あいあむあいあんまん ~ISにIMをぶつけてみたら?~ 作:あるすとろめりあ改
『現在の血中毒素は62%です』
無慈悲な声に肩を落としながら鏡に視線を移す。
胸の中央で輝くアークリアクターを基点に広がるミミズ腫れの様な青い筋は尚も勢力を拡大しつつあり、最初に貰った人工スキンでは覆い隠せない程になってしまっていた。
彼女には、汚れた時の為とか成長期だからとか理由を付けて新しく大きめのスキンを作って貰う事が出来たが……このままでは誤魔化しも効かなくなるかもしれない。
「何とかしなけきゃ、なんだけど……」
そんなのは、解っている。
ヴィブラニウムの加工にさえ成功すればなんの問題も無いのに、肝心のそれが未だに出来ないのだ。
これでも対策は出来うる限り講じてきた……
そうやって3年半を騙し騙し生きていたが…………タイムリミットはそんなに長くは無いだろう。
『構造自体の解明は成功しています。ヴィブラニウムとはカーボンと金属の混合物が規則配列で結合した、有機金属化合物の一種です』
「だったら、その通りに組み合わせて分子を結合させてやれば良いんじゃないのか?」
『いえ、ただ単に金属と炭素が結合した元素という訳では無く、融合して一つの単体で存在する未知の原子なのです』
「……ビッグバンでも起こせって言うのか?」
原子を新たに作り出すとなれば核融合でも起こさなければ話にならない。
それも、水素をヘリウムに核融合させるなんて生温い話じゃなくて、金属を新たに作り出すのだから……そのエネルギーは天文学的数値まで跳ね上がるだろう。
『いえ、製造せずとも加工すれば良いのならもう一つヴィブラニウムがあれば解決します。ダイヤモンドと同じ理屈です』
「そっちの方が確実か……」
『あの隕石の耐久性から推察するに、含有していたヴィブラニウムは少なくとも現在所有している量の20倍はあった筈です』
しかし、どうやって探した物か……
例えばアイアンマンの素材研究に使いたいから寄越してくれ、とか依頼を出せば差し出してくれる所もあるだろうか?
いや、それは他のヴィブラニウムが発見されていればの話だが。
『マスター、篠ノ之束さまが此方に向かっていますが、如何なさいますか?』
「おっと」
直ぐに胸をスキンで隠して何事も無かった様にシャツを着直す。
メーティスの忠告が無ければ危なかった。
案の定、最後のボタンを留めてからほぼ一瞬で入口の扉は開け放たれたのだから。
「やあ、シャチョさん」
「……そのイントネーションはどうかと思うけど。って言うか社長って呼ばないでよ」
「何だよ、何も間違って無いじゃん」
「窓口が法人化しただけで社員もいないんだから、社長って言ったって本当に肩書きだけだよ」
「ふーん……じゃあ、私が社員になってあげよっか?」
「そりゃあ良い、世界最強の株式会社の誕生だ」
実際、彼女が社員になってしまえばヘタな広告よりも宣伝になってしまうだろう。
ISとアイアンマン事業を開発者の二人が一手に引き受けます……って?
