ハリー・ポッターと呪われた瞳ーInnocent Red 作:轟th
なのでPCにも触れないので、また投稿がストップしてしまいます。
仕事で忙しいのも事実ではありますが、最近は昔ほど書けなくなっています。
一週間投稿とか、よくやりましたよね私も。
あー、昔にもどりたい。
では、本編をどうぞ。
冬休みが終わり、新学期が始まった。
とは云っても何か事件が起きる訳でもなく、平穏な日々が続いていた。
しかし復活祭の休みが恙無く過ぎたぐらいから、ハーマイオニーの様子がおかしなことにマリアは気がついた。いや、確かに学期末試験の十週間以上も前から試験に向けて試験範囲の内容を暗記しようとしたり、杖の振り方を練習している姿を目撃した生徒が何名かいたが、誰もが真面目な彼女のことだから試験が心配なのだろうとあまり気にしなかった。
だが、マリアだけは異変を感じ取っていた。
「何か……隠し事をしている」
おそらく、ポッターとウィーズリーも一緒だ。
彼らは最近、森番であるハグリッドの小屋に頻繁に足を運んでいた。三人は森番と親しくしていたので自然なことではないかと思うかもしれないが、それにしても赴く頻度が以前よりも増しているのだ。時間を潰すために訪れるなら兎も角、今は次々と出される宿題に殆どの生徒が大変な思いをしているのに。
確実に、あの森番が関わっている。
「ノエルはどう思う?」
対面に座る彼へと訊ねる。
ぼんやりと雑誌を眺めていたノエルは気だるそうに返事をする。
「あー、そうだなー……最近、ハグリッドはやたらとブランデーを購入しているな」
「ブランデー? ナイトキャップでもしてるのかな?」
「あいつらが何をしているのか、知りたいのかい?」
そこへマルフォイが話に加わってきた。
彼は何かを知っているのか、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。
「僕は知っているんだ。あの四人が何を企んでいるのか」
「マルフォイ、勿体ぶらずに言ったらどうだ?」
「ドラゴンさ。パッと見だったが、あれは間違いない」
「ノエル……ドラゴンって、普通に飼っていいの?」
「三百年ほど前にワーロック法により特別な資格を持つ者以外は、如何なる理由があろうとドラゴンの飼育は禁止されている。これは誰もが知っているものであるし、普通に考えれば誰も危険生物を飼おうなんて思わない。何しろドラゴンを手懐けるなんて、どだい人間には不可能なんだ。品種にもよるが基本的にドラゴンは凶暴で、個体によっては人間を食おうとする」
そんな生物をホグワーツの敷地内で飼おうと云うのか。
おそらく主犯はハグリッドであり、ハーマイオニーたちは巻き込まれたのだろう。
「それで? マルフォイはどうするつもりなんだ?」
「そんなの決まっているだろう。このことを公表して、ポッターを退学させてやる。ついでに目障りなウィーズリーや
「言っておくが、そう上手くはいかないぞ。今発表したところで、捕まるのは精々ハグリッドぐらいなものだ。例えあの三人が関わっていたとしても、実際に違法であるドラゴンの飼育を行っているのはハグリッドだからだ」
三人も無罪とはならないまでも、軽い罰則程度だ。
子供ということで情状酌量の余地ありという判断はされるだろう。
「む、それもそうか。だったら、どうすればいいんだ?」
「あー……ドラゴンの種類が分からないから断言できないが、一ヶ月と経たずあの小屋じゃ隠すのは不可能になる。となれば広い場所に出さないとならないが、森には固有種やケンタウロスなんかも生息しているから無理。となれば何らかの方法で外部に引き取ってもらう筈だ」
「外部? ………そうか、ドラゴンキーパーか!」
ドラゴン使い、文字通りドラゴンを使役する者たち。
魔法省より正式に認可された職業であり、魔法界では数少ないドラゴンと関わる仕事。
