グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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お待たせしました!
ロックマンやら、スパイダーマンやら、ヒロアカやらで中々、更新できませんでした。
色々と飛ばしすぎな感じではありますが、温かい目で見守って下さい。
では、どうぞ!


Round20『いざ、怪物祭!』

―怪物祭当日・・・。

 

―ズチャリ、ズチャリ・・・。

 

 荒野を、男が歩いていた。

 黒い拳法着に身を包んだ、ライオンの鬣のような赤い怒髪の男である。

 ハンマ・勇次郎その人であった。

 ふと、勇次郎は風に乗って飛んできたチラシを掴んだ。『怪物祭』のチラシだ。

 

「ほう、もうそんな時期か。サプライズにはうってつけだぜ」

 

 それを見て、勇次郎はニヤリと鬼のような笑みで笑った。

 たまらぬ笑みであった。

 

「どれほど強くなっているか、楽しみだなァ・・・ベル。不肖の息子(・・・・・)よ」

 

 たまらぬ笑みでそう呟くと、勇次郎は荒野を歩いていった。

 

 

―メインストリートのとある喫茶店。

 

 おしゃれな店である。

 美味い珈琲と、ケーキが出る店である。

 そこのテラスの一角で、二柱の神と、2人の男がいた。

 ロキとフレイヤ、そしてオロチ・独歩とマツオ・象山である。

 おしゃれな店に場違いな、殺伐とした空気であった。

 

「しっかし奇遇やなぁ、こないな所でバッタリ会うなんてなァ」

 

 飄々とした様子でロキは言う。

 対するフレイヤは微笑みを浮かべながらそうね。と返す。

 

「本当に奇遇よね」

「それに、護衛つけてるのは『猛者(おうじゃ)』オッタルやないんやな。どう言う風の吹き回しなんや?」

「ええ、それはね・・・」

 

 フレイヤがいいかけ、ゴホンゴホン。と咳払いをして遮ったのはマツオ・象山であった。

 

「フレイヤよぅ、そこはおいらに言わせてくれねぇかね」

「いいわよ」

 

 象山の提案に、微笑みながら承諾するフレイヤ。あんがとよ。と象山は太い笑みで礼を言った後、太い声でロキと独歩にこう言い放った。

 

「現役復帰したぜ」

「ほう」

 

 その言葉に、ロキは何も言わず眼を見開き、独歩はピクリと眉を動かした。

 

「フレイヤと一緒に、ある男の活躍を見ちまってねぇ。二人揃ってその男に夢中になっちまったのさ」

 

 象山は太い笑みを一層深くして続ける。

 たまらぬ笑みであった。

 

「その男?誰や、ソイツ」

 

 眉を潜めながらロキは象山に聞き返す。まぁ、彼の口ぶりからするに察しはついているのだが。そんな問いに、フレイヤが代わりに答える。

 

「そうね、とても凄い魂をした子と言うべきかしら。『あの人(オーガ)』とは別の輝きを持った魂よ。

 表面は無垢で真っ白なのに、その奥底には戦いを欲する餓えた狼のような輝き・・・。嗚呼、今思い出しただけでも疼くわぁ・・・」

 

 うっとりとした表情で語るフレイヤは、頬を赤く染め熱の篭った吐息を吐いた。

 それはまるで恋する乙女のようである。そんなフレイヤを見て、ロキはこう思った。

 

―あ、ベルたんやコレ・・・。

 

 フレイヤに目を付けられる。・・・即ち、試練やらなんやらで酷い目に合わされる事になるのである。ヘタをすれば命を落とす・・・なんて事もありうるのだ。

 まぁ、ベルならば大丈夫やろ。多分、きっと、メイビー。そう、ロキが考えていると、象山が口を開いた。 

 

「ソイツに会いたいんだよ。会って、ヤりあいたいのさ。だから現役復帰したって知らしめるために、フレイヤの護衛を買って出たって訳よ」

「そうかい。ふふん、うれしいねぇ」

 

 そんなたまらぬ笑みの象山に独歩は笑みを浮かべる。

 こちらもたまらぬ笑みであった。

 

「現役復帰ってぇと、またおめぇさんとヤりあえるって事だよなァ。マっちゃんよぅ」

「そう言う事になるねぇ、ドッポちゃん」

 

 たまらぬ笑みのまま、両者は言葉をかわす。

 ぐにゃり。と互いの殺気で空間が歪んでいるようであった。

 

「まだ、あの時の決着がついてねぇからなァ。

 それによゥ、オメェには目ン玉一つ取られてんだぜィ。このまま引き下がれっかよ」

「あん時はオイラも、肋骨2,3本逝っちまったからな。おあいこだろ?」

 

 何気ない、他愛のない会話。

 それなのに、何故か空間の歪みがより一層深くなっていく。

 

―ヤるのかッッ!?今、ここでッッ!!?

