High Scale D×D   作:クフフのナッポー

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嵐山での戦闘の事後処理が終わり、一同は八坂を救出作戦のブリーフィング前にゼノヴィアがロスヴァイセにあることを聞いた
「そう言えばロスヴァイセ。お前がシグルドの末裔であるジークフリートを相手にした時にあんな変なことを言っていたんだ?」
ゼノヴィアはロスヴァイセが戦闘中に遠い目をしながらジークフリートに『槍を持った女性に気をつけるように』と警告していたことが気になって仕方がなかった。ロスヴァイセはその話題に触れられたくなかったのかやや影のある表情だった

「えーと、ゼノヴィアさんはシグルド様の死因は何か知っていますか?」
「えっと、確か薬を盛られてオーディンの娘であり自身の妻であるブリュンヒルデのことを忘れ、そのことに悲しんだブリュンヒルデによって刺し殺された…だったか?」
「だいたいそんな感じです。それでシグルド様とブリュンヒルデ様は現在ヴァルハラにおられるのですが、ブリュンヒルデ様はシグルド様を殺してしまった件で精神的に病んでしまって、異性に対して『好意が高まるとそれに比例して殺意が高まってしまう』体質にご自身の槍諸々なってしまって日常的にシグルド様に対して殺意という名の愛をぶつけまくっているんです」
「それは…その…シグルドも災難だな」
ゼノヴィアは最愛の妻に殺されまくるシグルドに同情するがロスヴァイセは再び遠い目になっていた
「シグルド様は満更でもないそうですよ。要約ですけど当人曰く『ブリュンヒルデは殺意を持って愛を証明しようとする。つまり当方を殺そうとするのは彼女の愛情表現であり、それを受けるのはとても嬉しい。だが当方が大人しく殺されてしまったら自分の愛を証明できないから、自分は彼女の愛を躱し耐えて自分の愛を証明してみせよう』っといった感じでブリュンヒルデ様の攻撃を凌いで仲良くしておられるんですよね」
「………さ、さすがは北欧を代表する英雄だな」
先程の同情を撤回し、シグルドにある種の尊敬の意を抱くゼノヴィアだった

その後、ロスヴァイセがブリュンヒルデの実妹であるスルーズ、ヒルド、オルトリンデの3人から『大好きな姉を誑かした男』として敵視されていることと、またシグルドと同一視されるネーデルラントの王子にして謙虚すぎる英雄としてヴァルハラで有名な(本物の)ジークフリートがとばっちりを食らってることを聞き彼女もまたロスヴァイセ同様遠い目をしていた
「ヴァルハラって凄いんだな…」
「ええ、色々と凄いですよ…」


救出のPreparation

英雄派が八坂を使い二条城での実験を始めているのか、その周辺に京都市内の地脈や気が集まっていることが妖怪たちから伝えられた

アザゼルは直ぐにホテルにいるオカルト研究部と生徒会、それと教師5人をイッセーの宿泊しているボロい部屋に集め桐生には席を外してもらっていた。その様子はまるでちゃんと畳まず服を入れたタンスのようにギュウギュウだった。少しでも窮屈さを改善しようとイリナとゼノヴィアは部屋の押入れの中に入り、黒歌は猫に化け、ロスヴァイセとアザゼル以外の教師4人は永斗と一体化していた

 

「今が梅雨や夏でなくてよかったよ。こんな人口密度が狭い場所にいたら今頃蒸し暑くてブリーフィングどころじゃないね」

「何言ってるんだよ木場!そう言うシュチュエーションは想像しただけでも女子がエロく見えて最高じゃないか!」

「イッセーさん、今は真面目な話をしてる最中なので黙っていてくれませんか?それと木場さんにも言えることですけど、お二人は負傷されているので後方支援に回されていますがそれも大事な仕事ですのでブリーフィング中は集中して下さい」

「なぁアーシア、最近俺になんか冷たくないか?」

部屋の窮屈さが我慢できなかったのか木場が思わず軽口を叩くがそれにイッセーが変な方向に反応。そこにアーシアが目も合わせずに注意してきたことにイッセーはショックを受けていた

