グラップラー・ベル~オラリオで地上最強を目指すのは間違っているだろうかッッ!?~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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 私事なのですが、最近グラップラー刃牙UCを始めました。
 アップルストアでの評価は散々なものですが、自分としては結構楽しめています。
皆さんも是非やってみてはいかがでしょう。

 今回はベル君の冒険者登録&モンスターとの初戦闘回となりますッッ。
 それではどうぞッッ。


Round4~初めての冒険~

「ここが冒険者ギルドの中かァ~」

 

 ギルドのドアを開け、中に入りながらベルは呟いた。

 

「神様の眷属になる前は遠くから見てただけだけど・・・案外人多いな」

 

 見渡せばヒューマンは勿論の事、獣人、アマゾネス、エルフ、ドワーフなど多種多様の人達で溢れていた。

 どのカウンターも彼らが陣取っており、これは時間がかかるか?と心配していたが、よく見れば空いているカウンターがあった。

 とりあえず、そこに向かいカウンターにいる受付嬢であろう女性に声をかけた。

 ブラウンの髪をセミロングにし、メガネをかけたエルフの女性である。

 

「あの、すみません」

「はい、なんでしょうか」

 

 その女性は綺麗な笑みを浮かべてベルに答えた。

 綺麗な女性である。そんな笑みを見てベルは少しドキッとしてしまった。

 

(―故郷の村や、武者修行の旅先で訪れた街とかじゃあこんな綺麗な人いなかったからなァ・・・)

 

 内心緊張しながら、ベルは女性に答える。

 

「えーっと、冒険者登録をしたいんですが」

「冒険者?君が?」

 

 女性は訝しげにそう言うと、ベルをじーっと見ながら続けた。

 

「冒険者って言うのは君が思っているよりもずっと危険なものなんだよ?」

「僕は構いません」

 

 迷う事無く言った。

 

「命を落とす危険もあるし、レベルがずっと上がらない事だってある。それでもいいの?」

「それでも一向に構いませんッッ」

「そ、そこまで言うなら止めないけど・・・」

 

 ベルの揺ぎ無い意思に若干引きながらも、女性は用紙を取り出しベルに渡した。

 

「この用紙に君の名前と種族と年齢、レベルと所属ファミリアを記入して」

「分かりました」

 

 そう言って、ベルは用紙に言われた項目を記入する。

 

「よし、と」

 

 記入し終え、それを女性に渡す。

 

「ふむふむ、ベル・クラネル。種族はヒューマンで年齢は14。レベルは1、所属は【ヘスティア・ファミリア】・・・か。ファミリア名は始めて聞くわね」

 

 用紙を見ながら、女性はベルに言う。

 

「はい、立ち上げたばかりなんですよ。僕が眷属になるまでは誰もいなかったみたいで・・・」

「なるほどね、新規のファミリアか・・・。分かりました、これよりヒューマン、ベル・クラネルをオラリオの冒険者として登録します。よろしいですか?」

 

 そう言って、女性は記入に誤りがないか確認してサインに記入し、ベルに言った。

 

「はい!」

 

 ベルはそう答えた。

 即答であった。

 

「分かりました。これより私、エイナ・チュールがベル・クラネルさんの攻略アドバイザーとして担当する事になります。以後お見知りおきを」

「よろしくお願いします、エイナさん」

「うん、よろしくね。ベル君」

 

 ベルが頭を下げると、親しげに女性、エイナは親しげにそう言った。

 

―これで、ついに夢にまで見たダンジョンに行けるんだなァ・・・。

 

 ようやく掴んだ『地上最強の英雄』の夢。その第一歩である。

 そうと決まれば善は急げ、早速ダンジョンに向かわねば。

 そう思った矢先である。

 

「それじゃあ早速、ダンジョンの注意事項をキッチリ教えてあげるね」

「えっ」

 

 出鼻を挫かれた。

 エイナの言葉に、目を瞬かせながらベルはそう洩らした。

 

