グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~ 作:じゃすてぃすり~ぐ
レイザーズ・エッジを攻略することは出来るか!?
・・・ケンガンほんへ見てる人が居たら気づくとおもいますが・・・(汗)
理人のレイザーズ・エッジがベートに迫る。
それをベートは紙一重でかわすが、掠った程度でも肉が、皮膚がそぎ落とされ、血が噴出していた。
「ちぃっ!」
ベートは舌打ちしながら、理人に向かう。
「調子にのんじゃ・・・ねェッッ!!!」
右足を跳ね上げた。
狙いは、理人の米神。
理人は右手で防ごうとするも、そのガードごと蹴りぬいた。
横に吹っ飛ぶ理人。・・・だが、
「・・・とんでもねぇ蹴りだなオイ。右手を挟まなきゃ終わってたぜ、だけど・・・」
理人はふてぶてしい笑みを浮かべ起き上がる。
「終わったのはお前だ」
ベートの右足はレイザーズ・エッジによって切り裂かれていた。
理人、何と言う男であろうか。
正に、武装した獣である。
付け入る隙など全く無い。
「辛うじて、腱だけは守ってるが・・・頑張るねぇ『人間』」
「『人間』だぁ?何だそりゃ?」
ふてぶてしい笑みと共に発せられた理人の言葉にベートは眉を潜める。
まるで、自分が人間ではないと言ってるみたいに。
「お前が思ってる通りだよ。―俺は『人間』じゃねぇ」
そんなベートの心情を知ってか、理人は口を開いた。
「俺のピンチ力は生まれつき、天性の才能なんだ。分かるか?スタート時点から既にお前らとは『領域』が違うんだよ!」
―このピンチ力を持ってすれば、捻る・千切る・抉るは思いのまま。やろうと思えばミスリル鋼の鎧なんかも断ち切ることもたやすい。
「・・・
「一郎ねぇ、いい名前じゃねぇか。何で一郎が理人になっちまってんだ?」
理人の言葉に、ベートは問いかける。
「よく聞いてくれたな。ま、はっきり言って単純な理由なんだけどよ、漫画やアニメのヒーローって本名名乗らねぇだろ?代わりにヒーローネームを名乗ってよォ、カッケーよな・・・餓鬼の頃から憧れてたんだよ」
だから、と理人はふてぶてしい笑みを一層深め、続ける。
「超人たる俺もヒーローネームを名乗る事にしたんだよ。『理人』ってな?『人の理』を超えた俺が『理人』と名乗るんだ。中々シャレが効いてるだろ?」
―時同じくして、観客席。
「なんつーか、子供っぽいねぇ・・・」
呆れた様子でヘスティアは呟いた。ヘファイストスも半ば納得しているのか苦笑いする。
「まぁ、理人・・・一郎が単純でバカなのは認めるわ。・・・だけど、実力は本物よ。格闘士としても、冒険者としてもね。ロキ、どうするの?このままじゃ凶狼の勝ち目は薄いけど」
そう言って、ロキに問う。
「ふふん、それはどうやろかなぁ?」
「?」
ロキは余裕の笑みを持って、ヘファイストスに言う。
訳が分からずヘファイストスは眉を潜めた。
「ま、見とき。面白いモンが見れるで」
そんなヘファイストスにロキは笑いながらそう言った。
「ふふん」
「何がおかしい?」
再びリングに視点は戻る。鼻を鳴らして笑うベートに理人は笑みを潜め表情を険しくする。
「笑わせんじゃねぇよ。『超人』だ?お前如きが凌駕できるほど『人間』は甘くねェぜ」
「よく言うぜ、俺のレイザーズ・エッジに手も足も出なかったくせに」
理人の反論に、ああ、それな。と体中についた血を払いながら続ける。
「攻略法なら見つかったぜ?実を言うと、技の仕組みに気づくと同時に思いついていたが・・・ひょっとしたらまだ奥の手があると思って警戒してたんだ。・・・だけど、これで全部みてぇだな。・・・期待はずれだよ」
呆気に取られる理人にベートは歩み寄った。
ダメージを一切感じさせないような流れで・・・、そしてそのまま理人に肉薄する。
「分かってんのか?ここは俺の間合いだぜ?」
「そりゃあどうかな?」
互いにふてぶてしい笑みを浮かべながらにらみ合う。
互いにたまらぬ笑みであった。
「それじゃあ・・・望みどおりにしてやるぜッッ!!!」
動いたのは理人であった。
棒立ちのままのベートにレイザーズ・エッジを振るう。
ベートはかわそうともせず、ただそれを見ていた。
―ニヤリ。
そして笑う。
次の瞬間―
「「「「エッッッッ!!!?」」」」
会場全体が驚きに包まれた。
「やっと出したか、ベートの奴め。何時出すかとヒヤヒヤしてたわい」
VIP席で、光成は満足そうに笑う。
「ま、これでヴァンシュタインに続いて及第点じゃ」
「な・・・」
リング内、理人は驚愕していた。つい先ほどまで勝利を信じて疑わなかったのだ。
だが、
―切れて・・・ねぇッッ!
