【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我   作:たあたん

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夜中に剣の最終回を観てました。剣崎の決意、始の覚悟……天然ネタてんこもりの作品ですけどそれぞれの選択があまりに切なかったです
特に、ラストシーンで剣崎の幻を見た瞬間の始の笑みがまた……
平成ライダーは基本どれも好きなんですけど、あえて順位づけするとしたら第3位に来ますね(1位クウガ、2位W、同率3位でオーズ)。当然オススメ作品ですがもしこれから観ようという方がいたら、1クール目は気合で一気に観ることをオススメします(笑)

あえてヒロアカと絡めるとしたら、出久闇堕ち系で

ナンバーワンヒーローとなったかっちゃん「ヴィランはすべて倒した、おまえが最後だ……デク!!」
人体実験の果てにジョーカー(っぽい怪物)と化したデク「僕ときみは、戦うことでしか分かり合えない!!」

とかどうですかね?ちなみにオチはない


EPISODE 7. 無差別級デスマッチ 3/3

 出久に未確認生命体の出現を告げた張本人であるヒーロー・爆心地こと爆豪勝己は、自らパトカーを駆って現場へと向かっていた。

 その間、茨城県警からの情報が次々に無線を通してもたらされる。それによると、常総市に出現した未確認生命体第7号はつくば市上郷に移動、県警の警官隊によって包囲されているとのことだった。

 だが、それは勝己たち捜査本部の面々に欠片ほどの安堵すら与えはしない。なぜなら、

 

『こ、こちら茨城02!応援はまだですか!?もう生存者は――ぎゃあぁぁぁぁッ!?』

「……ッ」

 

 車内に響く断末魔に、勝己はハンドルを握る手に力を込める。と同時に、今度は『爆豪くん!』と呼びかける声が無線から飛んできた。

 

『まずいぞこのままでは!一刻も早く第7号を――』

「うっせえぞクソメガネ!ンなこと言われなくてもわかってんだよ!!」吼えつつ、「あと三分で現着する!」

 

 宣言どおり、勝己の乗るパトカーは三分きっかりで現場――上郷のガード下に現れた。

 降り立った勝己が目の当たりにしたのは、凄惨な光景。ひしゃげた十数台のパトカーと、同様に表現するほかない斃れた警官たち。

 しかしその中で、まだわずかながら蠢く生存者がひとりだけいた。他からいったん意識を外して、彼のもとに駆け寄っていく。

 

「ッ、おい!」

「ば、くし……ち……?」

「ああそうだ。もう大丈夫だ、すぐに救助が来る」

 

 安心させるべく努めて落ち着いた声でそう告げると、虫の息の警官はかすかに微笑んだ。しかし彼はもう、自らの死期を悟っていて。

 

「7、ご……は……田倉、方面に、と……そ……」

「――!」

 

 最後まで警官としての職責を果たしきると――彼は、殉職した。蘇生を試みることは……しなかった。その右半身は、ほとんどつぶれてしまっていた。

 

「……クソが!」

 

 激発しそうになる気持ちをどうにかそれだけで堪えて、勝己はパトカーに戻った。すぐさま無線機を手にとり――白バイの最新試作機・トライチェイサーへと通信する。

 

 

『――デク!』

「!」

 

 トライチェイサーを疾走させることに意識を集中させていた出久は、その通信で我に返った。彼の返答を待つまでもなく、勝己は早口で続ける。

 

『7号は上郷から田倉方面に逃走した。間にでかい工場がある、トラックも出入りしてるはずだ』

 

 つまりは、行きがかりでそこを襲う確率が高いということ。

 

「わかった、そこに行ってみる!」

『急げ。俺はこっちに応援が着き次第向かう』

「うん!」

 

 スロットルをさらに強く引き絞り、出久は疾走する――

 

 

 

 

 

――勝己の推測は的中した。

 

 7号ごとズ・ザイン・ダは逃走――彼自身に逃げているつもりは毛頭ないが――の途上でその工場を発見、大型トラックが入っていくのを見て標的と定めたのだ。

 

 人間体のまま大型トラックを半壊させて機能停止に追い込むと、飽き足らず工員たちを襲いはじめた。

 

「フッー、フッー……!」

 

 鼻息荒く目を血走らせ、丸太のようなその腕のパワーでただがむしゃらに目についたものを壊していく。人間の姿をしていても、彼は人間ではなかった。まるで野獣。その理不尽な脅威を前にしては、逃避か、死に物狂いの抵抗かしかない。

 

「こ、この……!」

 

