グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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ベルVSベート。勝つのはどっちだ!?

ベート君に関して本作オリジナル設定があるので苦手な方は注意してください。

11月20日、大幅に変更しました。


Round9~狼2人~

 打つ。

 打つ。

 ベル・クラネルとベート・ローガが打ち合っていた。

 どちらも一歩も譲らない。

 片やレベル2、片やレベル5。圧倒的なレベルの差に拘らずである。

 

「やっぱ凄いなァ、二人ともあの時よりもキレが増してるよ」

 

 その光景に胸が控えめなアマゾネスの少女が呟く。

 ティオナ・ヒュリテ。ロキ・ファミリアの幹部の一人である。

 

「ほ、本当にあの人ってレベル2なんですか?本当はレベル5で、詐称してるだけなんじゃ・・・」

「いんや、それは無いでレフィーヤ」

 

 エルフの少女、レベル3の冒険者レフィーヤ・ウィリディスは驚きを隠せない。

 それもそうだ、方やレベル2でもう片方はレベル5である。

 それは例えて言うなら子供が大人に挑むようなものだ。

 そんなレフィーヤの問いをロキが否定する。

 

「ベルたんはホンマにレベル2や。ドチビに勧誘されるまで何処のファミリアにも所属しとらんやった」

「で、でもそれじゃあ辻褄が合いません。レベル5のベートさんとあそこまで張り合えるなんて・・・」

「それが出来るのよ、彼は」

 

 第三者の声に、レフィーヤは振り向く。そこにはティオナと同じアマゾネスの少女が立っていた。

 唯一つティオナと違う所があるとすれば胸の大きさだろうか。

 ティオネ・ヒュリテ。

 ティオナの双子の姉であり、同じくロキ・ファミリアの幹部の一人である。

 

「前にも、彼が闘った所を見た事がある。昔、神心会が主催していた『リアルファイトトーナメント空手道選手権大会』・・・そこで白帯で飛び入り参加したヤツって言えばワカるかしら?」

「・・・ッッ!!?真逆彼が!?選手の中には恩恵を持ってる人が多く居たから、てっきり彼も恩恵を貰ってるものだと・・・」

「だけど、その時ベルたんは無所属やったんや。つまり、恩恵はもろてない。そして、決勝でベートにも勝っとる」

「~~~~~~~~~ッッ!!!?」

 

 ティオネとロキの口から出た衝撃発言にレフィーヤは絶句するしかなかった。

 レベルとは一体何だったのか?

 レフィーヤは自分の常識がひっくり返される思いであった。

 

「む、ベートが押してきているな」

「本当だぜ。拙いんじゃねぇかベルのヤロウ」

 

 その傍らフィンの言葉に独歩が頷きながらそう答えた。

 独歩の言うとおり、じりじりとベートがベルを押しつつある。

 

(―腕を上げたなァ、ベートさん)

 

 ベートに押されながら、ベルは思った。

 

 その程度なのか?

 

 そんなもんじゃねぇだろうお前の力は。

 

 見せてみろよ、お前の底力を。

 

 拳を打ち合うたびにそのベートの心が拳を通して伝わってくる。

 

「―舐めんじゃねぇよ」

 

 強烈な笑みを浮かべながら、ベルはそう呟いた。

 それと共に頭から、正確には脳から何かが染み出してくる感覚がした。

 それが、脳から全身へと広がっていく。

 同時に、押され若干疲労がにじみ出ていたベルの肉体が羽のように軽くなっていった。

  脳内麻薬(エンドルフィン)

 ベルのスキルであった。

 

「こっからが本番だぜ、ベートさんッッ!!!」

 

 そう言って、右のストレートを打ち返した。

 

―ごしゃっ。

 

「ぬううッッ!?」

 

 それがベートの右頬にクリーンヒットする。

 大きくのけぞった。

 

「な・・・!?ベートのラッシュを押し返した!?」

「それだけじゃねェ、ベートに一撃を入れやがった!」

 

 予想外の展開にフィンと独歩は驚きを隠せない。

 

「がああっ!」

 

 吼える。

 吼えながらベートに拳を浴びせた。

 ベートは受けに回る。

 

 拳。

 拳。

 拳。

 蹴。

 

 それを崩すかのようにラッシュを浴びせた。

 

―ぐらり。

 

 何発かラッシュを浴びせた後、ベートの体が揺らぐ。

 

―今だッ!

 

 トドメの右ストレートを放った。

 だが、それはベートには当たらず空を切る。

 

(―空振り!?違うこれは・・・)

 

 ベルは自分の右腕を見た。

 二の腕辺りにはベートの左手が添えられている。

 

(受け流したッッ!)

 

 気づいた時にはベートは攻撃の態勢に移っていた。右拳を握り締めている。

 右ストレートを放つつもりだ。

 

(―来るッッ 右ストレート )

 

 ベートが右ストレートを放った。

 ベルの胸目掛けてである。

 

(―回避 無理ッッ 直撃―)

 

―ごしゃっ!

