己のヒーローアカデミア   作:春水

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プロローグ

全ての始まりは中国軽慶市で発光する赤子が生まれた、というニュースだった

それ以降、世界各地で発見されるが原因もはっきりとしないままに時は流れた

 

光る赤子は更に数を増やし、ある特殊な力を持っていた

あるものは口から火を吹き、あるものは空を飛び、またあるものは体が動物のようだった

その結果かつての『超常』は日常に『架空』は『現実』に成り代わっていき、世界人口の約八割が何らかの特異体質を持つ超人社会となった

 

更に時は流れその特異体質は、『個性』と呼ばれるようになった

その中で個性を使った犯罪者『(ヴィラン)』が増加し治安は悪化の一途を辿った

そんな混乱渦巻くこの世の中で誰もが一度は空想し、憧れた一つの職業が現在、脚光を浴びることとなる

 

 それ即ち『ヒーロー』!

 

そしてヒーローが最も人気のある職業となった今、ヒーローを養成する環境も全世界で整えられた

日本全国のいくつかの学校等には「ヒーロー科」という、子供たちをヒーローへと育成する科が作られている

そのヒーロー科の中でも特に有名かつ難関で人気なのが東日本に存在する『雄英高校』だ

倍率は毎年300を超え、偏差値も80を誇る超超超名門校

そこの卒業者はNo. 1ヒーローである『オールマイト』をはじめ、『エンデヴァー』『ベストジーニスト』『プレゼント・マイク』などプロヒーローの中でも屈指の実力を持つ者ばかりである

 

 

そんな雄英高校に入学するために努力を重ね、十分すぎる実力を身に付けた少年、『双神(ふたがみ) 春』も試験を受けに来ていた―――――

 

 

―――side春―――

 

――雄英高校――

 

「さて……どうしようかなぁ、塩崎とは場所が違うみたいだし…」

 

一人、試験会場に向かいながら呟く

 

「同じ中学校出身者を同じ会場に纏めることは無いと思ってはいたが、合理性に欠けると言うか…

そうじゃなくても知らないとこで友達になってたりすりゃあ関係無いだろうにな」

 

そんなことを言いながらも会場に着く

すでにかなりの受験者が集まっているようだ

春が周囲を見渡し、受験生を見定めていると中央のモニターに映像が流れ出した

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

………しーん………

 

『こいつぁシビー!ノリが悪いなぁオイ!』

『早速だが試験のルールを再度説明するぜ!アーユーレディ!?』

 

………しーん………

 

『市街地での戦闘をイメージした試験会場だ!配られた用紙に書かれている通り、それぞれ1P、2P、3Pの仮想敵ロボットを破壊、もしくは行動不能にしろ!もちろん、他の受験生に攻撃、または妨害などのアンチヒーロー行為は禁止だ!最後に四体目の仮想敵ロボットだが、こいつぁ0P!マリオで言うドッスンみたいなやつだ!』

 

『かの大英雄―ナポレオン・ボナパルトはこの言葉を後世に残した!更に向こうへ―――“Plus Ultra(プルス ウルトラ)”!! それでは皆、いい受難を!!』

 

 

 

試験会場F

 

俺は会場に移動し、準備運動を始める

 

筆記試験は十分出来たと思うし、これからの実技試験は俺の個性の関係上余裕がある

塩崎のことは心配ないだろうな、あいつは強い

あいつとはもう15年の付き合いだ。生まれたときからご近所さんで幼稚園から中学校までずっと同じクラス、腐れ縁ってやつだな

 

そんなことを思いながらリラックスしていると

 

『ハイ、スタートー!』

 

突然実技試験が開始された―――

 

「っ!」

 

俺は合図と同時に走り出す

他のやつらはほとんどが呆然と突っ立ってるだけだ

 

『ホラホラどうしたぁ!?賽は投げられてんぞ!?お行儀よく、ヨーイドン!でスタートするわけねぇだろ!?敵は待っちゃくれねぇんだ!』

 

漸く他の受験生が動き出したが既に俺は数体の仮想敵に向かって

 

炎神の息吹(アグニッシュワッタス)!」

 

己の個性をぶつけていた――――

 

―――side春end―――

 

 

 

 

 

―――時は過ぎ雄英高校職員室―――

 

「おいおい、今年の受験生は粒揃いだな!」

 

「1位の生徒は凄まじい記録を叩き出したしな」

 

「3位の子も救助Pが0で合格だぞ」

 

「8位の子は真逆で敵P0で合格ですよ」

 

彼らはプロヒーロー兼雄英高校の教師、現在は入試の結果を話し合っているところである

 

「しかしこの1位と2位は久しぶりに高得点だな」

 

「双神と呼水(こすい)だろ?二人とも100Pを越えてきたからな、呼水の方はジャストだが」

 

「二人とも見ていて危なげが無かったですからね」

 

「確かに、安定した戦いかたでしたね」

 

「敵P0の子…緑谷君でしたね、彼もなかなか面白い」

 

「今まで敵P0で合格したやついねぇし!思わずYeahhhh!!って言っちまったしな!」

 

「しかしその後はいただけないな、完全に右腕が使い物にならなくなっていた」

 

「一撃必殺といえば聞こえはいいが……」

 

「なんにせよ!未だ個性を使いこなせていないのならば我々プロヒーローが彼らを導いて行こうではありませんか!」

 

「オールマイト君の言う通りだね、彼らヒーローの卵達を立派なヒーローに育て上げるのが僕らの役目だよ。というわけで上位48名のヒーロー科入学を決めていいかな?」

 

「「「「「意義なし」」」」」

 

―――来いよ緑谷少年、雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアさ!――――

 




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