【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我   作:たあたん

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一日と経たずに次話投稿するのは地味に初めてな気がします

南光太郎こと倉田てつをさんがオーナーを務めるビリーザキッド東陽町店に行ってまいりました。残念ながらてつをはご不在でしたが、BLACKの等身大像の前で変身ポーズをとって記念撮影したり、BLACKステーキ2,250円をいただいたり大満足でした
前に感想への返信で「ゴルゴム、クライシスと戦い抜いたあとのデクRXがワンフォーオールも継承してやりたい放題やる話書きたい」みたいなことを言ってましたが、そのうち短編程度でサクッと書くかもしれないです。まだRX観終わってないのでそのあとになると思いますが

ところで皆さんはBLACKとRXどっち派ですか?
作者はBLACKです。完成度の高いデザインとライダーパンチ&キックのみという地味さがいい味出してると思います。変身の拳ギリギリも最高峰だと思いますし
でも光太郎の性格的にはRXのほうが爽やかで親しみがもてるんですよねえ……結局甲乙つけがたいです


EPISODE 13. 来襲 1/3

――城南大学 

 

 日中は学生らでにぎわうキャンパス内も、月すら沈む深夜となると人気は極めて希薄となり、闇に閉ざされたようになる。

 考古学研究室の入った棟も例外ではない――と思いきや。要の研究室には、まばらだが人の姿があった。もはや言うまでもないだろうが、院生のひとり・沢渡桜子その人である。

 

 彼女はいま、九郎ヶ岳遺跡にまつわる古代文字の研究を急ピッチで進めていた。徹夜上等で。コーヒーメーカーは既に空になっており、デスクには何本もの栄養ドリンクの瓶が置かれている。

 平時ならいち院生にすぎない彼女がそこまでの負担を強いられることはなかっただろう。しかし、約一ヶ月前の九郎ヶ岳の惨劇で大学の調査団が全滅……未確認生命体――"グロンギ"と呼ばれる種族が現代に甦ってしまった。そんな状況下において、奴らと戦う手がかりとなる古代文字の解読は急務であった。まして先頭で命を懸けているのは、友人たる年下の青年なのだから。

 

「………」

 

 静寂のなかで、一心不乱にキーボードを叩き続ける音だけが響く。しかしある瞬間、それが不意に止んだ。

 

「甲虫の姿をかたどりし……う~ん……」

 

 液晶を睨みつつ、首を傾げる。――古代リントの使用していた文字には表音と表意の二種類があるのだが、クウガのアークルや武器をはじめとするアイテムの多くには後者が使われている。それらは複数の意味をもつ場合があり、明らかに文意にそぐわなければ良いのだが、どの意味をとっても成立してしまう場合が厄介だった。いまがまさしくそれだ。

 

「ふぁ……」

 

 いったん集中が切れてしまうと、途端にあくびが漏れ出してくる。身体にのしかかる疲労をようやく自覚した桜子は、背後にある窓を開放することにした。五月上旬の涼やかな夜風が部屋に吹き込み、気分をリフレッシュさせてくれる。栄養ドリンクやカフェインよりよほど健康的かもしれない――と、一瞬思った。徹夜をしている時点で健康も何もあったものではないのだが。

 解釈の段階になると、こんな時間にひとりで悩んでいればいいというものでもないのかもしれない。少し頭が冷えた桜子は今日はもう帰宅することにした。明日――日付的には今日だが――からまた心機一転がんばろうと決心して。

 

 そんな彼女が窓を閉じようとした瞬間、

 

 建物を、激しい揺れが襲った。

 

「きゃっ!?」

 

 つんのめって危うく転落してしまいそうになった桜子は、咄嗟にその場にしゃがみ込むことで難を逃れた。しかし揺れはまだ続いている。地震――いや、それにしては妙な揺れ方だ。いったん収まったかと思えば、短い激震が起こり――誰かが人為的に揺らしているような……。

 ヴィランの襲撃?あるいはまさか、未確認生命体?それらの可能性が頭をよぎった直後、揺れはようやく完全に収まった。

 

「なん……なの……?」

 

 様々な思いがめぐるなか、開口一番つぶやかれたのがそれだった。どこかで警報器が鳴っている。下手に動かず、ここに身をひそめているべきなのだろうか――そんなふうに考えていると、

 

 開け放ったままの窓の外から、ガラスが粉々に砕け散る音が響いた。

 

「!?」

 

