【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我   作:たあたん

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ヒロアカ3期がいよいよ終わりましたね…。
同時に4期おでめとう!まあビッグ3と治崎さんに声ついた時点であるだろうな~とは思ってましたが。同時に劇場版第2弾も期待したいお年頃。




EPISODE 32. 心操人使:リブート 2/3

 出久が森塚刑事とともに警視庁に到着したのは、本来の会議開始時刻をわずかにオーバーした午前十時五分だった。

 

「いっけな~い、ちこくちこくぅ~♪」

 

 裏声でつぶやきながら堂々と闊歩する森塚の背中は、小柄な若手――捜査本部の警察官の中では一番後輩らしい――とは思えない謎の風格を兼ね備えている。単に図太いだけと言われればそこまでだが。

 

「ン~……やっぱ自分で言うのはなんかちげーなぁ。あぁそうだ、この曲がり角曲がったらロリ巨乳な女子高生とぶつかるのとオールマイトとぶつかるの、緑谷くんならどっちがいい?なお後者は衝撃で肩を脱臼するものとする」

「え、っと……――その二択ならぎりぎり……オールマイト?」

「……このヒーローオタクめ!」

 

 オタクにオタク呼ばわりされるというなかなか貴重な体験を出久が味わっていると、森塚が本当に曲がり角で何者かと衝突した。「ぐえ」という蛙のつぶれたような声とともに、森塚が尻餅をつく。

 彼がぶつかったのは女子高生でも、もちろんオールマイトでもなかった。どちらかといえば後者に近いか。

 

「これは失礼しました、森塚刑事!!」

 

 ぴりっとワイシャツを着こなした体格のいい青年。飾りっ気のない眼鏡と硬い口調は自分が優等生であることを無自覚にアピールしているようでもあり。

 

「あ……飯田くん」

 

 出久は思わず彼の名前を呼んでいた。飯田天哉――ターボヒーロー・インゲニウム、出久の友人であり合同捜査本部のメンバーである。

 

「痛ってぇなーもう!なんできみがそんなとこに立ってんだよぉ、せめて鷹野さんにしてよ、せめて!」

「?、おっしゃっていることはよくわかりませんが……。私がここでこうしているのは遅刻したおふたりを迎撃するためです!!」

「げ、迎撃?」

 

 思わぬワードチョイスに当惑する出久だが、この青年はいつだって大まじめなのだった。

 

「社会人たるもの三十分前行動は基本中の基本でしょう!!――緑谷くんッ、成人してなおかつこのような場に呼ばれる立場である以上はきみもだぞ!!」

「ご、ごめんなさいっ!」

 

 ほとんど反射的に謝罪する出久に対し、

 

「ンなこと言ったってよぉ~、僕らも遊んでたわけじゃないんだからよ~」

 

 口を尖らせる森塚。「どんな理由があろうとダメなものはダメ!」とばっさり切り捨てられること前提の反論ではあるのだが。

 ともあれ実際にそうしたところで、飯田は小さく溜息をついた。強張っていた肩からわずかに力が抜ける。

 

「……ともかく、G3ユニットの皆さん方ももう到着されています。参りましょう!」

「おーけーおーけー」

「う、うん。……あのさ飯田くん、」

「ん、どうかしたか?」

「G3の装着員……心操くん、どんな感じ?」

 

 飯田の瞳に不思議そうないろが浮かぶ。凄まじく抽象的な質問をしてしまったという自覚は、出久自身あった。

 

「どんな感じ……というと?」

「えっと……ごめん、僕の中でもうまく纏まっていないというか………」

「ムム、そうか。そうだな……俺が率直に感じたことで言えば、かつてとは比べものにならないくらい頼もしい雰囲気になっていたというところかな。我々の担任だった相澤先生……イレイザーヘッドが推薦したのも納得できる」

「……そっか」

「うむ。彼ならばきっと、G3を使いこなしてくれるだろう!」

 

