「お主の話は分かった。しかし、ワシらギリシャ神話もとい冥界だけでは危機乗り越える事は不可能だぞ」
「それは分かっている。そこでだ、いずれは私は気にかけている人間に協力を仰ごうと考えている。それと…北欧のロキにもな」
「ロキに?確かにあやつの手を借りれれば助かることこの上ないが…そう上手くいくか?」
ハーデスの疑問も最もだった。ロキは北欧神話において重要な存在であり、そう簡単にスカウト出来るとは思えない。しかし、男はそんなことは気にしていないようだった
「安心したまえ、少なくともロキは近いうちに北欧ではいられなくなるからな」
オーディン日本神話の会談を邪魔しようとオーディンの命を狙うロキ。現時点で判明している敵の戦力はロキ自身とその子供のフェンリル1匹と、神とそれを喰い殺せる魔獣の2つのみ。しかし、それぞれの力量を鑑みるといくら勢力があっても足りないぐらいであった。
「…っと言う訳でだ。俺とサーゼクス、そしてミカエルはヴァーリ並びにその仲間達を今回のロキ撃退の為に協力することにした。質問がある奴は挙手をしてくれ」
場所は兵藤家地下の一室。ここには顧問であるアザゼル含めるオカルト研究部とソーナ達生徒会の面々とバラキエル、そしてヴァーリ並びにその仲間がいた。オーディンは今回のロキの反逆行為についてヴァルハラに連絡を取っており不在でさらには黒歌とロスヴァイセと、そして永斗達ライダー5人もいなかった。どこか疲れた様子のアザゼルにイッセー達は挙手をしあれこれ質問していた。
一方で永斗達は自室におり、黒歌とロスヴァイセによる診断を行なっていた。先程の襲撃時の永斗は様子がおかしく黒歌が念の為にと調べていたのであった。ある程度調べたのか2人が永斗から離れると飛彩が質問した。
「2人とも永斗の様子はどうだ?やはりロキに何かされたのか?」
「いや、仙術の観点じゃ特には異常はないわ。北欧魔術の方は分からないけど」
黒歌は首を横に降るとロスヴァイセも首を横に降った
「こちらも異常は見受けられません。先程の症状は恐らくは永斗さん自身の精神的なかと」
「僕の…精神的な問題ですか…」
ロスヴァイセの診断結果を聞いた永斗は俯き黙ってしまう
ロスヴァイセが言った原因も正体が先日までの永斗の豹変ぶりだというのはロスヴァイセ以外の全員はすぐに理解できた。
ディオドラの一件で乱入してきたパラドクスに対抗すべく『マイティブラザーズXX』を使った結果、永斗の性格がゲーム好きで他人の命を気にもしない性格になってしまい皆に迷惑をかけてしまった。あの時は飛彩が説得してくれたおかげでなんとかなったが、もしかしらあのまま元に戻らなかったらと考えると永斗は気が気では無かった。
『自我が消滅してしまう危険性』
それが永斗に恐怖心を与え変身する際の動悸を引き起こしたのであった。
(力を行使するリスク…僕は今までそんな事を全く考えずにガシャットの力をゲーム感覚で使っていたんじゃないのか?それこそ、人の命を奪う事に躊躇しないパラドみたいに…)
変身し、その力であらゆる物を蹂躙する自分を想像した永斗は少し呼吸が荒くなってしまう。そんな時に部屋のドアが開きオーディンが姿を見せた。
「おお、ロスヴァイセここに居たか。すまぬがそこの
オーディンの一言に永斗を除く全員が白い目をした。見ての通り精神的にボロボロな彼に対し、『オーディンが何かちょっかいを出すのでは?』と疑っており、当のオーディンは若干傷ついた様子だった。そんなオーディンを哀れに思った永斗は皆を説得し、オーディンと2人っきりになった
「それで、僕に何のご用件でしょうか?もしも僕たちの力について知りたいって話でしたら、全てはお答えできませんのでご了承ください」
「そんな緊張するな。なーに、己の力に恐怖心を抱いておる若者に対しての老骨からのアドバイスだと聞き流してくれればそれでいい」
