いや、あの、マジで待ってください。
二巻は一番考えるのが難しいのです。三巻と五巻、七巻はどうするか決まってるんですけど。だから、もうしばらくお待ちください。
さて、こっからはこの小説の話だ。
まず先に謝ろう。
単体の予定だったが、ユーノとディアーチェを一対一にする方法が思い浮かばなかった。
そのため、今回はセットだ。
いつか、一対一をやるので許してほしい。
では、本編をどうぞ。
「おいすー!」
「…うん。もう驚かない」
今日は午前勤務だったユーノが帰宅すると、元気溌溂な女性が出迎えた。
女性の名は「レヴィ・ザ・スラッシャー」。
シュテルとユーリの家族で、例のごとくエルトリアからの来訪者である。
彼女とは深い交流は無かったが、何度か会った印象から察するにこちらの世界に行ってみたいという理由で来たのだろうとユーノは頭の中で結論付けた。
「とりあえず、リビングに行こうか。話しはそれからね」
「OK、わかった」
やけに上機嫌なレヴィの連れてリビングに行くと、ソファーには彼女に反して不機嫌顔の女性がいた。
視線だけで人を殺せるぐらいの目つきで見てくるその女性に、ユーノは恐る恐る声を掛ける。
「今回は、二人で来たんだね」
「…………そこのアホの監視役だ」
僕、アホじゃないもん!というレヴィの抗議に溜め息を吐く女性は「ロード・ディアーチェ」。
シュテルとレヴィを束ねる王である。
ディアーチェは頬杖を突きながら言う。
「そやつが自分も遊びに行きたいと言い出してな。我は別に構わなかったのだが、シュテルとユーリが貴様に迷惑かけたら駄目だと言いおって、保護者役を頼まれたというわけだ」
「別に迷惑とは思わないんだけどなあ」
「貴様はレヴィを自由にさせるということの意味を分かっておらん」
顔を背けながら視線だけを向けて話すディアーチェの言葉に、ユーノはにこやかに応対する、
そんなユーノの手を取り、レヴィは目を輝かせながら言った。
「ねえねえ、早く遊びに行こうよ!」
「はいはい。少し落ち着こうね」
わかった!とレヴィは良い返事をしながら、ユーノを玄関へ容赦無く引っ張っていく。
なんかもう、遊ぶことが頭を占めているようだ。
ユーノは仕方ないなあと笑いながら無抵抗で引っ張られていく。
その二人の後を、保護者役のディアーチェが無言で追っていった。
遊びに行くと言っておきながら、もはやレヴィの食べ歩きとなっていた。主にデザート類の。
「ユーノ、次あれ食べてみたい」
手に二段重ねのコーンアイスを持って舐めながら、次の希望を指差して言う。
見た目は大人なのに、行動は完全に子どもだった。
そんな臣下の様子に呆れた様子でディアーチェが告げる。
「少しは自重せんか。払っているのはこやつなのだぞ。後でシュテルに怒られても構わんと言うのなら止めはせんがな」
「うう~、怒られるのは嫌だけど…」
出店とユーノへ視線を何度も往復させ、今の楽しみを取るかそれとも後の恐怖を考えて止めるかを思案する。
悩んでいるレヴィへ、ユーノが救いの手を差し伸べる。
「良いよ。買っておいで」
「へ?いいの?」
「せっかく遊びに来たんだから、遠慮なんてしなくていいよ」
ユーノの言葉を聞いたレヴィは店に突撃する。
一歩後ろで二人のやり取りを見ていたディアーチェが口を開く。
「あまり甘やかすな。我が説教されるではないか」
「う~ん、僕としては楽しんでくれたらそれで良いんだけど。何か食べたいものがあったら遠慮なく言ってね」
「…いらん気遣いだ」
ディアーチェは申し出を蹴る。
最初から今まで警戒されているということはユーノも気付いているのだが、如何せん理由が分からないので対処の仕様が無い。
話しかければ反応はしてくれるので、特別嫌われているということではないと思うのだが。
「これも美味しいなぁ~」
戻ってきたレヴィが幸せそうにクレープを食べる。
ハムハムと早めに食べるので、顔にクリームが飛んでいる。
「ははは。ほら、顔に着いてるよ」
「んぅ~。えへへ。ありがとう!」
それを見たユーノがハンカチを取り出してクリームを拭う。
レヴィは無邪気な笑顔でお礼をし、すぐさま食べることに夢中になった。
「…」
その光景をディアーチェは、複雑な表情を浮かべて見ていた。
あれから数時間後。
ひたすら街を歩いていた三人はクラナガンでも有名な市民公園で休憩をとっていた…のだけれど。
「むにゃむにゃ…」
「………休憩と言った本人が本気で寝てどうする」
「あはは…」
レヴィの自由過ぎる行動にディアーチェは頭を抱える。
たくさん食べたからか、眠気に負けてしまったレヴィはユーノの膝を枕にして寝てしまっていた。
時折、何かを強請るように頭を擦り付けてくるため、そのたびにユーノが優しく頭を撫でれば、ふにゃっとした表情をするのがなんとも可愛らしい。
思わず、ユーノの表情も綻んでしまう。
