出来ればもっと黒くさせたい。
「ほらっ起きて!優!!」
大きなダブルベットで隣の聞き馴染みのある声に耳を傾けた。
彼女の声はいつ聴いてもいいものだ。
「仕込みまでまだ時間はあるよ。…昨日のこともあったし君も疲れているだろ?」
「……そうだけど、これ以上ここにいるとまた始めそうだし…」
「…そっちでも構わないけどそうも言ってられないか…」
朝からお盛んになるところだった。
ベットから出て服を着て身支度を済ませる。
一階に降りて冷蔵庫を調べて簡単に作れる物を取り出す。
ささっと厨房を使って朝食を作る。
「うーん、いつもいつの美味しそうな匂い」
「相手のことをよくわかってますからね。今日の体調や昨日の夜はどうだったかとか、1番近くで見てたからね〜」
「も〜〜バカッ」
そう言いながらも叩く手は優しい。
図星のその姿すら愛おしい。
「今日も頑張ろうか」
「ええ…楽しく元気にね。」
食卓を挟み正面の彼女の笑顔を…この幸せを噛み締めゆっくりとその顔に吸い寄せられ2人は真ん中でーーー
というところで目を覚ますお決まりです。
「もっと見たかった!!」
そう叫ぶ誕生日翌日の千棘。
今日も今日とて平和な日々
学校ではまた違ったイベントがあった。
この前の林間学校の写真の現像が終わり張り出しが行われていた。
様々な写真が撮られて生徒それぞれが様々な反応を見せていた。
「おーおー色々な写真があるな〜」
「沢山あるわね!鶫!私が写ってるやつは教えてね!全部買うわよ!」
「お任せを!お嬢!」
「あれもいいな〜うーんこれもいいな〜」
「小咲これとかいいんしゃない?私たちが写ってるわよ。」
「確かに小さく写ってるけど!!」
やんややんやと周りは楽しそうにしている中、俺はものすっごく悩んでいた。
その原因は目の前で見ている写真にあった。
その写真には俺が写っておりその隣では慣れてない手つきで握る包丁で野菜を切っている千棘の写真と、その隣の写真の切った野菜を笑顔で見せつける千棘単体の写真であった。
ただでさえ美少女で価値があるのに料理をしている姿と笑顔でそれを見せつける姿は反則だった。
正直に言おう俺は料理している女性に魅力を感じるのだ。
だからこそ、この写真を買うか悩んでいた。
そうしてうんうん悩んでいると後ろから肩を叩かれた。
「そこの悩める少年よ…こちらのお店の写真館はいかがかね?」
「集…俺は今一世一代の………なんでそんなボロボロなんだ?」
「名誉の傷さ…ちなみにこちらはサービスですぜ!」
ボロッボロの集が渡してきた一つの封筒。
その封筒を開けて中身の写真をゆっくりと取り出す。
その写真に写るのは、白い足着崩れた服ゆっくりと上がってその顔を拝めるその瞬間。
続きは写真館へ
モザイク処理とその文字であった。
「あ!……すいません!出来心なんです!アイアンクローはおやめを!」
集に制裁を加えて再度同じ写真を見に行くとそこにはもう1人いた。
「桐崎さん…なんか良いのでもあった?」
「うぇッ!?…その〜これみて思い出しちゃって。」
驚いた千棘だがその先に見ている自身の写真があった。
「その…私が不器用なのは自分でも薄々気づいてたし、それでも周りは隠して私のためにいい顔してたのも薄々わかってた。」
良くも悪くも彼女の周りは優しい人が多かった。
だからこそ、気づいた時にそれだけ傷ついてもいた。
「でも、この写真のみんなで笑顔で食べてるのは嘘じゃなかった。」
これまでの努力の実った瞬間であった。
「…みんなで作った美味しい料理だったよ。それにまた料理すればいい。」
「うん……本当にありがとう大谷くん。」
「おう。」
そうして千棘は写真の番号をメモしてその場を離れた。
俺も迷っていた写真の番号を記入した。
〜〜千棘side〜〜
この学校に来て色々あったけど毎日が本当に楽しい。
林間学校で気づいたあの想いは変わらない。
私は彼が好きだ。
鶫にもらったメモを書き写す中で、自分でも欲しかった番号を記入する。
「写真くらいは良いわよね?」
そうして書き加えた番号に周りを見渡した。
バレたくないし誰にも話せない隠さなければならない事。
「……なんで隠さなきゃいけないわけ?」
そんな言葉を口にした私自身にハッと驚いた。
慌てて周りを確認するも幸い誰も聞いていないようだった。
心がモヤモヤする。
最近ずっとこの黒い感情が顔を出してくる。
「………」
ふとメモを見直してみると紙に少し沈んでいて鶫の筆圧で数字が隠れていた。
好奇心で鉛筆で黒塗りにして数字を浮かび上がらせる。
私と同じ番号が浮かび上がった。
「………」グシャッ
有り余る力でメモを握りつぶした。
この世界線では千棘は誰にも偽物の恋人については誰にも話せない。
そんな設定です。
感想、指摘待ってます。
あと、感想くれた人ありがとう。