そんな事したら独占禁止法で訴えられてしまいそうだけどね。
「ところで、何やってたの?」
「ん?ああ……ちょっと試作品のテストをね」
誤魔化す様に、液晶モニターに本当の試作品を表示して、ディスプレイに翳した手をそのまま外へヒョイと投げるモーションをする。
液晶に表示されていた画像データは空中浮遊型タッチパネルに転送され、彼女の手元まで飛んでいった。
「またアイアンマン?」
「そ、民生モデルの試作……民生って言ってもメインターゲットは警察とか消防だから行政モデルって言うべきか」
そもそもアイアンマンは高い。
高くしないと色んな不具合が生じるので適正価格だと思うが……オプションを総て省き、最低限の仕様にしても80億円は頂いている。
だから、国みたいに潤沢な予算が無ければとても買うこと何て出来ない訳で……廉価モデルを造れば需要があるんじゃないか?と思った次第だ。
…………それでも定価5億円はしてしまうのだが。
僕が財務を担う人間だったらそのお金で消防車や救急車の台数を増やすと思う。
「でもコレ、仕様で飛べないって書いてあるぞ?」
「あのジェットは構造も複雑だし、熱処理の都合で費用も掛かるからね……それに、現場装着機構と相性が悪いんだ」
通常のアイアンマンならば、脚部をそのまま装着する事が出来るので技術がある程度確立してきた今なら搭載するのは容易だが、折り畳み式とも言える行政モデルでは搭載が困難と判断して見送った。
まあ……搭載してない方が“らしい”気はするんだけどね。
「ふーん……倉持技研さんはコレからもアイアンマン一本でやっていくつもりなの?」
「いや、製造業に絞られるだろうけど多角的に色んな事やってくつもりだよ……ISに手を出しても良いかもね」
まあ、それはこの心臓の問題が片付いてからになるだろうけど…………
「その時は私を副社長にしてよ」
「…………自分で起業できるだけのお金持ってるくせに」
「馬鹿だなぁ、私が会社経営なんて出来るわけ無いだろ」
ああ、そりゃあそうだ。
彼女が代表をやったら商談も纏まらないだろうし、部下に遣らせるにしても部下が付いていける光景が思い浮かばない。
「否定しないのな…………」
「否定して欲しかったの?」
○
「よお、社長!」
「だから、その社長っての止めてくれないかな……」
何時の間にか社長という渾名が定着してしまったようで、登校するや早速クラスメイトに呼ばれてしまう。
いや、しかしそのお陰か友人と言うか話す機会が増えたから災い転じて福となした──いや、結局は耳をほじくり返される頻度が増えたから福だな。
…………あれ?
「社長はパスポートもう作ったか?」
「おいおい、社長に何言ってんだよ……」
「社長なら海外旅行なんて何度も行ってても可笑しく無いだろうし」
「パスポート……え、何で?」
彼等は信じられない物を見たような目で一斉にこちらを見返してきた。
え、どうしたの?
「何でって……来月、修学旅行じゃないか」
「あ、ああ……そう言う事ね」
すっかり忘れていたが、来月には我が校の修学旅行がある。
場所は自由の国アメリカ、もう少し具体的に言えば東海岸方面。
初日はワシントン、二日目はニューヨークという具合に市内観光をする予定で、予定ではロックフェラーセンターにも行くコトになっている。
ロックフェラーセンターが何って事では無いが、あのスタークタワーことアベンジャーズマンションの程近くにあるので印象深い……まあ、現実にはそんな建造物は存在しないのだが。
「大丈夫かよ社長……」
「大丈夫だって、用意も出来てるし……」
実は家族での海外旅行の経験なんて無かったが(親は仕事で海外に行ってたけど)、事前にパスポートの申請と発行は済ませている。
そういう類の準備に抜かりは無いのだ。
「ん…………?」
そこでふと、考えてしまった。
かの大天才、日常生活に少々どころで無い支障をきたす彼女はパスポートを発行しているだろうか、と。
少なくとも僕の知る限り過去5年間に彼女が海外へ渡航した記憶も無ければ独りでパスポートを申請しに行った覚えも無いのだが…………
気になったので、早速隣の席で腕を組み頭を乗せ眠りの態勢に入った彼女に問い詰める。
「なあ、確認するけど……パスポート、発行したかい?」
「パスポート?何で?」
「────ぅ、わ」
僕の失態だ。
普通に考えてみれば、彼女が修学旅行だからパスポートが必要だと気づき自分一人で発行しに行動するだろうか?
