ハリー・ポッターと呪われた瞳ーInnocent Red 作:轟th
ピコニャン様、神道司様、真竜様、リセル316様、カンナヅキ様、ミレイ様、狩る雄様、
GN-XX様、魁華様、パラドクス様、にゃんこ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎様、土岐やん様、赤の薔薇様、
春夏秋冬雨霰様、星蕾様
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では、本編をどうぞ。
正しく、ノエルが孤児院を訪れていた頃。
彼の予想通り、マリアは一人でロンドンの街中を目的のキングズ・クロス駅を目指――さずにブロック塀の上に腰かけていた。時間に余裕があるとは云え、会社や学校に向かう人でごった返す通りを眺めているのは、単純に教科書や制服で一杯になったトランクを引っ張るのに疲れたから休んでいたのだ。
(もう少ししたら、駅に向かおう)
ふぅ、と一息つく。
普通に歩けば一時間と掛からない距離であったが、同年代の女の子と比べても非力なマリアでは重たいトランクを引っ張るのはかなりの重労働となっていた。最近はロージャーが何かと仕事を押し付けてきたので多少なりは筋肉が付いたかと思ったのにとマリアは考えいるが、そもそも筋肉を作る上で必要なタンパク質やビタミンB6――十分な食事や栄養を取ってないのだから土台無理な話であるのだ。
「……友達、できるかな」
『
とは、誰の言葉だったろうか。
人によっては友達を沢山作りたいと考えるかもしれないが、控え目に言っても人付き合いが得意ではないマリアとしては真に信頼出来る友達が何人かいれば十分だと考えていた。出来るかどうかすら怪しいのだけれど。
「っと、そろそろ行かないと」
ぴょん、と塀の上から降りて歩き始める。
休憩を挟んだおかげか、気持ち的に軽くなった気のするトランクを引き摺りながら歩いたマリアは十五分程で目的のキングズ・クロス駅へと到着した。大きな荷物と一緒にいるマリアを心配して親切な人が何人か話し掛けてきてくれたおかげで、迷わずに着くことができた。途中、何やら息を荒げながら近付いて来る男性がいたが、その方はマリアに接触する前にお髭の素敵な紳士の方に連れ去られていたりした。
閑話休題。
駅構内へと入って少しして、マリアは手頃なベンチに腰掛けた。
「さて……どうしよう?」
ポケットから切符を取り出し、マリアは首を傾げた。
ホグワーツ行の列車が発車するホームは9と4分の3番線だが、案内図を確認した限りでは駅内にそのような半端な数字のプラットホームは“存在していない”のだ。考えられるのはマグルに見付からないように偽装が施されていることだが、そうなるとホームの場所を知らないマリアが自力で辿り着くことは困難なことだ。
暫らく考えた末に、マリアは自分と同じように列車に乗る魔法使いを探すことにした。幸いにもホームの大凡の検討は付いていたので、見るからに大荷物を抱えた人物を見付けて後を追えばいい。場合によっては声をかけてしまえば、何とかなると考えていた。マリアは人間観察が得意だったので、ゆっくりと探すことにした。
人間観察を初めてから、そろそろ十分が過ぎようとしていた。
その間、大荷物を抱えた子供が一人だけいるのを不審に思った駅の職員に声を掛けられもしたが何とか適当に誤魔化すことができた。実年齢以上に幼い――顔立ちもさることながら、平均以下の低身長――ので、酷く誤解を受けたが何とかなった。そうした苦難(?)を乗り越えた末に、マリアは目的の一団を発見した。
「あれだ、間違いない」
彼女の視線の先には、見るからに怪しい人たちがいた。
九月に入ったとは云えまだ残暑の厳しい中、先頭を歩くは真っ黒なローブを身に纏った紳士風の男性。その後に続き婦人と思しき女性と、沢山の荷物を乗せたカートを押したオールバックの少年が歩いている。
「まったく、ここは相変わらずマグルが多いですわね」
「やはり、ドラコは格式あるダームストラングに通わせるべきだったか」
「それでは家からでは遠すぎます。それに、ホグワーツは私たちの母校ですのよ」
「母上の言う通りです。父上、安心してください」
やはり、魔法使いで間違いなさそうだ。
マリアは彼らが9番線と10番線の間のホームにある四本ある柱の前から三番目の位置で立ち止まったタイミングで、追い付いて後ろから声をかけた。
「あの、すみません」
「おや小さなお嬢さん、私たちに何か用かね?」
「ぼく……わたしも、ホグワーツへの新入生なのですが、列車の場所が分からなくて。もし良かったら教えて頂けませんか?」
礼儀正しくお願いする。
初対面の相手に対する処世術ぐらいマリアとて承知していた。
「ふむ……ご両親は一緒ではないのかね?」
「はい。両親は私が小さい頃に亡くなったと聞いています」
「失礼ながら、魔法使い族だった分かるかな?」
「そうだと、わたしのところに来た先生は仰っていました」
