グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

18 / 24
お待たせして申し訳ありません。

ついにベルVSジョー戦開始ッッ!


Round17~ハリケーンアッパーのジョー~

「よォ」

 

 リングへと向かう最中、声が聞こえた。

 正面である。

 つい先ほど、試合を終えたベートであった。

 

「ベートさん、試合お疲れ様でした」

 

 ベルは笑みを浮かべながら言う。

 

「これで一歩だ」

 

 同じくベートも笑みを浮かべながら答えた。

 互いに一瞬のうちに鬼の形相となるようなそんな笑みである。

 たまらぬ笑みであった。

 そんな笑みのままベートは続ける。

 

「このまま勝ち続けて、お前がいるところまで駆け上がってやる。だからよ・・・」

 

 そして一呼吸置いて続ける。

 

「負けんじゃねぇぞ?チャンピオンのままでいろ。俺がお前を倒すその時までな、言いたいのはそれだけだ」

 

 そう言って、ベートは去っていった。

 狼のようなたまらぬ笑みを浮かべていた。

 

「・・・上等」

 

 ベルもまた、たまらぬ笑みを浮かべながらリングへと向かっていった。

 

『今宵もまた、どんな試合を見せてくれるのかァ!チャンピオン、ベル・クラネルの入場だァーッッ!!!』

 

-ワアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 歓声が上がる。それに応じてベルも、拳を高くあげ声援に応じた。

 

『対しましては、闘神の弟子がこの地下闘技場に殴りこみッッ!ハリケーンアッパーのジョーこと、ヒガシ・丈だァーッッ!!!』

 

「オッシャアッッ!!!」

 

 アナウンスと共に、ジョーがリングに躍り出る。

 

―ふふん。

 

 それを見たベルは口角がつりあがっていた。モンスターの介入により中止となったダンジョンでの立ち合い。その続きがここで出来るのだ。

 

―知りたい。

 

 ジョーの実力を、今ここで。

 がりがり、と理性の鎖をベルの中の獣が噛み千切ろうとする。

 

(まだだ、落ち着け)

 

 まだ、始まりの太鼓がなっていない。解き放つのは太鼓がなってからだ。そう胸中で呟き、獣を押さえつける。

 

「武器の使用以外の全てを認めますッ!」

 

 審判がルールの説明をしている。そんな中、ジョーと目があった。

 

ーにい。

 

 とジョーが笑う。これから楽しもうぜ。と言う笑みだ。

 ああ、勿論だとも。最高の夜にしよう。そう思い、ベルも笑みを浮かべた。

 

「へへっ」

「ふふん」

 

 互いにたまらぬ笑みであった。

 言葉は要らない。今はただ、比べあおう。()(お前)の全てを。

 

「両者元の位置へ!」

 

 互いに離れる。そして、端につくと同時に振り向いて構えた。ベルはいつものスタンダードな構え、ジョーはムエタイの構えである。

 

―みりっ。

 

 構えている最中、互いの獣が理性の鎖を千切ろうともがいている。

 

―みりっみりっ

 

 段々と、もがきが激しくなる。

 

―みりりっ

 

 終いには鎖が千切れそうになって行き・・・、

 

「はじめぃッッ!!!」

 

―ぶちん!

 

 審判の言葉で完全に切れた。

 

「「雄オオオオォォォォォォォォォォォッッ!!!」」

 

 それと同時に、2匹の餓狼が吼えた。吼えて、互いに向かっていく。同時であった。

 ベルは右の拳を、ジョーは右の蹴りを互いに放つ。

 当たったのは同時であった。ジョーの蹴りはベルの左わき腹に、ベルの拳はジョーの左頬に当たる。

 

「ぬうっ!」

「ちぃっ!」

 

 互いに舌打ちをし、距離を取る。ベルの行動は早かった。

 

「パワーウェイブッッ!!!」

 

 気を右拳に纏わせ、地面を殴る。気の波が発生し、ジョーに向かっていく。

 だが、ジョーは回避の行動を取らず、右拳を腰だめに構えた。そして・・・、

 

「ハリケーンアッパーッッ!!」

 

 思いっきり上空へ振りぬいた。

 

―ゴウッ!