 

 そんな光景を見て、喫茶店の中にいる客や店員達は同時にそう思った。

 オロチ・独歩、マツオ・象山。『龍虎』と呼ばれていた二人。

 この二人が、今ここで始めたらどうなってしまうのか?

 何が起きるのか?

 そもそも、この店無事で済むのか!?

 怖い。

 だけれど、見てみたい。

 客や店員達はそう思っていた。

 

「ここで会ったのも何かの縁だからよ、ちょっくらヤるかい?復帰後の運動には丁度いいだろ?」

「いいね。で、何処でやるんでェ?店の表か?それとも、近くの公園か?」

「決まってんだろ?・・・今だよ」

 

 そう言ったと、同時に独歩が動いた。そして、右の正拳突きを象山の顔面に向けて放つッッ!

 

(さぁ、この拳―――どう捌く、マツオ・象山ッッ!!!)

 

 真っ直ぐな正拳突き、それがまっすぐに象山の顔面へと向かっていく。

 対する象山は、動かない。このまま直撃か?そう思った次の瞬間、

 

(空を切った!?タイミングは完璧なはずだったのに!?)

 

 それは、象山の顔面に入る事はなく、空を切った。次の瞬間、目の前に象山の太い顔が迫る。

 

(顔、近ェッッ!!

 ―マズイ!反撃が来るッッ!間合いを―)

 

 そう思い、間合いを取ろうと後ろに下がる。だが、象山との間合いは一向に離れない。

 

(ダメだッッ!逃げ切れねェッッ!完全に射程内ッッ!)

 

 反撃が来る。右足の前蹴りだ。

 狙いは独歩の水月。

 

(どうやって回避(カワ)すッッ!右か!?左かッッ!?

 否ッッ!どっちに動いても当たっちまうッッ!)

 

 独歩が取った行動は両腕で水月を守る事であった。

 

「ちょいさ」

 

―どごっ!

 

「ぐぬぅッッ!!!」

 

―お、重てェッッ!?

 

 ガードした両腕越しに、象山の蹴りの衝撃が伝わる。

 真っ直ぐな重い蹴りだ。受けていなければよくて内臓破裂、悪くて腹部貫通は免れぬ一撃だ。

 それを独歩は歯を食いしばって耐える。

 

(もう一度こんなのが来たら流石に耐えられんッ!一旦右に行かねば・・・)

 

 サイドステップで、右へと向かう独歩。それと同時に、象山もまた独歩と同じ向きに行く。

 

(ほぼ同時にッッ!?ここは足に一撃を・・・)

 

 凄まじいほどの反応速度に驚きつつも、左のローで象山の足を狙う。

 だがッッ!

 

(このヤロウ・・・、跳びやがったッッ!だが、空中ならチャンスだッッ!)

 

 いかなる格闘家であろうとも、着地までは無防備。

 そう判断し、米神目掛けて独歩の右足が跳ね上がった。

 だが、それを察知したのか象山は腕で頭を守るように防御の構えを取る。

 

「ッッ!!!」

 

 攻撃は無理だと判断した独歩は、象山が着地する前に距離を取った。

 時間にしてみれば、十数秒も満たない攻防。喫茶店の客や店員全員が独歩と象山に注目していた。

 

(す、すげェッッ!!!)

(これが、オロチ・独歩!)

(これが、マツオ・象山ッ!!!)

(なんと言う・・・怪物ッッ!!!)

 

 目の前の怪物達の攻防を見て、皆口には出さずとも胸中で同じ事を呟いていた。

 にらみ合う事数秒、先に口を開いたのは象山だった。

 

「ヒデェな、ドッポちゃん。復帰したばかりのオイラに不意打ちかよ」

「おいおい、忘れたかいマっちゃん。俺達は武道家だぜェ?

 武道家ってのは日常常時臨戦態勢。立会いにヒキョウもラッキョもあるかよ」

 

 ニヤリと笑いながら独歩は象山にそう言った。それもそうだな。と象山もまた笑った。

 お互いに笑いながらも、その殺気は消えていない。

 それどころかさらに膨れ上がっている。

 

「まだやるだろ?」

「応」

 

 笑いながら、お互い言葉を交わす。

 そして、同時に動いた。その時だ。

 

「ストップや、二人とも!」

「そこまでよ」

 

 ロキと、フレイヤによる仲裁が入った。

 何故止める!?と言いたげな独歩と象山にフレイヤがこう言った。

 

「貴方達が、本気でヤりあったらこの店が壊れちゃうわ」

「それにホレ、周りを見てみぃ」

 

 フレイヤに続き、ロキがため息をつきながら独歩たちに言う。

 言われるがまま、周りを見てみるとテーブルやイスが砕けており、おしゃれだった時とは打って変わりメチャクチャであった。

 そんな様相を見て、「あちゃー・・・」と呟く二人。

 さっきまで膨れ上がっていた殺気は何処かへと霧散している。

 

