惑星Zi
ゾイドと呼ばれる金属生命体と人間が共存している世界。
少し前まで戦争があり、戦後の復興作業でまだまだ人々は忙しなくしているが戦争の爪痕はあまり見られなくなった。今ではそれこそ平和な世界になっており人々は平和を謳歌していた。
…そんな平和な世界で
「なんだってこんなにツイてないんだよー!!」
盗賊のゾイドに囲まれた蒼い機体に乗る俺は叫んでいた。…いや本当ツイてないって
ーーー遡ること3日前ーーー
旅の途中で立ち寄った街で「あーそろそろ金稼がないとヤバいなー」などと考えながら街にある酒場に立ち寄り何か稼ぎの良い依頼はなんかないかと(大抵こういう場所には戦時の名残りなのか掲示板に傭兵などに向けた依頼などが貼り出せれている)昼飯を食べなから探し、上手い事いい額の依頼を見つけ依頼を受理した。
内容に関しては街周辺にいるスリーパーゾイドを退治して欲しいという依頼だった。何でも街への輸送などをしていると襲われ非常に困っていたらしい。
翌日しっかり依頼をこなし無事報酬も貰い「よっしゃー!これでひもじい思いはしなくて済むぞ!今日は酒だ!」と酒場で居合わせた別のゾイド乗りや傭兵などと酒場に居た人達と酒ベロンベロンになるまで飲んでた。
…思えばこの時調子に乗って飲み過ぎなければ不運な自体は避けられたのに。
この時ゾイド乗り達との酒盛りでは「この中で誰が最強か」という事で盛り上がっており、「俺が最強だ」「いや、この俺が」「てめぇ俺らのボスに勝てると思ってんのか!?」などと騒いでおり当然その中に俺も居り、なら明日街の外れで誰が最強かゾイド戦だ!となりそのまま全員酒場で寝て一夜過ごした。(酒場の店主はよくこういうことがあるのか特に気にせず裏に引っ込んで「朝は自分達で起きろよ~」などと言っていた)…ここまでは良かった。
そして翌日二日酔いで痛む頭を抑えながら自分のゾイドを止めてある場所に行き自分のゾイドに乗って指定された場所に向かい、そこでゾイド数機による乱戦開始。
その間ずっと頭を揺さぶられ二日酔いのせいで吐きそうになるがなんとか堪え勝ち抜き見事あの酒場での最強は自分という事になった。
しかしそれだけでは終わらなかった。…本当はそのまま終わって昼寝しに街に帰りたかったが。
何やら最初にリタイアした男(実はこの男盗賊)が自分が負けたことに逆ギレし自分の部下を呼んでいた様でわんさかとモルガとレブラプターやコマンドウルフが来た。それも既に俺しか立っていない状況である。
最初は撃退しようとしたが4機程倒した所で弾切れを起こした。実弾以外にビーム兵器もあるがエネルギーもかなり消耗していた。
ゾイドは体を休めることでその驚異的な生命力を持って傷を癒し、エネルギーも回復させられるが、戦闘中ではそれもできない。このまま長引けばエネルギーが尽きるだろう。故に
逃げた。
それはもう見事な逃げっぷりでさっきまで最強などとほざいていた男の姿などそこには既に無かった。
…が、またしても不運は重なる。
今度は別ルートから来ていた盗賊が正面から来て見事挟み撃ち。そしてふとコクピットのしたに落ちていた自分の財布が目に入り拾い上げると妙に軽い。見てみれば有り金全て無くなっており(恐らく酒場で寝ている間にパクられた)、二重でピンチという現実が突如自分に降り掛かってきた。
そして冒頭へと至る訳である。
さてさてこのピンチをどうやって切り抜けるか。個人的には前と後ろから挟み撃ちをくらってるなら横に逃げたいのだがここは逃げている内に入り込んだ街からかなり離れた渓谷であり、あいにくと横になど逃げられない。
ならば正面突破か?…できなくはないが袋叩きにあうためできれば避けたい。
あれ?八方塞がりじゃん。やっべえ。
頭を抱えて呻くがそんな事しても何も変わらず徐々に前と後ろから近ずいて来ているため時間ももう無い。
もう正面突破するしかないかと腹括ったその時。
左上から後ろのゾイド達に向かって射撃が入り盗賊は止まった。
何事かと射撃の発生源を見たら丘の上に赤い竜が居た。
「…ジェノブレイカー…だと?」
珍しい機体を見て呆然としていると通信が入り1人の少女が映った。
髪は栗色のショートカットで瞳は蒼く、その表情は無表情でどこか冷たい印象の少女だった。
「どうやらお困りのようですね。差し出がましいですが手を貸しましょうか?」
「お?マジ?じゃあ手を貸してくれ。あいにくと今は猫の手も借りたいくらい困っててね」
「そうですか。では私は後方の方を相手します。」
「OKOK。じゃあ宜しくな」
そう言って俺らは前と後ろ二手に別れた。
「じゃあ行くぜ、ブレードライガー!!」
俺は自分の愛機であるブレードライガーを前へトップスピードで走らせ正面にいるレブラプターを代名詞であるレーザーブレードで切り抜き、他のレブラプターからの射撃を軽く躱し今度はソイツに飛びかかりレーザーファングで首元に噛みつき無理矢理装甲諸共内部の動力路を噛みちぎった。
そしてまたそこに今度はモルガがガトリング砲を浴びせてくる。
「遅い遅い」
そんな物最初から来るのが分かっていたので掠りもせず躱し、またソイツに飛びかかる。
あとはそれの繰り返しでかわして噛み付いてかわして爪で殴り飛ばしてかわして切る。そうしているうちにさっきまで居た盗賊はほとんど減り残りは慌てて逃げていった。立っているのはブレードライガーのみ。
後方にいた盗賊達の方はどうなったか見てみたらそこは地獄絵図になっていた。
無残に破壊され尽くしたゾイドの残骸が散らばっておりその中心には先ほどのジェノブレイカーのみ。
「ヒュー。コイツはおっかねぇな」
「第一声にそれは失礼ではと思いますが?」
「いや、これ見たら普通そう思うわ」
「そうでしょうか?ですがそんな事よりまず言うべきことがあるのでは無いでしょうか?」
「まぁ確かにそうだな。ありがとう。助かったわ」
「いえ、さほど苦労はしませんでしたのでお気になさらず」
何はともあれ窮地を脱出できたのは良かった。
「では私はこれで失礼します」
そう言って少女が通信を切ろうとした瞬間。
ぐぅ~
そんな情けない音が俺の腹から鳴った。
「…」
「…」
お互いに一言も発さない静寂が数秒続いた。
そしておもむろに少女は通信を切ろうとし、
「待て待て!頼む!無言で通信切ろうとしないでくれ!そしてできれば何か恵んでくれねぇか!?実は今無一文なんだよ俺!」
先ほど無一文であることが判明した男には背に腹は変えられなかった。
「…仕方ありません。では私に付いてきてください。そこで食事を用意しましょう。」
少女は呆れながらも手を差し伸べた。
「…あぁ!助かる!…そうだまだ自己紹介してなかったな。俺はアレックス。アレックス・ギフトだ」
「…シュテル・スタークスと申します」
これが俺と彼女の出会いだった。
9月18日修正