 

 それと同時に突風が巻き上がり、パワーウェイブを打ち消した。

 

「ッッ!?」

 

―これが・・・。

 

 パワーウェイブを打ち消され、ベルの動きが止まる。その隙をジョーは見逃さない。

 

「スラッシュキィーックッッ!!!」

 

―これがッッ!!!

 

 大気を切り裂かんほどに放たれた前蹴りがベルに迫る。

 それを紙一重で防ぐも、威力は凄まじい。数歩ほど後退してしまう。

 

「オラオラァ!!!」

 

―これがッッ!ハリケーンアッパーのジョーかッッ!!!!

 

 追い討ちをかけるように、拳のラッシュを繰り出す。

 ベルは未だ防戦一方だ。

 なんという格闘センスだろうか。

 ベルは舌を巻かざるを得ない。

 

「キャオラァ!!!」

 

 だが、ただでやられるベルではない。

 右のハイキック。

 ガードをされるが、それでも構わずに思いっきり振りぬく。

 

「~~~ッッ!!ガードしても重てぇなお前の蹴り!」

 

 そう言いながら、ジョーは拳を振るう。

 それをいなし、左フックをジョーの顔面に叩きつける。

 よろめいた。

 よし、もう一発だ。

 そう思い、右の拳を握る。

 

「だけどッッ!俺も、負けてねぇ!爆裂拳ッッ!!!」

 

 瞬間。

 

―ぞくり。

 

 ベルの背に悪寒が走った。

 同時に、ぱぁん!と空気が破裂する音がした。

 

「・・・ッッ!(何だ今の・・・!咄嗟にガードしてなければ終わっていたッッ!)」

 

 ベルは吹っ飛ばされているものの健在。ジョーの攻撃をガードしていた。

 

「俺の爆裂拳を喰らって立ってるたぁ、やるじゃねぇか!」

 

 ジョーはムエタイの構えをとりながらそう言った。

 背に悪寒を感じた瞬間、ベルは見た。ジョーの放った拳が5つにいや、それ以上に見えていたのである。

 

(一秒のウチに何発もパンチを叩き込む、これが爆裂拳・・・)

 

 ヒガシ・丈。なんと言う男であろうか。

 さすがは、『闘神』に弟子入りしただけある。

 

「ふふん」

 

 ふと、笑みがこぼれた。

 嬉しいのだ。

 こんな強い奴と闘えることが。

 比べあえる事がたまらなく嬉しいのだ。

 

「へへへっ」

 

 ジョーも笑っていた。

 ベルはそれを見てジョーも同じ気持ちなんだな。と思った。

 

 強い奴と戦うのが楽しい。

 殴り合えるのが嬉しい。

 二人はそんな笑みをしていた。

 

 たまらぬ笑みであった。

 

「オラリオに来た甲斐があったもんだぜ」

「?」

 

 唐突に、ジョーが口を開いた。

 

「ムエタイのリングの試合もいいけどよ。あそこじゃあ、俺に敵う奴なんざ一人もいなくなっちまった。だけど、ここなら・・・」

 

 笑みを一層と深め続ける。

 

「お前みたいな強い奴と闘える。ホント最高だぜ、ここはよォッ!もっと楽しもうぜェッッ!ベルッッ!!!」

 

 ジョーが吼える。

 そんなジョーを見て、ベルはふふんと笑った。

 

「勿論」

 

 そう言って、ジョーへと向かっていった。

 さぁ、続けよう。

 男同士の比べ合いを。

 

 

 続 く ッ ッ ! ! !




あまりがっつり書くと長くなりそうなのでカット。
次回で終わらせて怪物祭編に移行したいなと思っております。
お楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。