なぜ、こんなにもシリアスな話が続くんだ……。
ネタが……ギャグ回がやりたい……!
迫り来る6本脚の剣の化け物。
それにいち早く対処しようと動き出したのはアリスだった。
「やあぁぁぁぁあ!!!」
永劫不朽の名を冠するアリスの《金木犀の剣》と剣の化け物の脚が火花を散らし、衝突する。
次に動き出したのはキリトとアルスだった。
2人の目的はソードゴーレムの弱点を攻撃すること。
アリスが囮となり、キリトが動き、ソードゴーレムを足止めすることで隙を作り出し、その隙にアルスが剣の力でソードゴーレムの関節部分を斬る。
事前に打ち合わせをしていたわけでも無いのに即席で連携を取り始めた3人にユージオは感嘆の息を漏らし、何かあったらすぐにでも動けるように《青薔薇の剣》に力を込める。
……だが、そこで予想外なことが起きる。
ガッキン!という音を立てて《金木犀の剣》が弾かれたのだ。永劫不朽の名を持つ剣が弾かれることを誰が予測できただろう?その剣を握るアリスは体勢を崩す。
『———!!!』
ソードゴーレムは識別不能な不協和音の金属音を鳴り響かせながらアリスへとその剣の脚を振り下ろす。
剣を弾かれ、身体を仰け反らせるように体勢を崩したアリスには回避不能………だが。
「させるかぁぁぁあぁぁあっ!!」
アリスに迫る凶刃に真紅の光を放ちながら剣を突き出すように突進するアルスが雄叫びをあげながらソードゴーレムの剣筋を少しでもずらそうと全霊の力を込める。
アルスが放っている技は《ヴォーパル・ストライク》。アインクラッドに置いて、全ての片手剣スキルの中でも超火力、随一の射程距離を持つ技だ。
そんな強力な技をアルスは今までに類を見ないほど渾身の力を込めて放った。
『———!!』
それでも剣の化け物にはいま一歩届かない。
だが、それに対して大人しく退くアルスではない。
「うおぉぉぉぉーー!!!」
ヴォーパル・ストライクの勢いが弱まる中、アルスは右足で地面を砕かんばかりに蹴る。
そして今度は剣が翡翠色の輝きを放ち、勢いが復活する。
アルスは細剣スキル《フラッシング・ペネトレイター》を放った。本来なら十分な助走を必要とする技だが、アルスはヴォーパル・ストライクの勢いを利用することで助走を付けずに発動させた。ユニークスキル《無型》の使い手だからこそ為し得た離れ業である。
『———!!』
「はあぁぁああーーーっ!!」
ソードゴーレムのあげる金切り声とアルスの雄叫びが混ざり合い、辺りの空気を震わせる。
"振り下ろす剣"とそれを"逸らそうとする剣"。軍配が上がったのは逸らそうとするアルスの剣だった。
ビュオォォォと風を切り裂く音を響かせながら、アリスの細身の肩の数セン横にソードゴーレムの脚がめり込む。
だが、代償は大きく。
「ぐぅっ!?」
先刻、アルスが負った胸の傷から血が噴き出した。
「アルスっ!」
咄嗟にアリスがその身体を支えるも、その身体は想像以上に軽く、肌は青白くなっていた。
『——』
そして、そこへソードゴーレムの無慈悲な追撃が下される。
「くぅっ!?」
アリスはそれを受け止めるが、アルスを支えたまま、片手でそれを受け止めきれる筈も無く、その華奢な体ごと弾き飛ばされてアリスは背中を壁に打ち付けられ、気絶する。
その際にアルスを咄嗟に庇ったのがアリスの最大限の抵抗にして、騎士としての意地だったのかもしれない。
「うぁぁぁぁあっ!!!」
そして一連の流れを見ていたキリトは恐怖を誤魔化すように悲鳴に近い雄叫びをあげながら《ホリゾンタル》を発動させ、ソードゴーレムの脚に斬りかかるものの、やはり呆気なく弾き飛ばされてしまう。
ユージオは戦慄していた。ソードゴーレムとアルス、キリト、アリスの戦闘時間はたったの5秒。
アルスとキリトはユージオにとって目標であり、自身の半身……いや、3人いるのだから三位一体と言うべきかもしれない。
