プロローグ
なあ、おっさん。信じられるか?
俺たち、兄弟になるんだぜ……?
あれから20年経った。あの戦争からもうそんなに経ったんだぜ?アンタと出会って、別れて、大切なモノを託されてからの月日だ。
なんだろうな、色々と言いたいこと、話したいこと、伝えたいことが沢山あるってのにこうしてアンタの前に立つと思ったより言葉が出ねぇや。
俺もだいぶお喋りな部類だと思ってたけどまだまだ小心者だよな。お陰様で嫁さんの尻にすっかり敷かれてるんだ。
ほんと、月日は人を育てる。
対して俺は成長できたかな?
お前の倅や俺の娘は健やかに育ってくれた。若い世代は育ってるよ、アンタやシャスターさんの残してくれた希望。新しい世代は新月を越えて満月に向かっている。
時々、不安で仕方ない時があるよ。
あの子達はそのうち俺たちの庇護なんて必要なくなるだろう。子供はいつまでも子供だって思ってたのになぁ……。子供はいずれ俺たちを追い抜いて行くんだよな。
それを今日、お前の息子が教えてくれたよ。
アンタの代わりに高い壁でありたかったんだけどな。流石に次期整合騎士長でお前の息子で、俺の弟子だよ。本当に強い子になった。
ついこの前までピーピー泣いてた赤ん坊が……本当に逞しくなった。本当に……。
あの子になら娘を託せる。
俺たちが育んだ希望がまた新たな希望を産む。そうしてまた新たなバトンが紡がれる。
俺の役目はそれを見守ること。
そんなことは分かってるんだけどなぁ……。
まだ、守っていたい。あの子たちに必要とされたいんだ。だって、俺たちにとっては堪らなく愛おしい子供達なんだから。
せめて、あと少し。俺の手で守ってやりたい。
これは俺のわがままなんだろうな。
嫌だなぁ……。このままじゃ俺、老害になっちまうかも。これも親心って奴なのかな。
まだ俺には難しいや。人としても親としてもまだまだ未熟なんだな。
きっとこのままなんだろう。自分じゃ精神的成長なんて感じられないまま気が付いたら父親になって、次は祖父になる。この世界で歳を取らない俺はこのまま若い世代に置いていかれる。
そうだ、怖いんだ。
歳を取れず周りに置いていかれるのが。
整合騎士として数百年生きていたアンタもこの道を通っていたのだろう。不思議な気分だ。若かりし頃のお前と同じ道を今、歩もうとしている。
なあ、そこにあるのは孤独か?
そこにあるのは絶望か?
教えてくれよ、ベルクーリ……。
自分よりも早く子供が老け込んでいってしまうことも、死んでしまうことなんて分かりきっている。今のこの幸せが、喜びが時間共に薄れてゆくのが堪らなく怖い。
——子供達の成長が怖いんだ。
後書き
ifルート『ロニエ』スタート。
お待たせしてしまってすみません。
なかなか時間が取れず、なかなか筆が進まず、気がつけば数ヶ月。本編完結してしまって気が抜けたのか、そんな感じです。
今後も不定期更新が続きます。
次話が投稿できるのは明日かもしれませんし、数ヶ月先かも知れません。どうか気長にまってやってください。
次回もよろしくお願いします。