【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我 作:たあたん
出久をリスペクトして筋トレしてたらこれだよ!!
そういや「爆豪勝己:オリジン」でオールマイトの弾丸ヒップアタックを腰に喰らった出久はその後大丈夫なんだろうか……?
無事の再会を祝いあったのち、三人は丸テーブルに腰掛けてひと息ついた。インスタントコーヒーを啜る。出されたのが自身の愛用しているオールマイトのマグカップでないことを出久は当然不審に思ったのだが、自分の仮死と時を同じくしてひとりでに落ちて割れてしまったのだと聞き、吃驚した。実際にはアマダムによる計画的な偽装死だったとわかってはいるが……結果的に不吉な知らせではなかったわけだから、つまりは身代わりになってくれたのかもしれない――などと、殊勝なことを思ったりもして。
不在のジャン先生が戻ってきたら"修復"の個性で直してくれるというので出久が気持ちそわそわしていると、勝己が問いを切り出した。内容はやはり、関東医大では解明しきれなかった出久の腹の中の霊石――"アマダム"のことで。
それに対する桜子の答えは、
「アマダムが古代リント族にとって神聖視されたものであることは間違いないと思います。ただ、その全貌はなかなか……碑文にもほとんど記述がなくて」
「えっ、大切なものなのに書いてないの?」出久が訊く。
「っていうより、恐れ多いものとして遠回しに、それこそ暗号のように書かれてるんだと思う。出久くんが生き返るって可能性を見出せた文が、ちょうどそんな感じだったし」
「……なるほど」
揃って考え込む幼なじみコンビ。隣り合って座っているせいもあるのか、そのしぐさがまた妙にシンクロしている。無論、当人らは無自覚なのだろうが。
出久はともかく勝己がそれに気づくと面倒なことになると思ったので、さりげなく桜子は話題を変えることにした。
「そういえば、ゴウラムにもアマダムと同じものが埋め込まれてるみたい」
「!、あっ、もしかしてアレかな?緑色の……」
「たぶんね。――ちょっと見て、」
席を立って自身のデスクに向かうと、ふたりもそれに従ってついてきた。
「えっとね……これこれ。"神の使いは戦士のしもべ。戦士の想いを実らしめん"……」碑文を読み上げつつ、「ふたつのアマダムを媒介にして、ゴウラムはクウガ……つまりは出久くんの意志を読みとって動くのよ」
「なるほど……でもやっぱり、しもべっていうのはなぁ……」
「片言隻句なんざどうでもいいだろうが。敵じゃねぇって事実だろ、重要なンは」
桜子もこのときばかりは勝己のことばが正論だと思ったが、出久の気持ちも理解できるので助け舟を出すことにした。
「"他者の意志に従うもの"……そういう意味合いの古代文字を便宜上しもべって訳してるだけだから、出久くんとしては相棒とか仲間とか、そういう解釈でもいいんじゃない?」
「相棒か……。そうだね、そう考えることにするよ」
いずれにせよ、ゴウラムが頼もしい味方であることはこれで確定した。この前は"馬の鎧"としてその力を借りたが、別の協力方法も模索できそうだ。それに一応言語らしきものも話せるようだから、こちらが理解さえできればアマダムを介してでないきちんとしたコミュニケーションもとりうるかもしれない。出久はわくわくした気持ちになった。
一応は満足のいく収穫があったということで、ほどなくふたりは研究室を辞した。出久としてはもう少しゆっくりしてもよかったのだが、まだ行かなければならない場所もあったのだ。
そうしてともにキャンパス内を歩いていると、来たとき以上にすれ違う学生たちの視線が突き刺さる。出久は相当な居心地の悪さを感じたが……それが自分ではなく、一歩前を歩く幼なじみに向けられたものであると理解していて。
「あ、あのさかっちゃん」
「ア゛?気安く話しかけんなっつったろうが」
「いやそうなんだけどさ……やっぱり最低限の変装は必要だったんじゃないかな……?」
今さら言うまでもなく、勝己はヒーローである。それも良くも悪くも知名度の高い若手スター・爆心地。雄英時代、それ以前から有名人になってしまっている勝己だから、いくらヒーロースーツ姿でないにせよ同年代の学生たちが気づかないわけがないのである。
が、
「ケッ。なんでこの俺がンなコソコソしなきゃなんねえんだよアホらしい」
「いやこの俺だから言ってるんじゃないか……。それに僕が困るんだよ、知り合いに見られたらあとで質問攻めだよ僕……」
出久がブツブツとごちている間にも、勝己はこちらを見やる群衆を鋭くひと睨み、さらに写真を撮ろうとスマホを向けている学生には男女問わず「何撮ってんだゴラァ!!いい歳こいて肖像権も知らねえのかカス!!」と一喝?している。
まあまあ勉強はできる地味なオタク学生というポジションをどう守っていくべきか思案していると、不意に背後から「緑谷」と声がかかった。穏やかだが秘めたる強い意志を感じさせる低い声――よく親しんだそれは、