「参ったなァ、コリャ」

「やっぱ、マッちゃんの言うように表か公園ですりゃよかった・・・」

「ハァ・・・弁償代幾らになんねんやろ・・・」

 

 ポリポリと頭をかきながらそんな事をのたまう男二人に、ロキは深くため息をつく。ふと、フレイヤを見やると外のほうを見ていた。

 

「フレイヤ?」

 

 そんな彼女を訝しみつつ、問いかけるロキ。すると、フレイヤは黒いローブをかけ直しながら立ち上がった。

 

「ごめんなさい、急用ができたわ」

「は?ちょ、待ちィ!?弁償代どうすんねん!?」

「肩代わりよろしくね、後で払うから。それじゃあ行くわよ象山」

 

 眼を白黒させるロキにそう答え、象山に声をかける。おう。と二つ返事で返し、店を出るフレイヤと象山。

 

「ちょ、待てやコラァァァァァァァァァッッ!!!!」

 

 そんなフレイヤにロキは怒声をあげる。その傍らで・・・、

 

「まーた、フィンにドヤされちまうなァ・・・」

 

 ため息混じりに独歩はそう呟いたのであった。

 

 

―オラリオのメインストリート

 

 メインストリートは大賑わいであった。

 じゃが丸くん、焼きそば、わたあめ・・・様々な屋台が立ち並び、人々はそれを買って食べている。

 その中にはベルとヘスティアの姿もあった。

 怪物祭、オラリオで開催される一大イベントである。今日、彼らはその怪物祭に来ていたのであった。

 

「ベルくーん、次あれ食べようよ!」

 

 眼を輝かせ、ベルの腕を引っ張りながらヘスティアは『リンゴ飴』と書かれたお店を指差す。その無邪気さは、歳相応の美少女のそれである。

 

「いいですねぇ。・・・ってそんな焦らなくてもリンゴ飴は逃げませんよ」

 

 ぐいぐいと引っ張るヘスティアに苦笑しながらベルは言う。周りから見れば、兄妹のように見えて凄く微笑ましい光景である。

 

「だって早く食べたいんだもん。・・・あれ?」

 

 ベルの言葉にそう返し、ふと何かに気づいた。私服に身を包んだオロチ・克己とアイズ・O・ヴァレンシュタインであった。キョロキョロと辺りを身回し、誰かを探しているように見えた。

 

「ん?どうしました、神様?・・・って、克己さんにアイズさん?」

 

 ヘスティアの視線を追い、克己とアイズに気づくベル。

 

「お?ベル君にヘスティア様かい?奇遇だなぁ!ひょっとしてデートか?」

「こんにちは、ベルに神ヘスティア」

 

 克己とアイズもベル達に気づき、声をかける。

 

「ん~・・・まぁ、そんな感じですかね?」

「感じ、じゃなくてそうなんだよ!羨ましいだろォ~、ふふ~ん」

「ちょ!?神様!!?」

 

 照れくさそうに克己に返すベルに、ドヤ顔で腕に抱きつくヘスティア。豊満な胸がベルの腕に当たる。

 そんなベルとヘスティアに、克己は苦笑し、アイズは首をかしげる。

 

「そ、そう言えばキョロキョロと誰かを探していたみたいでしたけど、どうかしたんですか?」

「ん?ああ、ちとアーニャちゃんとリューにシルちゃんにコレを届けてくれって頼まれてな」

 

 ベルの問いに、克己は財布を取り出しながら答える。

 

「怪物祭行く時に忘れたらしくてな。アーニャちゃんもリューも店の準備で忙しいから、代わりに俺達が届けに行く事になったって訳」

「成る程・・・。それなら僕達も手伝いましょうか?」

「ちょ、ベル君!?」

 

 理由を聞き、手伝いを買って出るベル。そんなベルにヘスティアは抗議の声を上げる。

 

「いつも、シルさんにはお世話になってますから。それに、大勢で探したほうがシルさんを見つけやすいですしね」

 

 そんなヘスティアにベルは諭すように言った。

 ヘスティアはうぬぬぬ・・・。と唸ると、観念したように言う。

 

「しょうがない、引き受けてやろうじゃないか。ただし、今回だけだぞ」

「悪いな、助かるよ二人とも」

 

 そんな訳で、シルを探す事にしたのであった。

 

「・・・」

 

 その物影で怪しい影がベル達を見ている事も知らずに・・・。

 

続くッッ!!!




今回の話で書いてて楽しかったのは独歩ちゃんVS象山の空手家対決!劇中での話にあった通り、本作で独歩ちゃんの目を奪ったのは象山です。
と言うか、殆ど二人の戦いが占めちゃってますねぇ・・・。怪物祭要素は後半部分のみ・・・(汗)サブタイ詐欺だなこれ・・・(白目)
次回については・・・ひょっとしたら新しいバキキャラか誰かが出るかも?
お楽しみに!

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