SAO 〜無型の剣聖〜   作:mogami

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82話 なぜ、彼女なのか

戦争は、どちらともなく再び唐突に始まった。

・・・いや、もしかすると銅鑼か何かで合図の様な物はあったのかもしれない。もしかしたら俺が気付かなかっただけか。

 

「アルス先輩。難しい顔をされてます」

 

「え、そうかな……。あー、うん。そうかも」

 

横から顔をのぞかせたロニエ。彼女の視線を受け、どうにかしてごまかすためにはぐらかす。聡い彼女の前では悪足掻き程度のものでしかないだろうが、何度も言うが彼女は聡い。俺がはぐらかしたことに気がついて追求はしてこないだろう。

 

この場には俺とロニエ、ティーゼしかいない。

正確に言えば、俺の知り合いは。という単語を付け足すべきか。取り敢えず、ここは後方。最前線の状況を把握するのに俺の神聖術と心意を使えば効果的だとファナティオが判断したらしい。

 

なんでも、俺の神聖術はともかく。心意も離れた場所にいる相手にも届く程らしく、心意は込められた思いによって受ける印象がガラリと変わる。つまり、心意に込める思いによって戦局などを伝える役目を任されたのだ。

 

そして、心意とは別に神聖術で後方支援をしろとの事。

まぁ、できないでもないが……、前線にいる仲間達に当てない様に調節するのがネックだ。少なくとも相手は万を超える数だ。それに対してこちらは数千ちょっと。戦局に有利に立つには敵をできるだけ減らす必要がある。しかし、いくら最高峰の術が使えても、数万を一気に殲滅は難しい。数が多ければ術の精度にも関わるからだ。かと言ってターゲットを減らしても前線をフォローしきれない。

 

「後方支援部隊の難しいところだな」

 

因みに、アリスは前線で戦闘中。キリト、ユージオも同様。セルカは中盤で救護兵をしている。

 

できれば俺も戦線に加わりたいところだ。

レクスとの約束もあるし、いくら自分が誓っても、行動できなければ何も変えられないから。しかし、自分がここで与えられた役割を放棄したら万が一にも死者が増える結果になるかも知れない。それだけは避けねばならないが……。それ故に動けないのが口惜しい。

 

「先輩……、前線に出たいとか考えてませんよね……?」

 

「ぎ、ギクッ!?」

 

「何とも分かりやすい……」

 

後輩の核心をついた問いに分かりやすい反応をしてしまったら呆れられた。彼女はその呆れた様子を微妙に隠しながら口を開く。

 

「あのですね、先輩。昨晩のアスナ様のお話を聞いてましたよね。敵の狙いはアリス様とあなたなんですよ、もっと自重というものを覚えて下さい!」

 

「はい……、ごめんなさい」

 

あまりにも普通に説教され、縮こまる。

キリト曰く、俺がロニエに説教され、修剣学院のアズリカ女史に駄目押しの説教を食らうのが学生時代の一連の流れだったとか。

 

「しかしなぁ……」

 

「今度はなんですか?」

 

「いや、なぜ俺とアリスなのかなぁと」

 

敵の狙い。

コード871とやらを破ったフラクトライト……要するに魂を持った者を狙っているのならばユージオだって該当するはずだ。コード871が本当に右眼の封印を指すならば、それを誰よりも先に破ったのはユージオのはずだ。仮に破った事をなんらかの方法で記録されるならばそれは常識的に考えておそらく破った者を順に記録して行くはず。つまりはアリスよりも先にユージオが認知されなくてはおかしいのだ。

 

この流れから行くと俺が狙われる理由は比較的に簡単だ。

そもそもがソードアート・オンラインで生まれた存在だからコード871が存在しない。加えてその世界での知名度も相まっての事だろう。ユージオ達が遭遇したPoHという人物も俺を狙っていたらしい。

 

