SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

29 / 103
23話 核心

「うおぉぉぉぉーー!!!」

 

「はあぁぁぁぁーー!!!」

 

俺の《勝利の白剣》とアリスの《金木犀の剣》がぶつかり合う。その度に記憶が流れる、蘇る。

最初は"他人事に思えない映像"としか思えなかった。

だが、こうして何度も流れ込んで来るうちにこの映像は俺とキリト、ユージオに、目の前にいる整合騎士アリスの過去だと確信し始めていた。

 

「はぁ……はぁ……お前はそれほどの腕を持ちながら……何故、道を踏み外してしまったのです……?」

 

「はぁ……俺は、道を踏み外した……つもりは無いな、はぁ……キリトもユージオも……禁忌に触れてでも守りたいと思っただけだ。それが悪なら、自分が悪人だと罵られる事で俺達の後輩を助けられるなら、俺は悪人でも咎人でもなんでもいいさ」

 

これは俺の本心だ。

まだ予測の段階でしか無いが整合騎士達は騎士になる以前の記憶を何者かによって隠蔽されている。ベルクーリがそうだったように、目の前の彼女も記憶を隠蔽されているのだろう。

 

「それに、ダークテリトリーの騎士を助けようとしたお前には言われたくないな」

 

「……やはりお前にも見えていたのですね。でも、これはお前の術でもないのなら一体なんなのです。そもそも、私は天界から召喚された整合騎士です。それなのに幼い頃のお前や他の2人と遊び回り、ダークテリトリーの土に足を付け、禁忌目録に違反したなどと…ありえない話です」

 

………まて、確かにアリスはあの時に整合騎士に連れて行かれた。だったら……何故、その咎人であるアリスが整合騎士として公理教会にいる?

"ダークテリトリーに足を入れてしまった事によりアリスは咎人として公理教会に連行された"これはセルカやユージオも言っていたので間違いない。……なら、連行された後(・・・・・・)はどうなる?

そもそも、俺とベルクーリが戦った理由はなんだ?"俺の力を試すため"……あの時も疑問に思ったが何故にこれから処刑する咎人の力を試す必要がある?

 

「……一つだけ質問していいか?」

 

「私が答えるとは限りませんが口にするだけならご自由にどうぞ」

 

「なら遠慮なく……」

 

息を吸い込み、一つの知りたいことを質問する。

 

「咎人として連れて来られたのは俺達だけではない筈だ。なら、その咎人はどうなったんだ?」

 

俺の考えが正しければこの質問にアリスは……

 

「………ッ!?質問の意味が分かりません!!」

 

答えられない(・・・・・・)筈だ。

何故なら……

 

「"質問の意味が分からないのではなく、質問の答えを知らない"と言うのか君の本心だと思うが……違うか?」

 

「なっ!?」

 

「その反応……図星みたいだな。通りでおかしい訳だ」

 

「おかしい…?何がおかしいと言うのですか!?」

 

アリスが混乱しているな、無理も無いけど。

 

「まず一つ、俺達とお前達、整合騎士の認識の違いだ。前も言ったが四帝国統一大会の優勝者が整合騎士になることができる。これが人々の常識として知られている。今年もたしか……エルドリエって貴族出身の人が整合騎士になった筈だ。それなのに何故、お前達はその常識を知らない?」

 

「……エルドリエが貴族の出身……?」

 

この反応……どうやらエルドリエは整合騎士になっているらしい。それで1つ目の確信を得た。

 

「そして二つ、禁忌目録に違反した者をここまで連行するのも整合騎士の役目の筈なのに、どうしてその咎人の事をしらない?」

 

「最後に三つ目、どうして俺がここにいるんだ?」

 

「……はあ?」

 

アリスが剣を構えながら"何言ってるんだ?こいつ"てきな目を向けて来る。

 

