ベル君が賢者に憧れるのは間違っているだろうか?   作:もさま

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はじめまして。
ダンまちリヴェリアルートを書いていきたいと思います。
原作は今手元に無いのでアニメや記憶準拠になりますがよろしくお願いします。


灰かぶり(ベル)

「はっ、はっ、はぁっ!」

 

「ブフーッ、ブフー」

 

背後から荒い鼻息と地響きが迫ってくる。

 

「なんでっ!なんで!」

 

迫り来る音の主はミノタウロス。

身の丈は人の三倍程もある筋骨粒々の牛の魔人、15層から現れるそのモンスターは冒険者に訪れる高い壁の一つと言われていて、実際脅威評価も3つ星(最高)。そんな話をエイナさんからダンジョン講習の際に受けたのを思い出した。

間違ってもダンジョンの5層(ここ)で遭遇するような格のモンスターではない筈だ。

ミノタウロスのレベルは2相当と言われている。つまり単独で戦うにはレベル2近い実力が無ければ難しいということだ。

当然駆け出し冒険者の僕如きが敵うはずも無い相手だ。

僕はただただ恥も外聞も無く逃げ惑っていた。

 

「死ぬ、死んじゃうよ!」

 

ミノタウロスは見た目通りの怪力に人型のモンスター故の器用さを持つ恐ろしい相手だが、ミノタウロスの恐ろしさの本質はそこにはない。

何よりも恐ろしいのは賢く、執念深く、素早いというその三点だ。徒党を組んで冒険者を囲んだり、石や岩を投げつけることもあったり、落ちている冒険者の装備を使ってきたり、逃げ出した冒険者を複数の階層に渡って追跡してきたり、とにかく単純な強さ以上に厄介なのだそうだ。

エイナさんの講習を思い出せば出すほどに、酸欠で狭まった視界が真っ黒に染まるような絶望感が襲ってくる。

 

(神様…)

 

ホームで待つ主神(ヘスティア様)の事を思い出す。

どのファミリアにも受け入れて貰えなくて途方に暮れ挫けそうになっていた僕を眷族にしてくれた神さま。

至らない僕を何時だって優しく暖かく迎え入れてくれる朗らかなあの(ひと)に僕はまだ少しも恩を返せてはいない。

 

(諦めちゃダメだ!)

 

挫けそうになる心を奮わせて、真っ暗になりかけていた視界に光を射し込ませる。

 

(それに)

 

お祖父ちゃんも言っていた。英雄たる者はどんな困難でも前を向いて道を切り開く光明を探し、その逆境を成長の糧として偉業を残すのだと。

勿論貧弱なステータスの僕がミノタウロスを倒すなどと言うことは、間違っても起こりはしないし、そもそも間違ってもそれをしようなどと思ってもいけない。

今はただこの脚を前に動かして少しでもミノタウロスから距離を取ることを考えなければいけない。

死んでしまえばそこで全てが終わりだ。

あの何をされても死なずに帰ってきそうな生命力の塊だったお祖父ちゃんですら谷底に落ちて死んでしまってそれで終わり。

遺された僕はお祖父ちゃんというたった一人の家族を失って一人きりになってしまった。

ヘスティア様の家族(けんぞく)は僕しか居ない。僕が死ねばヘスティア様は僕と同じ孤独に苛まれる他無い。

名を成したいという気持ちはある。英雄になるために僕はオラリオ(ダンジョン)にやって来たのだから。

でもそれはきっと今じゃない。

だから僕はこの脚をただひたすらに…

 

「えっ?」

 

誓いを立てたにも関わらず僕の足は止まった。

目の前に岩肌が現れたからだ。

思えば初めての5階層、この階層で僕は碌なマッピングも済んでいなかったのだ。

 

「そんな…」

 

地響きが僕の小さな体を震わせる。

地響きが大きくなってくる度に僕の膝の震えがどんどん大きくなる。

勘違いをしていた。僕は英雄などではないし、その卵ですら無かったのだ。

英雄が化け物を討ち取るその影で墓穴に埋まるただ一人の身体でしかなかったのだ。

 

「ブフゥ」

 

後ろを振り向けば50メートル程手前の曲がり角に角の先が見えた。

 

「ひっ」

 

思わず後退りをした僕の手に岩肌が触れた。

ここが終末。終点。これ以上はない分かり易さでそのことを岩肌は僕に告げる。

 

「ブフッ」

 