ベートに放った右手のレイザーズ・エッジがベートの左手で止められていたのだ。
全く切れてはいない。
「逆転の発想だよ」
「・・・何?」
何がなんだか分からない理人にベートは言う。
「お前のピンチ力大したもんだ」
―引きちぎるだけならピンチ力で十分であるが隙が大きすぎて実戦では使えない。
最小限の動作で切り裂く場合は「指の力」と「加速する為の距離」が必要である。
これが、レイザーズ・エッジの仕組みである。
ベートはそれに気づくと同時に、弱点も知った。・・・つまり、
「裏を返せば、距離を殺しちまえばお前は豆腐も切り裂けねぇってことさ」
「舐めんなッ!まだ左が空いてんだよ!」
理人は負けじと、左でレイザーズ・エッジを放つ。だが、
「よっと」
ベートが右手で手の甲を押さえる。右手は全く切れてはいない。
そのまま、解説を続ける。
「こんな風に手の甲を押さえるのも有効だ。要は、指先に触れなきゃ問題は無い」
さて、と付け加えながら悔しそうに顔をゆがめる理人にベートは言う。
「自慢の超人パワーは防がれちまったぜ?どうするよ、人間『ナカタ・一郎』君?」
「はっ、いやいや・・・お前こそ分かってんのか?この状況」
ベートの言葉に、理人は再びふてぶてしい笑みを浮かべ、言う。
「この近間じゃあ、お前の動きだって制限されんだろ?格闘技術ならお前が上だけどよォ、筋力なら俺のほうが上だぜ?」
そう言って、全身に力を込めベートを押した。
「力比べで俺に勝てるわけがねぇッッ!!!」
理人に押され、ベートが後ずさる。
―楽勝!このまま押し切る!
更に力を込め、ベートを押そうとして・・・、
体勢を崩した。
―え?
理人は訳も分からずほうけた表情になる。
―なんで俺、体制を崩し―
―めしっ。
左頬に衝撃が走る。
ベートの右の蹴りが入ったのだ。
「当たり。結構効くだろ?近間での打撃。それと、反撃はしないのか?左手がフリーになってるぜ?」
「な、舐めんなコラァッッ!」
フリーになった左手で反撃する。勿論、レイザーズ・エッジだ。だが、それは空を切った。
―ま、まただ。まさか・・・、意図的に乱された!?
―ごぎゃっ!
ベートの右アッパーが理人の顎を跳ね上げた。
一方の観客席。
数々の格闘士たちの死闘を見届けてきたベテランの観客達は当惑していた。
攻撃を仕掛けたはずの理人がいつのまにかベートに攻撃をされている。
そんな光景に。
「な、何がどうなってるの・・・これ・・・?」
エイナはそんな観客達の心の声を代弁するかのように呟いていた。
「これ、ベル君との戦いのときに使ってたな・・・」
「ベートのヤロウ、すげぇもん身に付けやがってよぅ」
「な?凄いやろ、ベートは」
「・・・ッッ!?」
事態に気づいているのはヘスティアたちのような神、独歩のような格闘士といったごく一部の観客のみである。
た。
った。
だった。
いだった。
だいだった。
うだいだった。
ほうだいだった。
れほうだいだった。
られほうだいだった。
やられほうだいだった。
俺は、ベートの奴にやられ放題だった。
僅か数ミリ、僅か数グラム。それだけなのに・・・、それだけのはずなのにッッ!
ベートの奴は俺の攻撃を見計らって、ほんの数グラム、数ミリ位加重して俺の力の流れをずらしている。
その結果・・・、力の流れは暴走する。
―ぐしゃっ。
嗚呼、また叩きつけられた。
認めたくないが、この男・・・ベート・ローガは力の潮流を完全に指揮下に置いているッッ!
人間業じゃねぇッッ!
「ワカったかい?理人」
薄れいく意識の中、奴の声が聞こえる。
「これが理の外の技だ」
―ごしゃっ。
何かがつぶれる音と共に衝撃が走り、俺の意識は完全にシャットダウンした。
「勝負ありッッ!!!」
顔面を踏み抜かれ、動かなくなった理人を見て、審判が告げる。
―う、ウオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!
それと同時に歓声が上がった。
そんな観客達に、ベートは片腕だけ上げると何も言わずリングを去っていった。
―そして、控え室にて。
「ヘェ、勝ったんだベートさん」
「はい、圧勝でしたよ。理人の猛攻を全く寄せ付けなかったみたいで」
ウォーミングアップをしながら、ベルはスタッフの男に声をかける。
「ふふん」
スタッフの男の言葉に、ベルは嬉しそうに笑った。
早く、ベートさんと戦いたいッッ!
そんな狼のような笑みである。
たまらぬ笑みであった。
「っと、いけないいけない。まだ、ジョーさんの試合があるんだ。それに集中しないと」
そう言って、両手で頬を叩く。
そして、気を引き締め、控え室のドアに手をかける。
「それじゃあ行って来るよ」
「ご武運をチャンピオン」
そう短く言葉を交わし、部屋を出たのであった。
続 く ッ ッ ! ! !
ベートVS理人、これにて決着ッッ!
もう、完全にベートが王馬になってますね・・・クォレは(汗)もう、いっその事、前借りとかも覚えさせちゃおうかな(おいやめろ)
さて、次回はベルVSジョー!
ジョーの格闘スタイルはムエタイ、ムエタイはバキシリーズではかませな扱いになってますが、本作ではそんな事はないです(但し、ジョーとガオランだけに限る)
お楽しみにッッ!