⚠︎77話からこの話を見てもあまり内容が分からない場合があります。ですので、番外編【黒の剣士の独白】を閲覧されてから当話を閲覧していただくことを推奨します。
キリトの口から真相が語られる。俺のルーツ、キリトとの出会い。アインクラッドと俺達の関係性。そして、俺が何者なのか。
「これが、黒の剣士と無型の剣聖の物語だ」
そういうと彼は息を吐いた。
長い間語っていたので喉でも渇いたのだろう。適当に神聖術で水とカップを生成してからキリトに渡し、俺も一息つく。
「もひゅ…」
思わず変な声が出た。
なんだ、もひゅって。切羽詰まると思わず変な声がでるというのは案外本当だったらしい。
正直なところ、頭の中はこんがらがってる。
自分でこの世界にはアインクラッドなんて地名はないとか、右目の封印が云々を語っておいて、真実を聴くと反応に困ってしまう。
なんだろう。気になっていたことの真相を知れてスッキリするかと思ったらまだ喉に魚の小骨が引っかかってる感じ。
俺はこの世界の外の似たような場所で生まれたAI……要するに、人工知能で、キリトと出会って様々な冒険を繰り返して、波乱万丈としか形容しがたい時間を過ごして今に至るということか。
多分、予備知識というか、この話を聞く前の外の世界の話。リアルワールドとかの話を聞いてなかったら今頃は話の中で出てきた過去の俺のように取り乱したかも知れない。でも、今は嫌に冷静だ。
まだ受け入れ知れてないだけなのか。それでも冷静を保てるのはありがたいと思う。だって、目の前に後輩や同い年の女の子。幼馴染に現在の人界で実質的な指導者ポジションの人がいるのだ。取り乱すことだけは避けたい。
「大丈夫よ」
出来るだけ顔に出さないように考えをまとめていたら、不意にアリスに声をかけられ、左手を握られた。
「何があっても、どんな過去があっても。アルスはアルスよ。私の大切な幼馴染で親友で。背中を預ける事ができる無二の相手だわ」
「自分の使ってた剣技や剣の力。果てはお前たちを忘れてしまうような異世界人の薄情者でもか?」
「まったく……まぁたそう言う卑屈な発言をする」
俺を励ますように声を耳に受けながら、左手を包む剣を握っているとは思えないほど柔らかな彼女の手の感触を感じつつ、つい口から弱音と言うか、後ろ向きな発言が出た。
それを聞いた彼女は軽く溜息を吐くと、俺の手を握る力を強めて鼓舞するように俺の目を正面から見据えて微笑みながら言う。
「私は、あなたと出会えて良かった。今も昔もこの想いに変わりは無いわ。例えあなたが別の世界の人間だとしてもそれがなに?今、私の目の前にいて、こうして手を握っているあなたは確かにここにいるのよ。幻覚でも何でもなくね。寧ろ、あなたを産み、育んでくれたアインクラッドと言う世界に感謝してるわ」
真っ直ぐに見据えられたその瞳を見つめ返すのが照れ臭くて、思わず視線をそらす。
けれど、そらした先には焦げ茶の髪を揺らしながらアリス同様に今度は右手を握り、こちらを下から見上げるように見つめるロニエがいた。
「私も、アリス様と同じ気持ちです。キリト先輩のお話の中に出てきた無型の剣聖と呼ばれていたあなたは確かに私の知る、修剣学院でお仕えした先輩でした。それに、思ったんです。詳しいことは分かりませんが、先輩が人工知能?と言うものなら、同じくリアルワールド人が仮想現実と呼ぶこの世界で産まれた私達も同じ存在のはずです」
まだ16歳の少女。その幼さの残る手が両手で俺の手を包み込む。一旦アリスから目をそらした先で目が合った彼女は今度はそらすことを許さないと言わんばかりにアリスにも負けず劣らずな視線で俺を見つめた。
「だから、先輩がそんなに卑屈になる必要は無いんですよ。確かに驚くべきことなのかも知れません。でも、ここにいる人はみんなあなたの同族です。仲間です。産まれる世界が違っても、アルス先輩はこの世界にいるんです。そして、私達も今真実を知りました。だったらせめて胸を張りましょうよ。私達を生み出したリアルワールド人達に向かって、『私達も生きている人間なんだ』って」