 後者を選んだ工員のひとりが、己の――土や砂利から岩を創造する――個性でもってザインに攻撃を仕掛ける。全身全霊をこめて巨大な岩をつくり、それを操って脳天から落とす。ふつうの人間が相手なら、一瞬にして頭蓋骨が粉砕され、それどころか頭部のパーツがぐしゃぐしゃにつぶれてしまうだろう。いくら格闘家のような目の前の男であろうと――

 

 しかし、

 

「ヌウゥゥゥンッ!!」

「!?」

 

 落下してきた岩に、ザインは己の拳をぶつけた。粉砕されたのは岩のほうだった。破片がぱらぱらと散発的に落下し、粉塵がその屈強な身体を汚す。

 

「ば、化け物……」

 

 そう、彼はようやく知った。グロンギであるザインは、野獣などという生易しいものではない。化け物…怪物なのだ。

 

「ギギ、ゾキョグザ……!」

「ヒィ……」

 

 迫り来る化け物。逃げたいのに、脚が震えて動かない。――殺される。脳裏に走馬灯がよぎる――

 

「ギベ――」

 

 ザインが宣告するのと、バイクのいななきが響くのがほとんど同時だった。出久の駆る漆黒のトライチェイサーが、工場に飛び込んできたのだ。間一髪、間に合った。

 

「うおおおお――ッ!」

 

 ()()が人間の姿をしていようと、出久は構わず突進していった。あの男が7号――霊石が、そんな直感をもたらしたのだ。

 流石にバイクの突撃は想定しておらず、ザインは跳ね飛ばされた。同時にその場に急停車すると、出久はかの工員に向かって叫ぶ。

 

「逃げてください!」

「あ、う、うわぁあああっ!?」

 

 わけもわからず、ようやく呪縛から解放された工員が脱兎のごとく逃げ出していく。それを見届けた出久は、安堵もあって油断してしまった。

 

 そのために次の瞬間、トライチェイサーもろとも吹っ飛ばされる羽目になった。

 

「がッ!?」

 

 重量のあるトライチェイサーが先に落下し、ガシャンと耳障りな音をたてる。次いで出久自身の身体も墜ち、地面に接触した直後、骨が軋むような凄まじい激痛が襲ってきた。呼吸すらままならなくなる。

 

「かっ、は……うぐ……」

「――ゴラゲグバギンググシギド……ゲギド、ビンレザ!!」

 

 拳骨を鳴らし、何かを叫びながら、ザインはその巨体で出久に突撃してくる。再び体当たりを受けてしまえば、いくらアークルの力で強化されてはいても、まだまだ貧弱な出久の身体は恐らく耐えきれない。戦うどころではなく、最悪、再起不能になってしまう――

 

(ッ、うご……け……!)

 

 悲鳴をあげる身体を叱咤して、出久は半ば転がるように横に跳んだ。刹那、ザインが奥のフェンスを突き破るようにして工場内に突入していく。パイプが破壊され、白いガスがそこかしこから噴出する。

 

「……ッ」

 

 ザインの姿が視界から消えたことで気持ちが弛みかける。そんな自分をもう一度叱咤し、出久は立ち上がった。腹部に両手をかざし、アークルを顕現させる。そのまま右手を突き出す構えをとり、

 

「――変身ッ!!」

 

 その身がわずかに膨張し、漆黒の皮膚と赤い鎧をもつ異形の戦士――クウガ・マイティフォームへと変貌する。全身が完全に戦うための姿に変わったことで痛みも鳴りをひそめ、彼はふう、と深く息をついた。

 それとほぼ同時に、乱暴にフェンスの残骸を蹴り飛ばしながら再び姿を現すザイン。立ちはだかるクウガの姿を認めた途端、目の色が変わる。

 

「!、クウガ……ザダダサゴセロザ!――グオォアァァァッ!!」

 

 咆哮とともに、その身体が変貌していく。巨体がさらに大きく、皮膚は硬質なものへと。鼻先からは鋭く尖った一本角が生え出でる。

 

「ゴラゲゾボソギ、デバゾガゲデジャスン――ズ・ザイン・ダァ!!」

「ッ!」

 

 人間体のときよりさらに凄まじい勢いで突進してくるサイ種怪人ズ・ザイン・ダ。既に心の準備をしていたはずのクウガは、そのあまりの激しさにわずかに腰が引けてしまう。――だが、逃げるわけにはいかないのだ。

 ザインの突進をぎりぎりのところで躱し、すかさず回し蹴りを叩き込む。ザインは一瞬怯んだ様子を見せたものの、すぐさま態勢を立て直して跳びかかってきた。

 

