SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

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51話 平和な日々 その3

………暇だ。

 

いや、別にだらけながらグダグダとしているわけじゃない。

なんと言うか、農作業も終わり収穫も終えて、野菜を持って村まで向かってソレを売るという日課も終わった今。猛烈に暇なのだ。

 

キリトは山へ樵に、ユージオは実家へ荷物を取りに、アリスは川へ洗濯に行きました。

 

そんで、残されたのはやる事がなくてお茶を啜っている俺と……。

 

『キュル〜♪』

 

俺の膝の上でスリスリと黒い藍色の羽毛を擦り付けて来る月咬だけだ。

 

「お前はめんこいなぁ……」

 

月咬の柔らかな柔毛ごと頭を撫でながら、この幼竜がこんなにも自分に懐いてくれている理由を考える。

 

思えば、記憶を失った俺が目を覚ました時、まず先に俺の視界に入ったのはこの幼竜だった。

しかも、その時から既にこの調子だ。

 

アリス曰く、基本的に人に懐かないし、興味が無い相手には見向きもしなかったとか。最初はキリトやユージオにも唸り声をあげていたらしい。

 

アリスには唸り声を上げることはなかったとか。

おそらくだが、天縁(アリスの飛竜)に月咬が懐いていたのも無関係ではないだろう。

 

「ほれ、煮干し食うか?」

 

『キュッ!キュルルー!』

 

俺が何となくチラつかせてみた煮干しに上機嫌な様子で食らいついた。

 

そして、俺はもう1つの疑問について考える。

 

もともと、月咬はベルクーリという整合騎士長の愛竜の子供なんだそうだ。キリトがセントラル・カセドラルを離れる際にベルクーリから俺に託すと言われたらしく、それで俺が暫定的に月咬の飼い主的な立ち位置にいる。

 

・・・ベルクーリは何故、いつ目覚めるかも分からない。その上に一度は殺し合った相手で、大罪人であり、反逆者である俺にそんな大切な竜を預ける気になったのだろう。

 

「た、ただいまぁ……」

 

「アリス!?」

 

そんな事を考えていると、いつもの服をビショビショに濡らしたアリスが水を髪からも滴らせながら家に帰ってきた。

 

「どうしたんだ、そんなに濡れて……雨でも降ったか?」

 

「い、いえ……。洗濯してたら、足を滑らせてしまったその…………頭から川の中に飛び込む事になっちゃって」

 

アリスは……完璧主義に見えるけど、案外抜けてるところもあって、それなりにそそっかしい所もある。

まあ、何から何まで完璧ではなく、少し抜けたくらいが可愛げがあると思う。

 

……だが、俺はそんな彼女に言わなきゃいけないことがある。

 

「アリス……」

 

「ん、なにかしら?」

 

どうしたの?と首を傾げるアリスの瞳を見つめて、俺は覚悟を決める。俺がこれから言うことは、それだけの覚悟が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「服が透けて下着、見えてるぞ」

 

「・・・・・え?」

 

俺の指摘に、彼女は自分の身体をゆっくりと見下ろして……。

 

「〜〜〜〜!?」

 

顔を真っ赤にした。

まずい、そう感じて俺は慌てて身構えるが、アリスは悲鳴をあげるでも、睨み付けて来るでもなく……。

 

「き、気付かなかったわ……」

 

顔を真っ赤にして俯き、その金髪の髪からプシューと煙を上げていた。・・・なんだ、この可愛い生き物は。

 

「ひとまず、風呂にでも入れよ。沸かしてあるからさ」

 

「う、うん……そうします……」

 

アリスはそそくさと勇み足で風呂場へ向かった。

・・・この場にセルカが居たのなら、きっとお説教1時間コースだったことは確定だろう。

 

そんな事を考えていると、膝の上で丸くなっている月咬が「なにを考えているの?」と言いたげに首を傾げていたので、なんでもないよと頭を少し強めに撫でる。

 

うん、温かくて気持ちが良い。

特にやることもなく、アリスが風呂から上がるまで暇なので、月咬とじゃれ合おうと思った時、バタンッ!と扉を開く音が聞こえた。

 

「「た、だだいまぁ……」」

 

「今度はどうした?」

 

開かれた扉を見ると、ビショビショになったキリトとユージオが疲れ果てたような様子で床に突っ伏していた。

 

「通り雨に」

 

「降られました……」

 

「あ、やべっ!アリスが干してた洗濯物取り込まないと!」

 

心意と神聖術で適当に作ったタオルを2人に投げ渡し、洗濯物を取りに向かう。大丈夫。いざとなったら心意なり神聖術なりで乾かせる。……でも、服の天命が減るので出来るだけ急ぐ。

 

『キュルル!』

 

月咬が翼を羽ばたかせてほんの少し跳躍し、洗濯物を咥えて家の中に戻り、また出てきて跳躍する事を繰り返し始めた。

……いや、助かってはいるんだよ?

でもさ、産まれて4ヶ月の子竜が翼使って跳躍し、洗濯物を取り込むことが出来るレベルの知能を持つか?

 

・・・考えるだけ無駄か。

なにせ整合騎士長の飛竜の子供だし、才能のような物があるのだろう。うん、そういうことにしよう。

 

半ば諦めた形で俺も洗濯物を取り込み始めた。

 

「あーよっこいしょっと!」

 

軽く気合と心意を込めて右手を振り、心意の腕を使って洗濯物を回収。我が家では見慣れた光景だが、この前様子を見に着てくれたガリッタ老人がこの光景を見たら腰を抜かしていた。

 

・・・何故だろう。ルーリッドの村の住人は心意も神聖術も見慣れていないのかな?

 

キャ------ッ!!!

 

ウワッ!?

 

ア.アリス!?

 

ハヤクデテケ---ッ!!

 

 

・・・何が起きた?

何気に壮絶な悲鳴が聞こえた。

 

「アルスーーーっ!た、助けてくれーーっ!!」

 

「ご、ごめんよアリス!」

 

「いいから、そこに正座なさーーーいっ!!!」

 

ぎゃーーー!と2人分の断末魔が聞こえたが、今行ったら確実に俺も巻き込まれるので敢えてのんびりと月咬を抱えて少し雨に降られながら歩く。

 

「「アルスーーーー!!!」」

 

「ほら!脚を崩さないの! お説教はまだ終わってないんですからね!」

 

家に響く断末魔とお説教の怒声。

俺は、そんな2つの声を聞きながら、ふと空を見上げて——。

 

 

 

「ああ……平和だ」

 

『キュ〜〜♪』

 

月咬を撫でながらそんな事を呟いた。

 




後書き

はいっ!
アルス達の日常でした。平和でほのぼのした日常を表現したいのですが、難しいですね。とりあえずアルスに思い詰めた感じの思考をさせる事を辞めさせればいい気がするのですが……癖ですね、改善できるように善処します……///


最後になりましたが、とある作者様と【コラボ】をさせて頂く事になりました!話につきましては現在進行系で執筆中です!未完成な状態で1万文字を超える大作になっていますのでご期待下さい!
なお、投稿日は未定です。

ヒント : ラン×◯◯◯

答えがわかった人はそっと温かい目で見守っていて下さい。
現在、初めてのコラボでしどろもどろになっています……。やらかさないように頑張ろう!

最後になりましたが、投稿日は未定ですが、『平和な日々』編が終了すると同時に投稿する予定です!
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