そう考えるとアリスが狙われる理由が分からない。

彼女がもともとこの世界でコードを破る存在として生まれる事を知っていたとか、この世界で生きた者の目的がリアルワールドによって定められたコードを破る為と言うものだったとして、その集大成にアリスの名をつけるように同じく設定されていたのか……。

 

どちらにしても考えれば不快になるし、考えなくてもモヤモヤしてしまう案件だ。しかも当の本人は最前線で進んで囮をやってる始末。俺に前線にどうこういうならば彼女にも言って欲しいものである。

 

「——という訳なんだが、どう考えるかね?」

 

「「いや、どうと言われましても……」」

 

率直に思った事を後輩2人にぶつけてみたら案の定、困った顔をさせてしまった。うん、ごめん。これは完全に俺が悪かった。

 

ロニエとティーゼを困らせてしまい、申し訳ない気持ちが湧き出てくるが、そのうちにロニエが言った。

 

「あの、アリス様は光の巫女を名乗ったのですよね?」

 

「ああ。そうだな」

 

光の巫女、これについても詳しくは知らないが民間伝承とかそういうのに記録される存在。ステイシア神とかと似たような存在だろう。

 

「もしかして、神話などでよく見かける流れ……。敵の総大将のような存在がアリス様に惹かれてしまったから狙われているとかそう言う事もあり得るのでは・・・?」

 

話していて、どこか現実味のない話だと自分でも思ったのだろう。尻すぼみになりつつロニエが言った。

 

「まあ、確かにアリスは可愛いし、美人だからな。側から見ててもそんな気持ちになるのも分からないではないが」

 

「・・・むぅ」

 

「どうしたよ、なんか少しムクれてないか?」

 

「何でもないです……」

 

「いや、何でもない事ないだろ。もしかして話してくれた事に少しふざけた返しをしたから怒っちゃったか?」

 

「違いますよ、もぅ……」

 

何故かロニエを不機嫌にさせてしまった。

すこし怒ったようなその表情を見てどうすればいいのか分からずにティーゼに助けを求めるが、"自分でなんとかして下さい"みたいな心意を感じて目をそらす。

 

この直後。戦場が激化し、多くの血が流れてしまう事。リアルワールドから仲間達が応援に来てくれる事。大切な人と離れ離れになってしまう事。それに今の俺は気付かなかった。

 

まさか、敵の狙いが本当に彼女の予感通りとは微塵程度にしか思っていなかった。




後書き

はい、お久しぶりです。私です。
なんかいつもコレを言ってる気がしますね……。
最近はモチベーションがなかなか上がらなくて、話にもストックが無くて少し停滞してしまってます。

今回は戦争が始まって各キャラに役割が与えられて、アルスは自分の役をやりながらロニエ達となぜアリスや自分が狙われるのかを考えていました。ちなみにキリトとユージオは各地で敵を撃破中です。

たぶん、この後の流れは前々から考えてるように各キャラの激闘をカットしてアルスとアンダーワールドで絡みのあるキャラの戦いだけを描写すると思います。たぶん、シノンやリーファの戦いもカットしてしまうかも・・・。なんか打ち切りまでに無理矢理終わらせるみたいな流れになってしまいそうです。

実は、新しい生活が始まってバリバリ書いていこう!みたいな事をコレまで言ってましたが、その余裕もかなり削られてしまい、気分転換に最新話を書こうとしても話の流れを思い出せない。みたいなことが多くてズルズルと更新が遅くなってます。社会人一年目は忙しいってのは本当だったんですね……。最近はこのサイトに入り浸る時間も短くなってます。

おっと、愚痴になってました。
なにはともあれ、完結の夢とアリス、ロニエ、キリトの個別ENDの夢は捨ててませんよぉ!

投稿頻度的にまだ時間はかかりそうですが、話の流れ的に完結までしっかり進んでいます。この小説を楽しみにしてくださっている方。ありがとうございます。もう少しだけお付き合い下さい。

閲覧ありがとうございました!

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