ZOIDS materials   作:SIーZUー

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ルシフェリオン
機体:ジェノブレイカー
搭乗者:シュテル・スタークス

シュテルが搭乗する機体。性格は凶暴だがシュテルをマスターと認めており、シュテルには忠実。寧ろわんこのように懐いておりマスターを超えて母親と見ている部分がある。


5話 真夜中の戦い。そして新たな1歩

「見つけた」

 

パーラを出てアレックスはすぐにブレードライガーに乗り込みデルマ渓谷に向けて全速で走らせ片っ端から探し回った。

戦闘音が聞こえその方向に向かうと程なくしてシュテルのジェノブレイカーを発見した。

しかし、どうにも敵の数が多すぎてシュテルは追い詰められてるようであり攻撃に移れないでいるようだった。

そこへ集団から離れた所にいるモルガ達からミサイルが一斉に放たれジェノブレイカーに殺到しようとしていた。

 

「間に合え!!」

 

アレックスはライガーを最速で走らせ崖を下っていく。蒼い一迅の風となり一気に崖を中腹まで駆け下りその勢いのままミサイルの射線上に躍り込む。

着地と同時にEシールドを展開。

瞬間、断続的に自分の前で何度も衝撃と爆音と閃光が走る。

すぐにそれらは収まり煙が晴れるとそこには無傷のブレードライガーと防御姿勢のままのジェノブレイカー。

 

間一髪…ってか

 

内心冷や汗をかきつつシュテルへと通信を開き

 

「よぉ。謝罪ついでに助けに来たぜ」

 

とりあえずあいさつしといた

 

 

ーーーーー

 

有り得ない人が目の前に突然現れシュテルはただただ呆然としていた。

来る筈がない。来る可能性すら頭には無く想定外の展開。あまりのことにシュテルは普段では絶対しないような呆けた表情となる。

 

「意外だな。そういう顔もするんだなシュテル」

 

アレックスに指摘され我に返る。いつもの無表情へと戻しアレックスに問いかける

 

「…なぜあなたがここに?」

「お前らを助けに。」

「いえ。そういうことではなく…」

「それだけじゃ不十分か?まぁ、確かにそれ以外もあるが…とりあえず邪魔な奴らを倒してからにしないか?」

 

言われて今の状況を思い出す。まだ戦闘は終わっていない。そして意識を切り替える。

 

「挟み込まれているのは厄介だ。二手に別れて撃破するか?」

「いえ。私は流石にこれ以上動くのは厳しいです。…が、切り札を切れば突破できます。」

「切り札?」

「えぇ。ですがそれを使うにはどうしても溜めが必要です」

 

その溜めがある故に今まで使えなかったがアレックスがいる今なら溜めに入ることもできる

 

「つまり時間稼ぎをしろってことか?」

「えぇ。その通りです。準備が終了したらすぐに合図を送ります。すぐに逃げてください」

「了解。任せとけ!」

 

アレックスは時間稼ぎすることを快諾するとすぐに戦闘に入るそれと同時にシュテルもルシフェリオンを上昇させ、集団を飛び越える。

盗賊達はすぐに上のルシフェリオンをうち落とそうとする。

 

「お前等の相手は俺だ」

 

すぐさまアレックスはパルスレーザーガンを撃ち牽制する。盗賊達がそれに一瞬怯んだ隙に前に駆け出す。

後ろの盗賊達もすぐに攻撃を再開する。それを跳躍することで回避し、そのまま前にいた集団の中に乱入する。

着地時にモルガ1機を踏みつけ装甲の厚いモルガの頭部を全体重をかけて踏み潰し、そのまま近くにいたレブラプターに飛びかかる。

 

「お前等の相手はこの俺だ。来い!」

 

 

ーーーーー

 

盗賊達からある程度距離を取ったシュテルは今己が持つ切札を切ろうとしていた

 

「さぁルシフェリオン。全てを焼き尽くしましょう」

 

そうシュテルがルシフェリオンに声をかける。それに対してルシフェリオンはその瞳を赤く輝かせ、嬉しそうに雄叫びを上げた。

そして地面に脚部のアンカーを下ろし、その場に自分を固定させ、身体全体を真っ直ぐに伸ばし放熱フィンを開く。と、同時に頭部のレーザーチャージングブレードが展開され、赤く輝いていた瞳は青色と変え、自身を砲身へと変えていく。そして背部の荷電粒子コンバーターが起動し自身に荷電粒子をかき集める。

 

