【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我   作:たあたん

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爆豪ママ結構好きです。かっちゃんそっくりなのでそういう目では見れませんが好きです

ふと思ったんですが、引子ママと彼女の性格が逆だったら息子たちはどう育ってたか気になります。かっちゃんは良くも悪くもあまり変わらなさそうですが出久はマザコンになりそう……一人っ子だし……


EPISODE 13. 来襲 2/3

 緑谷出久は城南大学にいた。この日は講義が入っているからいずれにせよ来る予定ではあったのだが、到着するなり彼が急行したのは考古学研究室。

 

 そして彼はいま、つい数時間前まで件の破片群が保管された一室の前で、呆然と立ち尽くしていた。

 

「うそ、だろ……これ……」

 

 目の前の光景が信じられない。無理もない――だってあるはずの部屋が、消失しているのだ。ドア一枚の向こう側が、断崖絶壁のように外へ通じてしまっている。

 

「あの破片群が飛び去ったあとには、こうなってたの」

 

 彼とは異なり、淡々と告げる沢渡桜子。しかし彼女が冷静でいられるのは、この光景を見るのが初めてではないからだ。

 

「どういうことなの?そいつが全部壊した……って、わけでもないんでしょ?」

 

 ()()()()から戻りつつ、質問する。壊したとすれば、崩壊した部屋の残骸が地上にあるはず。そうしたものはガラス片以外存在していなかったというのだ。

 だが、何より気になるのは。

 

「甲虫……。やっぱり、僕が見た幻と同じものなんだろうか……」

 

 緑のクウガ――ペガサスフォームに変身した際に脳裏に浮かんだそれは、戦闘中や日常生活では現れなくなったものの、その後毎日のように睡眠中、夢の中に現れていた。安眠妨害、というほど鮮烈でもないため、既に出久は慣れつつあったのだが。

 

「確かなことは言えないけど、そうかもしれない。――見て」

 

 研究室に入って早々、桜子のデスクに案内される。用意周到というべきか、画面には既に彼女の見せたいものが表示されていた。

 

「これなんだけどね。"甲虫の姿をかたどりしもの"……」

 

 件の破片群に刻まれていた碑文の解読結果。いや、結果とは言いがたいかもしれない。まだ、完全ではないのだ。

 

「うわ、いっぱいあるなぁ……」

「そうなのよ。なかなか絞り込めなくて……一応この、"馬のごとく守る"が無難な訳かな~とは思うんだけど」

「うーん、まあ確かに……あ、」画面を指差し、「でも、こっちでもよさそうじゃない?ほら、この"馬の鎧"ってやつ」

 

 リントの使用する表意文字において、"守る"と"鎧"は同じものだった。

 

「でもそこが"馬の鎧"だとすると……"馬の鎧となる(しもべ)"ってこと?」

「うん」

 

 桜子がぷっと噴き出す。

 

「虫がどうやって馬の鎧になるのよ?」

「それは……ほら、身体を変形させる個性とかだっていまはあるんだし。それにクウガ自体そういう芸当ができるわけで……――ダメかな?」

「ダメじゃないけど……。それじゃ一応、馬の鎧ってことにしとく?」

「うん!なんにしてもさ、悪いやつじゃなさそうでよかったよ」

 

 ともに戦う仲間。それが増えるというのは、やはり出久にとっては嬉しいことなのだろう。その翠が生き生きと輝いている。

 と、ここで不意に出久の携帯が鳴った。発信者を確認した彼が、「あれ」と声をあげる。

 

「知らない番号だ……。誰だろう?」

「間違い電話じゃないの?」

「今どきあまりない気がするけどなぁそういうの……相手も携帯だし」

 

 まあ間違い電話なら間違い電話で、そう教えてあげればいい話だ。出久は特に躊躇うことなく、それを承った。

 

「はいもしもし、緑谷ですけど」

 

 上述の意図からか、"緑谷"をやや強調した出久。しかし次の瞬間、彼の様子が一変した。「えっ!?」と声をあげたかと思うと、身ぶりからして慌てた様子で「あっおっお久しぶりです!」だとか「どうしたんですかいきなり?」だとか、とにかく驚愕が前面に出たことばを発している。具体的な内容から察するに、古い知人のようだ、それも目上の。