その様子を、ディアーチェはジーっと見ていた。
王のマテリアル。ロード・ディアーチェは最近、イライラすることが増えていた。
それというのもエルトリアに帰ってきたシュテルとユーリが話す、とある人物が原因だった。
シュテルはいつもの無表情ながら、聞いた方が砂糖を吐くぐらい(もちろん比喩だ)の甘ったるい惚気話を話してくる。まだ正式に恋人になったわけではないのに、なぜああも延々と語れるのかディアーチェは分からない。キリエは楽しそうに聞いていたが。
ユーリは彼の人柄や雰囲気、そして無限書庫で見た光景などを話してくる。その彼の話をする時、恥ずかしげにモジモジと体を揺らしたりするものだから、シュテルの眼光が鋭くなるときがある。正直、心臓に悪いから止めてほしいとディアーチェは思っている。そしてアミタがさらにユーリに話をさせようとするもんだから、シュテルの威圧が増していく。頼む、空気を読んでくれ。
何が言いたいのかと言うと、二人から彼への評価は軒並み、いや総じてとてつもなく高い。
その話を聞いたからか、レヴィまで会ってみたいと遊びに行こうとする始末。
冒頭でレヴィが来た理由はディアーチェが述べたが、あれは正しくない。
正確には「こちらの世界」に遊びに来たのではなく、「彼のところ」に遊びに来たのである
思うにシュテルとユーリ、そしてたぶんレヴィも今後彼についての話をしていくだろう。
それがディアーチェにとっては面白くなかった。
それはなぜか。紫天の盟主であるユーリ、臣下であるシュテルとレヴィが、なんかこう、彼に取られるような気がして仕方がなかったからだ。
話を聞いていれば、そんな事をするような人物ではないことは分かるのだが、心情の問題だからどうすることもできない。
そんな感じだったから、今日は警戒心丸出しで彼に会ったのだが………。
(気を張り詰めてた我がアホだったか…)
非友好的な態度だったにも関わらず、彼はさりげなく話題を振ってきたりして自分とコミュニケーションを取ろうとしていた。
動作の一つ一つにさえ、優しさが込められているのが容易に感じ取れた。
だがらだろう、それを本能的に感じ取ったレヴィは気兼ねなく彼に甘える。
そして気付けばディアーチェも彼を悪く思うことが無くなっていた。
「…どうかした?」
自分を見ていたことに気が付いたのだろう。
彼がディアーチェに話しかけてくる。
「別にどうもしとらん」
「そっか」
刺々しさが無くなったのを声音から感じ取ったのか、彼は嬉しそうに口元を緩めている。
何だか急に気恥ずかしくなったディアーチェはそっぽを向いた。
そして、そのまま彼に問いかける。
「…一つ聞くがよいか?」
「いいけど、なにかな?」
「…あ奴は、空に無事帰ったか?」
この問いかけで、彼は誰の事を聞いたのか察したらしい。
穏やかに言ってくる。
「帰ったよ。家族に見送られてね」
「…なら良い」
「それでさ、彼女の名を継いだ娘がいるんだけど、会ってみない?」
「考えておこう」
彼女の言葉を最後に、話が途切れ、風が二人を撫でるように吹きぬく。
その風はとても心地よかった。
「…」
そして、チラッと口端から涎を垂らしながら幸せそうに寝ているレヴィを見る。
やけに幸せそうなことに少し苛立った。
「おい、スクライア」
「あ~、そっちで呼ばれるのは違和感があるからユーノでいいよ」
「…そうか。なら我も我を名で呼ぶことを許そう。それでだ、膝を貸せ」
そう言うと、レヴィは右ひざに頭を乗せているので、ディアーチェは反対の膝に頭を乗せて寝転がった。
突然の彼女の行動にユーノは戸惑う。
そんな彼に構わず、ディアーチェは目を閉じて言う。
「我も寝る。適当な時間に起こせ」
寝の体制に入った彼女を見て、ユーノは「仕方ないなあ」と気を許してくれたのかと考えて楽しそうに言うと、レヴィにしたようにディアーチェの頭を軽く一撫でして告げた。
「おやすみ。ディアーチェ」
彼の言葉に対する返答は、やがて聞こえてきた小さな寝息だった。
「ただいま〜」
「あ、お帰りなさい」
「なのはママ、聞きたいことがあるんだけど…」
「どうしたの?」
「フェイトママとはやてさんにお姉さんか妹さんっている?」
「ん?なんでそういうこと聞くのかな?」
「帰りにね、フェイトママに凄く似てる青い髪の女の人とはやてさんに凄く似てる白い髪の女の人がユーノさんと一緒に歩いているのを見たんだけど…」 「………え」
ちなみに、もしも一対一だったら、それぞれタイトルが
「レヴィは頭は悪くはないんです。ただ、考えるプロセスが独特なだけなんです」
「ディアーチェははたしてツンデレなのか」
でした。もう、このタイトルで書かれることはないがな。
最後に何かフラグ的なものがあったが、気にするな。
さて、次は誰だ?再びシュテルのターンか?それとも……
とりあえず、今日はここまで。
では、また会おう!