オーディンの一言に永斗は驚いた。オーディンは永斗の心を読んだのかイタズラが成功した子供のような笑顔を見せた
「ほほほっほ、『えっ!どうして分かったんです?』と言いたげな顔をしているな。
ワシは多くの英雄が集うヴァルハラの長じゃぞ。自分で言うアレだが観察眼には自信があるのじゃ。それで先程の話の続きだが、お主が今抱いてる感情は決しておかしな事でも愚かな事ではない、それは異能の力を得た人間にとって当たり前とも言える感情じゃ」
今までのおちゃらけた様子やイッセーに対し説教をした時とは違い、オーディンはまさに主神の名にふさわしい雰囲気だった。オーディンは優しく微笑みながら喋り続けた
「お主のように自分の手にした力に向き合いその危険性を理解しているならワシからは言うことはこれ以上は無い。その心は強く、そしてお主を支え時には無理矢理でも止めてくれる真の仲間がおる。自身が手にした力に対し、特に考えることもせず卑猥で身勝手な行動ばかりするお主の兄とは大違いじゃ。ではワシはそろそろ戻るとするか」
オーディンはそう言いながら部屋を出て行った。
永斗はオーディンが出て行くと、マイティブラザーズXXのガシャットを取り出して一人でじっと見つめていた
一方その頃ヴァーリに関する話を終えたアザゼルは先程まで永斗の様子を見ていた黒歌と別室で話していた
「それで、お前から見て永斗はどう感じた?」
「私が見たところじゃ、この間の性格変化がトラウマになっているわね。ただ…」
「ただ…何だ?勿体ぶらずに話してくれ」
「何でそんなの食いつくのよ?まぁいいわ」
急に口籠るに黒歌にアザゼルは躊躇なく食いついた。彼の中で黒歌が口籠ってる内容こそ自分が知りたい内容なのだと感じていた。食らいつくアザゼルに若干引きながら話すことにした
「仙術で永斗の体を調べていたらね、彼の魂に不自然な箇所があったの。まるで鉄板や服なんかの穴を塞いだような跡があったの。これって普通じゃ有り得ないわ。これって、永斗の魂の一部が抜けていたけど何かでそれを補填したってことよ。魂が一部でも欠けたり抜けたりするってことは極端な話、廃人になってもおかしくないことよ」
「そうか……時間とらせて悪いな、ゆっくり休めよ」
黒歌の言葉にアザゼルは真面目な表情になって考え始めた。彼の今までの仮説と先程の黒歌の言葉を照らし合わせると永斗とパラドに関わるある1つの答えが導き出されていたが、彼自身このことを当人に伝えるべきか悩んでいた。すると黒歌が去り際にアザゼルの肩に手を置くと彼の体が心なしか軽くなった気がした
「悪いな、わざわざ仙術をかけてもらって。嫁にでも来るか?」
「そんな軽口言える余裕があるなら声帯切ってやるわよ」
「おいおい冗談に決まってるだろ!ってか最近俺ってば冗談言ってると碌な目にあってないな」
とてつもない恐怖を感じるドス黒い笑みを浮かべる黒歌に思わず顔を青くして大声を上げるアザゼルに黒歌は黒さを感じない普通笑みを浮かべて部屋を出て行った
次回はロキ戦に移ろうかなと思っています
ちなみに書いていませんがヴァーリは終始イッセーをガン無視していて、美猴やアーサーを経由しないとイッセーに対し口を開きませんでした
それと話は変わりますがウルトラマンジードの映画を昨日見てきました!
あの映画でのリクの挫折を見ると、「メビウス&ウルトラ兄弟」でハヤタがミライに言った「我々ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある」って言葉を思い出しますね。
どんなに頑張っても物事が自分の思い通りになるとは限らない。それでも何かの為に戦うのはとても格好いいですよね
逆にあまり努力して(いる描写が)ない上に常に周りにヨイショされてる某ワンサマーやイッセーは見ていると微妙に思えますね