えーと、前回の感想で頂いた意見、感想により、勝手ながら《ダークリパルサー》は純白、《青薔薇の剣》を水色と表現させて頂くことにしました。意見をくださった方々、ありがとうございました!
〜数分前〜
身体は漸く動く様になった。
気だるさは未だ消えない。本来ならこの違和感が消えるまで安静にしておくべきなんだろうが……。そんな余裕も時間も無い。
「かと言って今から走ったとしても手遅れな気がする……」
随分前……《月夜の黒猫団》が壊滅した時に感じた直感に近い感覚がある。
残念ながら、俺のこの手の感はよく当たってしまう。
走っても間に合わない。でも、ここで悪戯に時間を浪費する訳にもいかない。そんな時だった。ふと、身体の芯が熱くなり、視線が自分の愛剣に向く。
「………」
無言で《黒藍の死剣》を引き抜く。
この黒い藍色の剣と乗り越えた戦いはまだ数回、それでもその1回1回はとても濃厚な時間だった。
この剣は嘗ての愛剣に酷似している。
SAO時代に50層で手に入れ、俺が装備できる様になってから最後まで俺を支えてくれた剣。
名を《ペイルライダー》といった。
酷似しているのは当たり前だ。なぜならこの剣に形を与える時、俺は《ペイルライダー》を強くイメージしたからだ。
「なあ、俺に何ができる?」
ふと、剣に問い掛けていた。
別に答えが返ってくるなんて思っちゃいない。
けれど、剣が熱くなるのを感じる。
まるで、『自分で決めろ』と言われているような、剣に背中を押されているような感覚。
「………」
俺は再び無言で思考する。
このままではまた大切な何かを失うかもしれないと言う予感がする。
そして、自分に何ができるか。
以前は間に合わなかった。そして仲間を失った。
今と昔で違う事、それはこの剣があるという事。
《黒藍の死剣》、その能力は
【
「もう一度……」
嘗て仲間を失った。また大切な何かを失うかもしれない。それでも、約束をした。アズリカ先生と、セルカと、ロニエと……そしてアリスと。
「もう一度……いや、あと一度でいい。だから、力を貸してくれ。奇跡を起こす為に、大切な何かを守る為に……!」
両手で《黒藍の死剣》を握り、目を瞑る。
微かに剣が脈打つ。
やがて、剣を握る手と剣との境目が無くなり、自分と剣が一つになるような錯覚が起きる。
座標に干渉し、斬撃を様々な座標に複写できるなら。
可能性はあるかも知れない。自分をこの座標から切り取り、目的の座標に貼り付けることができるかもしれない。
………いや、"できるかも"じゃない。"できるに決まっている"
手の中で愛剣が確かな熱を放ち、激しく力強く脈打つ。
俺は、目を開けた。
脳裏にはとある術式が浮かんでいる。
武装完全支配術には大きく2種類ある。
一つ目は強化。自分と武器の間にある絆、そして自分の中のイメージを武器の力を使って扱う術式、これを"強化"と言う。これが俺が今まで使って来た《エンハンス・アーマメント》だ。
そして二つ目。これは"強化"とは逆。自分のイメージではなく、武器の中に内包された記憶というイメージを担い手が引き出すと言うもの。これを"解放"という。
恐らく、今の俺の頭の中にある術式は後者だろう。
さて、ここに来るまでに散々前置きをした訳だが、今の俺に何ができるか、それを自分で決める事なんて出来ていない……。だから、精一杯やろう。後悔しない為に。
「——リリース・リコレクション!!」
頭に浮かんだ解放の術式を口にした時、《黒藍の死剣》が一際激しく光を放ち、視界が切り替わる。
この部屋を覚えている。
俺がアドミニストレータに洗脳された場所。
そして目の前に広がる光景。
キリトとアリスが焦った様に視線を向けている。その先にはアドミニストレータのレイピアが眼前に迫っているユージオ。
……良かった、間に合って。
俺は《黒藍の死剣》を片手で振るい、ユージオに迫るレイピアを弾く。
「よう、待たせたな」
キリト達にそう言った後、アドミニストレータに剣を向けた。
後書き
後書きです。
今回は前話の最後にどうしてアルスが何も無い空間から現れたのか、それの補足回でした。
改めてアルスの武装完全支配術二つの違いを説明すると、
"強化"……《エンハンス・アーマメント》は様々な座標に複数同時に斬撃を複写すること。簡単に言うとコピペを複数同時にしている感じです。
"解放"……《リリース・リコレクション》は空間を切り取り、貼り付けること。つまり、場所を移動することです。
この能力はチート化させる予定です。
以上がアルスの武装完全支配術に関する補足です。
冒頭に数分前と書いてあったのですが、「数分どんだけ長いんだよ!?」と自分でツッコミを入れてました。
それでは閲覧ありがとうございました!