牛頭の口角が上がった気がした。

みっともなく生き足掻いた僕を嘲笑っているかのように。それも結局の所僕の心が生み出した被害妄想なのかもしれない。

「ブオオオオオオォォォォォォッ!」

 

雄叫びを上げるとミノタウロスは瞬く間に僕に近付き、手を振り上げた。

 

「うわァァァァァァッ!」

 

両腕で顔を覆い目を瞑った。

これでお終い?お祖父ちゃんが亡くなってからずっとお祖父ちゃんの語ったオラリオにやっと至って、それなのに。

 

(神さま、お祖父ちゃん、エイナさん、ごめんなさい…)

 

せめて、振り上げられたその腕で、苦しまずに死ねますように。僕はそれを祈ることしか出来なかった。

 

「レア・ラーヴァテイン!」

 

ミノタウロスの背後からその言葉が告げられると強烈な爆音が鳴り響いた。

驚いて両腕を下ろし目を開けるとそこには上半身を失ったミノタウロスの身体が立っていた。

 

「む?すまんな少年。加減はしたんだが煤と砂埃と灰まみれになってしまったな」

 

碧玉のような輝く緑髪とその髪色と同じ色の睫毛に縁取られた美しい二つの碧眼。そして同じ色のローブに純白のマント。尖った耳に、ほっそりとした体躯。これ以上はない程の気品を持ったエルフの女の人が僕を見つめていた。

ミノタウロスを一撃で葬る強烈な魔法、それだけの魔法を放っても少しも疲れを感じさせないその立ち居振舞い。間違いない、彼女は僕の田舎にすら名が轟いていた九魔姫(ナイン・ヘル)リヴェリア・リヨス・アールヴその人だろう。

 

(凄く、綺麗だ…)

 

僕は思わず唾を飲み込んだ。こんな美しい人は今までに出会ったことがなかった。ここはダンジョンだって言うのに、まるでその身は森の木漏れ日に照らされているかのようだ。

そう言えば、魔法の詠唱が聞こえなかった。ということは、このリヴェリアさんは僕とミノタウロスの後ろを走って追っていたという事で…

 

(あ、あんな恥ずかしい姿を、ミノタウロスから喚きながら逃げている姿をこの人に見られていた?)

 

途端に顔中が熱くなった。

 

(は、恥ずかしい)

 

恥も外聞もなく逃げ惑って、とは思っていたがあくまで僕は外聞が【ない】とは思って走っていたのだ。

 

「少年よ、大丈夫か?」

 

リヴェリアさんは心配そうに僕に近付いてくる。

僕は思わず…

 

「う、うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

逃げ出してしまったのだ。

 

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

 

「なんだあれ?」

 

「煤に灰に、顔中真っ黒じゃねーか」

 

「初心者が初めて魔法を使ってダンジョンの天井でも崩しちまったんじゃねーか?」

 

「ダハハハハッ!ちげぇねぇ」

 

僕は走っていた。

周りから何か言われているような気もするけど、そんな事はどうでもよかった。

 

早く、早く、速く、もっと速く!

 

僕はどうしても彼女の事が一分でも一秒でも早く知りたかった。リヴェリアさんのことを。その為にギルドのもとへ。

「エイナさぁぁーーーーん!!」

僕は尋ね人の姿を見付けて限界まで声を振り絞る。手を振る。

 

「あら?ベル君!」

 

エイナさんも僕に気が付いたみたいだ。

 

「リヴェリア・リヨス・アールヴさんの事を教えてくださぁぁーーーーーい!」

 

自然と顔が綻んでくる。これでリヴェリアさんのことを教えてもらえる。

 

「ん?ちょ!うわぁっ!」

 

エイナさんは僕の顔を見るなり悲鳴を上げて、手に持っていた書類を取りこぼした。一体何故だろうか?

 

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

「ダメじゃないベル君!いきなりダンジョンの5階に潜るだなんて…。いつも言ってるでしょ?冒険者は冒険をしちゃダメだって!」

 

「はい…すみません…」

 

水浴びをしてさっぱりとした僕はエイナさんにお叱りを受けていた。

冒険をするなというのは何もダンジョンに探索に行くなという事ではない。危ない橋を渡ってはいけないという意味だ。

当初僕はこれを勘違いして「え!ダンジョンを探索しちゃいけないんですか!?」と叫んでエイナさんに笑われてしまった。

しかし、今なら言いたいこともよく分かる。実際ミノタウロスの拳が振り上げられた時は神さまとお祖父ちゃんとエイナさんに心の中で謝って楽に死ねるように祈っていたのだから。