ちなみにアーシアが言ったように、今回の八坂救出作戦を実行するにあたり先の嵐山での戦闘で負傷した木場、イッセー、アザゼルは治療は済んでいるが大事をとって匙除く生徒会のメンバーとともにホテル等の護衛に当たり、残りのメンバーで二条城に赴くことになっていた。爆発力と火力があるイッセーと禁手である聖魔剣が使える木場が抜けるのは痛手ではあるが、穴埋めとして龍王の一角であるヴリドラの力を持つ匙と腕利きの助っ人が来るらしいのでそこは補填できるようだ

 

「今回の作戦にあたり冥界からフェニックスの涙を5つ程支給された。禍の団によるテロのせいで一瞬で傷を癒すことができるコイツは需要が高まりすぎて供給不足なところをわざわざ分けて貰ったんだ大切に使えよ」

アザゼルからの報告にイッセーが抗議の声をあげた

 

「たった5つだけって、こっちはテロリストと戦うってのにフェニックス家の連中は何やってるんだよ!」

「兄さんの言いたいことは分かるけど今は分けてもらえるだけでも感謝しようよ。実際に戦争中とかじゃ物資が不足して助かる命も助からないってことは多いらしいし、文句はテロを起こした連中に言いなよ」

「ウルセーなお前も。いちいち口出しすんなよ女々しい」

「っ!」

文句を漏らすイッセーをなだめようとした永斗だが、よりにもよってそのイッセーから女々しいなどと言われれば苛立ちを覚えた。と言うよりも、イッセーが悪魔に転生してから、純粋な人間であった時からの悪癖である『永斗に口出しされたら露骨に不機嫌になったり自分の都合のいいように解釈したり話を進める』部分に拍車がかかり、『弟だから』という理由でどこか永斗を下に見ている態度が目立っていた。一言文句を言ってやろうかと思ったところでアザゼルが再び口を開いた

 

「現在この京都には俺たち三大勢力が包囲網を敷いて連中の増援と逃亡に備えてる。本当なら駒王町にいるお前らの主人達にも転移して来てもらう予定だったんだが、どうやらあっち(駒王町)と冥界のグレモリー領でも旧魔王派の息がかかった連中が来てるらしくてな、そっちの迎撃に回っている。幸いにも規模はそれ程大きくないようで現地のメンバーで事足りるみたいだ。お前達も気をつけろよ。それじゃ解散!」

ブリーフィングが終わり永斗はホテルの自室に戻り一体化を解き、飛彩、大我、貴利矢、黎斗の4人を分離させるが先程のイッセーの態度が気に触っているのか皆苛立っていた

 

「全くあの男は、なぜ自分の思い通りにことが進まないとすぐに機嫌が悪くなるんだ?」

「私が言えた義理じゃないのかもしれんが、奴はいわゆる大人子供と呼ばれる人間だからな。某名探偵とは真逆で『見た目は大人、頭脳は子供』なのだろう」

「大人子供って確かいわゆる幼児的万能感が抜けないままズル賢くなった人間のことだよな…自分からしたら幼児的万能感はともかくズル賢いとは思わないけど」

「確かにどちらかと言えば考えなしのバカだな」

飛彩、黎斗、貴利矢、大我がそれぞれ文句をぶちまける。そんな自分の別人格である彼らを見て永斗はあることが気になった

 

「そういえば、なんでパラドは兄さんをあんなに敵視してるのかな?」

永斗の呟きに4人は目を合わせる

自分達と同じライダーの力を持つパラド。夏休みに飛彩と黎斗がオカルト研究部と一緒に冥界に行った時や夏休み明けに起こったディオドラの事件に何処かから現れては覇龍を使い暴走したイッセーを一方的に攻撃して殺そうとしていた。自分達の知る限りでは冥界で出会うまでイッセーとパラドは面識が無いはず。それなのにパラドはイッセーのことを知っており更には明確な敵意とそれ以上の超えた殺意までも持っていた。パラドが持つ出どころが分からないガシャットもさることながら、彼がイッセーになぜこのような感情を抱いているのかが全く分からなかった。それは一番付き合いがある永斗もだった

 

「今思えば、僕ってパラドのこと僕と同じ凄腕ゲーマーって事ぐらいしか知らなかったな。何処に住んでいてどんな学校に通っているのかとか、家族構成とか全然知らないし聞いたこともなかった。これだから周囲に根暗とかコミュ障とかって言われるんだよな…」