「アレックス。準備が出来ました。すぐに逃げてください」

「了解した!」

 

すぐにブレードライガーが集団から離れ崖を高速で駆け上がっていくことを確認し、アレックスが射線上から離れたことをシュテルは確認した

 

「疾れ明星」

 

ルシフェリオンの口部に内蔵された砲身に荷電粒子が収束される。

 

「全てを焼き消す焔と変われ!」

 

圧縮された荷電粒子が眩い光を放ち

 

「ルシフェリオン・ブレイカァァァ!!」

 

破滅の閃光を解き放った

 

荷電粒子砲はその射線上にあった全てを飲み込み、それに巻き込まれたゾイドのその尽くが一瞬にして燃え尽き、塵すら残さず世界から消え去った。

 

「…すげぇ。これが噂の荷電粒子砲か」

 

荷電粒子砲は戦時、帝国軍のエース機に搭載されていた究極の破壊兵器。あまりに強力過ぎるために搭載できるゾイドも限られ、今では荷電粒子砲を搭載したゾイドを見ることすら珍しい。

それが今目の前で破壊の嵐を生み出したのだ。

 

「噂には聞いていたがこれ程とはな。恐ろしいものだな」

 

さて、と目線をその破壊の痕が残る地面より少し先に移し運良く荷電粒子砲の射線上から逃れることのできたレッドホーンを視界にいれる

 

「アンタの味方はいなくなったようだがまだ続けるか?」

 

 

ーーーーー

 

なんだよ今の。

 

アーネルは今目の前に広がる光景が信じられなかった。ブレードライガーが崖を駆け上がるのを見て直感的に回避しなければと思い、がむしゃらに崖の方に機体を進めた瞬間、後ろの方に光が走った。気付いたときには凄まじい熱量の光の奔流が過ぎ去り部下達を飲み込んだのだ。光が収まるとさっきまでそこにいた部下達の姿は無く、光が地面を抉った痕のみ広がっていた。

あれだけいた部下達がたった一瞬でいなくなり、その事実を受け止められないでいた。

だって25機はまだいたはずなのにそれが一瞬で消えるなど信じられるわけが無い。

アーネルはあまりのことにコックピットで恐怖に震える

 

「アンタの仲間はいなくなったようだがまだ続けるか?」

 

声の方向に視線を向けるとブレードライガーがこちらを見下ろしいつでも飛びかかれる体勢になっている。

 

「あ…あ…く、来るな…」

 

怖い。怖い怖い怖い!

体を恐怖が支配しうまく動かせない。このままでは殺される。

勿論アレックスは命まで取るつもりもなく降伏すれば見逃すつもりだった。だがアーネルは違う。奪うか奪われる。生きるか死ぬ。そういう世界で生きていたアーネルには命を助けてもらえるという可能性は頭の中には無かった。自分なら降伏しても殺すし殺さなくても死んだ方がマシと思えるほどに痛みつける。

だから恐怖し、生きるためにどうするか考える。

 

どうする?…考えろ考えろ考えろ考えろ!

 

そして生きるための策を見つけ

 

一目散に後ろを向いて逃げる

 

「…ふぅ、逃げたか。まぁ、それが妥当だよな」

 

これ以上戦闘する必要が無くなったことで安堵する

しかし

 

「すぐに追いかけてください!」

 

シュテルからの通信で体をビクつかせる。見ればモニターに映るシュテルの顔には焦りが見える

 

「今逃げていった方向にはディアーチェ達がいます!人質にするつもりです!」

 

そしてその理由を理解した

思わず舌打ちをし、すぐに逃げた方を見る

 

「分かった!すぐに奴を追いかける!シュテル。お前はどうする?」

「…機体が既に限界です。先に行ってください。後で追いかけます」

「…分かった。けど後で回収しに来るからここで待っとけ」

 

それだけ言ってライガーを逃げていった方へ走らせる。すぐにその姿は見えなくなり足音が遠ざかっていく。

 

「後はお願いします。アレックス」

 

シュテルはそう言って体の力を抜き楽にする。今回ばかりは本当にダメかと思ったがアレックスのお陰でなんとか今自分は生きている。その事に胸の中でアレックスに感謝しつつコックピットのコンソールを撫で、自分の相棒を労う

 

「お疲れ様でしたルシフェリオン」

 

 

ーーーーー

 

アーネルは走る。

生き残るためにアーネルが取った選択肢は人質を取って逃げること。ちょうどいいことに奴らには味方のホバーカーゴがいる。中にいる人間を人質に取れれば安全に逃げれる。

 

そして前方に先ほどのホバーカーゴが見えた。幸運な事に動いておらず誰かが出撃する様子も見られない。

 

「くっ…クハハハハ!ラッキーだぜ!俺は生き残れるぞ!ハハハハハ!」

 

一方でディアーチェ達もこちらに接近するレッドホーンに気づく。

 

「なに!?1機こっちに来るぞ!ユーリまだなのか!?」

「も、もう少しなんです!けどもう間に合いません!」

 

ドォォン!