 それはきっと、そうなのだろう。数多のプロヒーローや警察官を差し置いて、学生の身で装着員に選ばれた心操人使。そのために、涼しい顔をして裏では血のにじむような努力をしていたであろうことは、まったく想像に難くない。親しい友人として、彼の努力家としての一面はそばで見てきたつもりだ。

 それでもなお表情は晴れないまま、出久たちはついに会議室にたどり着いた。

 

「失礼します!森塚刑事と緑谷くんが到着しました!!」

 

 飯田の威勢のいい報告とともに入室する。長方形になるようセッティングされた長机の群れに、所属の捜査員やヒーローたちが既に着席していた。轟焦凍や関東医大の医師である椿秀一の姿もある。――そして、G3ユニットの三名。

 猫頭の警察官――面構と絶妙に対になっている――も、既に顔なじみになっている発目明も、出久の意識の内には入らない。

 

 ただ否が応にも視線を向けてしまうのは、雄英の夏服にも似たデザインの制服を纏った目つきのよくない青年。その藤色の瞳と視線が交錯する。驚愕は、覗えない。元々事情を察していたふしのあるこの友人も、G3装着員となってクウガの正体を必要な知識として与えられたのだろう。

 

(心操くん……)

 

 ひと月ぶりの再会に、うまくことばが出てこない。これだけの人数の前というせいもあるかもしれないが――

 

「デク、テメェここ」

「!、あ、う、うん。ありがとうかっちゃん」

 

 爆豪勝己がぶっきらぼうに隣の席を勧めてくれたので、出久はそのとおりに移動せざるをえなかった。次にちらりと視線を向けたときには、藤色の瞳はもう自分を見てはいなかった。

 

「さて、全員揃ったので始めましょうか」塚内管理官が告げる。「ではまず……先ほど概ね話はしてもらっていると思うが、G3ユニットのお三方のご紹介から」

 

 まず猫頭の警察官が立ち上がり、「主任の玉川三茶です」と名乗った。その際塚内と親しげに視線を交わしあったところを見るに、旧知の仲であるらしい。

 次いで各種装備の開発や調整を担当する発目明――そして最後に、

 

「装着員となりました心操人使です、よろしくお願いします」

 

 心操が綺麗に背筋を折る。その様を見つつ、本部長が口を開いた。

 

「皆ももうご存知のとおり、彼は城南大学の学生……緑谷くんの友人で、爆心地たちとも旧知の関係だそうだ。スムーズな連携を期待するワン」

「……チッ」

 

 露骨に舌打ちする勝己。彼の場合のそれは様式美のようなものなので、一同から散発的な失笑が漏れるだけに終わった。もっともそのために、出久まで表情を曇らせていたことには誰も気づかなかったのだが。

 

「G3ユニットとは緊密な協力体制を早急に築き、激化する未確認生命体事件に対処していきたいと考えている。そのため今後の捜査会議にはオブザーバーとして参加してもらうことになった。皆にも積極的な意見交換を行ってもらいたい。――さて、本題だが……」

 

 塚内の目配せを受けて立ち上がったのは、珍しくスーツ姿の椿医師だった。

 

「関東医大病院の椿です。まずは第39号被害者の死因について改めてご説明したいと思います」

 

 椿の指示に従い、報告書に目を落とす。そこには簡略化された人体の図解のようなものが描かれていた。左胸に赤く印がつけられている。

 

「被害者の死因が急激な温度変化による心臓麻痺であることは、既にお知らせしているとおりですが……詳しい調査の結果、さらに恐るべき事実が判明しました」

「恐るべき事実……とは?」鷹野が訊く。

 

 温度変化――プールにせよ風呂にせよ、外気温とあまりに差のある温度の水を心臓近くにかけるのは危険。監察医ばかりかその辺の主婦だって知っていること。

 だが椿が語ったことは、想像の遥か上をゆくものだった。

 