「初めてダンジョンに潜る人には注意事項を教えなければならない決まりなの。それを受けたらダンジョンに行っていいよ。というか受けなさい、いいわね?」

「・・・アッハイ」

 

 エイナの気迫に思わずベルはそう答えた。

 有無を言わせぬ気迫であった。

 

「それじゃあ、別室で注意事項を教えるから行こうか」

「・・・行きましょう」

 

 そういう事になった。

 

 

―そんなこんなで・・・。

 

「やっと、ダンジョンに潜れるようになった・・・」

 

 くたびれた様子でベルは呟いた。

 エイナからダンジョンの注意事項や上層に出てくるモンスターなどについて事細やかに説明を受けたからである。

 端的に言うならばスパルタであった。

 

『無茶はするな』

『冒険者は冒険をしてはいけない』

 

 特に、エイナから口をすっぱくして言われた事である。

 

(―これは多分、職員としてではなく『エイナさん自身』として僕を心配しているからだろうなァ)

 

 エイナ・チュールは本当に優しい人だ。

 ベルはそう思う。

 死んで欲しくない為に、ベルを気遣い心配する。

 たまらぬ女性(ひと)であった。

 

「だけれど、そこまで心配するって事はよほどダンジョンのモンスターは外よりも強いって事なんだよな」

 

 そう呟く。

 外のモンスターは、自然にダンジョンの中から生まれるオラリオのモンスターと違い、繁殖の際に核である『魔石』を削り子に分け与える。その為、ダンジョンに出てくるモンスターよりも力が低いのである。

 ベル自身、オラリオに来る前に何度かそんなモンスターと戦った事がある。

 湧き上がったのは興味であった。

 一体どれほどの強さなのだろうか?

 戦ってみたい。

 ベルはそう思っていた。

 

「見せて貰おうかな、ダンジョンのモンスターの実力ってヤツを」

 

 そう言ってベルはダンジョンに向かう。

 その顔には笑みを張り付かせていた。

 その笑みはもはや少年のものではなかった。

 餓狼の笑みであった。

 

 

―ダンジョン一階層

 

「ここがダンジョンか、中々広いところじゃないの」

 

 ダンジョン内を見回しながらベルはそう呟く。

 ちなみに今のベルの格好はいつもの服装の上にギルドから支給された防具をつけており、腰には鞘に入ったナイフがあった。

 防具は兎も角、ベルは基本素手で戦う為ナイフはいらないと言ったのだが、エイナに凄い剣幕で睨まれたのと『魔石』を回収するのに使う為にとってある。

 

「兎に角、突っ立ってるのもなんだし探索するか」

 

 そう言って、ダンジョン内を歩き回る。

 

―パキッ。

 

 ふと、壁の方から何かが割れる音がした。

 そちらへ視線の方を移す。

 壁から何かが雛が卵から孵るように這い出てきていた。

 緑色の小型の人型のモンスター、ゴブリンである。

 一番弱いタイプのモンスターであった。

 

「ギギッ!」

 

 ゴブリンがベルに気づいた。

 今にも襲い掛からんと身構えている。

 

「ふふん」

 

 対するベルの方は臆することはなく悠然としていた。

 笑みを浮かべながら構えていた。

 

「キシャッ!」

 

 先に動いたのはゴブリンであった。

 獰猛な猟犬の如く駆け出し、口を開けてベルをかみつこうとした。

 それを間一髪、スウェーで避ける。

 

「凄いな、ゴブリンでも外の連中とは全く違う。スピードも・・・恐らくパワーもダンチだ。・・・だけど」

 

 続いて長く伸びた爪でベルを引っ掻こうとする。だが、

 

「対処できない訳じゃないッッ!」

「アゲッッ!?」

 

 カウンターで放たれたベルの右拳がゴブリンの顔面にクリーンヒットしていた。

 鼻血と折れた歯を撒き散らしながらゴブリンは仰向けに倒れた。

 

「ま、こんなもんだな」

 

 そう言ってベルはナイフを使い、ゴブリンの体から魔石を取り出した。

 核である魔石を失ったゴブリンは灰となり消滅した。

 それをポーチに入れようとしたその時である。

 

