SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

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今回は、ようやくアルスの秘密について語られます。
むしろアルスの秘密について語るための話です。
後書きに補足の様なものを書きますのでそちらも読んで貰えるとありがたいですσ(^_^;)
それでは本編をどうぞ!


27話 《彼》

「……ここは、何処だ?」

 

目が覚めたら見覚えのない場所にいた。

俺は……そうだ。アリスを逃して、ベルクーリが石化するのを目撃して……元老長に負けたんだ。

 

「あら、目が覚めたのね」

 

「ッ!誰だ!?」

 

若い女の声が話しかけてきたので不審に思い、咄嗟に声を上げるが……そこには全裸の女が居た。

 

「あら、私のことを知らないのね、いいわ、教えてあげる。私は———最高司祭アドミニストレータ」

 

「——⁉︎」

 

あまりのことに言葉が出ない。

目の前の女は何を言っているのだろう……。

最高司祭アドミニストレータ……?それは確か公理教会の……長で、アリスやベルクーリ達、整合騎士の記憶を弄った張本人だ。

 

「まあ、言いたいことはあるかもしれないけど今は静かに私の話を聞きなさい」

 

「———」

 

アドミニストレータの"静かに私の話を聞きなさい"という言葉がまるで何かの呪いかのように声が出ない。

 

「結論から言うとね、私はあなたが欲しいの」

 

"俺が欲しいとはどういう意味だ?"そんな言葉すら紡げない。

 

「チュデルキン!」

 

「ハィィ!お持ちしました、猊下ァァァ‼︎」

 

言葉すら紡ぐことを許されない俺をよそに、物事は着々と進められている。

元老長——チュデルキンが持って来た物に目が向かう。

 

「よくやったわ。下りなさい」

 

「ホォッ‼︎ありがたきお言葉ァァァ!」

 

アドミニストレータはチュデルキンの持って来た《2振りの剣》を受け取ると出て行くように促す。

チュデルキンは狂喜乱舞しながら出て行った。……だが、依然として俺の目は《2振りの剣》に向いている。

 

「さて、この剣が何かは聞くまでもないわよね?」

 

……当たり前だ。目の前にある《2振りの剣》。

そのうち片方はベルクーリの愛剣《時穿剣》。

そして、もう片方は……俺の愛剣《黒藍の死剣》だ。

 

しかし、何故にこの2振りの剣を俺の目の前に持って来るのかが分からない。

 

「『……昔々。この世界に人が現れ始めた頃。

4頭の馬が降りてきた。4頭のうち、一頭は白く、一頭は赤く、一頭は黒く、もう一頭は青かった。

 

白い馬は"勝利"を司る。

赤い馬は"戦争"を司る。

黒い馬は"飢饉"を司る。

青い馬は"死"を司る。

 

だが、4頭を恐れた当時の術者や戦士達は馬達を封印する事にした。

 

白い馬と青い馬は一騎の騎士になり、赤い馬と黒い馬は戦車になった。

 

騎士と戦車はまさに鬼神の如き強さだった。

騎士が一度剣を振ると術者も戦士も千人が薙ぎ倒された。

戦車が駆けると地は割れ、空気は吹き飛んだ。

 

……だが、やがて現れた騎士により、白い馬と青い馬は封印された。赤い馬と黒い馬はダークテリトリーへと逃れた』」

 

「——!?」

 

今度こそ俺は音無き声で驚愕した。

"なぜ、お前がそのフレーズを知っている"そんな俺の思考を読んだかのように女は嗤う。

 

「このフレーズを知っているわよね。何故なら——これは《原初の馬達》の物語なのだから」

 

《原初の馬達》という聞き覚えのない単語に首を傾げる。

あれは、白い馬と青い馬の記憶じゃなかったのか?

 

「半分正解で半分ハズレね。あなたはあの馬達のルーツをしらないのでしょ?」

 

またさりげなく思考を読まれた気がするが、そんな事はどうでもいい。《馬達のルーツ》と単語が気になった。

 

「あの馬達はね、《原初の四人》がこの世界のユニットかどのような動きをするのかを記録する為に生み出した存在でね、さらに細かく説明するのなら……動物ユニットが《座標》をどの様に移動したのかを《ログ》に記録する為のユニットだったの」

 

