【完結】僕のヒーローアカデミア・アナザー 空我 作:たあたん
兆候:20話
発現:24話
拙作
兆候:17話
発現:27話
轟アギト覚醒編挟んだとはいえ開きすぎィ!!
マジでお待たせしました……やっとここまで辿り着きました。
未確認生命体第37号――ゴ・ブウロ・グによる
これ以上の殺人を阻止すべく、敵を追って走る
しかし高速で飛行を続けるブウロを捕捉することは、困難を極めていた――
『鷹野から全車!――第37号を発見した!』
「!」
鷹野警部補からの新たな入電に、総員の表情がさらに引き締まる。
『現在ヘリで追跡中、しかし37号の移動速度が速すぎて追いつけない!このままでは見失――きゃッ!?』
「!?、大丈夫ですか警部補っ!」
飯田が思わず色をなして訊くが、ほどなく『問題ないわ』というやや上擦った声が返ってくる。
『ッ、37号から攻撃を受けた……その衝撃でヘリが揺れただけ!奴は吹き矢のような武器を所持しているわ』
吹き矢……予想はできていたが、やはり飛び道具を持っているか。殺人方法といい、第14号――メ・バヂス・バを想起させる敵だ。ならば、
『緑で行け』
「!」
無線から聞こえたのは、他ならぬ幼なじみの声だった。
『クソ高ぇとこ飛んでる敵じゃ、それしかねぇだろうが』
「……そうだね」
ただ、問題がないわけではない。バヂスは出久を殺害しようと頭上にのこのこやって来てくれたから狙い撃ちにできたが、ブウロが同様にしてくれるとは限らない。ひたすら遠くに逃げられればどうにもならないのだ。ペガサスフォームの強みを最大限に活かすには、敵を射程に誘い込まなければ――
(!、そうだ!)
ひとつ、閃いた。
「轟くん!」
隣を走るアギトに呼びかける。
「なんだ?」
「きみに、37号を僕の頭上まで連れてきてほしい!」
「俺に、って……どうやって?」
アギトには遠距離の攻撃手段がない。ゆえに空を飛ぶ敵への対応策はほとんどない。ならばクウガの盾になろうと焦凍は覚悟を決めていたのだが。
「ゴウラムを使うんだ。掴まって飛べば、37号のいる高度まで行ける!スピードも負けないはずだ!」
「!、なるほどな……」
それなら、ある程度は自分も戦える。無論格闘は難しいだろうし、個性も左右どちらかしか使えないが……弾よけにしかなれないよりは余程いい。
「あと問題は、地上からだと障害物が多くて狙いにくいこと……。――塚内さん!」
『こちら塚内。緑谷くん、どうした?』
「いま市ヶ谷駅近くにいます。この辺りで一番高いビルってわかりますか!?」
『市ヶ谷か……ちょっと待ってくれ』
ほどなくして、
『わかったぞ、靖国ニューグランドプラザビルだ。市ヶ谷駅付近なら一番高い』
「ありがとうございます!」
そこでブウロを迎え撃つ。そう決心した次の瞬間、クウガの姿は赤から青――ドラゴンフォームへと変わっていた。
「轟くん、聞いてたね?僕は先に行く。ゴウラムがすぐ来るから、よろしく!」
「ああ、任せろ」
「あとは……かっちゃん!」
返事はなかった。が、目の前を走る覆面パトの、助手席側の窓が開いていく。それが答えだった。
トライチェイサーを加速させ、横付けする。その一瞬に、窓から差し出された手榴弾型の籠手を受け取り、右腕に填め込む。勝己の魂ともいえるそれは、ずしりと重みを感じさせた。
「……ありがとう!」
やはり返事はなく、籠手の持ち主は助手席で仏頂面を浮かべるばかりだ。――それでいい。
アクセルを力いっぱい捻り、加速していくクウガとトライチェイサー。それを見送ったアギトのもとにも、出久の言どおりほどなくしてゴウラムが飛来した。
「よし……行くか」
少し考え――右腕を伸ばす。空中戦なら、左のほうが使いやすい。
ゴウラムと手を繋ぎ、浮かび上がっていくアギト。空中と地上からの挟み撃ち――果たしてうまくいくか。
「あとは彼らに任せるほかないか、今回は……」
「………」
今回は武器を貸すことくらいしかできない――その事実に対する忸怩たる思いは当然あったが、勝己はそれ以上に胸騒ぎを覚えていた。作戦の良し悪しではなく、もっと根本的なところで躓くことになるのではないか。
(……心配性かよ、クソダセェ)
なんであれ……いまは、見守るしかない。
*
次なる"狩り場"を目指して、 ゴ・ブウロ・グは移動を続けていた。
(大がかりな武器を持ったものだな、リントも。"個性"とやらといい、所詮はハリボテのようだが)
既に鷹野警部補の乗るヘリコプターは振りきった。というより、ヘリのパイロットが根を上げたのだ。度重なる攻撃で機体の一部に穴が開き、墜落のおそれが生まれた以上、それは当然の判断なのだが。