「ッ!?」

 

 殺気を感じ前方に転がり込んで後ろを見た。

 その後ろには新たに生まれ出たであろうゴブリンが爪を振り切った状態でたたずんでいた。

 しかも一匹だけではない。何十匹も居た。

 

「そういやダンジョンのモンスターって無限に湧いてくるんだったっけ。すっかり忘れてた」

 

 すっかり忘れ油断していた自分を恥じつつも、笑みを浮かべながらゴブリン達を見据えていた。

 

「雄オオオォォォォォォォォッッ!!!」

 

 吼えた。

 吼えながらゴブリンの一匹に飛び掛る。

 

「しゃああああっ!!!」

 

 その一匹を押し倒し馬乗りになると、そのまま顔面を思いっきり殴った。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 右拳。

 左拳。

 そして、トドメに頭突きを叩きつける。

 ごしゃっと言う鈍い音と共にそのゴブリンは動かなくなった。

 

「トゥラァッ!」

「ヒギィッ!?」

 

 それと同時に立ち上がり、次のゴブリンに狙いを定め股間を蹴り上げる。

 股間を押さえながら、ゴブリンの体が宙に浮く。

 

「チェリヤァッ!」

 

 間髪入れずに廻し蹴りを顔面に叩き込んだ。

 ゴブリンの意識を刈り取る。

 

―ざわ・・・ざわ・・・

 

 あっという間に同胞が二匹倒され、どよめくゴブリン達。

 

「ルアアアッッ!!!」

「ギャバッ!?」

 

 その隙を見逃さずベルはもう一匹のゴブリンに前蹴りを放った。

 顔面に前蹴りがめり込む。

 

「うおおおおおああああああァァァァァァァァァァァッッ!!!」

 

 再び吼えた。

 吼えて、ゴブリンの群れへと突撃する。

 それはさながら狩りをする狼のようであった。

 そしてそのまま、手当たり次第にゴブリンを殴った。

 殴った。

 殴った。

 殴った。

 ぶん殴った。

 

「ギシャアアアアッッ!!!」

「キェアアアアアアッ!!」

 

 今度は2匹同時に襲い掛かってきた。爪を振り上げてベルに迫る。

 挟み撃ちであった。

 逃げ場は無い。だが、そんな状況でもベルは焦るそぶりを見せない。

 

「―バーカ」

 

 そう言って笑った。

 そしてしゃがんだ。

 

―ドズッ!

 

 爪が突き刺さる。

 だが、ベルではない。

 ゴブリン同士で突き刺しあっていた。

 同士討ちであった。

 

「さてと、あんた等まだやるかい?」

 

 そう言って、まだ残っているゴブリン達にそう問いかけた。

 モンスターであるゴブリン達にはベルの言葉は分からない。

 だが肌で、目で、それを感じ取っていた。

 

―この男には絶対に勝てない。

「ヒャンッッ!」

 

 怯えるような泣き声と共に1匹が逃げ出した。

 それを引き金に2匹、3匹と次第にゴブリンが逃げていく。

 終いには全部のゴブリンが踵を返し、ベルから逃げていった。

 

「ふふん」

 

 ベルはゴブリン達の逃げる背中を追うことはしなかった。

 ベルには逃げる相手を倒す趣味は無い。

 視線を倒したゴブリン達に向ける。

 ゴブリンは30匹ほど地面に転がっていた。

 

「結構倒したな」

 

 そう呟き、魔石の回収を始めた。

 

 その後、探索を止め魔石を換金しにいくのだが魔石の多さからエイナに無茶をしたと思われ雷を落とされたのであった。

 哀れなり。

 

 続 く ッ ッ ! ! ! 




 次回はお待たせしましたあの剣姫が登場しますッッ。
 そしてバキシリーズからも何名か登場予定ッッ。独歩ちゃんがロキファミリアに所属しているって言ったら・・・ワカりますよね?

 乞うご期待ッッ!

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