 

「でもねベル君、君はすごい幸運なんだよ?ダンジョンに潜り初めてからまだ半月のレベル1の冒険者がミノタウロスに襲われて生きて帰れたんだから!」

 

「はい…」

 

情けなさやら申し訳無さやらで僕は目を伏せた。

一字一句エイナさんの言うとおりだ。

 

「…」

 

「んぁっ!」

 

鼻先を何かが掠めた。

目を開けるとエイナさんの人差し指の先が目に入る。どうやら僕はデコピンならず鼻ピンをされたみたいだ。

 

「ともかくよかったわ。今度から気を付けるんだよ?」

 

「はい」

 

「あと、煤まみれに灰まみれのドロドロのまま街中を突っ切るのもやめようね。せめて顔くらい拭えたでしょ?」

 

「はい!」

 

エイナさんは笑って僕のアホな行動を注意する。少し重くなりかけていた僕の気持ちはそれで軽くなり、思わず元気にかぶりを振りながら返事をした。

エイナさんはいつも上手に僕を諭してくれる。厳しさもあるけど、優しくとても気を使ってくれるいいお姉さんだ。

 

「それでぇ…なんですけど、リヴェリアさんの情報、なんですが…」

 

恥ずかしくなって俯いてしまう。こんなの僕がリヴェリアさんのことどう思ってエイナさんに情報を聞いてるのかバレバレだよね。

 

「なぁにぃ?ベル君たら、もしかして助けてくれたリヴェリア様のことぉ…」

 

悪戯っぽい声でエイナさんはそう聞いてくる。

目を開けないでも分かる。エイナさんはきっと今半目で僕をニヤニヤと見ている事だろう。

 

「いやぁ…そのぉぉ…」

 

「好きになっちゃったのねぇ!」

 

「はぁいっ!」

 

そうなのだ。僕、ベル・クラネルはリヴェリア・リヨス・アールブを好きになってしまったのだ。

あの凛とした佇まいに僕はもうどうしようもないくらいに参ってしまった。

 

「リヴェリア・リヨス・アールブ。ロキ・ファミリアに所属。現在のレベルは6。魔法の腕はこのオラリオで恐らく最強の魔法使いね。ハイエルフ、王族の出身で9つの魔法を自在に操り、並行詠唱も軽々とこなすそうよ。ベル君が逃げていたのにも関わらず追い付くなり魔法でミノタウロスを倒せたのだから間違いないでしょうね。」

 

エイナさんから衝撃の事実が告げられた。なんとリヴェリアさんはエルフのお姫様だったのだ。あの気品溢れる佇まいはやっぱりそういうことなのだろう。

あ、さっきリヴェリア様って言ったのは彼女が王族だからってことか。

 

「神々から与えられた二つ名は9つの魔法を操る姫君。九魔姫(ナイン・ヘル)ね」

 

エイナさんから教えてもらっている情報で、今のところ僕が知らなかった事は一つだけだ。

 

「そのぉ、お姫様だったのには驚きましたけど、それ以外のことは僕でも知ってます。そうじゃなくて、出来れば趣味とか、好きな食べ物とか、あとぉ、そのぉ…」

 

そう、一番最後に聞きたいこと、これが一番重要なことだ。

 

「特定の相手がいるかってこととか?」

 

「そう、そうです!」

 

僕は身を乗り出しエイナさんからの言葉を待つ。

 

 

「んー、今までそういう話は聞いたことないなー。そもそも、リヴェリア様は世界中を旅する事が夢って言ってたし、王族だけどフィアンセが居たとしてもほっぽり出して反故になっちゃってるんじゃないかしら?」

 

なるほど、なるほど。

ん?ちょっと待って、なんだかエイナさんとても詳しいような…

 

「よかった!居ないんですね!ところでエイナさん、そのぉ、つかぬことをお聞きしたいんですが…」

 

「何?ベル君」

 

「もしかして…、リヴェリアさんとエイナさんってお友達なんですか?」

 

エイナさんが目を見開いた。

そんなに驚くような事だろうか。

 

「ベル君って人の機微に疎いところあるからこんなに早く気付くと思ってなかったなぁ。そうねぇ、私の母親とリヴェリア様は仲良しだったから、私もリヴェリア様も知った仲なの。」

 

