グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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いろいろとリアルが忙しく、長らく小説が出せなくて申し訳ありませんでした!
少々、夢枕文体が下手糞な感じではありますが、温かい目で見てください。
では、どうぞ!


Round23「雷神」

「糞がぁっ!!!」

 

 男が叫びながら、拳崇に向かって拳を繰り出す。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 だがことごとく、かわされ、いなされてしまう。

 

「よっと」

「がっ!?」

 

 そればかりか、腕を取られ地面に叩きつけられてしまった。その衝撃で意識がほんの一瞬飛ぶ。

 

ーどすん。

 

「げぇっ!?」

 

 腹部に重たい衝撃が走った。叩きつけられた衝撃で飛んでいた意識が戻る。

 見やると上に拳崇が乗っかっていた。マウントである。

 

「ギブアップ?」

「ぬがあっ!」

 

 不意に拳崇が、男に問いかける。だが、男は問いかけに答えず、暴れマウントから脱出しようとした。

 だが、

 

「え?」

 

 振り解こうとも、マウントから脱することは出来なかった。

 

―嘘・・・だろ・・・?

 

 自分よりも軽そうな相手であるはずなのに、マウントから抜け出す事が出来ない。その事実に、男は驚愕した。

 大木だ。

 大木のようであった。

 地面にしっかりと根を張った大木の様に、男の体から離れない。

 

ーぶおん。

 

 拳崇が拳を振りかぶり思いっきり顔面目掛けて振り下ろした。

 ごすっ!と肉がぶつかる音がする。

 カリカリ。と口の中で折れた歯が鳴っている。

 

「があああっ!!」

 

 それでもなお、男は振り解こうともがく。

 

「おわっ!?」

 

 火事場のバカ力だろうか、大きくもがいた為に拳崇がバランスを崩した。

 それを見逃さず、マウントから脱出する。

 そして、互いの距離が離れた。

 

「しゃああっ」

 

 先に男が動く。今までやってきた分たっぷり仕返ししてやる!

 拳を振り上げ、拳崇へと迫る。

 対する拳崇も動こうとしているが、男の方が早い!

 拳が振り下ろされる。

 

―ゴッ!

 

 鈍い音が鳴った。

 打撃が肉を打つ音であった。

 

「お・・・が・・・?」

 

 男がうめき声をあげている。

 うめき声をあげて地にはいつくばっていた。

 対する拳崇は、平然と男を見下ろしている。

 

「え?!え、どうなってるの?」

 

 様子を観ていたヘスティアが困惑気味に声をあげる。

 当然である。

 タイミング、距離共に男の攻撃が当たるはずであった。

 なのに何故、男が地面にはいつくばっているのか?

 隣にいたベルがヘスティアの疑問を解消するように、答えた。

 

「当たる直前に、体を捻ったんですよ。

 拳が当たる直前に、体を捻る事で威力が分散されますからね」

「そんで、返す刀で蹴りを叩き込んだって訳だ」

 

 ベルの説明を引き継ぐ形で、克己がそう言った。

 

「しかし、あの距離・・・あのタイミングで威力を直撃を回避しただけじゃなく、カウンターまで入れるなんて凄いですね・・・彼」

 

 ベルは、そう言って拳崇を見やる。

 

―彼と闘いたい。

 

 そう、自分の中の狼が唸っているのを感じていた。

 

「さて、もう動けへんやろ?」

 

 這い蹲る男を身下ろし拳崇は言った。

 男はブツブツと呟きながら、はいつくばっている。

 

「・・・る・・・」

「?何て言うた?」

 

 聞き取りづらい男の言葉に、眉を潜めながら拳崇が近づいていく。

 その時だった。

 

「ぶっ殺してやるーーーーーッッ!!!」

「オワッ!?」

 

 金切り声に近い絶叫と共に、男が何かを振るった。キラリ。と手に握られたそれが光る。

 当たると拙いと悟った拳崇はバックステップで回避。

 それと同時に拳崇が着ているシャツの腹部分がパックリと割れる。幸い、体は切られてはいないようである。

 男はナイフを持っていた。

 

「アイツ、ナイフを持ってやがる!」

「・・・止めなきゃ」

 

 これは拙いと感じた、克己とアイズが男を止めようと駆けつけようとする。

 

「待ってください、その必要はありませんよ」

 

 が、それをとめたのはベルであった。

 何故?と怪訝な表情になる克己とアイズだったが・・・、

 

「いけないなァ、こんな所でそんなのを振り回していちゃ」

 

 声がした。

 別段叫んでいる。と言うわけでもない。

 だが、会場全体に響いている感覚があった。

 声のした方に、克己とアイズのみならず、観客達が一斉に振り向く。

 その方向にたっていたのは男であった。

 背に『雷神』と大きくかかれたガウンを羽織った男が立っていた。

 美しい金髪をオールバックにした、大きく尖った顎の男である。

 その男を見て、ギャラリーが一斉にざわめきだした。

 

「トール様だッッ!!」

「『トール・ファミリア』のトール様が出たぞッッ!!!」

 

 そう、この男こそ、『トール・ファミリア』の主神であり、ファミリアの運営するプロレス団体『アズガルド・プロレス』の社長であるトールであった。

 

「な、何だ・・・ッッ!?」

 

 男もややあって、振り向くもトールを観た瞬間。雷に打たれたかのように硬直し動けなくなった。

 

「それを渡しなさい」

「ッッ!?」

 

 にこやかに、親しい親友に話しかけるような気さくさでトールは口を開いた。

 ビクッと、男は肩を震わせて怯えたようにトールを見る。

 

「あ・・・あ・・・」

 