《座標》と《ログ》と言う言葉に息を飲む。

正直に言うと心当たりはあった。

《黒藍の死剣》と《勝利の白剣》の武装完全支配術。

それを何度も繰り返す中で感じた違和感。

俺はこの2振りの愛剣達の力を

『斬撃を自分の任意の位置に発生させ、増幅する』

だと思っていた。だが、現実は……

 

「この剣の力はね、『座標というログに干渉して事実を転写する』という物なのよ」

 

『座標というログに干渉して事実を転写する』文字にするのは簡単だが、これは異常な事だ。

ザックリと説明するのなら、【俺が剣の力を発動させ、剣を振るったら、その斬撃が俺の指定した座標に上書きされ、ログにその場で斬撃が発生したと言う事実を追加する】……要するにシステムに干渉するという事だ。

 

アドミニストレータが目を細め、愛おしそうな目を向けて来る。

 

「ここまでワクワクするのは一体、何十年ぶりかしらね」

 

何十年ぶり……とりあえず、目の前の全裸の少女が見た目とは違い年増なのはよく分かった。

 

「でも、謎なのは《これ》よ」

 

そう言ってアドミニストレータは《時穿剣》を持ち上げる。

 

「この剣はベルクーリが唯一の使い手な筈、それが何故にあなたに扱えるのかしらね」

 

そんな事は俺が知りたいくらいだが、ここは俺も考えるべきだろう。

 

「……こじ付け程度に言うのなら、この2振りの剣には共通点があるわ」

 

《黒藍の死剣》と《時穿剣》の共通点?

………ベルクーリの発言。

"まあな、俺の剣は時を穿つ。ちょいと先の未来を斬ったのよ"

時を穿つ。先の未来を斬った。

これらの発言から予測できる《時穿剣》の能力。

『時間というログに干渉して事実を置いてくる』

それが恐らく《時穿剣》の力……そして《黒藍の死剣》と《時穿剣》の共通点。それは……

 

ログに干渉する(システムに干渉する)こと。】

 

では、何故にそれを俺が扱う事が出来るのか。

——それは、俺のルーツに直結する。

 

|MHCP《メンタルヘルス・カウンセリング・プログラム》試作0号コードネーム《Arusu》

 

……それがきっと最たる原因だろう。

試作0号なのは俺がSAOの正式サービス開始時に作られたのではなく、SAOのβテストで試験的に作られたからだ。

 

そして、当時(βテスト)でMHCP《Arusu》に与えられた役割は『プレイヤーがいつ(時間)どこ(座標)にいたのかを記録すること』

 

それが現在の状況を説明するのに一番適した答えだ。

 

「まあそれは後で解き明かすとして、あなたへの興味は尽きないわ」

 

"俺としてはあんたに欠片ほども興味がないのだが"それが伝わることはなく、目の前の女は言葉を紡ぐ。

 

「私はあなたが欲しくて堪らない。けど、あまりに無抵抗なのもつまらないわ………だから、少しでも抵抗して私を悦ばせてね」

 

その言葉を聞いた直後、視界が黒くてドロッとした何かで染まる。

 

(キリト……ユージオ……アリス。みんな……どうか、無事でいてくれ……)

 

それを唯一残された思考で考えると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルスと言う人格は黒い何かに呑み込まれた。

 

 

 




後書き

はい、アルスの秘密についてでした。
分かり辛かったですかね……。

《黒藍の死剣と勝利の白剣について》
"黒藍の死剣と勝利の白剣"はアンダーワールドでAIがどの様に座標を移動するのかをログに記録することを目的として配置された馬達のコアが剣になったので『座標というログに干渉して事実を転写する』力を持っています。

武装完全支配術で斬撃が数億単位で発生する

これは斬撃を数億単位の座標に上書き転写することで可能になっています。

《アルスについて》
メンタルヘルス・カウンセリング・プログラム……以下、《MHCP》と呼称。

MHCP試作0号コードネーム《Arusu》はβ版SAOでカーディナルシステムがプレイヤーの動向を知るために、いつ(時間)、どこ(座標)にいるのかを把握するために試験的に生み出したプログラムでそのデータを基に《ユイ》たちが生み出されたのでMHCP試作0号という呼称になっている。

アルスが《黒藍の死剣》、《勝利の白剣》、《時穿剣》を使うことが出来るのは以上の経緯があります。


——
以上で説明は終わりますが、アルスの設定の一部は原作、アニメで「プレイヤーがいつどこにいたのかを知ることが出来る」てきな発言から引用しています。

長文を読んでいただきありがとうございました!
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