 

 ベートの拳がベルの胸に突き刺さった。吹っ飛び、つんであった樽に突っ込む。

 ベルは崩れたタルの下敷きになりそのまま動かなくなった。

 

―これで決まったか!?

 

 ギャラリーの誰もがそう思っていた。

 しかし、ベートの口から聞こえたのは意外な台詞であった。

 

「立ちな。テメェがアレを喰らって無事な位打った俺でもワカらァ」

「いやァ~・・・何でもお見通しだなァ。ベートさんは」

 

 崩れたタルの中から声が聞こえると共に、樽が爆砕した。

 そしてそこから気の波がベートに向かって走る。

 

「ぐぅあっ!!?」

 

 爆発。だが、ベートは咄嗟に両腕をクロスさせて防いでいた。

 だが、無事ではない。ガードした両腕が気功の熱で赤くなっていた。

 煙の中からベルが現れる。

 

「さっきのは効きました、ベートさん。咄嗟に気功で防御してなければやばかったです」

「ピンピンしてる状態で言われても説得力ねぇよ」

 

 軽い足取りでそう言うベルにベートは不貞腐れながらそう言った。

 

「ところでさっきの技、 二虎流(にこりゅう)の技でしたよね?僕の攻撃を受け流した奴と空手の正拳突きとは威力が違う右ストレートを見てピンと来ましたけど」

「知ってんのか?」

「ええ。二虎さんと一度手合わせした事がありますから。・・・結局、中断になっちゃいましたけど」

 

―二虎流

 ベルが言っていた二虎こと『トキタ・二虎』が創設した武術である。

 身体などの力の操作を行う「操流ノ型」、歩法・走法が中心の「火天ノ型」、肉体硬化と打撃技に特化した「金剛ノ型」、肉体軟化と関節技に特化した「水天ノ型」という大きく四つの系統と番外扱いの「無ノ型」に分かれ、さらに4系統の技には「極(キワミ)」という単に強力なだけでなくどのような状況でも最後まで使える奥の手がある。

 二つの系統を複合した技も存在するほか、この四つの系統を極めて初めて習得可能になる「奥義」も存在するらしいが、これは後々語ろうと思う。

 

「そうかい。・・・ちぇ、折角テメェの驚く顔を見れると思ったのによ」

「実はちょっと驚いてるんですよね。確か、僕と立ち合ったのは1年前ですよね?」

「まァな。お前に負けた後、勝つには神心会の空手だけじゃあダメだと思ってよ。その時に 二虎(アイツ)に出会って、教わった」

 

 ま、それよりも・・・。とベートはベルに挑発的な笑みを見せながら続けた。

 

「第2ラウンド、始めようぜ」

「そうですね」

 

 再び互いに構える。

 睨みあったまま両者は動こうとしない。

 1秒・・・2秒・・・。

 3秒目でベルが動いた。

 

「パワーウェイブッッ!!!」

 

 八極聖拳の気功で纏った拳を地面に叩きつけ気の波をベートに向けて放った。

 

「そう来ると、思ったぜ!」

 

 ベートは飛び上がり、それをかわす。

 そして、そのまま空中からベルに襲い掛かる。

 

「ェエイヤーッッ!!!」

「うがッ!?」

 

 思いっきり逆さに飛び上がって、回転しながら真上に蹴りを捻り込む。

 重力を無視したかのような余りにも奇妙な技にベートの反応が遅れた。

 そのまま顎へと突き刺さる。

 ベートが地面に叩きつけられると同時に、ベルの体は重力を思い出したかのように着地した。

 

「ゲェーッ!?何だあの技は!?」

 

 その光景を見た周りのギャラリーからは驚きの声が上がる。

 

「ほォ、ライジングタックルかァ」

「ライジングタックル?」

 

 独歩が発した技の名前であろう単語に、克己は問いかける。

 

「ベートみてぇに上空から襲ってくる奴に対して主に使う、所謂対空技ってやつだぜ」

「先ほどのパワーウェイブ。そしてそれを回避した事を想定しての放ったのか・・・」

 

 ベル・クラネル。

 なんという男であろうか。

 フィンは改めて、そう思った。

 

―ざわ・・・ざわ・・・。

 

「立ちやがったぞ」

「流石レベル5だ、なんとも無いぜ」

 

 そう思っていると、ギャラリーがざわめきだした。

 ベートである。

 ベートが起き上がっているのであった。

 起き上がり、再び構えている。

 

「そう来なくっちゃ」

 

 ベルはそう言ってニヤリと笑った。

 ベートへと向かう。

 拳を握り締め、ベートへと殴りかかった。

 それをベートは受け流す。

 ベートが蹴りを放った。

 それをベルは掴み、関節技をかけようとする。

 極められる前にベルを突き放す。

 そのやりとりが目にも留まらぬ速さで行われていた。

 

「キャオラッッ!」

「ぬううッッ!」

「があッ!」

「ちいいいッッ!?」

「かっ!かっ!」

 