 これには興味が勝ってしまった桜子は、窓から身を乗り出していた。その途端、目に飛び込んできたのは――夜空へと舞い上がる、巨大な影。

 

「あれは……まさか……!?」

 

 そのシルエットは、沢渡桜子にとってはっきり記憶に残ったものだった。――甲虫。

 夜空に溶けた影のなかで、中心を彩る翠の鮮明な輝きだけが、鮮やかに残されていた。

 

 

 

 

 

 それから数時間後――静岡県折寺市。城南大学のある東京都文京区から約百キロ強離れたこの街のある家宅で、ひとりの女性が出かけようとしていた。出勤にしてはかなり早い時間、心なしかわくわくした表情。どこか小旅行にでも行くのだろうか。

 

「あれ、光己さんもう出かけるの?」

 

 玄関で靴を履く女性の背中に、眼鏡に無精髭の男性が声をかける。見るからに気の強そうな女性に比べると、穏和な雰囲気。親子……というほど歳は離れていないが、夫婦としてはやや女性の外見が若すぎるようにも思われる。男性は四〇代半ばくらいだが、女性は肌つやでみれば二〇代そこそこでも通用する外見だ。雰囲気はずいぶん落ち着いているが。

――正解は後者、しかも実年齢は四つ違いなので、ごくごく一般的な関係性なのだった。

 

「善は急げって言うでしょ。それに日帰りなんだから、のんびりしてらんないもん」

「まあ、そうだね……」男が眉をふにゃりと下げる。「でも不安だな……未確認生命体が出現するかもしれないし。万が一、光己さんが巻き込まれたらと思うと……」

「へー、そんなこと言ったらウチのバカ息子はどうなるのかしら?」女性がニヤリと笑う。

「いっいや、そりゃ心配だよ!できればそんな危ない仕事やめてこっちに戻ってきてほしいけど……無理だろうなぁ……」

「無理でしょうね」

「ハァ……せめて今日、会えるといいね」

 

 しみじみつぶやく夫に、妻はグッと親指を立ててみせた。そして、

 

「じゃ、行ってくる」

 

 困ったような微笑みを浮かべた夫に見送られ、妻は家を出た。掛かった表札には"爆豪"と記されている。

 

「……あ」

 

 不意に立ち止まった爆豪光己は、バッグからスマートフォンを取り出した。

 

「いまのうちに引子さんにラインしておこうっと。……やだわ、物忘れの心配しなきゃならんお年頃」

 

 

 

 

 

 さらに数時間後、警視庁未確認生命体関連事件合同捜査本部。

 

「さて……皆もう聞き及んでいることと思うが、本日深夜、城南大学から例の破片群が消失するという事件が起きたワン」

 

 本部長である面構犬嗣のことばに、捜査員・ヒーローたちの表情が引き締まる。

 

「正確には、"飛び去った"というべきだろうが」

「ええ」管理官の塚内直正が引き継ぐ。「九郎ヶ岳遺跡付近から出土した破片群は、その後発掘調査を担当した城南大学考古学研究室によって復元作業が行われていた。昨日、それが終了したばかりだったそうだ」

 

 一同は手許の資料に目を落とした。城南大学考古学研究室から借り受けてきたそれらには、復元された破片群本来の姿があった。

 

「甲虫……」

 

 それを見たヒーロー・爆心地――爆豪勝己が、ぽつりとそうつぶやいた。彼の様子の変化に気づいたインゲニウムこと飯田天哉が、小声で囁く。

 

「爆豪くん、どうかしたのか?」

「……なんでもねえ」

 

 勝己が目を伏せたために、飯田も「そうか」と返すほかなかった。

 その間にも、話は進められていく。

 

「この破片群……仮に"未確認飛行体"と呼称することになったが、その行き先は目下不明だ。しかし定点カメラの映像や目撃情報などを総合するに、東京周辺にとどまっている可能性が高いと思われる」

「……しかし、」鷹野警部補がつぶやく。「意志をもって動いているのだとしたら、目的は一体……」

「未確認生命体のように、我々を襲うつもりかもしれんな」これはエンデヴァー。

 

 その可能性を否定できる者は、いまここにはいなかった。沈黙の場をやおら見回したあと、面構が厳かな声で言う。

 

「エンデヴァーの言うとおり、いつ万一のことが起きてもおかしくない。また、それに連動して未確認生命体が出現することも十分に考えられる。引き続き警戒を怠らないよう、皆、頼むワン」

