SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

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えー……主人公の弱闇落ち疑惑のお知らせ。

「最高に高めた俺のフィールで最強の力を手に入れやるぜ‼︎」

のような行き過ぎた感じはありませんけどねσ(^_^;)




30話 再会

96階《元老院》扉前。

 

「……あと4階」

 

フロアを上がる度に焦燥が駆り立てられる。

アルスは今だに姿を見せない。コレはまだ俺たちに姿を見せていないだけなのか、それともまだ洗脳されていないのか。どちらにせよ、隣にいつもいた奴が居ない……アインクラッドでもアルスと離れていたのはアスナと俺が結婚した頃だけだろう。それだけ一緒にいた奴が敵として現れるかもしれないと思うと言い知れない恐怖が襲ってくる。

 

「キリト……手が震えてるけど大丈夫かい?」

 

「……ああ。大丈夫だ」

 

ユージオに心配されてしまった。よく見るとアリスの顔色も良くない。

 

「開けるぞ?」

 

「うん。早く進もう」

 

「そうですね、私も同意見です」

 

2人の同意も得たので扉を開けた。

………そこには俺たちが探していた人物が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお……アルス」

 

目の前の人物に声を掛ける。

黒い藍色のコート、背中に同じ色の剣。腰には鋼色の剣。

その姿はまるでアインクラッドでのアルスを再現したかの様で懐かしさを覚える。

 

「……来たか」

 

アルスが振り返る。

だが、その眼を見て力が抜けていく。

 

「……そんな………どうして……?」

 

虚ろな瞳……。アルスが敵として出てくる事は想定していた。だが、アルスのあの虚ろな瞳を再び見る事になるとは思わなかった。

 

——キリト……俺は消えたくない、死にたくないんだっ‼︎

 

アインクラッドの70層……あの時だったな。

アルスが|MHCP《メンタルヘルス・カウンセリング・プログラム》だと発覚し、自暴自棄になったのは………。

今のアルスはあの頃と同じ眼をしている。

 

「ユージオ、アリス……アルスは俺に任せてくれないか?」

 

「キリト……大丈夫なのか?」

 

「正直に言うと自信は無い……だが、今のアルスは俺が止めなきゃ行けないんだ!」

 

「……そこまで言うのであれば任せます。ただ……必ず2人で戻るように……気を付けて下さいね。アルスの腰にある剣は《時穿剣》。あれを抜いている時は特に」

 

「ああ。ありがとな」

 

アリスとユージオから許可が出た。

俺はアルスと向き合う。

 

「俺の相手はお前か?」

 

虚ろな瞳で俺を射抜くように俺を見据えてくる。

 

「ああ。そうだよ、アルス」

 

「……なぜ、俺の名を知ってるんだ?」

 

「俺がお前の親友で……相棒で……半身だからだよ」

 

俺がそう言うと、アルスは背中の《黒藍の死剣》を抜刀し、射抜くような瞳を部屋の隅に向ける。

 

「おい!そこに居るのだろう?肉団子」

 

「ホアアアッ!誰が肉団子ですゥかァ‼︎」

 

「貴様以外に誰が居る?」

 

アルスが"肉団子"と呼びながら剣を視線の先に向けると肉団子と呼ばれても「ああ。これは肉団子だ」としか反応しようの無い背の低く、丸いピエロの様な男がいた。

 

「"0号"!お前ェ早く猊下に申し付けられた任務を遂行しなさァァァァァ!!」

 

「……喧しい肉団子だ」

 

アルスがうんざりした様な表情で《黒藍の死剣》を握る右手を下げ、何も持たない左手を開いた状態でチュデルキンに向ける

 

「何のつもりですかァ⁉︎」

 

喚くチュデルキンに向けた左手に力が込められる。

それと同時にチュデルキンの周りに薄い青色の刃が数十本ちかく現れる………奴に逃げる術は無い。

 

「ホアアアッーーーー‼︎⁉︎コレは《心意》ぃ!?」

 

「はぁ………本当にリアクションが喧しい……」

 

心意……アルスがそれを使えるのは知っていた。

だが、今までアルスが使っていた心意は光を纏う事がたまにあったが、数十本の刃に光を纏わせる事は無かった。

 

そしてリアクションという言葉。アンダーワールド人ならあり得ない言葉遣いだ。この世界の住人はカタカナな言葉を神聖語と言う。そしてその意味を知る者は少ない……。つまり、アルスは記憶を弄られた訳ではない。

それを知る事が出来て胸を撫で下ろした。

 

「消えろ」

 

アルスがそう呟き、開いていた左手をまるで何かを握り潰す様に握り締める。

 

