SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

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前書き

最近、戦闘やらよく分からん説明ばかりだったので、息抜き代わりにアンダーワールドにおけるアルス、アリス、キリト、ユージオの過去に付いて書いてみようと思い、番外編を執筆しました。

……楽しんで貰えれば幸いです!

追記。5月12日.22時29分。
すみません、投稿するにあたって番外編に投稿ではなく、ストーリーに投稿してしまうというミスをしました。
「あれ?最新話……どこ?」という状態になった方。申し訳ありません。


懐かしき、あの日々

これは、過去の記録。

誰もが忘れ、彼らだけが思い出す事が出来た昔話。

そんな、彼らの昔話をしよう。

 

———————————————————

 

《北の最果て》そう呼ばれる場所にあるこの村に2つの声が響く。

 

「ほら、やってみなさいよ。"アルス"!」

 

「む、無理だって!」

 

アルスと呼ばれた少年は自分を引きずる様に歩く少女に向けて必死に抗議の声を上げるが、少女はその声を華麗にスルーして歩く。周りの大人達はその様子を「ああ、またか」と慣れた様子で暖かく見守っている。

 

「もう!なんでやりもしないうちに無理って決めつけるのよ!」

 

「だって俺は"アリス"ほど脳天k……明るく無いし」

 

「ねぇ、アルス。今なんていいかけたのかしら?怒らないから言ってごらん?」

 

アリスと呼ばれた少女はアルスを引きずるのを一旦止めると、アルスに向けてニコッと笑顔を浮かべる。その笑顔はここには居ない親友2人以外の同い年の子供が見たらきっと恋なりなんなりに落ちたことだろう。

だが、アルスはその笑顔が好意ではなく、ある種の威嚇である事を本能的に悟っていた。

 

「あ、そうだ!俺、"キリト"と"ユージオ"の仕事を手伝いに行かないと……という訳で、じゃあの!」

 

「あっちょ!?待ちなさぁぁぁい!!」

 

アルスは天啓を受けたかの様に一気にまくし立て、左手をビシッと上げると親友2人が働いているであろう場所に向けて一目散に駆け出す。

当然、アリスもそれを追おうとするが、

 

「……まったく、逃げ足だけは速いんだから」

 

砂埃を上げながら逃げるアルスの後ろ姿を見ながら呆れ気味にクスッと笑い、彼らのお弁当を作るべく自分の家へと足を向けるのだった。

 

———

 

悪魔の巨樹《ギガスシダー》の下。その幹に向かって斧を振るう2人の少年がいる。

 

「はぁ…はぁ、はぁ!つ、疲れた……」

 

アルスは無事にアリスから逃げ切った事を実感すると膝に手を付き、息を整える。

 

「あ、アルス!」

 

「おっ?本当だ。遅かったなアルス。何かあったのか……っていつものアレか」

 

アルスを見つけるなり歩み寄ってきた少年2人……ユージオとキリトは未だに息を整えているアルスを見て苦笑してアルスを引きずりながら歩くアリスを想像する。

 

「まったく……アリスも鬼だよ。俺にジンクとジンクの親父さんと話せっていうだぜ!?」

 

ようやく息を整え終えたアルスが先ほど陥った危機を当たりだす。

 

「う、うーん。まあ、僕もジンク君は苦手だから気持ちは分かるよ」

 

「あまり甘やかすなよユージオ。お前は苦手と言っても会話出来るだろ、でもアルスは目を合わせることすら厳しいじゃないか」

 

一応ユージオの出した助け船をキリトが容赦なくぶった斬る。

そう、この会話で分かると思うが、アルスは俗に言う"人見知り"であり、重度のコミュ症なのだ。

アリスがアルスを彼方此方に連れまわすのも一応は〈アルスの人見知りを改善する〉という名目である。え?じゃあ本当の目的はなんだって?それはご想像にお任せします。

 

「ははっ。でも、アルスが困ってたらまず助けに行くのはキリトだよね、それも全速力で走って」

 

「うっ……!」

 

ユージオが笑顔で言い放った事実にキリトは少しバツが悪そうな顔をするが、

 