そんな彼らと整合騎士であるアリスが手も足も出なかった。そんな事実がユージオを震え上がらせたが、自身も彼らとともに戦うと決めたのだと恐怖で竦む自らの足に鞭を打ち、ユージオも《青薔薇の剣》を構え、アインクラッド流《バーチカル》を発動させ、ソードゴーレムに立ち向かう。
「せぁっ!」
短い気合とともに渾身の力を込めて剣を振り下ろす。
剣がソードゴーレムの脚と衝突し、火花を散らす。
だが、一度剣が衝突しただけでユージオの腕は痺れた。
「ぜりゃぁ!!」
それでも、手を止めず、続け様に《バーチカル・アーク》を放つ。
『———!?』
青薔薇の剣は橙色のライトエフェクトを纏い、再びソードゴーレムとぶつかり合う。
バーチカル・アークは縦斬りの2連撃。
1撃目の振り上げでソードゴーレムの脚へ追撃を掛ける。その攻撃もやはり弾かれるが、ユージオはそれを見越していた。
「これで決めるっ!!」
ユージオは弾かれる勢いを利用し、ソードゴーレムの真上へと飛び上がり、自由落下中に2撃目の振り下ろしをすることで、ソードスキルによる体を強制的に動かされる力と位置エネルギーを掛け合わせることでバーチカル・アークの2撃目を強化したのだ。
「はあっ!」
ユージオの気合いと共に振り下ろされた《青薔薇の剣》はソードゴーレムの脚の役割を果たしている剣の接合部、人間で言うところの関節に当たる部位を斬り裂いた。
『———!?!?』
予想外のダメージにソードゴーレムは悲鳴のような金属音を掻き鳴らし、それを見ていたアドミニストレータは愉悦に満ちた表情を浮かべていた。
「どうだ!?」
ユージオは自分の策が功を成した事により、一瞬だけ気を緩めてしまった。
そう、緩めてしまったのだ。
『———!』
その隙を突くかのように、それでいて脚を斬り落とされた鬱憤を晴らすかのようにユージオ目掛けて残った5本の脚のうち、2本を振り抜いた。
「ぐっ、うわぁっ!?」
一本目の脚で《青薔薇の剣》を弾き飛ばし、二本目で……ユージオの腹を抉った。
1撃目で剣を弾き、2撃目でダメージを与える。
ユージオがソードゴーレムに対して行った策が反射するかのようにユージオに帰って来たようで皮肉に思える。
腹を抉られたユージオは数十メートル後退させられ、床に崩れ落ちる。その際に、カランッと胸元に入れていた《カーディナルの短剣》が落ちる。
不意に頭の中で弾けたような声が聞こえたが、ユージオはそれを現実のものだとはずくには気付けなかった。
『短剣を使うのよ、ユージオ!』
少し低いが艶やかな響きのある女性の声だった。
不意に目を動かすと、先程、ソードゴーレムに弾かれ、倒れたキリトの肩に爪の先くらいしかなさそうな大きさの漆黒の仔蜘蛛が急かすように前足を上に上げている。
「だ、駄目なんだ……この短剣は奴には効かない!」
『違うわ!通路、昇降番にそれを突き刺しなさい!時間は……あたしが稼ぐからっ!』
ユージオにその紅玉の様に輝く4つの単眼が向けられ、漆黒の仔蜘蛛……シャーロットは自身の身体よりも何万倍も大きな剣の怪物に向けて一直線に疾走し始めた。
後書き
……原作の流れを参考にするために原作を読みながら、それでアルスを投入するために考えて文を構成するのは楽しいですけど、いざこのサイトに投稿しようと打ち込んでいると"なんか違う"感があるんですよねぇ。そして何度か書き直して投稿するんですが、暫く期間を空けてから話を読み返すとまた"なんか違う"感が蘇る……。そんなスパイラルは投稿者が通る道なのでしょうか?
あ、それから前書きで言ったギャグ回書きたい発言の後で思ったのですが……私はギャグ才能もありませんでした(T ^ T)
ギャグ回は今書いている話が落ち着いたらチャレンジしてみたいと思うので、これからも生温かく見守っていて下さい!
感想などをお待ちしています!
閲覧ありがとうございました!