「間違いないだろう。どう連絡するかは知らないが」
「クックク、覚悟しろよポッター!」
高笑いすると、マルフォイは意気揚々と階段を駆け上がっていった。
「……上手くいくと思う?」
「さてな……」
そこで話題は終わり、それぞれの作業に戻った。
それから数週間後、大事件がおきた。
寮の点数を記録している大きな砂時計、グリフィンドールの得点を表示していた時計の中身が昨日より150点も減少していた。これを目にした生徒たちは、これは掲示のミスだと思った。誰だって一晩にして自分の寮の点数が150点も減らされるとは誰も思うまい。
誰もが首を傾げる中、ある噂もまた広まっていた。
曰く、“あのハリー・ポッターが、何人かの馬鹿な一年生と一緒に何かをやらかした”と。
人気の的であり、賞賛の対象であったポッターは一夜にして罪人へと転落した。同じ寮生のみならずレイブンクローやハッフルパフの生徒ですら彼を嫌悪して聞こえるように文句を言い、逆にスリザリンはすれ違う度に拍手と感謝を送っていた。彼にとって救いだったのは同罪だった友人がいたことと、試験が近かったことだろう。
遠目からでも落ち込んでいるのが一目で分かるポッターの様子に、マルフォイは少し不満そうな目で見詰めていた。
「ふんっ、あいつを退学に追い込めなかったか」
昨夜、マルフォイは管理人のフィルチに密告をした。
その言を信じたフィルチは授業以外では立ち入り禁止の一番高い天文台で、就寝時間が過ぎた深夜に寮を抜け出していたポッターとハーマイオニーの二人を発見した。その道中に廊下を歩き回っていたネビルも発見できたのは幸運なことと云えた。
流石にドラゴンのことは信じてもらえなかったが、深夜に寮を抜け出していた三名をマクゴナガル先生は強く批難して罰則を与えた。一人50点、つまり三人合わせて150点もの点数をグリフィンドールから引かせたのだ。フィルチがもう少し早く天文台へと赴いていれば、ドラゴンが虚言ではないと信じて貰えたのだ。
「それは残念だったな……所で、我が寮からも50点ほど引かれているのだが?」
「っ!」
ノエルの問いに、マルフォイは顔を逸らした。
生徒の殆どが150点も引かれたグリフィンドールの砂時計に視線を向けたが、見ればスリザリンの砂時計も昨日より50点も減少している。他の寮生はスリザリンのことなどどうでもいいので気にしていないが、在寮する先輩たちは気付いて首を傾げていた。
「とちったな?」
「………」
無言は肯定を意味していた。
あの夜、マルフォイはフィルチがちゃんと二人を見付けられるのか見届けようとして寮から抜け出てしまったのだ。どんな理由があろうと例外ではなく、マルフォイもまた50点の減点と罰則を受けることとなってしまった。
「それで、何か言うことは?」
「……寮の点を減らしたことは、悪いと思っている」
「反省してるなら責める気はない。次からはもう少し後先考えることだ」
「ああ、分かっている」
ばらされないと安心したのか、マルフォイはホッとした様子で紅茶を飲む。
そんな彼を尻目にノエルは席を立って大広間を出ると、そのまま校舎から出てしまう。もうじき午前の授業が始まってしまうと云うのに、彼は構わず中庭を抜けて広大な森の手前にある石造りの小屋を訪れた。
力強く木の扉を叩けば、扉は内側へと開いた。
「誰だ? ん? おっ、ノエル!」
「久しぶりだな、ハグリッド」
「どうしたんだ、こんな時間に。もうすぐ授業が始まっちまうぞ」
注意するも、ハグリッドは嬉しそうに笑っている。
あまり知られていないが、ハグリッドとノエルは昔からの知り合いだった。ノエルからすれば今よりも更に子供の頃から接点のある数少ない大人(?)の一人だ。ハグリッドはよくノエルに魔法生物を見せていた。
「ああ、ちょっと聞きたいことがあってな。確認した直ぐに行く」