「そ、そんなことよりアルスも来たんだし遊ぼうぜ!」

 

と誤魔化すように言う。

 

「お、おい。流石に仕事を終わらせてからにしないか?僕らもまだ今日の分の打ち込みを終えてないだろ?」

 

その発言に対して優等生なユージオは仕事を優先すべきと至極当然で真っ当な事をいうが、結局はアルスやキリトの詐欺師もビックリな誘い文句に陥落する事となり、思いの外……というか、計画発起人である、キリトとアルスよりも楽しんだのだった。

 

———

 

そして、数時間後。

 

「成る程、それで全く仕事は進んでないのね」

 

「「「……はい」」」

 

昼飯時になり、いつも通りにパイを持って来たアリスが遊び呆けている3人を見つけて、現在は説教中である。

 

「というか!なんで私を誘わないのよ!?」

 

「「「え、そっち!?」」」

 

アリスが予想外の方向に怒っていた事に3人が声を合わせてツッコミを入れるが、アリスは少し頬を膨らませている。

 

お、おい。どうする!?あれは結構不機嫌だぞ?

 

くっ……あの時に僕が自制していればっ!

 

気にするな、もともとは俺とアルスの所為だ。……よし、アルス。アリスにキスして来い

 

よし、分かった……て、できるかぁ!

 

声がでけぇよ!

 

キリト、お前の声もでかいよ

 

なんで俺なんだよ!?別にお前やユージオでも良いだろ!?てか、そもそも禁忌目録違反で整合騎士に連行されるぞ!

 

誰が唇にして来いっていったよ!頬っぺた辺りにアルスがすればもとに戻るさ!………多分

 

アルス、キリト、ユージオがどうすれば機嫌が直るのかを色々と考え出した時、グゥーと男衆3人の腹の虫が同時に鳴いた。

その様子を見ていて耐えられなくなったのか、アリスは一気に顔を破顔させ、ころころと笑った。

 

「もういいわ。ほら、それより食べましょう?」

 

「「「あ、はい」」」

 

ユージオを除いた悪ガキ2人も空腹には勝てないらしく、アリスの誘いに強く頷いた。

 

4人はそれぞれパイを1切れずつ手に持ち、アルスとキリトとユージオは口いっぱいにそれを頬張り、アリスは一口ずつ大きめに齧っていく。

ものの10分でそれらをたいらげると4人は息を吐いた。

 

「それで、お味はどうだったかしら?」

 

「うん。美味しかったよ」

 

「ああ。いつも通りに美味かった」

 

アリスの質問にユージオとキリトが答える。

実際はこの弁当を作ったのはアリスの母で、アリスはそれを手伝った。と言うのが真実なのだが、彼女が作ったと言う触れ込みなので2人はそれをスルーした。

 

「あ、アルスはどうだった?」

 

そして、少しソワソワしているアリスの質問がまだ感想を述べていないアルスへ向けられる。

 

因みにアルスはアリスの家で食事をご馳走になった事があるので、弁当がアリス本人では無く、アリスの母が作り、それをアリスが手伝った。という真実を他の2人と違いスルーする必要のない唯一の人物と言えるのだ。

 

ついでにアリスがソワソワしているのはそれを暴露されるのでは?と言う不安では無く、全く別の理由で落ち着いていないだけである。

 

「うん。美味かったよ、たぶんパイの生地を作ったのはアリスでしょ?腕を上げたね」

 

「ッ!そ、そう。………よかった

 

アルスがパイの分析をして感想を微笑みながら伝えるとアリスは少し素っ気ない言葉でそっぽを向くが小声で何かを呟き、態度と裏腹に、はにかんだ笑顔を浮かべていた。

 

「「………」」

 

その様子を見ていたキリトとユージオは明らかに自分達が感想を伝えた時とは違う反応を見て少し苦笑した。

 

なあ、さっきの頬っぺたにキスって別に的外れな選択肢でもなかったんじゃないか?

