グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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ドーモ、じゃすてぃすり~ぐです。
久々のグラップラー・ベル最新話投稿となります。
色々、夢枕文法がおかしい感じがしますが温かい目でよろしくおねがいしますッッ!!!


Round22「アテナ・ファミリアの若き龍」

―オラリオ・ドーム内部。

 

「すいません、皆さん態々届けてもらって」

「いえいえ、それほどでも。礼ならアーニャとリューに言ってよ」

 

 アテナ・ファミリア所属のアイドルが、歌っている最中。申し訳なさそうに頭を下げるシルに、克巳は笑顔で返した。

 オラリオ・ドームの手前で、サイフを探していたであろうオロオロしていたシルを発見し、サイフを渡したのである。

 折角だからと、皆でオラリオ・ドーム内に入りライブやメインイベントを楽しまないか?とシルが提案し、ベル達は二つ返事で答えたのである。

 そんなこんなで現在に至る。

 

「しっかし、大賑わいだよねぇ。前座とは思えない程の盛況っぷりだよ」

 

 そうぼやき、振り向くヘスティアの視線の先には、ドーム内を埋め尽くすほどの人が溢れていた。ちなみに、ベル達がいる席は、最前列。間近でライブが見れる席であった。

 

「ええ、アテナファミリアのアイドル達はオラリオでも外の世界でも大人気ですからね。

 恥ずかしい話ですけど、私もアイドルを目指してアテナファミリアの門をたたいた事があったんです」

 

 結局は、オーディションで落ちちゃいましたけど。と苦笑いしながらシルが言った。へぇ。とベルが感嘆の声を漏らす。

 

「って事は、歌とかダンスとかも得意だったりします?」

「え!?ええ、まぁ・・・」

 

 ベルの言葉に、若干あわあわとなりながらシルは頷いた。

 

「僕、見てみたいなァ。シルさんのダン・・・「ベルくゥ~ん・・・」へ?」

 

 遮るように、唸るようなヘスティアの声を聞き、振り向くベル。

 そこには鬼がいた。

 ヘスティアである。にこやかではあるのだが、その背後に立ち上る神威が鬼の形を取っていた。

 そして、瞬時に悟る。

 

―やっべェ、地雷踏んだッッ!

 

 ・・・と。

 そう思った、ベルの行動は早かった。

 

「すいませんッッ!!」

 

 即座に謝った。

 

『女性を怒らせた時は、自分が悪くなくても謝れ』

 

 今は故郷にいる、祖父の受け売りであった。

 その様子をみていたオロチ・克己は、後にこう語る。

 

「何と言うか、お袋に怒られた時の親父を見ているようだった」と。

 

「おや?神ヘスティアやないですか」

「ん?」

 

 不意に、関西なまりの声がかかり振り向く。

 そこにいたのはメガネをかけた角刈りの男であった。

 異様に太い男である。

 纏っているビジネススーツごしでも分かる太さである。

 その男を見るや、ヘスティアは懐かしそうに言った。

 

静龍(しずる)君かい?」

静龍(しずる)やのうて、静龍(ジンロン)です」

 

 ヘスティアの言葉に、静龍と言われた角刈りの男は困った顔でツッコミを入れた。

 

「あはは、懐かしいね。このやり取り」

「からかわんでくださいよ。

 静龍(しずる)って呼び方、女の子みたいで恥ずかしいから堪忍してください言うたやないですか」

 

 ゴメンゴメンと、笑いながら謝るヘスティアに静龍は全くもう・・・と顔をしかめた。

 そして、ベルを見やり挨拶をする。

 

「お久しぶりです、チャンピオン。噂はかねがね耳にしとりますよ。

 何でも、神ヘスティアとファミリアを立ち上げたって」

「ははは、とは言っても団員は僕一人だけですけどね」

「何だ知ってたのか、サプライズしたかったんだけどなー」

 

 静龍の言葉に、ベルは苦笑いしながら返した。

 ヘスティアの方は、出鼻を挫かれたようで少々不貞腐れた感じでそう呟く。

 