気付くまでは出来たとして、それを実行に移すとは到底考えられない。
って言うか反応を見るに修学旅行の存在を認識していなかった恐れすらある。
「ああ、もう……放課後になったら帰りに市役所に寄って、戸籍抄本と住民票と、えーっと……」
「おっ、遂に社長が籍を入れるみたいだぞ」
「おめでとう社長!」
「おめでとう!」
「ちょ────っ」
僕の慌てようを嘲笑うかの様に満面の笑みと惜しみない拍手を送ってくるクラスメイト達。
冗談から来る反応だとは分かっていても、アクションが割とガチだ。
だからか、周りにいた彼ら以外にもその流れは伝播し、気がつけば教室の全域に広がっていた。
「あ、あのねえ!仕舞いには僕だって怒るよ?!」
「おい、社長がキレたぞ!」
「やばい!アイアンマンが来るー」
「総員、退避!退避!」
「キレてないって!こらーっ!」
中学生の時までは周囲から煙たがられていたから、こんな扱いを受ける事も無かった。
と言うか、彼女はあの通り無反応か、最近ではナイフで抉るような毒舌を吐いてくる物でクラスのターゲットというお鉢は僕の所に回ってきてしまう。
まあ…………だけど、そういうのも新鮮で、割と楽しかったりする。
彼らも本気で嫌がっている時は止めてくれるし、彼女を必要以上に刺激する事もないので良好な関係を築けていると思う。
…………そもそも彼女の気に障れば、突然ピンポイントにミサイルが飛んできても不思議では無いので、弄るに弄れないのだろうけど。
「んー……ちーちゃん、何かあったの?」
「いや、クラスの意志が一つになるのは良いことだな……」
「ほへ?どういうことー?」
「何でもないさ、お前たちは自然体で過ごしてれば勝手に和を取り持ってくれるからな」
結局、彼女は期日までにパスポートを取得する事が叶った。
○
修学旅行の初日はワシントンの市内観光。
事前の計画通りにホワイトハウスやリンカーン記念堂などを見て回る事になった。
14時間をエコノミー席で拘束され、暇潰しと称して寝ている僕の耳を舐めて起こしてきたりと随分ストレスが溜まっている様子の彼女もそれなりにこの観光を楽しんで────
「何このおっさん、偉そう」
…………楽しんでる、んだよね?
確かに不遜な態度と言えなくも無い姿勢で座っているリンカーン像に身も蓋も無いことを言ってみたりと相変わらずの平常運転だ。
らしいと言うか、そんな反応もどこか期待していた節もあるのは否定出来ない。
それは他のクラスメイトも同じだったみたいで……順応力が高いと言うか、良い人達だなと改めて思う。
直接言えばまた何か弄られるのは目に見えている事なので、決して口にはしないけど。
そして初日の最後の日程は、スミソニアン博物館の見学だった。
アメリカ国立にして世界でも最大級の博物館なのだが、何と入館料いらずの無料だったりする。
そんな世界三大には入れないが四大にすれば入れるかもしれないスミソニアン博物館はワシントンにあるだけでおよそ15に別れているが……勿論、僕が選択したのは国立航空宇宙博物館だ。
ワシントンでも有数の観光地で……何気に、今回の修学旅行で一番楽しみにしていた場所かもしれない。
「おぉぉ……これは凄い!」
国立航空宇宙博物館は世界の総てが集約されていると言っても過言では無い。
ライト兄弟のライトフライヤー号や世界初のジェット機Me262、V2ロケット、アポロ11号、スペースシャトルのディスカバリー号…………
人類が空という領域に足を踏み入れ、やがて更にその先である宇宙まで到達したその足跡が、刻まれていた。
「ふわぁ………………」
奇人としても著名になりつつある彼女も、流石にISの開発者だけあってか興味津々なご様子だ。
実際に触れる事で有名な月の石の標本に手を伸ばした時なんか、その顔は興奮と歓喜を隠さずに表していて、子供っぽいと言うか年相応な印象を受けた。
「おい社長、コッチ来て見ろよ!」
「え、何?」
「いいから、いいから!」
展示物を一つずつジックリ見取れていると、クラスメイト達がやたらと僕を誘導しようとしてきた。
何でもイチオシの展示物があったとの事だが…………何だろうか、あと見てない展示でめぼしい物と言えばエンタープライズ号の撮影模型くらいな物だったと思うが?