「被害者の遺体の左胸には、ごく小さな火傷痕のようなものがありました。それは火傷ではなく、むしろ極低温の物質が触れたことによるものだったんです。おそらくは、ほんの一瞬……」

 

 ほんの一瞬、ほんの一瞬小さな何かが胸に触れただけで、被害者たちは苦痛を周囲に訴えることもできぬまま即死した――

 

「そんなことが……」

「……実験でもしてみないと明言はできませんが、零下100℃とか150℃の世界の話です。そんなものを軽々と扱う技術は……いまの人類にはない」

 

 口惜しげな声音で、昏い事実を告げる椿。古代の殺戮者たち――彼らはこの超常社会の上を行っているのだと、認めざるをえない。クウガやアギトとここにいる面々が協同すれば倒せる敵だというのは、いつ崩れ去ってもおかしくない脆いアドバンテージでしかないのだ。

 そしてそんな中でも最も頼りにすべきクウガもまた、爆弾を抱えている身であった。

 

「そしてもうひとつが、緑谷の身体のこと。これはG3ユニットの皆さんにも知っておいてもらうべきだと思います」

 

 藤色の瞳が勢いこんでこちらに向けられたのがわかって、出久はどきりとした。

 

 今度の資料は、人のレントゲン写真だった。その腹部に浮かぶベルト状の装飾品が、誰の身体を写したものかはっきり示している。

 

「緑谷が"金の力"と呼んでいる電気エネルギーによる新たな強化形態への変身能力……それと引き替えに、変化はさらに加速している。"戦うためだけの生物兵器"――近いうちにそうなる可能性にも、主治医として言及しないわけにはいきません」

「……ッ、」

 

 勝己をはじめ、捜査本部の面々は一様に硬い表情でいる。しかしそれは、出久の身体がどういう状態なのか、既に理解できているからだ。そのうえで、ともに戦おうという覚悟をもっている。

 だが発目を除くG3ユニットのふたりは違う。もう大人で、捜査本部の方針を冷静に受け止めている玉川はともかく、心操の内心はひどく荒れていることだろう。――視線が、痛い。

 

「……それでも、我々にとって緑谷くんは必要な存在だワン。無論強制はできない、だが緑谷くんの自由意志が我々と同じ方向を目指している限り、この協力体制は続けていきたいと考えている。玉川くん、わかってくれるな?」

「個人的に思うところはありますが……合同捜査本部がそういう方針であるなら、ここで異論は述べません」

 

 犬頭と猫頭が神妙に向き合っている様子は、この超常社会にあっても滑稽さがつきまとうが……それを口にする怖いもの知らずは、流石にこの場にはいなかった。

 

 

 

 

 

 会議は一時間とかからずに終わった。今回は本当に、G3ユニットのこと、逆に彼らからすれば得体の知れない存在であろう"クウガ"――双方の距離を縮めることを意図していたらしい。

 

「緑谷」

 

 散会していく中、ゆるゆると立ち上がろうとしていた出久に声をかけたのは、案の定というべきか心操だった。元々友人同士という関係が知られているために、その接触を気にとめるものはほとんどない。

 

「ちょっといいか」

 

 穏やかに――あくまで表面的には――誘われる。出久は躊躇うことなくうなずいた。ちょうどいい、話はこちらにだってあるのだ。

 玉川にひと声かけて出ていく心操のあとに続こうとすると、今度は後ろから焦凍が話しかけてきた。

 

「緑谷、グラントリノと約束あるから俺はもう帰るけど……大丈夫か?」

 

 親しい友人同士にしては不穏な空気を察したのだろう、その声は気遣わしげだ。

 

「うん、大丈夫だよ。ちょっと話するだけだから」

「……それならいいが。じゃあな、爆豪も」

「おぉ、早よ帰って介護してやれや」

「……介護するには元気すぎるぞ、あの人」

 

 大真面目に突っ込みつつ、焦凍は颯爽と去っていった。

 

「じゃあ、僕もちょっと行ってくるね」

「………」

 