「先生の名前は覚えているかね?」
「スネイプ教授です」
ほう、と男性は頷く。
実はスネイプ教授は男性がまだ学生だった頃から付き合いのある後輩だ。例えダンブルドアの命令だったとしても、わざわざ彼が足を運んだということは親はグリフィンドールではないだろうと男性は推測した。
「お嬢さん、お名前を伺っても宜しいかな?」
「マリア、マリア・エバンズです」
何処か聞き覚えのある家名に、男性は首を傾げる。
男性が記憶の海を旅している間、婦人が前に一歩出て挨拶をする。
「初めまして、マリアさん。私はルシウス・マルフォイが妻のナルシッサと言うの。そしてこっちにいるのが、貴方と同じで今年からホグワーツに入学することになっている息子のドラコよ」
「ドラコ・マルフォイだ。宜しく」
「宜しく」
差し出された手を握り返す。
簡単ながら自己紹介が済んだところで、ナルシッサは説明を始めた。
「マリアさん、あちらに見える柱がホグワーツ特急が発車するホームへと続く私たち魔法使いだけのゲートです。柱しか見えないでしょうが……ドラコ、先に手本を見せてもらえる?」
「はい、母上」
「なら私がドラコに付き添おう。ナルシッサは、そちらのお嬢さんを」
「ええ、分かりました」
ドラコはルシウスと並ぶと、目的の柱目掛けて勢いよくカートを追い出した。ぶつかると思われたカートはしかし、まるで水面に波紋を起こして消える雫のように中に入っていった。一瞬のことでマグルは気付いていない。
「さあ、次は私たちの番ですよ。大丈夫、私が付いていますから」
婦人に背中を押され、マリアも走り始めた。
壁に衝突するような衝撃は感じられず、ほんの一瞬にして真っ赤な列車が眼前に広がった。そのホームは大勢の家族連れでごった返しており、在校生と思しき若者たちは慣れた様子で列車の中に荷物を運び、新入生らしき子供たちは両親との別れを惜しんで話している。
ゲートを抜けた、少し離れた場所にルシウスとドラコの姿があった。
「教えて頂き、ありがとうございました」
「気にしないでくれたまえ。では、私たちは用事があるので失礼させてもらうよ」
「またな」
そうしてマルフォイ一家と別れる。
独りになったマリアは特に挨拶をする相手もいないので、早々に列車に乗り込んだ。出発まで時間があるとは云っても誰もが早めに行動していたようで、殆どのコンパートメントが満席状態となっていた。なのでマリアは空いている席を探して後ろの方へと進んでいき、ようやく最後尾に位置する車両の後ろから二番目に無人のコンパートメントを発見した。
早速、荷物をコンパートメントの上にある荷物棚に上げようとして問題が発生した。
「と……届かない」
突然だが、マリアは非常に小柄だ。
マリアと同年代の少女ならば平均的に見ても140cm台なのだが、マリアの身長はそれよりも頭一つ分――とはいかないまでも十センチ以上は低いだろう。おまけに非力ときては、どだいマリアには無理な話だったのだ。
いっそ、投げてしまおうかと本気で考えていると。
「そのまま腕を下ろさないでね」
「え……?」
ぐいっ、と後ろからトランクに手が伸ばされた。
どうやら誰かが困っているマリアを見かねて手伝ってくれているようだが、相手の人も同性らしく余裕とはいかず何とか二人掛りで荷物を棚へと押し込んだ。
「あの、ありがとう……」
「気にしないで。困っていたみたいだから……あら、貴方」
俯き気味にお礼を言ったマリアは、聞き覚えのある声に顔を上げた。
そこにいたのは気の強そうな茶色の瞳、量の多い縮れ毛をした茶色の髪。マリア以上に容姿に関して無頓着なのか、その髪は手入れされておらずボサボサである。彼女は一か月前、《マダムマルキンの洋装店》で話し掛けてきた女の子だ。
「やっぱり! あの時の子ね。良かった、知っている人がいて」
「うん……久しぶり」
「ねぇ、私もここに座っていいかしら? まだ席が決まってなくて」
「いいよ……」
彼女の荷物もまた、マリアの時のように上に積む。
それから互いに向かい合うようにして座り、自己紹介を行うことになった。
「私はハーマイオニー・グレンジャー。マグル生まれの魔女よ」
「マリア……マリア・エバンズ。一応、純血の魔女……みたい」
そうして互いに握手を交わす。
この時、マリアがハーマイオニーに抱いたのは苦手だなという印象だった。しかし、後に初めて出来た親友として友情を深めていき、大人になってからも関係が続いていくとは、この時はまだ思いもしなかった。
私は小学校の頃に出来て、今も交流のある友人は片手で数える程しかいません。
流石に互いに大人になって会う頻度は少なくなりましたが、今でも都合さえつけば集まって一緒に遊んだりしています。やっぱり幾つになっても、友達と遊ぶのは楽しいものですね。私はそれを、宝物と思っています。
因みに、作中のはイギリスの哲学者「フランシス・ベーコン」の言葉です。
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