突然だが、ある日突然に教えを請われたらどうする?
「いや、何故に?」
俺はそう返した。
……時間は軽く2時間ほど遡り、俺とアリス。月咬がのんびりとしていた時のこと。
いつもと同じようにセルカがやってきて、コレまたいつもと同じようにキリトとユージオも読んでお茶をしていたんだ。
「ねぇ、ふと思ったんだけど……アルスの権限ってどれくらいなの?」
「・・・なんかな、MAXって書いてる」
「なにいっ!?」
「き、キリト?どうしたんだい。そんなに取り乱して」
MAX……読み方はマックス。確か神聖語で上限とか、最大とかそんな意味合いの言葉だったか。
「い、いや。マックスって……マジなのか?」
「え、あ、うん。ほら、見てみろよ」
何気に疑わしそうな身を向けて来るキリトにステイシアの窓を見せて納得させる。
「嘘だろ……」とこめかみを抑えながらよろけたが、独り言のように「分かった……分かったから……」と繰り返していた。
「この文字の意味は分からないけど、とにかく凄いの?」
「セルカ……凄いなんてもんじゃない。それの意味は上限とか限界とかそう言う意味だ。つまり……アルスの権限はそれ以上、上昇する事は無いという事だ」
「ええーーーっ!?」
キリトの答えにセルカは眼を見開き、絶叫のような悲鳴のような声を上げたが、アリスとユージオはむしろ納得しており、逆に……。
「キリトとアルスってやたらめったらと神聖語に詳しいよね」
「ほんと、なんでかしら。記憶を失ってるアルスも覚えてるもの……ひょっとして、私達が知らないだけで常識だったりするのかもね」
などと言っていた。
まあ、かく言う俺も「知ってるんだからしょうがない」としか言えない側なので下手な事を口走るつもりはないが。
「ねえ、アルス。私に神聖術を教えて欲しいの」
「・・・セルカに神聖術を?いや、何故に?」
「私、剣を振るってはいたけど……やっぱり、アリス姉様達に追い付ける気がしないの。仮に戦いがあったとして、姉様とキリト、ユージオが剣を握ってしまったら、私は足を引っ張るだけ。そうなるのなら、私は神聖術で傷を癒したり、手助けできるようになりたい。修剣学院からこの村に帰って来てからずっと考えて、出した答えだから……力を貸して」
そう言っていつになくショボンとするセルカ。
そんな彼女に対して俺は………。
「ああ。良いよ」
二つ返事で即答した。
……セルカの気持ちも分かるしな。
現在は俺も同じ立場だから。
アリスが何かを言いたげにこちらを見ていたけど、キリトが制止した。
「そんな事ない」と否定したいアリス。
気持ちは分かるが、自分にとっても大切な友人のセルカを叶うのなら前線に出したくないキリト。
難しい話だが、アリスが何も言ってこないあたり、キリトと同じ答えに行き着いたのだろうか。
まあ、ひとまずは俺による神聖術講話が始まった。
———
てなわけで、ステップその1。
「いいか、『システム・コール』の後に続く単語……神聖語の意味を理解しろ。それによっては相手の術式の効果を予測し、相反する物をぶつける事が出来る」
「えっと……例えばどんな?」
「キリト」
俺は予め隣に控えていたキリトに指示を出す。
「ほい、来た。システム・コール、ジェネレイト・ファイア・エレメント!」
「システム・コール、ジェネレイト・アイス・エレメント!」
そして、キリトが作り出したエレメントと相反する属性のエレメントを作り出して相殺した。
「分かったか?」
「・・・ええ。言いたい事は」
———
ステップその2。
「はい、じゃあ神聖語の意味と神聖術の基礎的な並びな。さっきの術式を利用すると、システム・コール、ジェネレイト・ファイア・エレメント。だな」
「基礎的な並びって?」
「例えば……神聖術の最初。まずは『システム・コール』から始まるが、これは……まあ、簡単に言うのなら、これから神聖術を使うって世界に報告する言葉だな。次に来る『ジェネレイト』は発生させるとか、そんな感じの意味合いでいい。その次に来る『ファイア』は火の事だ。ここで属性を変更する。だからさっきは相反する属性として『アイス』……氷の属性に変更した訳だ。そして最後に来た『エレメント』は要素とか成分って意味だ」
「へぇ……いろんな意味があるのね」
「そうだな。んで、以上の事を踏まえて『システム・コール、ジェネレイト・ファイア・エレメント』の術式の意味を読み取ると、『これから、火の要素を発生させる』的な意味になる。とりあえずは神聖語の翻訳をする時は『システム・コール』の部分は省略していい。よって、『火の要素を発生させる』が答えだ」
「なるほどね。基本的にシステム・コールを省いた三節詠唱はその形でいいのね?」
「そうだな。んじゃあ問題、『システム・コール、ジェネレイト・アイス・エレメント』の意味は?『アイス』の意味は教えたよな」
「えっと……『氷の要素を発生させる』?」
「正解。そう言う事だ。分節の合間に神聖語を入れる事で威力とか攻撃性能……追尾するかとかも調整できるが……。これはまた今度な」
———
ステップその3
「当たらない……なんでこんなに当たらないのよ……」
「セルカは撃ったときの反動を殺そうと反発しすぎなんだよ。撃った後の反動を殺すんじゃなくていなすんだ」
「えっと、こうやって………こう!」
「おお、的の真ん中に当たったな。射撃練習はこんなもんでいいか」
「・・・アルスって、どっかで教官でもやってたのかしら」
———
そんなこんなで俺によるセルカへの訓練が始まった。
後書き
えっと……。今回は自分なりの神聖術の定義でした。
まあ、かなり違和感あるかもしれませんがご容赦下さい。
それから、いつのまにか平均評価が7になってました!
応援してくださってる方。読み始めた方。本当にありがとうございます!