 勝己は何も言わず、ただじっと出久を見下ろしていた。口出しするつもりはないということだろう。出久と心操の友情はもとより、クウガもヒーローも介在しないところで生まれたのだから。

 

 

 心操が出久を招き入れたのは、捜査会議が行われたのに比べると随分こぢんまりとした一室だった。窓はあるが日当たりが悪く、昼間でも薄暗い。

 

「……あれ、どういうことだ」

 

 開口一番、低い声で切り出される。藤色の瞳は爛々と光っていて、彼にしては珍しく感情を剥き出しにしていることがまざまざと見てとれる。でもそれは覚悟できていたことだったから、出久は負けじと翠色の瞳でそれを睨み返した。

 

「あれ、って?」

「椿って医者の人が話してたことだ」

 

 

「なんだよ、"戦うためだけの生物兵器"って」

「……ッ、」

 

 一瞬詰めた息を、出久はフッと吐き出した。

 

「僕がクウガ……4号だったってことには、何も言わないんだね」

「それは薄々わかってたからな。おまえが言い出せなくて悩んでたことも。……だから、それはいい」

 

 いくら友だちでも、言えないことはある――以前心操が告げた、そんなことばを思い出す。

 

「でもさ……そんな話聞かされて、気にせずお手々つないで一緒にがんばろうなんて、言えると思うか?」

「………」

「誤解させたくないからはっきり言う。……おまえはもう手を引け、緑谷。爆豪たちがいて、轟もいまは連中以上の力をもってて――こうしてG3もここにいる。おまえが爆弾を抱えて戦い続ける必要なんて、どこにもないだろう」

 

 だから本当は、会議の場ではっきり言いたかった。「自分はこいつを戦わせることには反対だ」と。だが合同捜査本部の方針に噛みつくようなことをしたら、せっかく上司たちが築き上げようと努力している協力体制にヒビが入ってしまうかもしれない。何より自分は装着員だが、正式には警察官ではない学生の身だ。

 だからそれは、出久自身を突き崩すことでしか成せない。あの犬頭の本部長は強制はできないと言っていた。出久が民間人である以上、当然のことではあるが。

 

「それは……もうとっくに、色々な人に言われてる。轟くんや飯田くん……かっちゃんにも。けどそれでも、いまはみんな、僕を仲間として受け入れてくれてる」

「だから俺も、いずれはそうなるって?」

「……そうであってほしい」

 

 くくっ、と心操が笑った。それはひどく空々しい、感情のこもっていない――あるいは押し殺した――笑い方だった。嘲笑に似ていて、でも根本的なところで何かが異なっているとも感じる。

 

「――知らなかったよ。あんたがそんな、独りよがりだったなんて」

 

 その声は、ぞっとするような冷たさを孕んでいた。

 それが他ならぬ、自分自身に対して向けられているという事実。二年かけて育んできた友情に亀裂が入っていくのが肌でわかる、しかし出久はそれを阻むために堪えるより、自分の感情を爆発させることを選んでしまった。

 

「そんなの……ッ!大体ッ、戦う必要がないってンならきみもそうじゃないか!!警察の人たちやプロヒーローを差し置いて、きみが未確認生命体と戦う必要がどこにあるんだよ!?」

「いまは学生でも、俺はいずれ警察官になるつもりだった!それが早まっただけだッ、おまえとは違う!」

「それなら僕だって昔からヒーローに憧れてた!いまはただの学生で危険なことしてるってのは、きみも僕も変わらない!自分のこと棚に上げて、独りよがりだなんて言われる筋合いはない!!」

「危険の度合いが違いすぎるから言ってんのがわかんねぇのかよ!?おまえは敵に殺されるだけじゃなくて、人間じゃなくなるかもしれないって言われてんだぞ!!」

 

 

「俺に……友だちがそうなるのを、受け入れろって言うのかよ……?」

 

 心操の最後のことばは、震えていた。出久はそれで冷静さを取り戻したけれど、自分の想いを曲げることも、納得いくように伝えるすべも知らなかった。

 