 

ああ。僕もそんな気がして来たよ。そしてアルスはそれに全く気付いてないし……

 

キリトのユージオは、はにかむアリスと微笑むアルスを見ながらそんな事を小声で言っていた。

因みに2人は本当に小さい頃からアリスの好意がアルスに向けられていた事に気付いていたが、当のアルス本人は全く気づく様子がない事に「どこまで鈍感なんだ、こいつは」と共通の見解を持ち合わせていた。

 

 

そして余談だが、このメンバーの内で料理が一番できるのはアルスである。

 

食事から数十分たった頃、4人は遊んでいた。

 

「さて、遊びましょう!」

 

「「「………え」」」

 

あまりに唐突なアリスの誘いに3人は疑問符を付ける事が出来なかったが、そんな3人を意に会すること無くアリスは「だって3人だけで遊んでずるいわ」と頬を膨らませながら言ったことによりアルスは達には遊ぶ以外の選択肢が無くなったのだ。

 

最初はアリスに付き合う形で遊び始めた彼らだが、そこはまだ12歳の子供。途中から本格的に楽しみ始めた事は言うまでもないだろう。

そして……そんな光景が4時間は続いた。

 

因みに、4人がその日の仕事が終わっていないことに気付いたのは空が真っ赤に染まった頃だった。

 

それに気付き、いそいそと仕事を始めた3人とそれの手伝いを始めたアリスの構図はまるで夏休み終了前日に宿題をしていないことに気付き、答えを見せてくれと頼み込む側と答えを見せる側の様であった。

 

 

———

 

そして、4人が仕事を終えた頃。日は完全に落ちていた。

流石にこれだけ焦って仕事をした事が無かった3人とそれを手伝ったアリスは疲れ切って4人で円を作るように横になった。

 

「ははっ!まさか、こんなに時間が掛かるなんてな」

 

キリトが笑い半分、苦手半分で言った。

それもその筈だ。キリトとユージオが仕事を始めたのが朝の9時頃、アルスが加わったのが10時半。そこから遊び呆けて、アリスがお昼を持って来たのが12時。そしてまともに仕事を始めたのが午後の4時。仕事を終えた現在の時間が午後の7時だ。

 

「そうだな、すっかり暗くなって、どこからが夜空でどこまでがギガスシダーの枝なのか分からないぜ」

 

アルスが呆れたように笑う。

それに釣られるように他の3人も苦笑を浮かべるが、しばらくそうしていた4人は声を揃えて言う。

 

「「「「まあ、楽しかったし。良しとするか!」」」」

 

円を作り、笑顔を浮かべて笑う4人の上には月の見えない、新月の夜空が広がっていた。




後書き

はい、番外編でした。
一応の本編との関連性を持たせるために《夜空の剣》の命名シーンでの回想シーンで言っていた"4人で見上げた夜空の思い出"を後半に書きました。

因みに前半で言っていたアルスの人見知りは苦手な相手に対して冷たい態度や反抗的な態度をとるタイプの物で、ウンベール、ライオス、クラースに対する態度はこれの影響です。

今まで彼らの過去に回想シーン以外で触れた事が無かったので、番外編と言う形で製作しました。書いていて戦闘シーンよりもこっちの方が向いてるんじゃないかと思いましたが……。まあ、それは置いておいて。

お知らせがあります。

まず1つ目、番外編の「クリスマスのif」シリーズを来週の日曜日、13時頃に削除します。理由としては……完全に恋愛な話はもう少し力を付けてから書き直そうと思ったからです。徹夜ハイなテンションで書いたので納得ができなかったと言うのが大きな理由です。

2つ目。5月12日現在でストーリー上の最新話である「神殺し」に修正を加えます。これも納得ができなかったのが理由です。流石に何が言いたいのかが自分でも分かりませんでしたので。

3つ目。これから月に1度ペースで番外編を書く……かも?当小説で気になるエピソードを言って頂ければ番外編と言う形で話にして見ようと思いますので気が向いたらリクエストお願いします!

最後にお気に入りがいつの間にか100件を突破してました!読者の皆さん、ありがとうございます!!

以上でお知らせを終了します。
閲覧ありがとうございました!

2018年5月20日、13時11分。
「クリスマス記念のif」削除完了
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