「そうか…じゃあ自分一旦外に行くんで」

「待て。こんな時に何処に行く気だ?」

友人と思っていた相手のことを何も知らないことに何も感じていなかった自分達に嫌気がさしてるのか自虐する永斗。そんな永斗を一瞥すると貴利矢は部屋を出ようとすると飛彩が止める。貴利矢は顔を向けるとサングラスをかけた

 

「風魔に話を聞いてみようと思ってな。奴さんもなぜかライダーの力を使ってるし、どうやら俺たちの知らない情報を知ってるみたいだし問い正そうかなって」

「私ならここにいるぞ」

「へーそれは探す手間が省けたって、どっから出てきてんだ!」

突然風磨の声が室内から聞こえると部屋の壁の一部がベリッと剥がれてそこから風魔が忍者らしく登場した

 

「いやはやすまん。妖怪たち経由で君達が八坂殿を助けに行くと聞いてね、私も同行させてもらおうかと思ったんだ。それにしてもなんで目を点にしてるんだ?」

「誰であろうとそうやっていきなり現れたらビックリしますよ」

「そうか、すまない永斗くん。お詫びに、君と貴利矢くんにこの2つのガシャットをプレゼントしよう」

風魔の右手にはクリアホワイトのガシャットが、左手には爆走バイクに色やステッカーのデザインがそっくりなガシャットが握られていた

 

「私の右手にあるのは『マイティクリエイターVRX』。これは連中が持つ絶霧(ディメンジョン・ロスト)などで生み出された異空間や仮想空間などでのみでしか使えないがクリエイターの名の通りこのガシャットを筆のように扱い自分が描いた物を実体化できる。注意すべきなのがこのガシャットは単体でしか機能せず他のガシャットと一緒にベルトに使えない点だ。その反面、異空間などでは無類の強さを誇る」

風魔はマイティクリエイターVRXを永斗に渡すと左手にあるガシャットの説明をはじめた

 

「そして左手のは『爆走ターボ』。その名の通りタドルファンタジーがタドルクエストの、バンバンシミュレーションがバンバンシューティングの派生ガシャットであるようにこれは爆走バイクの派生系でありレベル50のガシャットだ。このゲームはマシンのカスタマイズでは無くレーサーのステータスが重視されるレーシングゲームだ。こいつの最大の特徴は他のガシャットと併用…例えばレベル3用のガシャットなどと併用して使える点だ。君なら乗りこなせれると信じている」

「へーそいつは有難いが、これ単体でレベル50なんてちょいと乗りが良過ぎないか?始めてディスク2枚組以上分のゲームボリュームを1枚で実現可能にしたゲームを見た気分だぜ」

貴利矢の言うことは最もだった。レベル50と言えばパラドが持つガシャットギアデュアルなどの通常のガシャットの2倍は厚みのある特殊なガシャットを使わないといけない。だが風魔はこれを通常のガシャットで変身可能にした上に他のガシャットと併用も実現したのだ。5人全員驚いており、特にガシャット開発の担当である黎斗は悔しいのか顔を歪ませるが、すぐに懐からガシャットギアデュアルβを取り出した

 

「それはβ!なんで2つもあるんだよ!」

先日のロキの一件で使って以来所持していた大我が自分のを取り出しながら聞くが、当の黎斗は両手を高く上げながら飛彩にβを渡していた

 

「君たち2人が使うのであれば共有するより各自で持っていた方が効率的なのは当然だろう?神の才能を持つ私ならば複製など容易いことさ。それに、私はロキとの戦闘で得たデータが秘められたこのガシャットで更なるステージに進化しようとしている!神の進化は止まらないのさ!」

いつも通り、自慢気な態度で全身シルバーメタリックで角張ったガシャットを自慢する黎斗に他のメンバーは呆れながらもある意味平常運転な彼のおかげでリラックスできていた

 

 

 

作戦開始の時刻が近づくと風魔は別行動をする為部屋から文字道理消え、その後ホテルの入口に向かった永斗達。そこにはシトリー眷属が匙に激励の言葉をかけていたがそこに九重の姿があった

「九重姫、どうしてここに?危険だから安全な場所に避難しておくように言われてているはずですが…」

永斗は九重の姿に驚きながら近づき彼女に尋ねた

 