「……僕は()()、そんなふうになるつもりはない」

「"つもり"……かよ」

 

 「もういい」――そう吐き捨てて、心操は出久に背を向けた。

 

「どっちにしろこれからは、あんたに出番なんて与えない。あんたが出てくる前に、俺が奴らを殲滅する」

「ッ、そんなこと――」

「――できなきゃ、俺がここに来た意味がない」

 

 悲壮感すら漂わせながら、心操はそのまま去っていった。もう、一度も振り向くことなく。

 

「……くそっ!」

 

 たまらず出久は、壁に拳を叩きつけた。わかってくれない心操への怒り……それ以上に、自分自身の不甲斐なさ。

 

 結局これは、自分自身がまいた種なのだ。いつかはと思いながら先延ばしにしてきた、そのツケを払わされたということだ。彼の優しさに甘えてきた自分を、今さら呪うしかなかった。

 

 

 

 

 

 街に、鉄球が降りそそいでいる。雨でも雹でもない、正真正銘の鉄球だ。

 サッカーボール大のそれは、直撃したものをことごとく潰し、破壊していく。建物も、車も――

 

――そして、人も。

 

 

 わずかに離れた歩道橋からそれを見下ろしつつ、仮面の男――ドルドは淡々と増えていく死体を数えおろしていく。

 

「54のうち……命中は、37」

 

 バグンダダの珠玉を鮮やかに移動させたうえで、彼はマントを翻して去っていった。

 

 

 

 

 

 警視庁の地下駐車場に、ふたつの足音が響き渡っている。

 浮かび上がるふたつのシルエット、いずれも大人の男性のものだ。特に一方などは、影だけでも体つきがしっかりしていることが見てとれる。――椿秀一と爆豪勝己だ。

 

「あのG3の装着員になった心操って奴、案の定緑谷の身体のこと聞いて反応してたな」

「……まあ、そりゃそうだろ」

 

 これまで様々な経緯を積み重ねてきた自分たちならともかく、心操はゼロの状態であの事実を知ることになってしまったのだ。それを聞いてもどうとも思わないような冷血人間だったなら、そもそも出久と長年友人関係など築いてはいまい。

 

「デクの野郎、あいつに呼び出されてたみてぇだし……今ごろは揉めてんじゃねーの」

「おまえ……わかってんなら放っとくなよ……」

「フン、たまにはあの馬鹿も痛い目見りゃいいんだわ」

「………」

 

 ヴィラン顔負けの笑みとともに放たれることばは、椿を閉口させるに十分だった。ただ、緑谷出久という人間は大人しそうでいて、手綱を握っていないとどんな無茶をするかわからない恐ろしさを孕んでいることも知っているから、この幼なじみの気持ちも理解できるのだった。

 

「ま、男同士の話は他人が口出しするもんでもないしな。だからそれはいいとして……緑谷の件、そろそろ沢渡さんにも伝えとこうと思うんだけど、どうだ?」

「……あぁ、それは頼んます」

 

 小さく頭を下げる勝己。こういう時たま垣間見える育ちのよさはかわいいものだと椿は密かに思った。残念ながら世間一般にはナノメートルほどしかそれが伝わっていないようであるが。

 

 ともあれ椿は自身の愛車であるスポーツカーに乗り込み、颯爽と去っていった。それを見送ったあとで、パトロールに出るべく覆面パトのドアを開けた勝己だったが、そこで携帯が鳴った。

 

「――はい、爆豪」

『爆心地、私だ』相手は塚内管理官だった。『墨田区内で未確認生命体によると思われる事件が発生した。緑谷くんももう出てくれてる、きみも至急出動してくれ』

「了解」

 

 ちょうどいい、いまから出ようとしていたところだ。赤色灯とサイレンを除いては予定となんら変わりない行動をとりつつ、ヒーロー・爆心地は現場に向かって走り出したのだった。

 


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