そして"個性"なる特殊能力をほとんどが所持する現代のリントたちについても、ブウロは研究を重ねていたが……正直言って、多くはグロンギの下位互換としか思えなかった。ヒーローとやらの中には高い戦闘能力を有する者もいるようだが、高高度を飛翔する自分に何かできるとも思えない。
(阻害要因になるとすれば、残るは……)
冷静にあらゆる可能性を探っていたブウロは、背後から迫る疾風をまず聴覚で捉えた。
「!、やはり来たか……」
現れたのは、超古代より宿敵の相棒的存在だったゴウラム。ただし行動をともにしているのは、かの宿敵ではなく。
「あれは……確か、アギトだったか」
まさかゴウラムを使って空にやってくるとは。こういう想定外があるから面白いと、ブウロは嗤った。
一方、追うアギト。
「悪ぃな、ゲームオーバーだ」
時速500キロにも及ばんとするゴウラムのスピードをもって、ブウロとの距離を確実に詰めていく。こちらを振り向いた相手が吹き矢を構えるより寸分早く、左腕を振りかざした。
大気中の分子がかっと灼熱し、火炎が生まれる。生みの親の意志に従って、標的へと襲いかかるのだ。
「ッ!」
翼をはためかせ、緊急的に回避行動をとるブウロ。小さく息を詰めつつも、
「……ガグ、ガザバ」
"流石だな"――グロンギ語でのつぶやき。その余裕は欠片も崩せていない。
舌打ちで応じつつも、アギトは粘り強く攻撃を続ける。ただがむしゃらに炎を撃ち出しているように思わせて、その実少しずつ少しずつ、ブウロの逃走経路を変えていく。クウガが待ち構えている方角へ――
一方のクウガも、塚内から教示のあったビルの目前までたどり着いていた。
「ここか!」
トライチェイサーから降り、その頂上を仰ぐ。わかっていた……というより望んでいたことだが、遠い。ドラゴンフォームのジャンプ力をもってしても、一度では届かないかもしれない。
ならばと、彼は隣のビル目がけて跳んだ。屋上まで20メートルほどの高さ、ドラゴンフォームなら容易く到達できる。
そしてそこを経由し、目的のビル屋上までたどり着いたのだった。
「よし……!」
勝己から借りた籠手を構え、上空を見上げる。こちらの準備は整った、あとはいつアギトに追い込まれたブウロが現れるか――緊張の時間が、続く。
「……ッ、」
ふっと力を抜き、詰まった息を整え直す。そんなことを何度も繰り返し、どれほどの時間が経過したか。
やがて、彼方より飛来する"何か"を、その青い複眼が捉えた。
「!、来た……!」
来た――恐らく。遥か高高度にいるブウロの姿は、常人の何十倍にも強化されたクウガの視力をもってしても、豆粒のようにしか見えない。
その点、緑――ペガサスフォームであれば、五感すべてが常人の数千倍にまで引き上げられる。彼方に在る敵を、鮮明に捉えることができる。
「よしッ、超変し――」
早速ペガサスフォームに超変身しようとしたクウガだったが……空中から自分目がけて何かが飛んでくるのを捉えて、咄嗟に飛び退いた。刹那、今のいままで自分がいた場所から激しい火花が飛び散る。
――ブウロは既に、こちらに気づいている。
「そんなことだろうと思っていた」
わざわざアギトにゴウラムを使わせている以上、クウガは対空に有効なペガサスフォームで地上から攻めてくる可能性が高い。ブウロはそこまで読んでいた。
今度こそ仕留めんと、吹き矢を構える。しかし当然、追ってきたアギトがそれを許さない。
「やらせるわけねぇだろ!!」
「ッ!」
火炎が、ブウロの気を散らす。やむをえずブウロはアギトとゴウラムに標的を切り替えるが、言うまでもなくそれはクウガにフリーハンドを与えることを意味していて。
「ッ、――超変身!!」
今度こそ――叫びとともに変身の構えをとることで、アークルのモーフィンクリスタルの色が緑に……ついで、鎧や複眼が同じく緑へと変わる。勝己の籠手は変形し、天馬の弓にふさわしい形状へと姿を変えた。
緑のクウガ、ペガサスフォーム。変身を完了した途端、超強化された五感によって膨大な情報が流れこんでくる。当初は振り回されかかったこともあったが、もう数度目になる変身……処理方法は心得ている。
先ほどよろしく、何度も深呼吸を繰り返す。あえて、見えているものを見ない。聞こえるものを聞かない。そうして感覚と脳の連絡を一時的に遮断することで、精神を無にするのだ。
そうして再び感覚を引き戻せば、明鏡止水の状態が生み出されている。遥か上空にいるブウロの姿と、その翼のはためきの音だけがはっきりと聞こえる――
(――今だ!)