「・・・強いな、ロニエは」
「先輩のお陰ですよ、あなたは私が後ろ向きな時は前向きな考え方をして私に手を差し伸べてくれましたから。だから、私はあなたが後ろ向きな時は前向きな考え方をするって決めたんです」
……本当に強い。ロニエもアリスも。
それに比べて自分はどうだろう。
確かに、今日までの生活で不安は数えきれなかった。
周りに比べて高すぎる権限。未だに完全把握できていない最高司祭としての力。失ってしまった記憶、失くした剣技。
いつでも、どこでも考えていた。
どんなに楽しくても、辛くても、自己嫌悪に浸っている瞬間ですら考えていた。自分が何者なのかを。
その答えが、やっと出た。
思わぬ形で、思わぬ結果と共に。
でも、思わぬ結果と形だったのは彼女らも同じでは無いだろうか。自分の生まれた世界は仮想現実と言う本来存在しない世界だ。その上、俺の生い立ちを聞く中で自然と自分達の正体も突きつけられてしまったのだ。むしろ、彼女達の方が辛いし、驚く事が多いんじゃ無いだろうか。
不意にまた自分が嫌になる。
そんな彼女達に気を使わせてしまった。自分達も少なからず不安を抱いているはずの彼女達に。
その事実が情けなくて、みっともなくて。
そして虚しくなった。
俺はどれだけ彼女達を不安にさせれば気がすむのだろうか。自分自身が記憶を無くしてから不安を抱いている間に彼女達や彼らはどれだけの不安を抱いているのだろうか。
分からない、解らない、判らない。
想像すら、できない。
「せめて胸を張って。か……」
後輩が俺に語りかけた言葉を呟く。
そうだ、今の俺がやるべき事は悲観する事でも、卑屈な考えをめぐらす事でも、周りを不安にさせる言動を振りまく事じゃ無い。
これまで心配かけた分、心配してくれたみんなを安心させる事じゃ無いだろうか。
以前、ルーリッドでアリスと遊びに出かけた時に彼女のイタズラで川に落ちた事があった。その時は遊ぶ事で深く考えもしなかったが、俺が心意の腕でイタズラ仕返した時、彼女はそれを敵の攻撃だと素で勘違いした事がある。その時、アリスは咄嗟に、でも必死に俺を守ろうとしてくれた。
レクスがルーリッドの村に襲来した時、バルボッサにあらぬ疑いをかけられた俺の為にセルカもアリスも本気で怒ってくれた。レクスと戦って不利になった時、キリトもユージオも全力で助けに来てくれた。
そして、この戦場に来た時。ベルクーリは何だかんだで俺を安全な場所に配置したり、出来るだけキリト達の側に置いてくれたし、ロニエは記憶を無くした俺を知っても変わらずに先輩と呼んでくれた。ティーゼも同じだ。
「……そうだな」
俺は、もう充分すぎるくらい気にかけられ過ぎている。
もう、一生分は使い果たしたのでは無いだろうか。
「甘えてたんだろうな……俺」
そう、記憶を無くしたことを言い訳にみんなに甘えてた。
少し前にロニエを抱きしめながら覚悟を決めたつもりでいたが、それでもまだ甘かった。
きっと、俺はこれからも何かしらの間違いを犯すだろう。でも決めた。もう誰かに寄り掛かって歩くのは止めだ。俺もいい歳だ。いつまでもこんなんじゃカッコがつかないだろ。
「キリト」
「・・・なんだ?」
「教えてくれてありがとう」
真っ黒な親友に言う。
アドミニストレータと戦う時、彼はどんな覚悟で戦ったのだろう。それをしっかりと考えなきゃならない。彼の口から真実が全て語られた今。もう、想像がつかないとかでまとめていい段階はとっくに通り過ぎていた。
「半年前の戦いで、多分お前はアドミニストレータと戦う理由にはきっと、俺たちを守るとかだけじゃなくてさ……リアルワールド人として。とか含まれてたと思うんだ」
だから、伝えよう。
それが俺の新しいスタートラインだ。
「お前はソレをこの半年間一人で背負ってきたんだろう。記憶を失った俺を不安にさせないために、誰にも打ち明ける事が出来ないままで」
なんのスタートラインか?
