仮面ライダービルド~約束という名の誓い~完結   作:レイハントン

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Episode6 否定

 徹と共に現場近くの建物の角に移動し見つからないように様子を確認した。逃げ惑う人々とは逆の方向を見ると、東都が開発しているマシンガンを持った傭兵ロボット。しかしどこか様子がおかしい。無差別に建物や視界に入ったものを攻撃しているようにも見える。いったい何が目的だ?

 

「結構ヤバいんじゃないか?」

 

 ひょこっと大胆に角から顔を出して様子を確認する徹を引き戻す。

 

「だな。とりあえず止めてくる」

 

「は? 死ぬの?」

 

「死なねぇよ。……今日1の得だねを見してやる」

 

 目を丸くして驚く徹から数本離れてビルドドライバー腰に装着した。忍者フルボトルとタンクフルボトルを取り出し軽く振る。

 

「さぁ、実験を始めよう」

 

 蓋を回して忍者フルボトル、タンクフルボトルの順番でベルトに装填。

 

〈忍者! タンク!〉

 

 音声が流れレバーを回転させるとノリの良いBGMが流れる。

 

〈Are you ready!!〉

 

「変身!!」

 

 かけ声と同時にランナーに挟まれ仮面ライダービルドへと姿を変えた。

 

「おぉーー!! マジか!!」

 

「うるさいよ。見つかったらどうすんだ」

 

「わ、わりぃ」

 

 マスクの下でため息を吐きつつも現場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 4コマ忍法刀とドリルクラッシャーを構えロボット兵へと駆けていく。今まで無差別に建物を破壊していたロボット兵はいきなり俺に照準を向けてきた。

 

 さっきまで建物バンバン壊してたくせに俺が来た瞬間に様子が変わった………? なんでだ?

 

 弾丸を右へ左へと躱しながらロボット兵を駆逐していく。数をなんとか減らしあと数体という所まで追い込んだ。

 

「あと3体!!」

 

 左手に持ったドリルクラッシャーを横に振るいロボット兵を斬り裂き、近づいてきた1体を蹴り飛ばした。

 

 このままいけば終わる。

 

 そう思っていた。

 

 

 

 

 突然、黄色いエネルギー弾がロボット兵3体を貫き爆散した。

 

 

 

「ん? なん───」

 

 周りを見渡すと、視界に入ってきたのは俺と同じ姿で右半分が黒。左半分が灰色のビルド。

 

「よぉ~久しぶりだな。ビルド」

 

「お前は……!」

 

 今の今まで冷静に感情を保てていたが、黒いビルドが現れた瞬間。あの光景が脳裏に浮かぶ。俺の手の中で冷たく冷えていく優衣が………。雨で冷えていくのか、命が消えるから冷たくなっていくのか。あの時の俺にはわからなかった。

 

「どうだ? あの女の事は忘れられたか? 無様に散った女を」

 

 ダメだ。落ち着け。奴の言葉に乗せられるな。

 

 そうは思っても奴の言葉を聞くだけで怒りが湧いてくる。

 

 無様に散った? 最後まで俺の事を想って……他人を想って……こんな不甲斐ない俺に愛してると言ってくれた優衣が無様? ぶざけんな……! 

 

 武器を持つ手に自然と力が入る。

 

「はぁ……はぁ……はぁ。なんで優衣を殺したー!!?」

 

 我を忘れて黒いプロトビルドに駆けていく。しかし、結果は見えていた。武器を振るえども、蹴ってもプロトビルドに当たるはずもなく、隙だらけの体に重い一撃が入る。

 

「ぐっ! お前みたいな人を見下す人間が最後まで他人のために行動した優衣をバカにするな!!!」

 

「熱いね~。けど……その人を見下す人間に一度も攻撃を当てられないのはどうだ? 最高か?!!」

 

 縦に振り下ろした4コマ忍法刀を防がれ、みぞおちに重いパンチが突き刺さる。

 

「ぐはっ?!」

 

 怯んだ瞬間に回し蹴りが顔面に当たり、武器を落としながら吹き飛んだ。ゴロゴロと固い地面を転がる。

 

「ゲホッ! ゲホッ! クソ……!」

 

 蓄積されたダメージに立ち上がれなかった。体のあちこちが痛い。全く歯が立たない自分に腹が立つ。

 

「お前も無様だな。仮面ライダーさんよ」

 

 覗き込むように俺の事を見下ろすプロトビルド。痛みに耐えながら口を開く。

 

「黙……れ。お前に……優衣をバカにする権利なんてねぇ!」

 

「何回も聞いたよ。少し眠ってろっ!」

 

 腹に激痛が走る。腹の上でグリグリと動く足をどかそうと抵抗するも全く力が入らない。若干意識が薄れてきた。

 

 やっぱりコイツには適わないのか………ちくしょう。

 

 諦めて目を瞑った刹那──急に腹の痛みが徐々に引いていった。目を開けて頭を少し持ち上げるとプロトビルドの足はそこにはなく、左に視線を向けるとプロトビルドが倒れていたのだ。

 

 なんで……。誰かが、助けてくれたのか? だとしても誰が?