「!、心操くん……」
「よう」
心操人使。出久にとってはおよそ丸一日ぶりに再会する友人である。
「今日、講義は?」
「あ……っと、ごめん、ちょっと行かなきゃいけないところがあって……」
「わかった、ノートとっとく」
「あ、ありがとう!本当、いつも恩に着ます……」
「いいよ別に、撮って画像送るだけだし。それよりおまえ、すっぽかしたんだって?麗日とのデート」
「!、だからデートじゃ……ってか、なんで心操くんが知ってるの!?」
出久が話さなければ、あとは麗日から聞いた以外ないが。同窓生とはいえヒーロー科だった彼女と普通科だった心操に親交はないので、そういう発想は及びもつかないのだろう。
「昨夜、晩メシ食いにポレポレに行ったんだ。そうしたら麗日がいて……おまえと出かけるって話だったのに妙だと思って、聞き出したんだ」
「そ、そうだったんだ……。うん、ちょっと昨日も急用がね……」
「へぇ……。――ところで、なんで爆豪はここにいるんだ?」
「!」
出久はどきっとした。急用云々と言い訳して、それで勝己と行動をともにしているとなれば理由は自ずと限られてくる。
それを察したのか、単に足止めを喰らって苛立っているのか、勝己の表情がきつくなる。
「テメェに関係あんのかよ?洗脳野郎」
「!、ちょっ、かっちゃん……!」
そんな呼び方はないだろう、と思ったのだが、心操は意外にもせせら笑うように唇をゆがめただけだった。
「この前は言えてたじゃん、俺の名前。ま、あんたにどう呼ばれようが構わないけどさ」
「………」
「わかってるよ、沢渡さんのとこだろ。幼なじみの緑谷にあの人との橋渡し役やらせてるとか?」
「!、う、うん、そうなんだよ!僕、奇しくも両方と知り合いだし、こう……話しやすい雰囲気を作るというかなんというかその、」
心操の推測が都合の良いものだったので、出久は慌ててそれを肯定した。嘘をつくのは気が引けたが、その程度に思っていてもらえるのが一番ありがたかった。
「やっぱりそうか」と彼が納得したところで出久がほっと胸をなで下ろしていると、今度は一転、
「そういや、4号はまた大活躍だったみたいだな」
「ッ!?」
いきなり口を突いて出た"4号"の名に、気を緩めかけていた出久は跳び上がりそうになってしまった。
「あの人……なのかわかんないけど、すごいよな。職業ヒーローでもないのに、他の未確認相手にがむしゃらに戦りあってさ。警察官志望としてはあやからないとって思うよ、ほんとに」
「う、うん、そうだね……」
「な。――ところで緑谷はさ、4号って普段何してる奴だと思う?」
「へっ!?な、何って……わからないよ、そんなの……」
「そりゃわかるわけないじゃん、知り合いでもあるまいに。どう思うかって訊いてるだけ」
「それは……その………」
そろそろ出久の精神は限界だった。ひとりでに目が泳いでしまう。対して心操の瞳はまったく凪いでいて、その奥にひそむ感情は読み取れない。一体どういうつもりでこんなことを訊いているのか。ただの雑談なのか、それとも――
「世間話ならあとにしろや」
「!」
冷淡な物言いで、勝己が割って入った。
「こいつにはまだ用があんだよ。テメェはせいぜい学生らしくオトモダチとウェイウェイやってろ、こっちの時間浪費させんじゃねえ」
「かっちゃん……」
「ウェイウェイね……そういうの得意じゃないんだよな、俺」茶化しつつ、「わかったよ。邪魔して悪かったな」
少しだけ寂しそうな笑みをフッと浮かべると、心操は「じゃあまた今度な」と出久にことばをかけて去っていった。――罪悪感と焦燥とが、自ずから生まれる。
「チッ……とっとと行くぞ」
「ッ、かっちゃん……ああいう言い方、お願いだからやめてよ……。僕に対してはいいけど、せめて僕の友達には………」
思えば勝己は昔からそうだった。幼い時分も無個性だからといって露骨に蔑んだり無視してくる者ばかりでなく、出久にもふつうに接してくれる同級生は少数だがいた。幼い頃のこの男は、そういう子に対してもひどい言動を繰り返した。"緑谷とちょっとでも仲良くすると爆豪にいじめられる"――となれば、差別意識のない子たちまでも出久に近寄らなくなる。ヘドロ事件のあとそれがなくなって、初めて出久はコミュニティの片隅も片隅に入れてもらえるようになった。そこからさらに努力して、ようやく友達と呼べる存在ができたというのに――
そういう仄暗い気持ちを察したのか、歩き出した勝己がいきなり立ち止まった。また理不尽に逆ギレされるのか、そう思った出久は反射的に身構えたのだが、
「……テメェがどうとか関係ねえんだよ。いまのは俺とあいつの話だ」
思わぬことばに、今度は怪訝な思いにとらわれるほかなかった。
「どういう、こと?」
「………」
溜息をついて、再び勝己が歩き出す。しかし、問いかけをまったく無視するつもりもないようであった。