 桜子が相手の正体を推察していると、出久がさっきよりひときわ大きな声で「ええっ!?」と仰け反った。

 

「東京に!?なんで……あ、あぁ、そういう、いや……わかりますけど……。あ、はい、お昼くらいならなんとか……わかりました、じゃあ茗荷谷駅で」

 

 何か待ち合わせをしたらしき会話で通話を締めると、出久はふうううう、と腹の底から吐き出すような溜息ひとつ。

 

「……ごめん沢渡さん。こんなときに悪いんだけど……僕、行かないと」

「あ、うん、私は全然大丈夫だけど……誰なの?」

「えっと、実はですね――」

 

 出久の口から明らかにされたその正体に、桜子も思わず「ええっ」と声をあげてしまった。

 

 

 

 

 

――三鷹市内 某所

 

 人目につかない雑木林の中に、風景に溶け込んでいるとは言いがたい大型トラックが駐められている。

 

「ギギザソガダサギ、ギゴセンバサザ」

 

 そのトラックの側部をバンバン叩きながら日本語と似て非なることばを発するのは、初夏を迎えんとする季節に逆行するかのように厚手のコートを纏い、目深にフードをかぶった小男。整っているとは言いがたい下卑た顔つきに、瞳だけが飢えた獣のようにぎらぎら輝いている。見るからに危険な風体――それこそ、彼が古代より復活した異形の殺人者・グロンギの一員であることの証左だった。

 

 それに対し、十歳そこそこの少年が臆することなく声をかける。彼もまた、グロンギのひとりであったから。

 

「へえ、アンタにしては考えたね。リントの道具使うなんて」

 

 日本語。さらにもうひとり、ショートカットの女が、

 

「しかし、リントどもも力をもっている。容易くはないぞ」

「ヘヘヘ……わかって、ル。一瞬、デ、仕留めル」

 

 たどたどしい日本語でそう応じると、男はトラックの運転席に乗り込んだ。エンジンがかかったかと思うと、かなり乱暴なアクセラレーションで発進していく。それと入れ違うように、バラのタトゥの女、そして蝙蝠傘の男――ズ・ゴオマ・グが現れる。

 

「ギャリドは行ったようだな」

「うん。いつの間にかあんなの操れるようになってるなんて、あいつもやるよね。――ねえ、ゴオマ?」

「!」

 

 少年――メ・ガルメ・レの瞳が、嘲るように細められる。当然強い反感を抱いたゴオマだったが、それを行動に表すことはできなかった。この子供の怪人体の舌には、何度も吹っ飛ばされているがゆえに。

 だが、同時に興味も湧いた。"ゲゲル"を開始したかの男――メ・ギャリド・ギは、リントの道具をどのように扱って殺人に及ぶのか……。

 

 

 

 

 

「あっ、出久くーーん!!」

 

 茗荷谷の駅前にトライチェイサーを駐めて待っていた出久は、親しげに呼びかける女性の声にぱっと顔を上げた。

 行きかう人混みの中から、ひときわ肌の白い女性が飛び出してくる。大ぶりに手を振りながら。出久はぎこちなくはにかみつつ、小さく手を振り返した。

 

「ひっさしぶりー出久くん!」

「アハハ……お久しぶりです――光己さん」

 

 爆豪勝己の母・光己――彼女こそ、出久を呼び出した張本人だった。

 

「もう五、六年ぶりだっけ?立派になったわねぇ、ちゃんと都会の大学生って感じ!」

「そ、そうですか?」

「うん。でも良い意味でそこまで変わってなくて、おばさん的にはひと安心かな~。ひと昔前のビジュアル系みたいになってたらどーしようかと思ったもん」

「アハハ……」

 

 胸に軽くパンチをかまされて、出久は苦笑いを浮かべた。赤ん坊のころから出久のことを知っているためか、この女性はかなり気安い態度で接してくる。彼女の息子よりよほど友達らしい対応なのではないか。

 