 

 

 

 

 

「生命体の次は飛行体とはねー……あーヤダヤダ。おかげで今期のアニメ全然消化できないよ、わが城のHDDもいっぱいいっぱいですし。早く完成してくんないかなー例のプロジェクト」

 

 捜査会議終了後、廊下を歩きつつ森塚巡査がこぼす。彼は重度のアニメオタクだったが、その趣味は現職と相性が悪いのだった。

 それも、ふつうならちょっとした愚痴として適当に受け流されるべきものなのだが、

 

「仕方ないでしょう、我々の行動ひとつひとつが市民の命を握っているのですから!そのことは森塚刑事もご承知のはずです」

 

 やや怒った調子で、隣を歩く飯田がきっぱりとそう言いきった。彼のほうが六つも年少なのだが、身長では圧倒的に勝っている。ゆえに威圧感は凄まじかった。

 その威圧感をさらりとかわしつつ、

 

「わかってますって。一応誇りをもってやってるからねぇ僕も、憧れから選んだ仕事ですし?」

「憧れ……ですか?」

「そ。"バッカモーン!!"ってね」

「??、サザエさんのお父上はサラリーマンだったと記憶しているのですが……」

「そ……そっちじゃない。そっちじゃないよ飯田クンよォ……」

 

 ふたりがそんなやりとりを繰り広げる一方で。

 

「………」

 

 巡り合わせでそばを歩いていた勝己はひとり考え込んでいた。デク……緑谷出久が見たという飛翔する甲虫の幻。無論、あの幼なじみの頭の中を覗けるわけもないが、もし同一のものだとしたら。未確認飛行体は、出久の前に現れるのではないか。あるいは、害意をもって――

 

 そこまでで、彼は自身の思考を乱暴に打ち切った。

 

(なんで毎日毎日アイツのツラ思い浮かべてんだ俺はッ、クソが……!)

 

 勝手に苛立ち、鼻息が荒くなる勝己。先ほどからずっと様子を気にしていた飯田が、それに気づかないはずもなく。

 

「爆豪くん……どうかしたのか?」

「ア゛?……何がだよ」

「いや、未確認飛行体のことで気がかりがあるようだから。何かあるなら話してくれ」

「………」

 

 一瞬、口を噤もうかとも思った。が……クウガの正体が明らかにならない範囲でなら、彼らにくらいは伝えてもいいだろうと思い直し、口を開く。

 

「4号の野郎が、緑ンなったとき甲虫の幻を見たっつってた。それを思い出しただけだ」

「!、そうだったのか……」

「へー」

 

 そのことが如何様な意味をもつのか。勝己以上にじっくり考えこみはじめた飯田――対照的に、何か言いたげな目つきで見上げてくる森塚。

 

「……なんすか?」

「いやぁ。そろそろ僕らにくらい紹介してくれてもいいんじゃないかなー、と。4号氏のこと」

 

 言い方は冗談めかしているが、その瞳は刑事らしい獰猛な輝きをたたえている。来たか、と勝己は思った。

 

「ね、飯田くんもさ、そう思うっしょ?」

「!、それは……」

 

 同意を求められた飯田は、複雑そうな表情を浮かべた。ちら、と向けられた視線には、逡巡がありありと見てとれる。

 きっと、本心は森塚と同じなのだろう。飯田だって、露骨に隠しごとを続けられて愉快であるわけがないのだ。――同時に、勝己を信頼して万事任せたいとも思っている。少なくとも、それで結果が出ているうちは。

 

 勝己も正直、話してしまいたい気持ちはあった。実際、蛙吹や発目にはやむを得ずとはいえ知らせてある。彼らにもそうしてしまえば、自分があの幼なじみの保護者めいたことをする必要もなくなる――

 

「……あいつは――」

 

 気づけばことばが滑り出していた。しまったと思っても、一度飛び出したものはそう簡単には止まらない。強固な意志があれば別だが、迷いがある以上、そのまま――

 

――というところで、不意にスマートフォンが振動した。着信だ。

 

「………」

 

 はからずも他力によって止まることができた勝己は、内心わずかに安堵しながら携帯を取り出したのだが……発信者の名を認めた途端、そんな感情は一気に吹っ飛んだ。

 

「……爆豪くん?」

 

 「誰からだい?」と今度は遠慮なく訊いてくる飯田を射殺さんばかりに睨んだあと、勝己はそそくさと廊下の片隅に移動した。ほとんど壁に頭をくっつけるようにして、

 