「――"時間は有限、合理的に使え"。俺らの担任が口癖みてぇに言ってたことばだ」
「………」
いつの担任か、とは訊かなかった。勝己が「俺"ら"」と形容するとき、それは十中八九雄英高校のときに決まっている。
「ヒーロー科への編入を狙ってた頃、あいつも先生にあれこれ相談して、教わってたらしいからな。それが身についてないわけねえんだよ」
「……そっ、か」
かろうじて、そう返すのが精一杯だった。――明らかに良好な関係ではない勝己と心操も、恩師を介して間接的にではあるが通じあうものをもっている。
(三年って……大きいなぁ)
自分が同じような毎日を繰り返してきた三年間で、彼らは大きく成長している。勝己ももう「出久と仲良くしているからつらく当たる」なんて低次元にはいないのだ、当たり前だが。
それが自分にとってもありがたいことだと理解しつつも、ほんの少しだけ切ない気持ちになる出久だった。
*
川の流れに従って、ゆっくりと漂うギノガの腕。死体の一部というだけであるはずのそれは、しかし確実に変化を続けていた。その一部が醜く膨れあがり、時折ぐにゅぐにゅと蠢いている。まるでその内部に、何かを孕んでいるかのように。
河岸にて、その光景を淡々と見つめている三人組の姿があった。例の釣り人たちではない。ショートカットの凛とした美女に十代前半くらいの生意気そうな少年、そして蝙蝠傘を差した全身黒づくめの病的な男。――グロンギである彼女らにとって、気色悪くはあれ驚くべきものではなかったのだ。
「うわっ、まだ粘ってるよギノガの奴」少年――ガルメが毒づく。「結局クウガも生き返っちゃったし、なんだかなあ」
がっかりした様子のガルメに対し、女――ガリマはどこか嬉しそうですらあった。
「そうでなくてはな。今度のクウガは弱いが、骨はある。奴を打ち倒すのは、このガリマ以外にないはずだ」
「……あーソウッスカ。――バサチャンドギラヅギデブセジョ、ゴセンゲゲルンラゲビ」
ぼやきながら、ガルメは水流に向かって小石を投げる。それは見事ギノガの手首にヒットし、彼は「イエ~ス」と覚えたばかりの英語を披露した。
それを無視し、ガリマはゴオマに顔を向けた。
「ところで、"バルバ"はどうした?」
「……"ドルド"に、会いに、行っタ」
「ドルドに?」
ふたりの"メ"は揃って意外そうな表情を浮かべて。
「まさかもう"ゲリザギバス・ゲゲル"の準備?早くね?」
「今回のゲゲルは妙に
「……ッ」
「ま、さすがにオレら"メ"は大丈夫っしょ。あいつらが何考えてようがどーでもいいや、楽しいゲゲルができりゃそれで」
意気揚々と二個目の小石を投げようとして――ガルメは、「あ」と声をあげた。
「ちょっと目ぇ離した隙にま~た育ってるし……マジキモっ」
彼の視線の先では、ギノガの手首がさらなる肥大化を続けていたのだった。
キャラクター紹介・リント編 バギンドドググ
面構 犬嗣/Kenji Tsuragamae
個性:バリー・ハウンド
年齢:48歳
誕生日:1月1日
身長:2mとちょっと
好きなもの:お散歩・チョコレート
個性詳細:
ひと言で言ってしまえば犬。犬人間だ!個性名はセントバーナードの別名からとられている、ただ"犬"じゃ芸がないからと名づけの際にひと工夫してもらえたのだ!
その見た目に違わず嗅覚がめちゃくちゃ鋭いぞ!でもそれ以外は人間と変わらない、ドッグフードをあげても喜ばないぞ。逆にチョコをあげたら年甲斐もなく大喜びだ!※ホンモノの犬には御法度だよ!
「ボール遊びだと?人間である私がそんなものに釣られワオーンU^エ^U」ズザザザ
備考:
警視庁未確認生命体関連事件合同捜査本部の総責任者・警視長。これまでに保須警察署署長や警視庁猟犬部隊部隊長(初代)などを務める。犬のおまわりさん……なのだがいわゆるキャリア組なのであんまりおまわりさん業務はやってないぞ!
大人なので多少は清濁併せ呑むところもあるが、部下など若者を第一に考え動いてくれる良い上司だ!塚内ともども爆心地と4号の連携を黙認もしてくれている。真面目で実直ではあるのだがどうしても語尾に「――ワン」をつけてしまうためいまいち締まらないのが欠点といえば欠点だ!ワオ~ン!!
作者所感:
原作だとゲストキャラ……なんですかね?名前以外情報がないので捏造しました。年齢は階級から逆算、誕生日は「ワンワン」から。身長はマニュアルさん(176cm)と並んでるシーンから算出してある程度遊びをもたせましたが、頭ひとつぶん以上差があるので「ちょっと」どころじゃないかもしれないです。
本部長にするならこの方しかいないと思い松倉さんのポジションになりました。お偉いさんなので捜査にはそこまで口を挟みませんが、庁内政治のほうを一生懸命がんばってくれてることでしょう。
一応裏設定として彼の生い立ち的なものも考えているのですが、本編に反映できるかはまだわかりません。
柴崎巡査……忘れないからね……(´;ω;`)