 

 痛む体を起こすと目の前には、腰に黄緑色のベルトを付けた丸い頭の黄色い仮面の戦士が立っていた。

 

 な、なんだこの独特な姿をした仮面ライダーは………。ランニングでもしてたのか? いやそれはないか。

 

「なんだてめぇ」

 

 俺が聞きたかった事をプロトビルドが威圧感を出しながら言った。

 

「…………」

 

 無言。

 

「ランニングの帰りか?」

 

「…………」

 

 また無言。

 

「ちっ! なんか言えおら!」

 

 しびれを切らしたプロトビルドは黄色い仮面ライダーへと駆けていく。するとどこからか、黒い謎のアイテムを取り出し起動した。

 

〈ジェットコンバット!〉

 

 赤いレバーを内側に戻し、黒いアイテムを差し込み再び赤いレバーを開いた。

 

〈ガッチャーン! レベルアップ! ジェットコンバット!〉

 

 ジェット機のボディに似た装甲が装備されると同時に空へと飛び立った。空中で旋回し、俺を拾ってこの場からどんどん離れていく。

 

「逃げんのか?!! 戦えこんちきしょー!」

 

 下でギャーギャー騒いでるプロトビルドには目もくれずに現場から離れることに成功した。

 

 この仮面ライダーはいったい………。

 

 

 

 

 

 どこかわからない場所に俺を下ろした黄色い仮面ライダーは結局何も喋らずにすぐにどこかへ行った。急展開に体の痛みを忘れていたせいか、思い出した瞬間全身に痛みが走る。

 

 ベルトからボトルを2本取り出し変身を解除し、寝転がる。どこか見覚えがある景色だな……。大きい家に蔵……おまけに盆栽がたくさん。あれ……? ここって───

 

 何かを思い出しかけそのまま意識を失った。直後に聞き覚えがある声が聞こえたような気がする。女の子の声が──。

 

 

 

 

 

 

 んっ。ここは………どこだ? 

 

 目を開けるとそこはなにもない──真っ白な空間。

 

 天国か? 待てよ。あれで死ぬんだ。案外人間ってもろいのかもな。・・・・・じゃねぇよ!! ここで死んだら誰が沙綾を助けるんだ?! 

 

 そう思った刹那。

 

 

 辺りが急に結婚式場に変わった。たくさんの人が見守る中、財前とウエディングドレスを着た沙綾が俺の視界に映る。かなりぼやけていて、結婚式に来ている人の顔まではわからない。本当に夢なのかと疑う程、沙綾と財前はくっきり瞳に映っていた。

 

「沙綾!」

 

 思わず叫んだ。

 

 するとゆっくりと沙綾は振り返る。

 

「けいちゃん? どうしてここに?」

 

「迎えにきた。こんなバカげた結婚式なんてやめよう」

 

 すると沙綾はなんで? と言いたげな表情を浮かべた。

 

「やめないよ? だってあたし……今幸せだもん」

 

「は? お前…何言って」

 

「話はそれだけ? なら、もう帰って。これでいいの……全部」

 

 悲しげな表情1つ浮かべずに前に向き直る。どうしてこんな状況で結婚して嬉しいのか皆目検討なんてつかない。ただわかることは1つ。この場で勘違いしているのは俺だということだけだ。その場に崩れ落ち立て膝を付いた。

 

 諦めるしかない。もうどうする事も出来ない。それはわかってる。わかってるけど……でもそれが認められなくて1人叫んだ。

 

「沙綾! お前はこんな形で幸せを掴んでいいのか?! 自分の為だけにしか動けないクソ野郎なんかと結ばれて何が良いんだよ!!」

 

 それでも沙綾は俺の事を見ることは2度となかった。悔しさのあまり地面を何度も何度も殴りつける。不思議と血も出ないし、痛みもない。

 

「クソ! どうしようもないってか………ちくしょう!」

 

 その瞬間。目の前が真っ暗になった。赤い血で描かれたGame Overという文字が見えたような気がする。

 

 俺は何やってるんだろうな……。

 