 

「な!?」

「うわっと!?」

「きゃ!」

 

レッドホーンからの攻撃でが衝撃がホバーカーゴを揺らし、ディアーチェ達もバランスを崩す

見ればレッドホーンはすぐ近くまですでに詰めている

 

ダメか、もう間に合わん

 

ディアーチェは内心諦め目を閉じる

 

「ちょっと待ったぁぁあ!!」

 

そして数時間ぶりの声を耳にする

 

「え?アレックス!?」

「な!?貴様何故ここに!?」

「後で説明する!」

「ひっ!もう追いついたのか!?」

「ディアーチェ達を人質にしようとしやがったんだ。覚悟しやがれ!」

 

ブレードを展開しフットペダルを更に踏み込みブースターも吹かしさらに加速させ一気にレッドホーンとの距離詰める

 

「く、来るなァァァ!!」

「行っけぇぇぇぇえ!!」

 

そしてレッドホーンの横を切り抜ける

後ろには上下真っ二つにされたレッドホーンが倒れ込む。

 

「なんでだよ…あんなにゾイドを渡されたのにこんなことって…話が違ぇじゃねぇかよ…」

 

数秒後大きな音を響かせ爆発する。

 

「ふぅ。やっと終わったか」

 

ーーーーー

 

「ふむ。あのブレードライガー。中々やりますね」

 

ホバーカーゴから遠く離れた崖の上にその男はいた。黒い髪をオールバックにしワックスで固め眼鏡を掛け、白いスーツを着込んでいる。この男は双眼鏡で戦闘をずっと観察していたのだ。

 

「まぁ、私があれだけのゾイドを提供して上げたとはいえ所詮は盗賊。烏合の衆でしかないということでしょう。にしてもブレードライガーにジェノブレイカー。大戦で活躍したエース機。そのようなゾイドを見つけられるとは幸運ですね。」

 

男は満足げに笑いながらブレードライガーとホバーカーゴを観察する

 

「特に素晴らしいのがあのジェノブレイカーの方。あの数を相手に怖気づくことも無く戦い、長時間も耐え抜く。機体だけでなくパイロットも素晴らしい。まだ多少荒削りな部分も見られますがいずれあのパイロットも我らの元にお招きしたい所ですね」

 

男は踵を返し後ろに待機させているゾイド、グリフォンに乗り込む

 

「いずれまた会うでしょう。では」

 

 

ーーーーー

 

「ーで?何故貴様が居るのだ?」

 

アレックスは今床に正座させられディアーチェから思いっきり睨まれていた。

 

あの後すぐにディアーチェ達にシュテルが動けないことを伝え回収に向かい(カタパルトはどうにか移動中に修復が間に合った)ホバーカーゴにジェノブレイカーを格納し、状況の説明のためにシュテルに案内してもらいつつ再びホバーカーゴに入り込んだ。

ブリッジに着くなりディアーチェから腹パンを喰らい(思いの外体重が乗ったいい一撃だった)無理矢理正座させられ今に至る。

他の面子も睨みこそしていないが無言でこちらを見つめており針のむしろのような気分を味わう。

 

「あーまぁあれだ。助けに来たのと少しばかり謝罪がしたかったというか…」

「謝罪だと?我らの夢をバカにしたことか?ならばよくもまぁノコノコとここまで来れたものよなぁ?んん?」

「うっ!…悪かったと思ってるよ…だからこうして謝りに来たわけだし」

「…はぁ。まぁいいだろう。実際今回は助けられた訳だし話ぐらいは聞いてやるのが筋であろう。で?謝罪を申してみよ」

 

そう言って促す。そして全てを話した。

 

「俺にとってお前達の夢は特別だったんだ。昔あるバカも同じ夢を抱えててな。オレもソイツとつるんで一緒にソイツの夢を追いかけてたんだ。けどオレのせいでソイツは死んでな。お前達の夢を聞いてアイツが死んだときのことを思い出しちまったんだ。自分の不甲斐なさを思い出してついカッとなっちまってあんなことを言ったんだ。」

