5年近く持たなかった筆を持ちました。
ニセコイの内容すら覚えてない。
「皆さんにお話がありまして、こうして集まってもらったのですが。」
桐崎さんと集を除いたいつものメンバーが集まっている中鶫から集合がかかっていた。
「実は本日、千棘お嬢様の誕生日なのです!ですので皆様にもサプライズパーティーにご招待したいのです。」
なんと、本日は桐崎さんの誕生日だという。
「…急すぎない?プレゼント買ってないし俺は予定ないけど。他のみんなも予定入ってたらーー」
「「「いや、予定は無いけど」」」
「お前ら花の高校生だろ予定がっちり入れろよ。よかったけど。」
一瞬ほんとにお前ら高校生か?と思ってしまった。
結果的によかったけど。
「サプライズをするために情報漏洩を防ぐ必要があったので、当日話す事になりました。」
「うん…今度からもうちょい前から相談しような。」
鶫の世間知らずの加減に若干驚くも、とりあえず放課後に探しに行かなくては。
あっという間に放課後になり部活もない俺は桐崎さんへのプレゼントを買うために早速向かうことにした。(結局自分も予定がない1人であった。)
「大谷様…もしよろしければこの後お時間ありますか?」
席を立つよりも早く鶫が音もなく俺の前に立っていたのは流石にびっくりした。
「うおっびっくりした。…どうしたんだ?」
「実は、お嬢へのプレゼントなのですが…その…まだ決まっていなくて。」
鶫はもじもじと恥ずかしがる様に普段とは違う姿にかわいいなと思いながらも、それを抑えて話を聞く。
「ヘェ〜意外だな、鶫は一目散にバカ高い物買って送りそうなのに」
「そんなお金があるわけないじゃないじゃないですか、月にお小遣いは5000円と決まってます。」
「意外と普通だな。」
あんなに沢山の銃とか揃えるのに金かかりそうだけど、マフィアだし流してんのかな?……これ以上考えるのはやめておこう。
「まぁ、俺も買いに行こうとは思ってたからちょうどよかった。」
「では、早速ですがデパートに行きましょう。」
デパートに移動するとまずは雑貨屋へ入る。
桐崎さんのプレゼントとして、どんなものがいいのかはまず見当がつかないため鶫を頼りに探し始める。
「桐崎さんに渡すやつでNGなやつとかある?」
誕生日プレゼントなのだ、まずはどんなものが欲しいかより渡したら拙いものから聞かなければプレゼント選びは始まらない。
「確か…動物は責任持てないと言ってダメだったはずです。」
「買える金ないし、動物なら飼育係で十分だろ。」
「虫も同じ理由でダメです。」
「あげる側に問題あるだろ、それ渡したら。」
鶫の割と参考にならない答えに若干肩が下がるも、しっかりと聞き続ける。これでも彼女は彼女なりに一生懸命教えようとする熱意はしっかりと感じる。
「…っ!…そういえば1番ダメなものがあります。…アクセサリーの類です。」
鶫は思い出したかのように言うが、それ以上に悔しがっているのを感じた。
「……!…思い出しちまうのか。」
「はい…」
俺が察したのは記憶に新しい、あの拉致事件だ。
「お嬢はあの日からブレスレットやネックレスを本能的に避けてまして。」
そりゃそうだ、拉致されるなんて忘れるわけない。
「おしゃれを楽しみたい年頃でそれは…辛いな。」
「……それでも衣類などありますので……いえ、お嬢には普通を楽しんで欲しいですね。」
「…それなら、なんか癒し効果のあるやつとか贈ろうかな。」
「そうですね…私もそうしたいと思います。」
それぞれが思う癒しグッズを買いその場を後にした。
その後は2人で歩いて桐崎さんの家まで一緒に向かうが会話がなかった。
なんだか、鶫はもじもじとしたり頭を抱えたりと色々動き回っていてこちらとして話しかけるタイミングが掴めずにいた。
「なぁ鶫…」
「は…はいっ!なんでございましょう」
突然話しかけられ体を揺らす鶫。
話すタイミングとしては今が最適だから俺はそのまま続ける。
「今更なんだが、これお詫びの品だ。」
そう言って取り出したのはブレスレットで安物だが昔習った部族に伝わる魔除けの装飾を自身で追加したものだ。
「こ…これは…い…頂けません!あれは自分自身で引き起こした出来事ですので!」
「それでもだ!…貰ってくれるか?」
「…ッ!?」
鶫の手を握りその中にブレスレットを包ませる。
「……わ…わかりました…ありがたくいただきます。」
顔を真っ赤にして受け取ってくれた。
そうこうしているうちに千棘の家へとついた。
パーティは盛大に行われていてものすごい盛り上がりであった。
クロードが高級車を用意するもバッサリと切り捨てられたり、出された食事をものすごい食べていく宮本、女子同士で楽しくやってる千棘と小野寺、割と実用的な物をあげていて驚かれる集。
そして、ゴリラにリボンという斬新なぬいぐるみをあげて笑顔で受け取り笑顔で殴られていた楽。
そうしてただ渡すだけなのに妙に緊張している俺の番がやってきた。
「あ…いや〜誕生日おめでとう、これは俺からのプレゼントね。」
緊張のあまり早口になって緊張でガチガチだった。
「…うん!ありがとう大谷くん!…ここで開けてもいい?」
「いいよ。その〜気に入ってもらえるといいんだけど。」
そういうとラッピングを綺麗に外し中の物を見る。
そこには睡眠用のアロマキャンドルだった。
鶫と買い物をした時に相談で千棘が寝不足で夜もうなされている話を聞いて少しでも和らぐことを思いながら選んだのだ。
「うん…いい匂い。ありがとう大谷くん今日にでも早速使うね。」
「ああ、是非とも。気に入ってもらえて何よりだ。」
千棘はプレゼントを大事そうに抱えて笑顔だった。
千棘からしては好きな人からのプレゼントでそれこそ友達からもらうプレゼントとは感性が違った。
嬉しい気持ちでいっぱいであったが、今の千棘には物凄く気になっていることがあった。
「…………ふふ…」
鶫が定期的に右手につけているブレスレットを指でなぞっては少し口角を上げて微笑んでいた。
少なくとも今日家を出た時は着けておらず、大谷くんと一緒に来たタイミングからつけていたのだ。
という事は…あのブレスレットは彼があげたのだとすぐにその結論につく。
でも、だからと言ってそれを追求もできなければ何も出来ない。
私はニセモノの恋人を演じ続けてこの想いをひたすらに隠し続けなければいけない。
私は、まだ自由ではない。
でも、筆を走らせるのは楽しい。
それを思い出せた。
それが何よりも楽しい