「そうか? それで、俺に何が聞きたいんだ?」
「ハグリッド、ポッターたちが罰せられたのは、お前がドラゴンを飼っていたのが原因だな?」
「うっ、それは……何処で聞いたんだ?」
明らかに、ばつが悪そうだ。
ハグリッドは昔から危険な珍獣や猛獣ほど飼いたがる傾向があり、それも自分の好きなものは自分の友人も好きだと考えるタイプなのでノエルも迷惑を被ったことは一度や二度ではない。ハッキリ云ってハグリッドの持ち込む案件は面倒が多い。
「そんなことはどうでもいい。単刀直入に聞く。ハグリッド、ドラゴンを何処で手に入れた?」
ドラゴンの飼育もそうだが、卵の保有も禁止されている。
過去にある魔法使いが手に入れたドラゴンの卵を、知り合いに売りつけたことがあった。既に死んでいると聞かされた男は卵を家宝にしようと屋敷の中に飾ったが、実は卵の中のドラゴンは死んではいなかった。そして男が出張中に幾つかの偶然が重なり、雛は孵ってしまった。雛は屋敷の中に保存されていた食料を貪り、男が屋敷に帰ってみればドラゴンはもはや魔法使い一人の手には負えない程にまで成長していた。
直ぐにも魔法省から人が派遣され、大事には至らなかった。
しかしこれ以降、生死問わずドラゴンの卵も条約に付け加えられた。
「一ヶ月ぐらい前の晩だったか、俺は用事を済ませた帰り道に『ホッグズ・ヘッド』ってパブに立ち寄ったんだ。カウンターに座って一杯目を注文したところで、隣に座っとったマントを着た男が話し掛けてきた。そいつとは話のウマが合ってな、色んなことを話しながら飲んだ」
「ドラゴンの卵はそいつから?」
「ああ。俺がドラゴンがずっと欲しかったと話して……それから、あんまり覚えとらん。何しろ次々に酒を奢ってくれてな。ちょっと、記憶が曖昧になっとる。そんで、そいつがドラゴンの卵を持っとるって話してきた。だが持て余しているらしく、手放したいが扱いに困っとるっと言ってきた」
「それで、自分が引き取ると?」
「おお、そう伝えた。だが飼えなきゃダメだと渋ってきたから、俺はそこで言ってやったんだ。フラッフィーに比べりゃ、ドラゴンなんて楽なもんだって。そしたらトランプ勝負で勝ったら譲ってやると答えた」
「フラッフィーのことも教えたのか?」
フラッフィーはハグリッドが飼っている三頭犬の名前だ。
ハグリッドの小屋を優に超える体躯をしており、その見た目通り非常に獰猛なので興味本位で近づいた者は、その爪牙の餌食となるだろう。しかし主人の命令には忠実であり、例え空腹で目の前に肉が置かれていても許可が降りるまで我慢し続ける。
初めて見たときは、ノエルも恐怖のあまり失神しかけたほどだ。
「ああ。奴も興味を持ったからな、話を聞かせてやった」
「それでトランプに勝ち、卵を貰ってきたと」
「その通りだ」
「………………」
「どうかしたのか?」
「いや、何でもない。最後に一つ、フラッフィーは今何処に?」
「ホグワーツにいるぞ。今はちっとばかし、ダンブルドア先生に預けとるが」
「そう……解った」
ハグリッドに別れを告げ、城の方へと戻っていく。
何か自分の知らないところで動き始めていると、ノエルは理解した。
今回はドラゴンの件でした。
ハリポタ一巻を読んだ時から思いましたが、何故ハグリッドが責められなかったのか納得がいきませんでした。しかも森に見回りに行く際にもマルフォイに対して、「悪いことをしたら償いをしないといけない」と言っていましたが、じゃあアンタはどうなんだよって思いました。尤もらしいことを口にしていますが、元々の原因はお前だろうと思いました。
正直に申しましょう。
私、ハグリッドのことが一巻から嫌いでした。
まぁ、だからこそ前作のラストがああなったのですが。
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