「エイナさぁん、リヴェリアさんとお友達なら初めに教えてくださいよぉ」

「だってからかったら面白そうだったんだもの。それに、ベル君がドロドロの汚い姿だったからびっくりして書類落としちゃって集めるのも大変だったし、その仕返しよ。でも恋は盲目って言うけど、逆に鋭くなることもあるのね!」

 

エイナさんは口許に手を当てて上品な笑顔を見せた。

こうしてみると、エイナさんもとっても品がいいというかなんというか、エルフってそういうものなんだろうか。

あ、エイナさんはハーフエルフだったっけ。

 

「ん?待ってください、お母さんとリヴェリアさんが仲良しだったんですよね?あれ?リヴェリアさんってエイナさんとそんなに変わらないように見えるけど…あれ?」

 

頭が混乱する。リヴェリアさんは一体何歳なのだろうか。

 

「ふふふ、聞いてみたら?きっととっても怒るわよ」

 

「エイナさぁーん!」

 

「真面目な話、ハーフエルフの私でもヒューマンよりは少し長生きだし、エルフはもっと更に長生きね。そこに来てリヴェリア様はハイエルフなんだから更に長生きでしょうね。」

 

エイナさんの顔がお説教をする時と同じような真面目な物に変わる。

 

「いい、ベル君。リヴェリア様とどうこうってのは現実的にとっても厳しいわ。君は既にヘスティア・ファミリアの眷族で、リヴェリア様はロキ・ファミリアの眷族。前例は沢山あるけど、他のファミリアという事実は間違いなく障害になるわ。それにリヴェリア様は幹部だし、お近づきになるのは色々問題があるの。わかるよね?

しかもリヴェリア様はレベル6の超凄腕冒険者。そんじょそこらの男では釣り合いが取れないの。

それにリヴェリア様はハイエルフの王族で君はヒューマン。エルフ自体他人、特に多種族との接触は消極的だし親しくないと触れることすら強く拒絶される。

仮にお付き合い出来たとしてもハイエルフとヒューマンでは寿命の桁が違うのよ?折り合いを付けるのは物凄く難しい事ね」

 

エイナさんから告げられる事実の一つ一つが僕に矢のように刺さる。

そうなのだ。確かに仲良くなること自体がとても難しい上に仲良くなってもヒューマンの寿命ではリヴェリアさんは必ず()()()()()になる。

僕は遺される気持ちについてよく分かっていると思う。

エイナさんの言う通り、それは本当に大変な問題だ。目頭が熱くなってくる。

 

「えーっと、でもね、そのさっきも言ったけど他のファミリア間での恋愛は前例があるし、種族の違いだって言っておいてなんだけどハーフエルフっていう証拠の私がいるもの。それは絶対に覆せない壁じゃないの」

 

エイナさんは僕を励まそうとそう言ってくれる。

 

「ほら元気出して!今日稼いできた魔石を換金してきなさい」

 

「はぁい」

 

トボトボと歩き出す。

エイナさんは事実しか言ってないけど事実こそが僕を強かに打ちのめすのだ。

 

「換金、お願いします…」

 

「はいよ。1800ヴァリスだ」

 

「ありがとうございます…」

 

1800ヴァリス、間違いなく今までの僕の最高の換金額だ。間違いなく成長はしている。

それでも、その成長が数百ヴァリス分にしかなっていないというのがまた僕を打ちのめした。

 

「じゃあ僕、今日はこれで…」

 

またトボトボと歩き出す。今日はなんだかトボトボ歩いてるか、焦って走っているかの二択ばかりな気がする。

なんだか疲れてしまった。

 

「ベル君?」

 

「ん…」

 

「あのね、女性はやっぱり強くて頼り甲斐のある男の人に魅力を感じるから…めげずに頑張っていればリヴェリア様も強くなったベル君になら振り向いてくれるかもよ?」

 

エイナさんは僕を引き止めて強い男になりなさいと暗に言ってくる。

そうだ。僕は人に助けられたとはいえ困難をなんとか乗り越えて生き延びたのだ。

お祖父ちゃんは言っていた。

 

「英雄は実力も大切だし、努力も大切だけど、運だって良くなきゃダメだ。英雄が英雄に至るまでには大抵自分ではどうにもならない問題とぶち当たる。その時に誰かが手助けしてくれたり、どうにかするための物が見付かるのが英雄って奴なんだ!」

 

と。そしてこうも言っていた。

 