「あー、ゴホン。俺が言いたいのは何故に俺の力を試す必要があったのかという事だ。私が直々に手を下すと宣言した相手の力を知る必要があるか?だってここは今の俺に取っては処刑場だぞ、わざわざ騎士長のベルクーリまで出張らせて俺の力を試す理由はなんだ?」

 

そして……

 

「そして、君が何故、整合騎士なんだ?例え頭の中に流れてきた映像が俺の術だったとしても、君が咎人だったどいう事を知っている人物は他にもいる」

 

なによりも、目の前の彼女が一つ目以外の俺の疑問の答えを如実に物語っている。

 

「いいか、アリス。禁忌目録を犯した者がどうなるのか。それを今の君自身がどんな物よりも確実に事実を物語っているんだ」

 

俺が言い放った言葉を受けてアリスは動揺している。

 

「私が……咎人……で」

 

さっきまでこちらに向けられていた剣は地面に切っ先を向けている。

 

「うっ……!目が……右目が熱いっ!?」

 

「アリス?」

 

アリスが右目を抑えて苦しみだした。

アリスは俺達の旅の目的でそんな彼女が何故に整合騎士になったのか。それを追求するためとはいえ、

流石に一気に言葉にしすぎたのかと思ったが、その直後。空気の流れが変わった……。

 

「エンハンス………」

 

彼女の口元が動いているのを見て、口がエンハンスと口にした事で武装完全支配術を使うため、詠唱を始めている事に気付いた。

 

「エンハンス・アーマメント!!!」

 

「アーマメント!!!」

 

アリスの武装完全支配術に合わせて俺も勝利の白剣の武装完全支配術を発動させる。無論、俺の目的は武装完全支配術同士をぶつける事で相殺する事だ。

 

彼女の剣が無数の花弁となり俺に襲いかかろうとするが、勝利の白剣が複数の場所に斬撃を発生させ続ける事でその花弁達を弾く。

 

「でりゃぁぁぁぁぁーーーー!!!」

 

俺は今までに無いほどに気合を込めて剣を振るった。

俺達の忘れ去られた過去を見たから。

この旅を無駄にしない為に。

過去の自分達に報いる為に。

 

そして、俺の腰……正確には腰に当たっている黒藍の死剣が熱くなっているのを感じた。まるで「自分も使え」と主張するかのように。

 

(そうか、お前も力を貸してくれるか)

 

俺は空いてる手で天命を回復させるために鞘に収めていた黒藍の死剣を抜刀する。

 

「うおぉぉぉぉーー!!!エンハンス・アーマメントォォォォ!!!!」

 

俺の手の中の2振りの剣が今まで見せたことのない程の輝きを放つ。それに同調するように剣を握る手と剣の柄との境目が分からなくなるような感覚が生まれる。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」

 

「えっ…………!?」

 

俺の叫びに呼応するように俺の剣達の放つ数億の斬撃が陽炎のように現れ、弾かれて舞い散る黄金の花弁達の輝きを反射させ、幻想的な景色を創り出す。

 

ピシッ!ビシビシっ!!!と音が聞こえる。

手元の剣を見るが、罅のような物は見つからない。

だが、音は未だに鳴り響いている。

 

ドオォォォォォン!!と何が爆散する音と共に、背中の鞘と手元にある勝利の白剣が弾き飛ばされた。

 

「うぐっ!?な、何が起きた!?」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

辺りを見渡し、状況を確認する前に、壁に巨大な穴が空いてそこに吸い込まれ、外に投げ出されているアリスを見つけた。

 

「アリス!?くそっ!間に合えぇぇぇええ!!!!!」

 

投げ出されたアリスを追うようにして自動的に塞がれかかっている壁の穴に飛び込み、虚空に身を放り出した。

 

 




はい、今回はアルス君が整合騎士の成り立ちについて軽く核心を突く話でした。アリスが突然、武装完全支配術を使ったのはパニックのあまり、考えが纏まらずよくわからない行動に出てしまうという心理的な物だと考えてください。

アルスとアリスはしっかり和解する事ができるのでしょうか?それは次回という事で、閲覧ありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。