「ホヒイエエエェェェーーーーッ‼︎‼︎」

 

アルスの手が握られると同時にチュデルキンの周りに浮かんでいた数十本の刃がチュデルキンに襲い掛かり、身体に突き刺さる。そして、チュデルキンは悲鳴を断末魔をあげて倒れる………その身体が動き出す事はもう無い。

「さて、待たせたな」

 

部屋の隅にあるチュデルキンの死体を一瞥し、俺に眼を向けるアルス。相変わらずその目には感情を感じ無い。

 

「なあ、さっきチュデルキンの言っていた"0号"って何なんだ?」

 

「……ああ、俺は"アルス・シンセシス・ゼロ"それが名前だ。本来なら俺はサーティーツーだったらしいんだが、初めての"完成された整合騎士"という意味でゼロの名前が与えられた。"0号"ってのはそう言う意味だ」

 

完成された整合騎士か……成る程。

さっきの《心意》はそう言うことか。

いつだったか、アルスは心意を説明する時に高度な自己暗示だといった。つまり、完成された整合騎士と思い込まされる事で、心意を心意で強化した訳か……。

 

「なあ、お前はこの剣に見覚えが無いか?」

 

俺は背中の《ホワイトライダー》を引き抜き、アルスに見せる。

 

「《勝利の白剣》……それがどうかしたのか?」

 

「《勝利の白剣》か……」

 

その名を聞いて、少し笑いが溢れてしまう。

今までの状況を鑑みるにあの白い玉を剣にしたのはアルスが連れて行かれる前。なら、剣に名前を付けたのも同じ時期の筈……それでも名前を覚えているという事はやはり記憶を抜かれた訳では無さそうだ。

 

「お前の剣だろ?返してやろうか?」

 

「いや、結構だ。見ての通り剣が既に2振りあるのでね、その剣はお前に貸してやる」

 

「貸す……?変な奴だな。敵に塩を送るのか?」

 

「変なのはお前も同じだ。何故にわざわざ俺に剣を返そうとする?そして何故にお前は今だに剣を抜かない?」

 

「言ったろ?お前は俺の親友で相棒で半身だって。話し合いで済むならそれが一番じゃないか」

 

「気楽な奴だな……それと同じくらいに不思議な奴だ。お前には剣を向ける事ができても殺す気にはなれない……」

 

アルスはここにきて初めて困った様に笑みを浮かべた。

 

(ああ……お前はやっぱり人間だよ。例えお前が自分自身を人間じゃないとか、幽霊だとか言っても、俺が否定する。だって……どんなに瞳が虚ろでも、感情は失われていない。そんな奴が人間じゃない訳がない)

 

「まあ、コレも仕事なんでな。命までは取らないから早く剣を抜け」

 

アルスは《黒藍の死剣》をこちらに向けて来る。

 

「ああ……。俺もお前を倒して必ず正気に戻してやる!」

 

俺は腰の愛剣を抜き、

右手に《黒いヤツ》

左手に《勝利の白剣》を握る。

 

「へぇ……お前は二刀流か」

 

「ああ!コレが俺の本気だ。それに、俺の二刀流は俺だけの物じゃない。昔……お前と何度も試合をして磨いて来た。俺とお前の物だ‼︎」

 

「俺とお前の………か」

 

アルスは少し考えるそぶりを見せて腰の《時穿剣》を抜き、左手で握る。

 

「お前……名前は?」

 

「《黒の剣士》キリトだ」

 

「《黒の剣士》か……何故だか懐かしい感じがする。

———アルス・シンセシス・ゼロ。行くぞ!」

 

2振りの剣を持つ2人の剣士がお互いに駆け出し、剣と剣が火花を散らす。

 

 

 

 

2人の剣士の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、後書きです。

えー……チュデルキン退場に関してはセリフが描きづらいのとアルスの整合騎士化に伴って力を分かりやすく示す為に瞬殺させました。アルスが呆気なくチュデルキンに連れて行かれたのはこの演出の為だったりします。
チュデルキンファンの方、申し訳ございません。

それからアルスの二刀流使用に関しては『着替え』にて
「二刀流は……2度と使わないつもりだったんだけど……まあ、二本同時に使わなければ良いか」
というセリフが伏線となっています。
設定的には
【キリトが二刀流スキルを入手した時に二刀流の立ち回りを一緒に学ぶ為にあるアルスも剣を二本装備してキリトとデュエルで鍛えた。】
と言う感じです。

毎度分かり辛くて申し訳ございません。
この様な不出来なSSですが、これからも読んで下さると幸いです!

それでは閲覧ありがとうございました!
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