 

誰も言葉を発さずに黙っている。ただただ無言で続きを促す

 

「あの後パーラに戻ったんだがまったく苛立ちが収まらなかった。そんな時にお前達が襲撃されてるって聞いてな。正直助けに行くか迷ったよ。だってあんなことを言ったあとだ、気まずいしな。けどそれと同時に行かなければとも思ったんだ。そんな感じでうだうだ悩んでたらふとあのバカに『お前らしくない』って言われた気がしてな。勿論アイツがいる訳じゃなかったがなんとなく確かにって思ってな。自分の気持ちも整理できた気がしたんだよ。お前達に謝りたいって。ついカッとなってあんなこと言っちまった。お前達の夢は決してバカバカしくないって謝りたかったんだ。それを伝えるために助けに行こうって思ったんだよ」

 

そう言ってアレックスは姿勢を正しディアーチェ達の正面に向き直る。

 

「すまなかった」

 

そして手を床につき頭下げる。いわゆる土下座をして謝罪の意を示す。

 

「…もうよい。お前の本心も聞けたし理由も分かった。だったらこれ以上責めるわけにはいかぬわ」

「…ありがとう」

「何故貴様が礼を言う必要があるのだ馬鹿者が。寧ろ助けられたこちらが言うべきことではないか」

「それでもだよ」

 

そう言ってお互いに笑い合う。険しい雰囲気は既に無くレヴィ達もそれに安堵する。

 

「あんまり難しいことは分からなかったけどとりあえず仲直りできたみたいで良かった〜!」

「本当に良かったです!」

「まぁ、ディアーチェのことです。助けてもらった時点で既に許していたのでしょう?」

「な!?そ、そそそんな訳あるこ馬鹿者!」

「王様って案外ちょろいもんねー」

「ちょろくなどないわレヴィ!我はそんな軽くなどないわ!」

「えーほんとにござるか〜?」

「貴様さっきまでの反省はどこに行った!そしてその言い方と顔やめろ!無性にムカつく!」

「まーたまたご冗談を」

「ユーリ!?貴様もなのか!?」

 

既に場は和みいつの間にかディアーチェを弄り倒す遊びに発展し始めディアーチェはツッコミで忙しくなる。

 

「まぁ、ディアーチェを弄る遊びはほどほどにして」

「我で!遊ぶな!」

「真面目な話で少しお願いがあるんだがいいか?」

 

真面目な話と言われ渋々とディアーチェは押し黙る

 

「勝手な話だとは分かってるけど俺もお前達の仲間に入れてくれないか?」

「…本気か?貴様にとって我らの夢は辛いことを思い出してしまうのだろう?それでもいいのか?」

「気持ちに整理がついたって言っただろ。いつまでも過去のトラウマに縛られてるのは俺らしくないし、新たな1歩を踏み出そうと思ってな。それに人手があった方が俺も手掛かりを手に入れられるかもしれないし俺にとっても悪い話じゃないからな。だからこの通りだ!頼む!」

 

手を合わし頭を下げ頼み込む。

 

「…元々は我から言い出した事だ無下にする理由もない。ならば歓迎するほかあるまい」

 

ガバッと顔を上げディアーチェを見ると仕方ないと言いたげな表情で微笑んでいる。

 

「いよっしゃあ!!ありがとな!じゃあこれからもよろしく!」

「フッ、歓迎しよう」

「良かったですねディアーチェ。アレックス」

「やったー!よくわかんないけどアレックスもこれからは一緒に旅するんだよね?ボク楽しみだなー!」

「わ、私も嬉しいです!これからもよろしくお願いします!」

「おう!よろしくな!」

 

こうしてアレックスはディアーチェ達と共に旅することとが決まった

 

「であるなばこれは言っておかなければな」

 

ディアーチェが口を開く

 

「ようこそ紫天の旅団へ。我らは貴様を歓迎する」

 




遅くなりましたね…(汗)
構想はできてたんですが中々文章にするのが難しく遅くなってしまいました。リアルもイベントの準備や課題などで忙しかったのもあるのでご了承ください。

え?お前ZOIDSforとFGOガッツリやってただろ本当に忙しかったかって?
…ハロウィンイベントの素材は美味しいですね!あとVS楽しーい!!
…大分遊んでました。許してくださいなんでも(ry

次話まだ構想すら考えてないためまた遅くなりますが楽しみにしててください(だから投稿を早くしろと(ry)

そろそろ他の面子のゾイド出したい

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