「ヌウゥゥゥンッ!」

「ぐッ……こ、の……!」

 

 左手で角を掴んで受け止め、肘打ちを何度もその背に見舞う。しかしまったく効いた様子もなく、ザインはずりずりとクウガの身体を押しやっていく。そのうえで、ふたつの巨大な手が腰を掴み、

 

 思いきり、投げ飛ばした。

 

「うぐっ!?」

 

 地面に叩きつけられ、背中に走る衝撃が先ほどまでの痛みを呼び起こす。

 よろよろと立ち上がりながらも――彼は、わずかに後ずさった。

 

「ッ、パワーが、違いすぎる……」

 

 赤のままでは勝てない、そう思った。6号――バヅーのときと同じ、いやそれ以上の危機感だった。ザインのあまりの巨体、その指先にまで漲る凄まじい力。

 ザインは足下の砂を蹴り、いまにも再度の突撃を敢行しようとしている。もはや、迷っている猶予はない。

 

「――ッ!」

 

 意を決し、クウガの姿であるにもかかわらず、再び変身の構えをとる。すると、アークルの中心の色が赤から青へと変わり、流水を模したであろう音が流れはじめた。四肢がほっそりと引き締まり、赤い鎧が溶けるように消えて薄い青の鎧へと変わる。瞳も同じく色を変え、

 

 赤き炎の戦士・マイティフォームから、跳躍力と俊敏性に長けた青き水の戦士・ドラゴンフォームへの変身が遂げられた。

 

「はッ!」

 

 と同時に地面を蹴って跳躍、ザインの突進を易々と躱し、工場の屋根へと飛び移る。そこには留まらず飛び降りると、その首元に手刀を叩き込み、再び離脱――地形を最大限活用し、敵を幻惑しながら同じことを繰り返していく。

 ザインの動きは鈍くそもそも追いかけてこようという発想すらないようだから、この戦術は間違いではない――と、出久は思った。

 が、それは最適解であることとイコールではない。バヅー戦でもそうだったが、相手にほとんどダメージを与えられていないのだ。ドラゴンフォームの低い攻撃力では、ザインに膝をつかせることはかなわない――

 

(でも、手立てはある!)

 

 彼は既に知っている。ドラゴンフォームには、その減退したパワーを補うための武器がある。ザインがいきり立ちつつも油断もしつつあるいま、その一撃を叩き込むことができれば――

 

(……あれだ!)

 

 地面に落ちた長い木の枝。複眼でそれを捉えたクウガは、わずかに着地点をずらしてそれを拾いにかかった。そうしてまた屋根に戻ると、手にした枝を勢いよく振り回し――

 

 刹那、枝が一瞬ぐにゃりと歪み、焦げ茶色の身がドラゴンフォームのそれと同じ青へと変わった。一メートル超の全長を誇る水龍の棒――ドラゴンロッド。それをさらに振り回しつつ、眼下にいるザインを見据える。

 

「――ボギ!」

 

 それに気づいていないわけでもないだろうに、ザインは胸を突き出し、己が筋肉を誇示するような態勢をとる。――どくりと心臓が嫌な鼓動の刻み方をしたような気がしたが、もはや後には退けなかった。

 

「ッ、うおりゃあッ!!」

 

 その場から勢いよく跳躍して更なる高高度へと到達、ザインの脳天に、力いっぱいロッドを振り下ろす――

 

 

「ヌゥンッ!!」

「――!?」

 

 嫌な予感が、的中してしまった。ザインの巨大な左手が、ものの見事にロッドの先端を掌に納めていた。

 

「ッ、く、う……!」

「……ギソゾ、ラヂガゲダバ」

 

 ザインが何ごとかを呟く。次に飛んでくるのは間違いなく拳なのだから、その時点でロッドを捨てて距離をとればよかったのだ。

 しかしクウガはそうしなかった。何とかこれを叩きつければ、倒せる――そんな焦りのあまり、意地になってしまったのだ。

 

 それが命取りとなった。ロッドを拘束した左手はそのままに、右拳でクウガの胴体を思いきり殴りつける。

 

「が――ッ」

 

 凄まじい衝撃が全身に奔り、ドラゴンフォームの身軽なボディはいとも容易く跳ね飛ばされる。そのまま工場内の段ボールの山に突っ込み、大量の粉塵に汚される。

 

「く、あ……うああ……ッ」

 

 胴体を中心に全身を激痛が襲う。鎧の中心は完全に凹んでしまっており、もはや防護機能は完全に失われているだろう。

 痛みのせいでまとまらない思考を懸命にかき集めて、彼は必死に考える。このまま殺されないために、とりうる手段を。

 

(ッ、赤に戻る……でも、こんな状態じゃ……)

 

 青の身体で受けたダメージが大きすぎて、赤に戻ったところでまともに戦えるとは思えなかった。かといって青のままでも勝てるわけがない。万事休す。

 しかし殺されない、自分が生き残るための手段というならば、ひとつだけある――

 

(……逃げ、る?)