そうして導かれた場所を見て、僕は直ぐに納得した。
「Mark.3と白騎士…………!」
勿論、実物は片や自宅、片や研究機関にいるので飽くまでもレプリカだが。
傍らの説明欄には、アイアンマンは世界一の速度を叩き出したパワードスーツとして、ISは海抜0から最も高い高度を記録したパワードスーツとしてギネス認定された旨が記載されていた。
…………そう言えばそんな申請が来てて、承認した覚えがある。
「社長、折角だからアイアンマンとツーショットで撮らせてよ!」
「あっ、出来れば篠ノ之さんも白騎士と…………!」
成る程、確かにそれは記念になると快く応じる事にした。
…………ちょっと、何してんのさ君も撮るんだよ。ほら、コッチ立って。
ツーショットではなくフォアショットになったが、まあ問題ないだろう。
「ありがとう社長!」
「この写真は二人の結婚式のスライドショーで使わせて貰うぜ!」
「またそう言う……っ!」
隙あらばという具合に良くもまあ飽きず定番のネタが飛び出してくる物だ。
他のクラスメイトも同調してきて……これが有名税と言うヤツだろうか、微妙に違う気もするけど。
「ん…………?」
ふと、視界の隅にアイアンマンとISの展示の程近くに何かが過ぎった。
何となく視線を向けると、どうやらあの隕石騒動を引き起こした張本人である隕石の一部が、グアム沖で発見されてここまで運ばれてきたそうだ。
どうやらこれは本物みたいで、2m弱の隕石は照明の光に照らされている。
「メーティス、この隕石にヴィブラニウムが含まれている可能性は?」
『流石にこの場で判別するのは不可能です』
「そうか……これ、買えないかな?」
『何処かに購入ルートが無いか探りを入れてみましょう』
「頼む、金額は幾らでも出して良いからな」
もしもヴィブラニウムが含有されていれば……今回の修学旅行は最高の物になるのだが。
さて、しかし今は神に祈る他ない。
○
ワシントンのホテルで一泊し、翌二日目はニューヨーク観光。
まず始めに訪れたのはロックフェラーセンター、そして展望台。
一望できる光景はエンパイヤステートビルの様な観光地だけで無く、アメコミの舞台そのものと言える街並みは個人的に興味深いポイントで、実は結構興奮していたりする。
「あっちがハーレムで……それで、こっちがクイーンズの方面か」
ハーレムと言えばハルク、クイーンズと言えばスパイダーマンである。
ニューヨークと一言で言っても、その面積は広大で果てしなく遠いのが否応無しに理解できてしまう。
やはりスケールが違うなと感じてしまうのは、狭い日本に住む者の素直な感想だった。
「うーん……あの辺りがスタークタワーかな?」
残念ながらそんな物は存在しない。
強いて言えばメットライフビルやクライスラービルが見える程度である。
もしも存在していたら修学旅行なんて放棄して突撃していただろうに。
その次はバスで移動してから世界の経済の中心とも言えるウォール街を散策する事に。
ニューヨーク証券取引所にフェデラルホール、かの有名なチャージング・ブルのある場所だ。
「
「……物を食べながら喋らないの。って言うか何でニューヨークで食べるのがフィッシュ&チップスなのさ」
「
「良いからゴックンしなさい!」
何だかんだ言って買い食いしたりしてる所を見ると、彼女なりに楽しんでいるのだろうか……
まあ、経済が云々と言うのに興味は無いのだろうけど。
「はい、口開けて」
「え?」
「一口やるよ、ほら」
「…………あーん」
言われるがままに口を開けると、中に衣で包まれた魚の切り身が飛び込んできた。
噛み締めると衣の油がジュワーと口の中でいっぱいに溢れ、白身魚の淡白な味と味付けの塩とで妙にマッチしている。
「どう?」
「んー……想像してたより美味しいかも」
ただ、一口や二口なら美味しく頂けるが丸々一つとなると油濃くて重そうだ。
それにアメリカよりもイギリスで食すべき物だと思うのだが、如何だろうか?
