グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~ 作:じゃすてぃすり~ぐ
ロックマンやら、スパイダーマンやら、ヒロアカやらで中々、更新できませんでした。
色々と飛ばしすぎな感じではありますが、温かい目で見守って下さい。
では、どうぞ!
―怪物祭当日・・・。
―ズチャリ、ズチャリ・・・。
荒野を、男が歩いていた。
黒い拳法着に身を包んだ、ライオンの鬣のような赤い怒髪の男である。
ハンマ・勇次郎その人であった。
ふと、勇次郎は風に乗って飛んできたチラシを掴んだ。『怪物祭』のチラシだ。
「ほう、もうそんな時期か。サプライズにはうってつけだぜ」
それを見て、勇次郎はニヤリと鬼のような笑みで笑った。
たまらぬ笑みであった。
「どれほど強くなっているか、楽しみだなァ・・・ベル。
たまらぬ笑みでそう呟くと、勇次郎は荒野を歩いていった。
―メインストリートのとある喫茶店。
おしゃれな店である。
美味い珈琲と、ケーキが出る店である。
そこのテラスの一角で、二柱の神と、2人の男がいた。
ロキとフレイヤ、そしてオロチ・独歩とマツオ・象山である。
おしゃれな店に場違いな、殺伐とした空気であった。
「しっかし奇遇やなぁ、こないな所でバッタリ会うなんてなァ」
飄々とした様子でロキは言う。
対するフレイヤは微笑みを浮かべながらそうね。と返す。
「本当に奇遇よね」
「それに、護衛つけてるのは『
「ええ、それはね・・・」
フレイヤがいいかけ、ゴホンゴホン。と咳払いをして遮ったのはマツオ・象山であった。
「フレイヤよぅ、そこはおいらに言わせてくれねぇかね」
「いいわよ」
象山の提案に、微笑みながら承諾するフレイヤ。あんがとよ。と象山は太い笑みで礼を言った後、太い声でロキと独歩にこう言い放った。
「現役復帰したぜ」
「ほう」
その言葉に、ロキは何も言わず眼を見開き、独歩はピクリと眉を動かした。
「フレイヤと一緒に、ある男の活躍を見ちまってねぇ。二人揃ってその男に夢中になっちまったのさ」
象山は太い笑みを一層深くして続ける。
たまらぬ笑みであった。
「その男?誰や、ソイツ」
眉を潜めながらロキは象山に聞き返す。まぁ、彼の口ぶりからするに察しはついているのだが。そんな問いに、フレイヤが代わりに答える。
「そうね、とても凄い魂をした子と言うべきかしら。『
表面は無垢で真っ白なのに、その奥底には戦いを欲する餓えた狼のような輝き・・・。嗚呼、今思い出しただけでも疼くわぁ・・・」
うっとりとした表情で語るフレイヤは、頬を赤く染め熱の篭った吐息を吐いた。
それはまるで恋する乙女のようである。そんなフレイヤを見て、ロキはこう思った。
―あ、ベルたんやコレ・・・。
フレイヤに目を付けられる。・・・即ち、試練やらなんやらで酷い目に合わされる事になるのである。ヘタをすれば命を落とす・・・なんて事もありうるのだ。
まぁ、ベルならば大丈夫やろ。多分、きっと、メイビー。そう、ロキが考えていると、象山が口を開いた。
「ソイツに会いたいんだよ。会って、ヤりあいたいのさ。だから現役復帰したって知らしめるために、フレイヤの護衛を買って出たって訳よ」
「そうかい。ふふん、うれしいねぇ」
そんなたまらぬ笑みの象山に独歩は笑みを浮かべる。
こちらもたまらぬ笑みであった。
「現役復帰ってぇと、またおめぇさんとヤりあえるって事だよなァ。マっちゃんよぅ」
「そう言う事になるねぇ、ドッポちゃん」
たまらぬ笑みのまま、両者は言葉をかわす。
ぐにゃり。と互いの殺気で空間が歪んでいるようであった。
「まだ、あの時の決着がついてねぇからなァ。
それによゥ、オメェには目ン玉一つ取られてんだぜィ。このまま引き下がれっかよ」
「あん時はオイラも、肋骨2,3本逝っちまったからな。おあいこだろ?」
何気ない、他愛のない会話。
それなのに、何故か空間の歪みがより一層深くなっていく。
―ヤるのかッッ!?今、ここでッッ!!?
そんな光景を見て、喫茶店の中にいる客や店員達は同時にそう思った。
オロチ・独歩、マツオ・象山。『龍虎』と呼ばれていた二人。
この二人が、今ここで始めたらどうなってしまうのか?
