ハリー・ポッターと呪われた瞳ーInnocent Red 作:轟th
言い訳をさせてもらえれば、暫らく出張で出掛けていて手元にパソコンがない状態でしたので執筆ができませんでした。スマホでも閲覧等はできますが、流石に執筆だと感覚が違うので私はできません。
では、本編をどうぞ。
「……………」
人気のないスリザリンの談話室。
その一角で、マリアは椅子に座りながらぼんやりと新聞を眺めていた。しかし彼女が新聞を読んでいないことは、一時間以上も同じ見出しを見ていることから直ぐに分かる。更に顔を見れば焦点も新聞には合っていない。
何やら考え事のようだ、それも相当な。
「……あの時ボクは、何故」
彼女が頭を悩ませているのは、今日の自らの行い。
マルフォイとハリーの二人が授業の最中に言いつけを破って勝手に箒を使って飛んだ時、マリアは何故か箒に跨ってそれを止めようとしていた。確かにフーチ先生から勝手に箒に乗れば退学と警告を受けていたのだから、マルフォイを止めようとしたのではと考えるのが自然。しかしあの場において、退学する危険性が高かったのはマルフォイよりもハリーの方だ。
マルフォイは純血の名家の子息であり、父親はホグワーツの理事も務めている。つまり息子が何か不祥事を起こしたとしても、金と権力でもって揉み消すことは容易。汚いかもしれないが、これもまた事実なのだ。
対してハリーには何もない。確かに闇の帝王を打ち破った英雄かもしれないが、言ってしまえば彼にはそれしかない。強力な後ろ盾がある訳でも、上に意向に意見出来るだけの権力も財力も何も持ってはいない。
例えネビルの持ち物を取り返そうとしたとして、挑発に乗って箒に乗ったのは事実。
となれば、マリアはハリーを助けようとしたとも考えられる。
「ボクが、ポッターを?」
それはあまりに不自然だ。
別にハリーと親しい訳でもなく、そもそも話したことすらない。
「分からない……何で、ボクは」
幾ら考えたところで、答えは出ない。
湧き上がる不快感を振り払おうと、マリアは目の前の新聞に視線を落とした。
「グリンゴッツ銀行に……強盗?」
その見出しに、マリアは眉をひそめた。
前にノエルから聞いたが、グリンゴッツに強盗に入るような魔法使いはいないと。
あらゆる金銀財宝が手に入る可能性と自分の命を天秤に掛ければ当然の選択だ。無論、中には危険を冒してまで富を得ようとする者もいるだろうが、あの銀行には死ぬよりも恐ろしい呪いの仕掛けが山ほど用意されているらしい。
「でも失敗している」
記事によれば、事件が起こったのは今から一ヶ月以上も前。
それは奇しくも7月31日、マリアの誕生日だった。全くの偶然だろうが、自分が生まれた日に強盗が銀行を襲っていたと思うと何だか嫌な気分になる。しかし幸いにも、どうやら強盗が襲った金庫は既に空だったらしく、労力に見合うだけの成果を得られなかったようだ。
「犯人は一体、何が欲しかったんだろう……」
単純に金銭なら、他の金庫を襲えばいい。
それすらせず撤退したのは、追っ手が迫っていたからなのか。
あるいは、狙っていた物が“唯一無二”だったのか。
「グリンゴッツは魔法界で一番安全な保管場所。そこが襲撃されるのを予期して事前に持ち出したんだとして、次に持っていくのは何処になるんだろう。前にノエルからそれっぽいことを聞いた気がするけど……」
何だったか。
と思い返していると、スリザリンの談話室に誰かが入ってきた。
「ノエル。随分と遅かったね?」
戻ってきたのは夕食の後、姿を消していたノエルだった。
「ああ、マルフォイがまた何か企んでいたみたいだからな。調べてた」
「マルフォイ? 彼ならさっき、意気揚々と部屋に戻っていったよ?」
「だろうな」
頷いて返し、ノエルはマリアの向かいに座った。
事情がよく分からず、ぐいっと身を乗り出してマリアは訪ねた。
「マルフォイはポッターに決闘を申し込んだんだ。今夜、トロフィー室でだ」
「え、トロフィー室でならもう出ないと間に合わないよ?」
「アイツに行く気はない。ポッターは罠にかけられたんだ」
「どういうこと?」
よく分からず首を傾げる。
おそらく件の英雄とその友人はマルフォイとの決闘を果たすため、言われた通りに深夜に寮を抜け出してトロフィー室に赴くだろう。だが幾ら待とうともマルフォイは姿を現さず、それを知らずに待っていればマルフォイが用意した誰か――生徒を罰せられる教職員がトロフィー室を訪れて彼らを発見することになるだろう。
そうなれば必然、規則を破った彼らは例外なく罰せられる。
グリフィンドールからの減点。更に悪ければ退学だ。
「ふーん、そうなんだ。けど、ボクには関係ないね」
そう言って席を立つ。
