上が女の子という側から見れば学校でのカーストは確立しているだろうこの状況。

鶫が取り出した1枚の手紙が話題となった。

 

 

「あの皆様、今日の朝に私の下駄箱にこの様な手紙が入っていたのですがこちらは何なのですか?」

 

 

鶫が取り出した手紙はシンプルに白い手紙にハートのテープを貼られていた。

それをみたメンバーは一目でラブレターだと気づいたが、それ以上にラブレターを知らない鶫に動揺した。

そうとは知らずに手紙を開けて読み始める始末で、流石に渡した相手に同情する。

 

どうやら送り主はサッカー部のイケメンで噂の彼だそうで集は露骨に嫌そうな顔をした。

 

 

「えっと、鶫さん。その手紙はねラブレターって言うの。」

 

 

満を辞して小野寺がラブレターについて言うが。

 

 

「ラブレター?一体どんな手紙なのですか?」

 

 

嘘でしょ手紙の内容とその名前で分からない事はないでしょ。

よし、ここは俺が教えてやるとしよう。

 

 

「鶫、ラブレターってのはな。伝説の桜の木の下で釘バットを持ちお前を待つと言う意味の果たし状だ。」

 

 

「は…果たし状ですと!?…こ…こうして入られません!急いで準備を!」

 

 

俺の言葉を完全に鵜呑みにして慌てて銃の手入れを始める鶫。

やばいめっちゃ面白い。

 

 

「どんな斬新な告白だよ。」

 

 

「嘘教えないの。」

 

 

集は腹を抱えて笑いながら、その対比に宮本はめちゃくちゃ睨む。

 

 

「え…えっとねラブレターって言うのはねーー」

 

 

小野寺から本当の意味を聞いてその話を理解したその瞬間から鶫は顔を赤くした。

まぁ、それが普通の反応だな。

 

 

「こここ…恋文。」

 

 

「いや、何でそっち知っててラブレター知らないんだよ。」

 

 

目に見えて動揺する鶫にどうでもいい返をするが誰からも反応をもらう事なく話が進む。

 

 

「でも、鶫ちゃんは好きな人いるんだよね?」

 

 

突然、集がそんな事を言い出して慌てていた鶫が石のように固まった。

そして、その言葉に黙々と食べていた桐崎さんもビクッと反応した。

 

 

「そそそそ…そんな人はいいいい…居ませんが!」

 

 

いやもう、それはいるって言っているようなもんだろ。

 

 

「いやいや、隠さなくていいのに。」

 

 

「うう…一体どうすれば。」

 

 

鶫は終始悩んで昼休みを終えてしまった。

あっという間に放課後となり鶫が返事を返す時間となった。

部室に向かう最中にオロオロと廊下で同じ道を歩いては戻る鶫を発見した。

 

 

「なにやっとんじゃい。」

 

 

「!?お…大谷様!…これはそのーー」

 

 

「ああ…告白の返事か、チャチャっと行って答えてきなさい。」

 

 

おおよそ鶫がこんなにも動揺しているのは告白の件だとすぐに分かった。

彼女の生きてきた世界では考えられない話だからだ。

そして彼女が悩んでいるのもわかる。

 

 

「そ…そんな簡単なことではーー」

 

 

「簡単だよ、答える側は……イエスかノーの二択なんだから。……でも、告白した方はそれは物凄く勇気がいることなんだ。…だから、その彼に早く会いに行け。」

 

 

告白するには勇気がいる。

かつて何も言えないで終わってしまった恋を嫌でも思い出してしまう。

 

 

「……私の気持ちを…伝える事で彼が傷つくかもしれない…それでもですか?」

 

 

「当たり前だ。どっちを答えようが彼は前に進める。…でも、答えてもらえないと一生前に進めない。」

 

 

諦めても、前には進める。

俺はそうだったからな。

 

 

「…行ってきます。……後、ありがとうございます。」

 

 

顔つきが変わって鶫は階段を登る。

これも青春。

 

 

 





「ごめんなさい…私はあなたの気持ちに応えられません。…私には好きな人がいます。」



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