「だがなぁ、運ってのは何もしなけりゃ舞い込んでこない。必死に足掻いた時間稼ぎの先に幸運が舞い込んだり、人助けや親切が幸運を喚んだりするんだ。だからな、ベル。お前が英雄になりたいなら努力して、人に優しくなれ!特に女の子に!」

 

と。

今回の場合僕は前者の足掻くという行為が幸運を喚んだのだ。英雄になれるとはとても言えないけど、英雄を目指す道は未だに途絶えてない。

僕はまだ頑張ってもいいんだ。

 

「はい!」

 

「うん!元気があってよろしい!」

 

「ありがとうございます!」

 

「それにベル君、君がリヴェリア様にお礼をしたいっていうなら、私がリヴェリア様に掛け合ってあげるわ。それなら不自然じゃないでしょ?まさかリヴェリア様と恋人になりたい男の子が居ますなんて紹介は出来ないけど、出会うだけのお膳立てだったらしてあげるんだから」

 

エイナさんから素晴らしい提案をしてくれる。

リヴェリアさんの事を教えてくれただけでなく、こんなに親切にしてくれるだなんてエイナさんは天使なんじゃないだろうか。

 

「あ、ありがとうございます!!!エイナさんはまるで天使みたいです!!」

 

頬が緩むのを止められない。本当に嬉しくて堪らない。

 

「もう!何言ってるのよ!早くヘスティア様の所に帰ってあげなさい!」

 

「はい!本当に本当にありがとうございます!!!エイナさん大好きー!!」

 

「!」

 

僕は全力のダッシュで教会(ホーム)へと向かっていく。

 

「ひゅー、お熱いねぇ」

 

「言いよるのー」

 

「もうベル君たら…天使だなんて…それに大好きとか…。んーでもちょっとあまかったかなぁ…」

 

エイナもまた去っていったベルと同じくらいの破顔を見せていたのだった。

 

 

 

 

   ◇◇◇

 

 

 

 

「いやっーはぁー!おかえりぃーーー!ベル君!今日は早かったんだねぇ」

 

「はい、ちょっとダンジョンで死にかけちゃって…」

 

最初は隠して安心させようかと思ったけども、神様に嘘は通じない。何か無かったのかと聞かれてしまったら却って神様を心配させてしまう。

だから僕は努めて明るく何でもなかったかのように正直に答えた。

 

「大丈夫かい!?痛くはないかい?君に死なれたらボクはショックだよぅ!」

 

心配そうに神様は僕の身体中をチェックする。

小さいヘスティア様がちょこちょこと僕の周りを動いているのはなんだか微笑ましかった。

 

「大丈夫ですって神様。僕はヘスティア・ファミリア唯一のメンバーですよ。神様を路頭に迷わせたりはしません。」

 

「ふむ、なら大船に乗ったつもりでいるからね。覚悟しといてよ!」

 

「はい」

 

「ところで神様」

 

「ん?なんだいベル君」

 

「僕、ステータスの更新が早くしたくて…」

 

そう。僕は早く強くなりたいし、ならなきゃいけない。その為には今日の頑張りでどれくらい成長したのか、これからどれだけ頑張らなきゃいけないのかを確認しなければいけない。

 

「くー!ベル君もなかなか冒険者らしくなってきたじゃないか!よしきた!ボクに任せな!」

 

そう言って神様は袖捲りをするような仕草をする。

 

(袖、無いんだけどね)

 

神様は何時だってこんな感じでユーモラスというか、面白いのだ。他に入れるファミリアが無かったというのもあるけど、僕はヘスティア様の元に来れて本当によかったと思っている。

 

「それじゃあベル君?早速シャツを脱いでくれるかね!?」

 

何故か手をワキワキさせる神様に従って僕は服を脱ぐ。

 

「それじゃあお願いしますねー」

 

「任されたよ!」

 

そしてうつ伏せになった僕の上に神様が馬乗りになってステータスの書き写しを始めた。

僕のステータスはどうなってるだろうか。上がっているといいな。そう思いながらなんとなく目を瞑った。




エイナさんに言わせてて思いました。
これアイズよりも更に振り向かせるのキツくね?と
あと、このベル君は原作ベル君よりも少し強かになってもらおうかと思います。
それと換金額が若干多いのはベル君が原作より本のほん少しだけ強く書きたいなぁというあれです。
それではまた。


※追記
今ふと小説情報を見たら文字数7777時になっていました。
勿論狙っていたわけではないのでこれは幸先がいい


※更に追記
誤字など訂正していたら文字数減りました。さらば7777。
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