歩き出した彼女の腕を、ノエルは椅子に座ったまま掴む。
「……待て。何処へ行くつもりだ?」
「何処って、部屋に帰って寝るつもりだけど?」
「ほう? なら、何で“出口に向かっている”んだ?」
「え……あれ?」
言われてみれば、確かにマリアの足は階段とは反対側に向いている。
このままノエルに止められなければ、無意識に寮から出て行っていたことだろう。
「ま、また……何で?」
「これで二回目か………お前、魔法を掛けられているな?」
「ま、ほう……?」
それは、どういうことなのか。
言葉の意味を訊ねるより早く、ノエルはマリアを残して部屋へと駆け上がっていく。残された少女はどうしたものかと考えていると、それほど時間を置かずノエルが何やら救急箱のような物を持って戻ってきた。
「何、それ?」
「これは道具等に掛けられている魔法の度合いを図る物だ」
「え、何でそれを?」
「マリア。端的に言って、お前は呪われている。いつなのかは知らないが、何処かの誰かにそうなるよう魔法か魔術を掛けられたんだ。確認するが、身に覚えはないな?」
「う、ん……ないよ」
話をする傍ら、ノエルは慣れた手付きで準備を進める。
詳しい作業は分からないが、何やら試験管に水や粉末を幾つかを混入し攪拌する。
「よし、出来た。マリア、ここに血を三滴ほど入れてくれ」
さも当然のように小刀を差し出してくる。
普通の女の子なら怖がるところだが、マリアは特に気にせず指先を軽く切りつける。小刀を鞘に収めてから滲んできた血を、ノエルの持つ試験管に垂らす。試験管の中身を慎重にかき混ぜながら木箱へと小刀を戻す。
「これで中身は化学反応を起こし、すると水の色が変化するんだ。例えば人体に対して何ら害がなければ白色となり、軽度な呪いならば青色、危険な魔法や闇の魔術は赤色となる。さてと、そろそろ水の色が変化するぞ」
試験管の中身は―――
これが何を意味するのか分からずマリアは首を傾げ、ノエルは険しい表情を浮かべていた。
「ねぇ、これどういうこと?」
「………マリア、魔法は永遠ではないことは知っているな?」
「え、うん。フリットウィック先生が言ってたから覚えてるよ」
魔法は永遠ではない。
どれほど素晴らしい魔法でも、強力な呪いでも時間が経てば効果は徐々に薄れていく。別の魔法が当たろうものなら効果が失われる場合もある。例えば空飛ぶバイクや車があったとしても定期的に魔法をかけ直す必要があるのだ。例えば二十世紀を代表する偉大なる魔法使い-アルバス・ダンブルドアをもってしても不可能なのだ。
希にだが、永続的に魔法が続く代物も存在するが。
「それが、どうかしたの?」
「マリア、確かにお前は呪われている。それも極めて厄介――これは呪詛だ」
「呪詛?」
聞き覚えのない言葉だった。
魔法に魔術、呪いなら散々耳にしたが、それは聞いたことがない。
「魔法使いは強い恨みや未練を胸に秘めたまま死ぬと、その間際に放たれた魔法は異常な程の魔力を得て強く残る。本来なら一時的なものが、憎悪や執着の対象へしがみついて離れなくなる。これを俗に――呪詛と言う」
あまりのことに、言葉を失う。
どうして自分が呪詛とやらを掛けられなければならないのか。
自分が世界一不幸などと傲慢にも思ったことはないが、これはあんまりではないか。
もしこの世界に神様が実在するのなら、どうして自分にばかりこんな辛い目に遭わせるのか。
「……………」
「マリア、残念ながら今の俺ではお前の呪いは解けない。解呪の方法を調べるとしても相応の時間が掛かることだろう。だが、決して手がない訳じゃない」
「………え?」
「手元にはないが、実家に呪いの効果を弱める道具があった。それを持っておけば、今後何か起こったとしても無意識に引っ張られる心配はなくなる筈だ。気休め程度でしかなく、装着中は魔法の効果が弱まる」
それは闇に差し込む一条の光。
儚いものだったが、マリアにとっては十分だった。
「それでもいい。抑えられるなら何でも構わない」
「……解った。次に帰省する時に取ってくる」
「分かった。待つ」
帰省できるのはクリスマス。
まだ何ヶ月かあるが、気を付けていれば耐えるのは容易だ。
この日、マリアは久しぶりに晴れやかな気持ちで眠りに就いた。
久しぶりにポケモンに手を出してみました。
ウルトラサンですが、何だか仕様が昔と違っていて困惑するばかり。ポケモンのタイプ等もさる事ながら、見た目が変化しすぎじゃないですかね? いや、ロコンやサンドみたいのは別にいいんですが、ゴローニャのあの髭は何!? ブーバーンなんかあれ、完璧にデ○デ○王だよ!
色々と変化したポケモン世界についていけない、私。
クリック? クラック! また今度。