 震えている。

 先ほどまでの威勢は何処へやら、男はガクガクと震えていた。

 それはまるで蛇に睨まれた蛙のようである。

 その原因は、トールの放つ神威であった。

 それにより、男を威圧しているのである。

 

(なんつー神威や、気を抜けば観てるこっちもブルってまうで)

 

 拳崇もまた、直接的ではないがトールの神威を受け冷汗を流していた。

 まるで、トールが見上げるほどに大きくなったかのような感覚。

 それが拳崇を襲っていた。

 直接トールの神威を受けている男は、その比ではないほどの感覚に陥っているようである。

 男のズボンの股間当りがぬれていた。

 小便だ。

 小便を漏らしていたのである。

 

「いい子だからそれを渡すんだ」

 

 再度、トールは手を差し伸べながらにこやかに男に言った。

 男の目には、にこやかな笑顔が今にも鬼のような形相になっていくように見えた。

 この男には勝てない。

 男は本能的に即座に悟った。

 

「は、はいッッ!!!」

 

 次の瞬間には、男は跪きナイフを差し出した。

 土下座であった。

 土下座とは全面的に己の非を認め、100%の降伏を相手に示す行為である。

 

「いい子だ」

 

 そう言って、トールは男からナイフを奪い取り顎で、連れてけと言いたげにしゃくった。

 それに応じるように屈強な男が二人現れ、男を連れて立ち去った。

 

「見せ場とっちゃって悪いなアテナのとこのボウヤ。アイツがこれ以上暴れられたらたまったモンじゃなくてね」

 

 拳崇のほうを見やりながらイタズラっぽく笑い、謝罪する。

 ええですよ。と拳崇はトールに返した。

 

「流石に刃物持った相手は骨が折れますから、助かりましたわ。

 しっかし、何故トールの社長さんがこちらに?あんさんらのステージはアテナのライブが終わってからやありまへんでしたっけ?」

「ああ、ちょいと告知をしにな。

 アテナのライブ前にサプライズでステージに出ようと思ったら、あの野郎がしゃしゃり出てきて今にいたるって訳よ」

「告知?」

 

 首をかしげる拳崇。

 

「まぁ、折角だからこの場で言わせて貰うか」

 

 そう言って、マイクを何処からともなく取り出すと、観客を見渡すように観ながら語りかけた。

 

『えー、皆さん。唐突ですが、メインイベントであるモンスターのテイム&プロレスショーは都合により、急遽中止となりました』

 

―ざわ・・・ざわ・・・。

 

 唐突であった。

 唐突に、告げられた怪物祭の目玉でもあるメインイベントが中止となり、困惑する観客一同。

 ですがッッ!と、そんなざわめきに意も介さず、トールは続ける。

 

『それと負けず劣らずの、とびっきりのイベントを用意しておりますッッ!!

 その名も・・・「地下闘技場チャンピオンVSモンスターのガチンコ勝負」ッッ!!!』

「チャ・・・チャンピオンだってッッ!!!」

「オラリオの都市伝説じゃなかったんだな」

「あのチャンピオンがここに来るのかよッッ!!?」

「こりゃあ、女房を質に入れても見てみてぇや!」

「地下闘技場のチャンピオンって・・・何だァ?」

「ご存じないのですか!?」

 

 トールの爆弾発言にざわめく会場。

 それはそうだろう、あの地下闘技場のチャンピオンが、メインイベントで出るのだから。

 この発言に一層驚いたのは、観客だけではない。

 

「な、何だってッッ!!!?」

 

 ヘスティアである。

 チャームポイントのツインテールを猫の尻尾のように逆立て、素っ頓狂な声を挙げていた。

 克己や、アイズもまた声には出さずとも驚きの表情を浮かべていた。

 

「えらい事になりましたね、ベルさん」

「そうですね・・・」

 

 静龍の言葉に、ベルは少々驚きつつもそう返した。

 レベルアップして以来、何らかの視線があったのは感じていた。

 何かしらのアクションをするにしても、ダンジョンなどで刺客やらモンスターを差し向けるなりそう言ったことをするのだろうと思ってはいたが・・・。

 

「まさか、こんな手段に出るとはなぁ・・・」

 

 苦笑いをする。

 怪物祭で、捕らえたモンスターは結構な強さだと聞く。

 そのモンスター達と一戦交えられる。

 そう考えると、

 

「ま、悪くないよね」

 

 いつの間にか楽しげな笑みへと変わった。

 たまらぬ笑みであった。

 

 

「ああ、いいわ。凄くいい」

 

 その様子を、神のみが許される特等席にてフレイヤはたまらぬ瞳で見詰めていた。

 それは、まるで長年恋焦がれた想い人に会った女性のようであった。

 

「もっと見せて、貴方の輝きを」

 

 うっとりとした表情で、フレイヤはベルへとそう言った。

 

 

続 く ッ ッ ! ! !




いかがだったでしょうか!
今回、トールさんがベル達の目の前に姿を現しました。
当初は、怯える暴漢を徹底的に痛めつけ、それに激昂した拳崇が・・・ってな展開を考えていましたが、「流石にそんな事やらかしたら、ガネーシャさんが怒るよな」とか「ぶっちゃけ、そんな事しなくても、神威で何とかなるよな」と思ったので急遽変更、神威で男を無力化させるという展開にしました。
んでもって、公の場でベル君(劇中では彼の名を公表しませんでしたが)とモンスターをガチンコ勝負させる事を宣言!ちなみに、戦う相手は『ヤツ』です。
結構ごり押しな展開となっておりますが、次回もお楽しみに、それでは~。
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