「これ永斗、私に敬語はいらぬと言っておろう!それとここに来たのは無論、母上を助けるためだ。私の我儘なのは先刻承知だ。だが私は……私は…!」

「九重…」

涙目になりながらも母を助けに行きたいと一点張りの九重の姿に永斗はアザゼルに連絡しようかどうか悩む。だが、敵はそんなことを待ってくれなかった

突如永斗達ライダー5人と永斗の近くにいた九重の周囲だけ霧が発生し、入口にいた全員がハッと気がついた

英雄派の中に神滅具である絶霧の使い手がおり、その能力で相手別空間に隔離できることは全員理解していた

 

「永斗さん!」

「まずい、あいつら(英雄派)は永斗達を隔離する気だ!」

「飛彩!」

「大我さん!」

アーシア、ゼノヴィア、黒歌、ロスヴァイセの4名は急いで霧の中へと走り、6名を霧の外へ出そうとしたが一歩遅く彼女達を含めた10名が霧の中に消えた。その光景を見ていた残りの面々は今後の方針を決める為に急いでアザゼルに連絡を取る

一方別行動をとっていた風魔もその様子を見ており、直ぐにとある相手に連絡を取っていた

 

「ロキか?予想通り永斗君達は絶霧で異空間に飛ばされたようだ。恐らく奴らはそこで直接永斗君達をまとめて打ち負かすつもりだろう」

「そうか…ではこちらはお前をその戦場に送る準備は既にできている。だが本当に英雄気取りの大根役者ども(英雄派)はそんな非効率的な方法でこのロキが認めた勇者達をお前の考え通りに倒すつもりか?本当にそうだったら後世まで語り継がれるほどの間抜けだぞ」

その相手は北欧で味方に引き入れた悪神ロキであった。北欧の魔術の応用で英雄派が用意した異空間へ風魔を送る準備を行っていたが疑問に思っていたことを聞かずにはいけなかった。ロキの言う通り、面倒な敵は分散させて倒すのがセオリーでありそれができない連中はただの間抜けだ

 

「ロキ、君の疑問は最もだ。だが彼らに重要なのはどれだけ自分達が英雄らしくいるかだ。自分達が乗り越えるべき困難は大きければ大きいほど乗り越えたその時の箔がつくって物だろう?」

「確かにそうだ。だがな、自分の力量を超えた困難は自他共に滅ぼすことになる。それを分からずに突っかかるなど…まさに愚の骨頂だな。さて無駄話もそろそろ終わりにして、貴様を送るとしよう

このロキが認めし極東の勇者達を頼んだぞ」

「心配するな。彼らはそんなにヤワな存在ではないのは君も知ってるはずだろう?」

風魔がそう言うとロキは風魔を転送したのであった




ロキに自分が原作を見て思ったことを、そして自分なりに考えたその答えを風魔にそれぞれ代弁して貰いました。
Q各個撃破は戦術の基本なのになんでしないのか?
A一度に強大な敵を倒せばそれだけ俺たちの株が上がるからだ!(はっきり言って自分の力量を分かっていないただのバカ)

それと大人子供はジャンプのヒロアカを読んで知った言葉ですが、原作イッセーを見ていて『何となく当てはまるな』って思いました
原作イッセー『(敵の正論に対して)うるせぇ!そんなのお前ら悪党の言いがかりだ!俺らが正しいんだ!』
なお敵が指摘したこと、あるいはその話で浮き出た問題はスルー
ヒロアカの某メインキャラ『(周囲から何らかの指摘があると)ウルセェ!テメェらモブは黙ってろ!殺すぞー!』
何故か周囲からの評価は高いが(連載開始時よりは多少丸くなってはいるとはいえ)いくら成績優秀でも生活態度なんかを見ると速攻で除籍処分されてもおかしくないし、劇中で全く頭を下げたことない様な奴にヒーローになって欲しくない

話は逸れましたが言いたいことは粋がってる奴ほど痛い目に会わなきゃいけないってことです。
自分は強いと粋がってたら返り討ちにあって心身ともに辛いですし、何より人としての成長にはそういったことが必要不可欠って訳です。自分にできることをしっかり理解してできる範囲でやり、出来ないことは頭を下げて教えてもらったりやって貰う。
そうしないとソウゴの叔父さんが言ってたような『人の痛みがわからない王様』になっちゃいますよね

それでも反省したりしないと自分よりもっと悪い奴の餌食になります(byレモンプロフェッサー)
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