「……なんの用だクソババア」

 

 開口一番、そう言い放つ。小声なので威圧感のかけらもないが。

 それに対し、

 

『ハタチ過ぎて妙齢の女性をクソババア呼ばわりなんて礼儀がなってないわね、親の顔が見てみたいわ!』

「あんたとあんたの旦那だろうが!なんでかけてきやがったマジで!?」

 

 電話の相手は爆豪光己。――勝己の、母親だ。

 

「……こっちは仕事中なんだよ。用事あんならラインしろや」

『あんたあんまりライン見ないでしょうが、一日二日経たないと既読もつかないし。通知オフにしてるんじゃないでしょうね?』

「………」

 

 図星であった。

 

『まあいいわ。お母さんね、いま東京駅にいるの』

「……は?」

 

 東京駅――上京してきたというのか?母親が?

 

「なんで……」

『なんでってそりゃあ、たまには息子の元気な顔見たいし?ほんとはお父さんも来たかったんだけど、仕事じゃしょうがないからねぇ……』

「………」

『そういうわけで、もし時間つくれるならお昼でも一緒にどう?お母さん行ってみたいお店があるんだけど――』

 

「帰れ」

 

 その冷たく突き放すことばは、驚くほどすっと飛び出した。

 

『どうして?』

「どうしてもクソもねえだろ、東京(こっち)には未確認生命体がいるんだぞ!?ンなくだらねえ理由でのこのこ出てくんじゃねえよクソババア!!」

『ハァ!?くだらないとはなんだこのバカ息子!!』母親もまったく負けていない。『そんな親心のわからない子だとは思わなかった……。いいわよ、別にあんただけに会いに来たわけじゃないし!(あっち)とよろしくさせてもらうから』

「ッ、勝手にしろ!」

 

 半ば自棄に叫んで、勝己は乱暴に電話を打ち切った。"(あっち)"が誰を指しているのか……それを気にかける精神的余裕はなかった。

 

「……クソがっ!!」

 

 衝動的に壁を殴りつけそうになったが、飯田が「やめたまえ!」と制止してきたためにそれすらできない。苛立ちがますます募る。

 

「さっきの電話……もしかしてお母様かい?」

「……だったらなんだよ」

「やはりお母様相手にあの物言いはよくないと……いや、そんなことより、もしかしてこちらに出てらっしゃったのか?そんな様子だったが……」

「……チッ」

 

 聞かれてしまった以上は是非もないと、勝己は「そうだよ」と不承不承うなずいた。

 

「そうか……それは困ったことになったな……」

「冗談じゃねえわクソが……」

 

 ひとつ舌打ちをして、勝己は再び歩き出した。飯田が慌てて呼び止める。

 

「まっ待ちたまえ!どうするんだ、お母様のことは……」

「どうもこうもねえだろ。いちいち構ってられっかよ、仕事だ仕事」

「いや、しかし……」

「くどい」

 

 吐き捨て、去る勝己。確かにヒーロー……それ以前に社会人として、不幸があったわけでもないのに目の前の職務より母親を優先はできない。その点、間違いなく正論ではあるのだが。

 

「こいつぁなかなか……不器用なこって」

 

 森塚のつぶやきを聞いて、やはりこの人は大人だと認識せざるをえない飯田天哉なのだった。

 




キャラクター紹介・クウガ編 ズゴゴ

ペガサスフォーム
身長:約2m
体重:99kg
パンチ力:1t
キック力:3t
ジャンプ力:ひと跳び15m
走力:100mを5.2秒
武器:ペガサスボウガン
必殺技:ブラストペガサス
能力:
全身の感覚が飛躍的に強化されたクウガの特殊形態。なんと常人の数千倍!赤外線や紫外線の視認や、人間の可聴域にない超音波を聴くことなんかもできるぞ!
ただし格闘能力は大きく減退(右腕のパワーコントロールリングによる補強でようやくドラゴンフォームと同程度)しているほか、エネルギー消費の激しさから五〇秒しか変身していられない。この制限時間を超えるとグローイングフォームに戻ってしまい、その後二時間変身が不可能になってしまう。
そのため遠距離からのペガサスボウガンによる射撃で確実に敵を射抜く、全神経を集中した一発必中短期決戦の戦闘スタイルが求められるぞ!
基本カラーは緑!緑谷出久の緑と覚えてくださぁぁーーい!!
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