・・・そんなものは決まってる。
「ソレを、俺にも背負わせて欲しい。今の俺はまだ頼りないかもしれない。けど、背負わせて欲しいんだ。無型の剣聖でもなく、最高司祭とか管理者とか関係ない」
これは、もう一度歩き出す為のスタートラインだ。
「お前の相棒として、親友として。また歩みたいんだ」
——例え、思い出してなくても。確かにそこにあった過去を信じて、誰よりも時間を共有した彼の隣をもう一度、胸を張って歩く為に。
後書き
はい、後書きです。
なんか、もう誰がヒロインなのかわからなくなってきましたねぇ。このままだと本当にアリスルート、ロニエルート、キリトルートを作る事にしました。ええ、話の大筋はだいたい構想済みです。
ちなみに、この【無型の剣聖】。
一応のルートは確定しました。
キリトルート。です。
おっと、勘違いめされるな、これはあくまでゲームで言う所のトゥルーENDです。ENDは全4種ほど構築しております。
ロニエルートとアリスルートが基本的にIfルート、もしくはトゥルーの中にあったかも知れない出来事のお話です。
キリトルートに割り振られるのが、俗に言うトゥルーENDと真ENDという奴です。キリトルートと言っても、アルスとキリトがそれぞれのヒロインを放ったらかしてイチャつく終わりではないのでご安心ください。
何というか、ここまで構想を語ると失踪フラグが立った感が否めませんが、なんとか全エンドを書きたいと思ってます。
はい、ここでやっと今回の話の概要です。
前回の77話と番外編『黒の剣士の独白』でキリトの口から語られた自分の真実。ソレを受けたアルスがヒロイン2人の言葉やこれまでの仲間たちとの生活を胸に、もう一度キリトの相棒として歩むことを決める話でした。
皆さんは考えすぎて思わず変な声が出たことはありませんか?私は何度か経験してます(苦笑)。
こんなとき、どう誤魔化せばいいのか、反応に困りますよねぇ。
てな感じで閲覧ありがとうございました!
下は余談、雑談なので、興味のない方は飛ばして下さい。
ここからは余談、雑談なのですが。
デビルメイクライ5買いましたよぉ〜!いやぁ……よかった。ネタバレはしない方向で語っていきますが、日本語と英語でそれぞれ2周したのですが、ネロ君がカッコいいのに可愛くて……!
日本語版の「免許取りたてか!?」ってツッコミがツボでした。
スタイリッシュ根性焼きから始まるOPも素晴らしい!
ニコとネロの最早漫才としか言いようのないやり取りも面白いですよね。
ダンテもなんだか、ロイヤルガードのやりやすさ向上してませんか!?ストーリー終盤のあの方の連撃をガードジャスト出来た時の爽快感が凄まじぃ……!ダンテはおっさんになってもダンテだなぁ、と思いました。なんか、全体的に動きが遅く感じる中でダンテをプレイ中、俗に言う緊急回避で避けると何時ぞやのモッサリッシュな動きを思い出してしまうのは私だけでしょうか?
Vくんは他のキャラに比べて少し癖がある感じですね。三体の使い魔を使役して戦闘するのは私的には大変でした。でも、あの服や挑発、デビルトリガー発動時に見え隠れする厨二心が素晴らしいっ!こう、ふつうに走ってると息切れしちゃうのに、ジャンプでソレをキャンセルして淡々とVくんを走らせるというドSプレイも可。
そして何より兄鬼の登場がね!
以前までのシリーズ……と言うか、3の頃に比べて人間味のある姿と言うか、喧嘩しながら時折楽しそうな笑みを見せる姿にキュンと来ました!ぜひプレイアブル化して欲しいですね、モーションとかみてると4seの動きも使い回されてるように見えますし、閻魔刀連斬のモーション中に鞘が紫っぽく光るエフェクトがあったと思うのですが、アレは多分、4seの次元斬のタメモーションだと思うんですよねぇ。
魔剣スパーダと閻魔刀のデザイン変更もありました。
私的には過去のデザインの方がスパーダは好きでしたね。閻魔刀もカッコいいのですが、柄がねぇ……!閻魔刀といえば3、4のあの特殊な柄のデザインが印象的でしたから、3と4を再プレイすると「ああ、これぞ閻魔刀」みたいな感慨にふけってしまいます。
そしてネロ君。いやぁ、可愛い。
前から言われてた事ですが、序盤のムービーの態度がダンテに似てきているところとか、電話で話してるキリエ相手にタジタジなところがね!それから前作の誰にでも突っかかって行く感じの余裕のない感じから一変して、活気盛ん若さ爆発少年から、若さあり、活気あり、でも余裕のあるプレイボーイみたいな感じに成長してるのが印象に残りました。
ああん……///語りきれないっ!
最近アニメやハーメルンでハマり始めたゆゆゆとDMCのクロス物もいずれ書いてみたいもんですねぇ!時間が足らないのが悔しい!
そしてDMCやってて思ったんですが、DMCと犬夜叉ってどことなく似てますよね。父が偉大な人物で、人間ではないのに人間を愛していたり、その父が3本の剣を持ってて、うち2本を2人の息子に託したり、双子では無いものの、兄が力を求めてみたり、弟が人間を愛して、兄がその弟に撃退されたり。
個人的な感想なのですが、犬夜叉とゆゆゆのクロスも相性良さそうですよね。ゆゆゆに出てくる精霊って妖怪とかじゃないですか。そこに犬夜叉要素を入れてみたり、のわゆ時代で犬夜叉達の子孫が鉄砕牙を持って戦うとか、面白そうです。
的な感じで後書きを終わります。
閲覧ありがとうございました。長い後書きにお付き合い頂き、恐縮です!