胴体ど真ん中、直撃コース。瞬時にそれを読みとった緑のクウガは、引き絞ったボウガンのトリガーを引いた。もう何度目になるかわからない電流が奔ったような感覚とともに、圧縮された空気の弾丸が、重力に逆らい天に昇っていく。
――そして、読みどおりに命中した。
「グッ!?」
苦悶の声をあげ、仰け反るブウロ。――終わった。そう確信したのは出久も焦凍も同じ。
「………フン!」
ブウロがぐっと力を込めた途端、浮かんだ封印の紋様が消えゆかなければ。
「な……ッ!?」
思わぬ――前例がないわけではないが――事態に動揺する出久。それは戦士クウガとしては致命的な隙だった。ブウロが再び吹き矢を構え、放つ。はっと我に返ったときには、既に弾丸のような塊が目前に迫っていて、
「――――ッ!?」
腕を、貫かれた。筋肉が収縮するような一瞬の錯覚のあと、出久の脳は悲鳴をあげた。気が狂いそうになるほどの激痛が襲いかかってきたのだ。
「うぁ、あ……あああああ……ッ!」
同時に、集中が切れてしまったことで、周辺情報が一挙に流れ込んでくる。耐えることなどできようはずもなく、クウガの身体はたちまち棒のようにコンクリートに倒れ込んだ。アークルの輝きが弱まり、鎧が色褪せ、白に染まる。グローイングフォーム――心身が万全でないときに変身してしまう、不完全な姿だ。当然モーフィングパワーも作動せず、ボウガンももとの手榴弾型の籠手に戻ってしまった。
「ククク……ボセゼゲダダバ、グショグ、ガギ」
嗤いながら、さらなる攻撃を仕掛けるブウロ。逆転を遂げた彼もまた、勝利を確信していた。確かに倒れ込んだクウガに狙いをつけることは容易い、ゲゲルの標的と同じようにとどめを刺せるだろう。
しかし当然、そんなことは"彼"が許さない。
「させるかッ!!」
アギトの赤い左腕から放たれる猛火。それは先ほどまでの比ではなかった。ここまで追い込むための牽制と、本気の一撃では次元が違う。
無論ブウロは攻撃を中止し、回避行動をとる。しかし炎に直接触れずとも、瞬間的に急上昇した気温は広げた片翼を発火させることに成功した。
「ガァ――ッ!?」
滞空状態を保てなくなり、重力のままに墜落していくブウロ。追撃しようとしたアギトだったが……ゴウラムが言うことをきかない。倒れた主のもとに行きたがっている。轟焦凍としての本心もまたそちらにあったため、結局はその意向に従うことになった。
「緑谷っ!」
『カー・ムー・ソーサディ・ター!?』
急降下し、出久の無事を確かめようとするアギトとゴウラム。――反応がない。変身も解け、人間の姿に戻った出久は完全に意識を失ってしまっていた。
「緑谷っ、しっかりしろ緑谷ッ!!」
緑谷、緑谷――ひたすらに呼びかける声は……ただ、虚空に吸い込まれるばかりだった。
キャラクター紹介 リント編・バギングドググドパパン
爆豪 光己/Mitsuki Bakugo
個性:グリセリン
年齢:43歳
誕生日:12月1日
身長:170cm
好きなもの:バレーボール
個性詳細:
文字どおり皮膚からグリセリンを分泌できるぞ!保湿効果があるからお肌の曲がり角を過ぎてもピチピチ!ヒーロー・爆心地の母親とは思えない!昔から姉を騙ることが多かったが、最近はたまに妹を騙ることも……流石に無理があ
備考:
ヒーロー・爆心地こと爆豪勝己の母親。見た目もそっくりだが性格も負けず劣らず……だが息子と異なり愛想は良いし傲慢ではないのでとっつきやすいぞ!ダンナともラブラブだ!息子とはすぐケンカになっちゃうけどね!
やはり息子と異なり出久が大のお気に入りであることを隠さず、東京に出てきた際も息子そっちのけで一緒にお昼を食べていたことも。……勝己が過去に出久をいじめていたことについて、内心では罪悪感を抱えている様子。出久の母・引子とも友人であるだけにつらい立場だったのだ……。
作者所感:
かっちゃんそっくりのママって設定がもう……濃厚だよね。アニメで出てきて思った以上にサバサバした人だな~と思いました。
かっちゃんとは罵りあいながらも強い信頼で結ばれてるし、かっちゃんの出久に対する気持ちもちゃんと理解してる良い母親なのだと思います。でもこういうお母さんがいてあんな傲慢に育つかねえ?と思わなくもない(特に折寺かっちゃん)
ちなみにこの人を登場させたEpisode 13,14(ギャリド回)は他に切島くん再登場&バディ回、森塚&鷹野の刑事コンビ回などの案がございました。