何が起きるのか?
そもそも、この店無事で済むのか!?
怖い。
だけれど、見てみたい。
客や店員達はそう思っていた。
「ここで会ったのも何かの縁だからよ、ちょっくらヤるかい?復帰後の運動には丁度いいだろ?」
「いいね。で、何処でやるんでェ?店の表か?それとも、近くの公園か?」
「決まってんだろ?・・・今だよ」
そう言ったと、同時に独歩が動いた。そして、右の正拳突きを象山の顔面に向けて放つッッ!
(さぁ、この拳―――どう捌く、マツオ・象山ッッ!!!)
真っ直ぐな正拳突き、それがまっすぐに象山の顔面へと向かっていく。
対する象山は、動かない。このまま直撃か?そう思った次の瞬間、
(空を切った!?タイミングは完璧なはずだったのに!?)
それは、象山の顔面に入る事はなく、空を切った。次の瞬間、目の前に象山の太い顔が迫る。
(顔、近ェッッ!!
―マズイ!反撃が来るッッ!間合いを―)
そう思い、間合いを取ろうと後ろに下がる。だが、象山との間合いは一向に離れない。
(ダメだッッ!逃げ切れねェッッ!完全に射程内ッッ!)
反撃が来る。右足の前蹴りだ。
狙いは独歩の水月。
(どうやって
否ッッ!どっちに動いても当たっちまうッッ!)
独歩が取った行動は両腕で水月を守る事であった。
「ちょいさ」
―どごっ!
「ぐぬぅッッ!!!」
―お、重てェッッ!?
ガードした両腕越しに、象山の蹴りの衝撃が伝わる。
真っ直ぐな重い蹴りだ。受けていなければよくて内臓破裂、悪くて腹部貫通は免れぬ一撃だ。
それを独歩は歯を食いしばって耐える。
(もう一度こんなのが来たら流石に耐えられんッ!一旦右に行かねば・・・)
サイドステップで、右へと向かう独歩。それと同時に、象山もまた独歩と同じ向きに行く。
(ほぼ同時にッッ!?ここは足に一撃を・・・)
凄まじいほどの反応速度に驚きつつも、左のローで象山の足を狙う。
だがッッ!
(このヤロウ・・・、跳びやがったッッ!だが、空中ならチャンスだッッ!)
いかなる格闘家であろうとも、着地までは無防備。
そう判断し、米神目掛けて独歩の右足が跳ね上がった。
だが、それを察知したのか象山は腕で頭を守るように防御の構えを取る。
「ッッ!!!」
攻撃は無理だと判断した独歩は、象山が着地する前に距離を取った。
時間にしてみれば、十数秒も満たない攻防。喫茶店の客や店員全員が独歩と象山に注目していた。
(す、すげェッッ!!!)
(これが、オロチ・独歩!)
(これが、マツオ・象山ッ!!!)
(なんと言う・・・怪物ッッ!!!)
目の前の怪物達の攻防を見て、皆口には出さずとも胸中で同じ事を呟いていた。
にらみ合う事数秒、先に口を開いたのは象山だった。
「ヒデェな、ドッポちゃん。復帰したばかりのオイラに不意打ちかよ」
「おいおい、忘れたかいマっちゃん。俺達は武道家だぜェ?