そしてそのまま移動した先にあったのは、グラウンドゼロ…………つまり、ワールドトレードセンターの跡地だ。
2001年のテロの跡地には記念館と博物館、それにモニュメントがある。
「うーん…………」
流石と言うべきか、ありとあらゆる場所に“911”の数字が記されている。
中には観光客と思しき人のシャツにも『911を忘れないで!』と書かれているぐらいだから、あの事件がアメリカ人にどれほどの影響を与えたのか計り知れない。
博物館には行方不明の家族や友人を探す張り紙や、生存者を助けて命を落とした一般人や消防士の遺品、 避難する人々が実際に歩いて降りた非常階段などが展示されている。
凄惨…………そんな言葉しか出てこなかった。
「………………」
もしもその時、アイアンマンがあったら────そう考えてしまうのは烏滸がましいだろうか?
突貫する旅客機をアイアンマンだけで、己の力だけで止められるか…………それは解らない。
寧ろ不可能である可能性の方が高いだろう。
だけど、それでもこんな事が二度と起こらない様に努力する…………そうする事がアイアンマンをこの世に送り出した自分のすべき事なのかもしれない。
「ああ、次は国連か……」
次の目的地は国連本部のあるビルだが、距離があるのでバス移動をする事に。
国連と言えば、あの銃身のねじ曲がったピストルのオブジェなどで有名だが、そう言えば今回の修学旅行では平和について考えろとか何とかをテーマに小論文の課題が出ていた事を思い出す。
「平和、ねえ…………」
平和とは何だろうか。
そもそも争いがあるからして平和という対義語が存在する訳だが、21世紀の現代になっても争いとは無縁にはなっていなかった。
結局911が火種になってイラク戦争が起こってしまった訳だし…………人類は平和を維持するのは不可能なのかと考えてしまう。
人類の目が総て宇宙に向けられれば、多少は平和に近付くのだろうか、嘗て冷戦時代のアメリカとソ連の様に…………
いや、それでも代理戦争という形で結局は争っていたのだが。
右手側にイースト川を見ながら揺られていると、信号に捕まったのかバスは急ブレーキした。
身構えていなかったので突然の停車に僕達はシェイクされてしまう。
「何だ…………?」
よく見ればバスの前方は大渋滞を起こしていて、積み重なった車から這い出す様に降りた人々は進行方向と反対に逃げる様に駆け出していく。
車道だけでなく歩道を歩いていた人達も同じで、明らかに何かが起きていた。
「お、おい……何だよアレ?」
誰かが呟いたのとほぼ同時に──爆発した。
何かが引火したのか、アクション映画の如く車が炎上しながら吹き飛ばされていく。
更にその向こう…………何かが、いる。
「へ……ガンタンク?」
下半身はキャタピラ、上半身は人を模した様な巨大なロボットが、大量の銃器で滅茶苦茶に周囲へ銃弾を降り注いでいた。
ビルや車は一瞬で蜂の巣に成り果て、ガソリンが気化したのか再び爆発を起こすものまで現れる始末。
「嘘だろ……おい!?」
先程見てきた光景のせいか、皆の頭には一様に“テロ”という言葉が浮かんでいた。
突如巻き起こるパニック。
このまま動かねばやがて訪れるであろう死という恐怖から逃れようと、バスの乗車口へ濁流の様に溢れかえった。
「や、やばっ……スーツケース!」
僕も他に漏れずスーツケースを引きずって逃げ出す。
まさか……このスーツケースを本当に使う事になるとは思いもしなかったが────
次回、漸くアイアンマンらしくなるみたいです。
この山場の前で話をぶった切る癖、止めた方が良いのかな?
どうもタイミングを見極めるのが苦手で。