 真っ暗な空間に沙綾が顕れると同時にどんどん遠くなっていく。手を差し伸べても遅いかもしれない。もう……誰かを救えないのはたくさんだ。 

 

 

 

 手を伸ばして彼女の心に届いてくれと思いながら名前を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「沙綾!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 気が付くと真っ暗な空間ではなくちゃんとした部屋のベットで寝ていたようだ。その証拠に下半身にはめくれた布団がかかっている。

 

「ここは……」

 

 パッと見て自分の部屋ではないことがわかる。ふと下を見るとおしぼりのような物が落ちていた。右手で触れると冷たく、濡れていて水に浸けてからまだそんなに時間は経っていない。

 

 なんだろう……この懐かしい感じは。一度? いや、何度か来た記憶があるような気がする。でもどこだ? この部屋の感じはー女子。これで男だったらどうしよう………。

 

 右側に視線を移すとテーブルがあり、その上にビルドドライバー、フルボトル9本、ビルドフォンが置いてあった。

 

 あれが置いてあるってことは俺が仮面ライダーってことはバレてるな。本当に知らない人だったらどうしようか。知ってる人でもあれなんだが。

 

 すると部屋のドアが開いた。

 

「あ、おはよう。目覚めたんだ」

 

 そこには知ってる人どころか会おうかどうかかなり悩んでる人が目の前に居た。金色の髪を下ろして彼女は驚いて言葉が出てこない俺に迷うことなく近づいくる。

 

「有……咲。どうしてここに?」

 

「どうしてって。ここ私の部屋だし」

 

「ココワタシノヘヤダシ?」

 

 ここが有咲の部屋=俺が今寝てるのは有咲がいつも寝てるベット。いつも有咲が寝てる……。

 

「お前今変なこと考えただろ?」

 

 有咲の質問に全力で首を左右に振る。あながち間違いではないけど、言ったら本当に死んじゃう。いつまでも有咲のベットに寝てるわけにもいかないとよな。

 

 ベットから降りようとした。

 

「いいよ。まだ体痛いでしょ?」

 

「いやそんなことは──」

 

 痛みを思い出した瞬間体にズキズキと痛みが走る。主に痛いのは腹。奴に蹴られた所だ。………全然適わなかったな。言葉に踊らされてたところがあったとしてもだ。一発も殴れなかったのは悔しい。

 

 腹を押さえていると有咲は俺の隣に座ると、背中を預けるように寄りかかってきた。

 

「なんで……もっと早く会いに来てくれなかったの?」

 

 悲しげな声で質問してくる有咲。4年前の約束を思い出し、心が締め付けられる思いだ。でも会いに来なかった理由はちゃんとある。

 

「………あれがテーブルに置いてあるから、もうわかると思うけど。危険なことに巻き込みたくなかった」

 

「そ。それでも私は会いたかった……優衣が居なくなって、もしかしたら恵まで居なくなるんじゃないかってずっと思ってた」

 

「有咲……」

 

 2人の話声と時計の秒針だけが聞こえる中、俺はかける言葉も見つからなかった。いつもなら何かしら思いついてるんだけどな。今は全然思いつかない。

 

「もう誰とも離れたくない……恵ともみんなとも」

 

 みんなとも……それは香澄達の事だろう。でもこれから先、沙綾とずっと一緒に居るのは叶わないかもしれない。きっと嫌なのは俺だけじゃないと思う。有馬も香澄もおたえもりみも……沙綾の家族だって。

 

 寄りかかっていた有咲はむくりと体を起こしてこっちに振り向いた。

 

「だから、離れてた分……ずっと一緒に居て? 恵」

 

「ああ。4年前の約束、今果たす。だけど……その前にやることがあるんだ」

 

「やること?」

 

 無言で頷きベットから降りた。迷うことなくテーブルに置かれたビルドドライバー、フルボトル、ビルドフォンをポケットにしまいこんだ。ビルドドライバーはいつも腰の右側に付いてるホルダーにしまってある。

 

「沙綾を助けてくる」

 

「サアヤを?」

 

「最近全然連絡とれないだろ? ちといろいろあってな。………必ずここに戻ってくるから、待っててくれるか?」

 

「うん」

 

 沙綾を助けて約束を果たす為に──市ヶ谷家を後にした。

 




あの仮面ライダーはどんな方かわかりますか?

それと重大発表!

次回作の構想が練り終わったので、神山恵が主人公のお話のFAINL EPISODEを書こうと思います。それに次回作の主人公も出そうかと思ってますので是非! 長い長い物語が完結します!

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