武道家ってのは日常常時臨戦態勢。立会いにヒキョウもラッキョもあるかよ」
ニヤリと笑いながら独歩は象山にそう言った。それもそうだな。と象山もまた笑った。
お互いに笑いながらも、その殺気は消えていない。
それどころかさらに膨れ上がっている。
「まだやるだろ?」
「応」
笑いながら、お互い言葉を交わす。
そして、同時に動いた。その時だ。
「ストップや、二人とも!」
「そこまでよ」
ロキと、フレイヤによる仲裁が入った。
何故止める!?と言いたげな独歩と象山にフレイヤがこう言った。
「貴方達が、本気でヤりあったらこの店が壊れちゃうわ」
「それにホレ、周りを見てみぃ」
フレイヤに続き、ロキがため息をつきながら独歩たちに言う。
言われるがまま、周りを見てみるとテーブルやイスが砕けており、おしゃれだった時とは打って変わりメチャクチャであった。
そんな様相を見て、「あちゃー・・・」と呟く二人。
さっきまで膨れ上がっていた殺気は何処かへと霧散している。
「参ったなァ、コリャ」
「やっぱ、マッちゃんの言うように表か公園ですりゃよかった・・・」
「ハァ・・・弁償代幾らになんねんやろ・・・」
ポリポリと頭をかきながらそんな事をのたまう男二人に、ロキは深くため息をつく。ふと、フレイヤを見やると外のほうを見ていた。
「フレイヤ?」
そんな彼女を訝しみつつ、問いかけるロキ。すると、フレイヤは黒いローブをかけ直しながら立ち上がった。
「ごめんなさい、急用ができたわ」
「は?ちょ、待ちィ!?弁償代どうすんねん!?」
「肩代わりよろしくね、後で払うから。それじゃあ行くわよ象山」
眼を白黒させるロキにそう答え、象山に声をかける。おう。と二つ返事で返し、店を出るフレイヤと象山。
「ちょ、待てやコラァァァァァァァァァッッ!!!!」
そんなフレイヤにロキは怒声をあげる。その傍らで・・・、
「まーた、フィンにドヤされちまうなァ・・・」
ため息混じりに独歩はそう呟いたのであった。
―オラリオのメインストリート
メインストリートは大賑わいであった。
じゃが丸くん、焼きそば、わたあめ・・・様々な屋台が立ち並び、人々はそれを買って食べている。
その中にはベルとヘスティアの姿もあった。
怪物祭、オラリオで開催される一大イベントである。今日、彼らはその怪物祭に来ていたのであった。
「ベルくーん、次あれ食べようよ!」
眼を輝かせ、ベルの腕を引っ張りながらヘスティアは『リンゴ飴』と書かれたお店を指差す。その無邪気さは、歳相応の美少女のそれである。
「いいですねぇ。・・・ってそんな焦らなくてもリンゴ飴は逃げませんよ」
ぐいぐいと引っ張るヘスティアに苦笑しながらベルは言う。周りから見れば、兄妹のように見えて凄く微笑ましい光景である。
「だって早く食べたいんだもん。・・・あれ?」
ベルの言葉にそう返し、ふと何かに気づいた。私服に身を包んだオロチ・克己とアイズ・O・ヴァレンシュタインであった。キョロキョロと辺りを身回し、誰かを探しているように見えた。
「ん?どうしました、神様?・・・って、克己さんにアイズさん?」
ヘスティアの視線を追い、克己とアイズに気づくベル。
「お?ベル君にヘスティア様かい?奇遇だなぁ!ひょっとしてデートか?」
「こんにちは、ベルに神ヘスティア」
克己とアイズもベル達に気づき、声をかける。
「ん~・・・まぁ、そんな感じですかね?」
「感じ、じゃなくてそうなんだよ!羨ましいだろォ~、ふふ~ん」
「ちょ!?神様!!?」
照れくさそうに克己に返すベルに、ドヤ顔で腕に抱きつくヘスティア。豊満な胸がベルの腕に当たる。
そんなベルとヘスティアに、克己は苦笑し、アイズは首をかしげる。
「そ、そう言えばキョロキョロと誰かを探していたみたいでしたけど、どうかしたんですか?」
「ん?ああ、ちとアーニャちゃんとリューにシルちゃんにコレを届けてくれって頼まれてな」
ベルの問いに、克己は財布を取り出しながら答える。
「怪物祭行く時に忘れたらしくてな。アーニャちゃんもリューも店の準備で忙しいから、代わりに俺達が届けに行く事になったって訳」
「成る程・・・。それなら僕達も手伝いましょうか?」
「ちょ、ベル君!?」
理由を聞き、手伝いを買って出るベル。そんなベルにヘスティアは抗議の声を上げる。
「いつも、シルさんにはお世話になってますから。それに、大勢で探したほうがシルさんを見つけやすいですしね」
そんなヘスティアにベルは諭すように言った。
ヘスティアはうぬぬぬ・・・。と唸ると、観念したように言う。
「しょうがない、引き受けてやろうじゃないか。ただし、今回だけだぞ」
「悪いな、助かるよ二人とも」
そんな訳で、シルを探す事にしたのであった。
「・・・」
その物影で怪しい影がベル達を見ている事も知らずに・・・。
続くッッ!!!
今回の話で書いてて楽しかったのは独歩ちゃんVS象山の空手家対決!劇中での話にあった通り、本作で独歩ちゃんの目を奪ったのは象山です。
と言うか、殆ど二人の戦いが占めちゃってますねぇ・・・。怪物祭要素は後半部分のみ・・・(汗)サブタイ詐欺だなこれ・・・(白目)
次回については・・・ひょっとしたら新しいバキキャラか誰かが出るかも?
お楽しみに!