 

 この場から逃げ出す。パワーはあるが鈍いザインなら、満身創痍の状態でも簡単に引き離すことができるだろう。簡単な話だ。

 だけれども、

 

(そんなの、もういやだ……!)

 

 ここで逃げ出せば、自分はまたあの頃と同じ、何もできない無個性のデクに戻ることになる。ヒーローとはほど遠い、ヴィランに堕ちることすらかなわない、どうしようもない自分に。

 何より、デクという呪いをかけた幼なじみが、自分を殺してまでこの戦いを託してくれた――その事実を裏切りたくない。独りよがりだとは自覚しているけれども、出久の胸はそんな思いでいっぱいになっていた。

 

「――ヅギグドゾレザァ!!」

「……ッ!」

 

 獲物を追いかけてきたザインが、顔面の角を突き出して襲いかかってくる。拳や体当たりではなく鋭い角ということは、これでとどめを――文字どおり――刺そうというつもりなのだろう。

 だが、クウガの足は動かない。ダメージが大きいせいでもなければ、恐怖に震えて動かせないわけでもない。――逃げたくない。その気持ちの強さが、彼をその場に釘付けにしていた。

 

(このままじゃだめなんだ……。あいつにも負けない強いパワーを、身体を……!)

 

 もっと跳べたら。そう願った結果、ドラゴンフォームが覚醒したように。今度は、パワーに特化した姿を。

 

(僕に、くれ――!)

 

 ザインが目前に迫り、戦士がそう強く願ったとき。

 

 霊石が紫の光を放ち、ほとんど同時にザインの角が突き立てられた――

 

「ヌゥッ!?」

 

 角があえなく弾かれ、よろよろと後退する。困惑しながら顔を上げたザインの目に飛び込んできたのは、ドラゴンフォームの薄い身体ではなかった。

 

 膨れ上がっている。四肢は一転、逞しい筋肉を纏い、ザインにも負けない力強さを表している。

 さらに、胴体。当然、筋肉質になっているであろうそこは、マイティフォームすら凌ぐ分厚く堅牢な銀と紫の鎧に覆われていた。

 

「これって……!」

 

 己の変化に気づいたクウガ。その声音には、当惑よりむしろ歓喜があふれていて。

 

「よし……!」

 

 握り拳を固め、迎撃の構えをとるクウガ――"タイタンフォーム"。大地の巨人の名を借りた戦士はいま、血塗れた魔獣と真っ向から対峙している。

 

「ボゾルドボソザ!ウグオアァァァッ!!」

 

 咆哮とともに再び突撃する魔獣――ズ・ザイン・ダ。その拳が振りかぶられるのと、クウガ第三の形態の拳が突き出されるのがほとんど同時。

 

 果てしなく続くデスマッチ。勝者として残るは、果たしてどちらか――

 

 

つづく

 




お茶子「やった!ついに私の出番や!!」
ガンヘッド「おめでとう!ここの緑谷くんは僕の弟子でもあるし、ふたりが仲良くなってくれたら嬉しいな」
お茶子「!、わ、私としても仲良くなりたいけど桜子さんが既にいてはるし……桜子さん私より美人だしスタイルもいいし水着グラビアとか出しとるし!」
ガンヘッド「(友達として、って意味だったんだけどな……。あと水着は中の人の話じゃ?)…大丈夫だよ~。きみにはまた違う魅力があるもん。天真爛漫な可愛らしい感じは彼とよくお似合いだと思うよ?」
お茶子「またまたそんな~エヘヘヘヘ」
ガンヘッド「分かりやすい反応だねぇ~。ところで次回はどんなお話になるのかな?」
お茶子「あっはい!え~次回は……

EPISODE 8. デッドオアマッスル

"メ集団"現る!?
タイタンフォームvsズ・ザイン・ダ 第2R!
出久vs勝己も 第2R!?

の三本と……私、麗日お茶子の悩みでお送りするよ!」
ガンヘッド「ヒーローって大変だもんね。それでもスマイル第一でがんばろう!――ってわけで!」
お茶子「はい!さらに向こうへ!」

お茶子&ガンヘッド「「プルスウルトラー!!」」


ガンヘッド「次回も見てね~」バイバイ

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