「そちらのお二人はお初にお眼にかかります。

 『アテナ・ファミリア』所属の椎 静龍(シイ ジンロン)と言います」

 

 克己とアイズを見ながらそう言って、お辞儀をする静龍。

 90度の綺麗なお辞儀である。

 ん。とアイズもペコリと頭を下げる。

 

「椎 静龍・・・?その名前どこかで・・・あっ!」

 

 克己が何か聞き覚えがあったのか、考え込み・・・、はっとした表情で声をあげた。

 

「もしかして貴方、『大陸の静なる龍』こと椎海王ですか?」

「よくご存知ですね。確かに海王の称号を得てましたけど、それは昔の事。今は座を退いています」

 

 今はただのマネージャー兼プロデューサーですわ。と微笑みながら克巳に答える。

 

「そうですか、にしては結構鍛えてますよね。スーツ越しでもワカリますよ」

「海王の座は退いても冒険者稼業は辞めてませんからねぇ。

 ・・・と言っても、プロデューサーの仕事が忙しくて冒険者の方は副業みたいになっとりますが」

「副業って言っても結構強いじゃないですか、静龍さんは」

 

 気恥ずかしそうに頭を掻きながら克己に言う静龍。

 終始和やかな様子でライブを見ながら談話に花を咲かせるベル達。

 

「「「皆、ありがとォーーーーッッ!!!」」」

「さいっこォーーーーーーーー!!!」

「いい歌だったよーーーーーーー!」

「感動したッッ!!!」

 

 ステージで歌っていた3人組のアイドルの歌が終わり、周りからやんややんやと声援が送られる。

 その声援に応えるかのように、アイドル達は手を振って笑顔を浮かべていた。

 

「アテナの奴もだけどアテナの眷属達も結構な人気だねぇ」

「ええ。・・・ですが」

 

 ヘスティアの言葉に静龍は頷きながら、少し表情を曇らせた。その時である!

 

「歌い終わったんだから手を振ってないでさっさと消えろォ!俺は、アテナたんのライブを見に来たんだよ!!」

 

 ヘスティア達の背後で大声で怒鳴る声が。振り向くと、小太りの典型的なオタクの格好をした男が鼻息を荒くした状態で立っていた。

 それを見て静龍は、はぁ・・・と嘆息する。

 

「こう言う迷惑な輩がおるんですわ」

「そうなんだ・・・」

「おい!何て事を言うんだ、文句を言うんだったらつまみ出すぞ!」

 

 観客の一人が、立ち上がりオタクの男をつまみ出そうと手を出した、その時だ。

 

「うっせぇんだよ!シッ!」

 

―パァン!

 

「ぐぅっ・・・」

 

 男のジャブが観客の顔面を捉えた。うめき声をあげながら、後ずさる観客。

 

―ゴッ!

 

 その瞬間に、右のフックが観客の顎を捉え、意識を吹っ飛ばした。そのまま前のめりに倒れ動かなくなる。

 

「きゃあああああああああ!」

「アレ、ヤバイ倒れ方じゃんッッ!」

 

 どよめく会場。悲鳴と、動揺の声がこだまする。

 

「へっ、弱いくせに粋がるからだ!」

 

 倒れた観客を見下ろしながら、男は吐き捨てる。

 

「おい」

「あ?」

 

―ゴッ!

 

 男の背後から声が聞こえ、振り向いた刹那、男の顔面に膝がめり込んだ。綺麗でまっすぐな飛び膝蹴りである。

 ぺんっ!?とマヌケな声を上げながら男は吹っ飛び、倒れる。

 幸い、男が吹っ飛ぶ直前観客達は避難した為、巻き添えはゼロであった。

 

「ここは暴れる場所ちゃうねん、これ以上暴れるんならお引取り願いましょか」

 

 立ち上がりながら、関西弁で男に言うのはジージャンに、ジーンズパンツと言ったいでたちの少年であった。

 小柄な少年である。歳は、ベルよりもちょっと上であろうか?小柄で細身ながらも、しっかりと鍛え込まれているのが分かった。

 

拳坊(ケンぼう)だッッ!!!」

「アテナ・ファミリアの有力ルーキー、『椎 拳崇(シイ ケンスウ)』が来てくれたぞッッ!!!」

「拳坊、この迷惑野郎をぶっ潰してくれ!」

 

―ケーンボウ!ケーンボウ!ケーンボウ!