 凄まじい速さで、一般人やレベル1程度の冒険者では目で追うことは出来ない。

 現れたと思えばまた、一瞬で消える。

 聞こえるのは二人の餓狼の息遣いと、掛け声。そして時折発せられるうめき声であった。

 

―あの時の戦いはホント凄かったッスよ。

 

 その時の様子をロキ・ファミリアのラウル・ノードはこう語る。

 

―よくマンガとかで早すぎて消えたように見える描写ってのがあるじゃないですか。

 アレが現実に目の前で起こったんスよ。

 2人とも時折立ち止まって打ち合ってましたけど、腕や足がね。消えた様に見えるんす。ぶつかり合う音だけが聞こえるんスよ。

 自分もロキ・ファミリアに所属している手前、空手やって結構経ってるしレベルも4なんスけどね・・・、恥ずかしい話ホント凄まじい攻防で、目で追うのがやっとでした。

 館長や幹部の皆は見えてるみたいでしたね、ハイ。

 漫画みたいなハイレベルな攻防が何分か続いた時でした。館長が呟いたンスよ、

 

「拙いなァ、こりゃ」

 

 って。

 何の事か分からなくて首をかしげたその時だったんですよ。

 ガシャーン!って音がして何かが『豊穣の女主人』に突っ込んできたんです。

 それを見た瞬間驚きました。

 なんたってベートさんがぶっ飛ばされて、仰向けに倒れてたんですからねぇ。

 

「お、おいおいぶっ倒れてンじゃん凶狼ッッ!」

「スゲェぞあのボウズ!」

 

 豊穣の女主人内部にて仰向けに倒れるベートを見て騒然とする客達。

 

「勝っちゃいましたよ、あの人・・・ベートさんに」

 

 レフィーヤもまた、それを見て呆然としながら呟く。だが、彼らだけは違っていた。

 

「いや、まだだよ。まだ、終わってない」

「え?それってどういう・・・」

「見ねィ、レフィーヤ」

 

 アイズの言葉に怪訝な表情を見せるレフィーヤに独歩が言う。

 再び、ベートに視線を戻しアッ!と驚いた。

 ベートが立ち上がった。

 ふらふらになりながらもされど、目は死んでいなかった。

 

(ホンット、大した男だよな。ベートさんは・・・)

 

 立ち上がるベートを見てベルは胸中で呟く。

 ベートは肩で息をしていた。

 ベルも同様である。

 だが、二人ともその表情は晴れ晴れとした、見る者を心を打つような清清しい表情をしていた。

 

―楽しいな、おい。

 

 と言う思い。

 

―もっと続けたいな、おい。

 

 と言う思い。

 

 そんな感情が二人の表情から滲み出るようであった。

 だが、

 

―次で決着だからな。

 

 そんな決意も感じられる、そのような雰囲気で二人は向かい合っていた。

 向かい合ったままでどちらも動こうとはしない。

 時が経つにつれて二人の呼吸がゆっくりとしたものになっていく。

 静寂―。

 シン・・・と静まり返る。物音も一つも無い。

 

 ベルも、ベートももう肩で息をしていない。

 静かに向かい合っている。

 動けば終わる。

 お互いそう考えているかのようであった。

 

 そして、二人が同時に足を踏み出す。

 

「「雄オオォォォォォォォォォォォッッ!!!!」」

 

 吼えながら互いに向かい合い、拳を繰り出そうとして―。

 

「いい加減にしないかいッッ!!!」

 

 野太い女主人の一喝がそれを止めた。

 見やると、太いドワーフの女性が憤怒の表情で両者を見ていた。

 ミア・グランド。豊穣の女主人の店主である。

 

「あんた等、喧嘩するのは構わないけど周りを良く見てみな!店が滅茶苦茶じゃないかッッ!!どうしてくれるんだい!!?」

 

 言われてみて、周りを見てみると豊穣の女主人の店内であった。

 凄まじくめちゃくちゃになっていた。ベートが突き破ったであろう壁や窓。テーブルの破片が散乱している。

 自分たちがやらかした事に、ベルとベートは顔が真っ青になっていた。

 もはや、2人共戦いを継続する。なんて事は考えていなかった。

 

「「す、すいませんでした!」」

「謝るくらいなら早く片付けなッッ!!!」

 

 ミアに謝罪をし、片付けと破壊した壁と窓の弁償を行う2人。

 

 こうして、ベルとベートの戦いは有耶無耶な結果で終わったのであった。

 

 続 く ッ ッ ! ! !




 今回の、ベート君の『二虎流を学んでいる』って言うオリジナル設定・・・、やっちまった感がハンパ無いっす(汗)
 何気にケンガンアシュラからニ虎さんが出ています。ケンガン本編とは違い、存命しておりますので、いずれ出るかも・・・。
 そして、次回は地下闘技場にあの男がやって来ますッッ!ヒントは『ハリケーンアッパーの○○○かッッ!!!?』

それではまた次回。
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