「でも、ほんとびっくりしましたよ僕のスマホに連絡あるなんて。母さんから番号聞いたんですか?」

「うん。引子さんも来たがってたけど、パートの都合とかもあってねー……何より万が一にも危ない目に遭わせるわけにはいかないし!」

「いや、それは光己さんも一緒なんじゃ……。かっちゃん、何も言わなかったんですか?」

「言った。バリバリ罵詈雑言ぶつけてきやがったわよあのバカ息子!"んなくだらねえ理由でのこのこ出てくんじゃねえよクソババア!"ですって。失礼しちゃうわ、ったく」

「あ、アハハ……かっちゃんらしいなぁ」

 

 くだらねえ理由、であるかはともかく。

 

「でも、危ないですよ本当に。未確認生命体、いつどこに出てくるかわかりませんし……」

「うーん、そう素直に気遣ってもらうと考えちゃうわねぇ……」本当に考えこんだあと、「じゃあこうしましょ!これから出久くんの働いてるっていうお店でゆっくりランチして、そしたらそのまま帰るわ。それなら危ないこともないでしょう?」

 

 確かに、あちこち移動しないのであれば、いますぐ帰らせるのと同じことかもしれない。万一遭遇する事態になったとしても、自分がそばについていれば守ることはできる。その場合、クウガの正体が露呈はしてしまうが……。

 

「う~ん……まあ、そういうことなら……」結局了承し、「じゃあ、早速向かいましょうか」

「オーケー!……それにしてもそのバイク、カッチョいいわねぇ。出久くんがバイクなんて、ちょっと不思議な感じ」

「自分でもそう思います。大学でできた友達に影響されて乗るようになったんですよね。便利だし、ツーリングなんかも楽しいですよ」

「ふーん、いいじゃない。そんじゃ堪能させてもらおっかな、出久くんのライテク!」

「ハハ……五分もかからないですけどね、店まで」

 

 なんだかこそばゆいものもありつつ。出久は後ろに光己を乗せ、マシンを嘶かせたのだった。

 

 

 

 

 

――同時刻 三鷹市下連雀

 

 緊急通報を受け、未確認生命体関連事件合同捜査本部の捜査員らが現着していた。

 

 その事件現場は歩道上だった。巨大なタイヤ痕があちこちに残され、その周囲に血痕と思しきものがにじんでいる。

 

「下手な個性犯罪よりエッグイなぁ……こりゃ」

 

 露骨に顔を顰め、森塚がつぶやく。事故、にしてもあまりに悲惨。そもそも事故なら、こんなふうに何度も轢き直したような痕が残るわけがない。――まるで人間を轢く感触を楽しんでいるようだ、と飯田は怒りとともに思った。

 同時に、疑問がひとつ。

 

「しかし、これがどうして奴らの犯行だと判断されたのでしょうか?従来の個性犯罪的な手口とは異なりすぎているように思えますが」

「――簡単なことよ」

 

 飯田らが振り向くと、所轄の捜査員から報告を受けていた鷹野が戻ってきたところだった。

 

「逃げた通行人を追ってトラックを飛び出したコートの男が、異形の姿に変身した。聞き慣れない言語をしゃべってもいたそうよ」

「なるほど……。しかし、奴らが車の運転など……」

「………」

 

 流暢な日本語を操る個体、車の運転を習得した個体――古代人であるグロンギが、徐々に現代人である我々に近づいている。その事実を予感しない者は、この場にはいなかった。

 




ギャリドが第18号なので、15~17号をご紹介↓

第15号(トカゲ種怪人 メ・ガーゲ・レ)
→マイティフォームに倒される
第16号(カエル種怪人 メ・ガエラ・レ)
→ドラゴンフォームに倒される
第17号(シマウマ種怪人 メ・ジュウマ・ダ)
→マイティフォームに倒される

ガエラ戦では再びの梅雨ちゃん、ジュウマ戦では飯田くんと森塚さんが活躍したとかしてないとか
その模様が見たい方は指定の口座に1000万振り込んでくだちゃい。パンペーラ購入及びビートチェイサー(ブルーライン)への改造資金に充てます


……マジでいつかは欲しいなぁ、ビートチェイサー
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