 

「凄い声援だねぇ・・・。もしかして彼って」

「ええ、私の倅です」

 

 拳坊コールを聞きながら、問いかけるヘスティアに頷きながら静龍は答えた。

 

「糞・・・このガキが、よくもやりやがったな」

 

 その一方、むくりと起き上がりながら男は拳崇を睨む。

 そんな男の眼光を拳崇は、平然と・・・なおかつ不敵な笑みを浮かべながら受け流している。

 

「その様子やと、まだ反省しとらんみたいやな。しゃあない、かかって()いや」

 

 そう言って、すっと腰を落とし中国拳法、心意拳のような構えを取った。

 クイックイと右手の人差し指をうごかし、挑発する。

 それを見た、男は怒りで顔を真っ赤にして叫んだ。

 

「この俺を怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる!!!」

 

 叫びながら、拳崇に向かって突撃。そのまま、我武者羅に拳を振るった。

 右ジャブ。

 左フック。

 右アッパー。

 男は、ボクシングでも齧ってるのだろうか?その小太りな体格には似合わない、素早い動きでそれを振るう。

 だが、それは悉く拳崇には当たらない。

 

―つるっ。

 

「おっ、あらぁ!?」

 

 突如、拳崇の足がすべり仰向けに倒れようとする。

 その隙を逃す男ではない。

 

「バカが、すっ転びやがって死ねぇッ!!!」

 

 体勢の崩れた拳崇に向かって、男のストレートが迫る。

 タイミングも距離もピッタリであり、さしずめ拳崇の顔面に直撃か?と思われた次の瞬間である。

 

―ゴッ!

 

「あげっ」

 

 男の顎に衝撃が走る。

 顎、衝撃、何故?、不意打ち?

 突然の事に男は困惑する。

 

 対する観客やベル達は見ていた。

 拳崇が体勢を崩したと思った次の瞬間即座に逆立ちしたのを。

 そして、そのまま腕のばねを利用して飛び上がり男の顎に蹴りを食らわせたのである。

 

「すっげェ・・・」

 

 ベルは、思わずそう呟いた。

 椎 拳崇。何と言う男であろうか。

 彼と戦ってみたい、ベルは思わず笑みを浮かべながらそう思った。

 たまらぬ笑みであった。

 

 

続 く ッ ッ ! ! ! !




いかがだったでしょうか?
前回、大観衆の中でトール・ファミリアとフレイヤ・ファミリアの陰謀に巻き込まれる。・・・と書いておりましたが、今回登場した拳崇や父親の静龍を書く際についつい筆が乗っちゃいまして、こんな展開に。本当に申し訳ない(某クソ映画の博士並感)

さて、今回登場した椎親子について説明したいと思います。

椎 静龍
・元ネタ、『高校鉄拳伝タフ』より宮澤 静虎=サン

概要:アテナファミリアと言うことで、彼女の眷属として拳崇を出す事は決まってましたが、ふと「拳崇って関西弁喋るよな。→彼の父親役として、静虎さんみたいなオトンキャラだそう」って事で誕生しました。
 見た目性格は完全に静虎さんです(笑)

椎 拳崇
・元ネタ、『KOF』から同名キャラ。但し、性格は『タフシリーズ』の宮澤喜一が混じってる。

概要:アテナを出すならと思い登場させたキャラ。
 オトンキャラとして静虎もとい静龍が登場したため、若干キー坊が混じっております(笑)
 まぁ、声の雰囲気とかも似てるしかまへんやろ(ぇ

 次回こそ、ベル君トールとフレイヤの陰謀に巻き込まれる・・・かも。
 お楽しみに、それでは~。

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