前回は都市のトップである月夜見様と会ったところで終わりました。
今回は居住の条件とオリ主君の疑問をぶつけます。
それでは第二話、始まりです
「お前には軍に入ってもらう」
軍、っていうのはさっきの警備兵みたいな連中の事か。うわぁ、なんかうまくやって行けそうにないな。
まあ、条件なら仕方ないか。軍、か。銃火器の扱いって俺全然できないけど大丈夫かね?
一応ミリタリー関連には興味あって染まってたけどさ。
「それと、永琳の補佐を頼みたい」
「ん?」
永琳?それってこの八意のことだよな?え、結構な地位にいると思うんだけどそんな奴の補佐をこんなどこの馬の骨かも分からないやつに任せるか普通。
特に俺みたいなよくわからない余所者に。神様?はやることが大胆だね。
「永琳もよいな」
「月夜見様が言うのであれば」
「ならばよい。さて、何か聞きたいことがありそうだな」
ありゃ、顔に出てたかな?でも何を聞きたいかはわかっていない様子。俺はチラッと八意の方を見てから視線を戻す。ちょっと八意がいたら聞きにくい内容なんでな。意図を理解してくれないかな?
思ってたら月夜見が八意を外に出してくれた。おお、ちゃんと伝わったか。じゃあこれで気兼ねなく聞けるな。
「それで、永琳を出してまで聞きたいことは何なんだ?」
「ああ、結構失礼なこと聞くんだが、あんたってホントに神様か?」
瞬間、部屋に緊張感が走る。いや、なんとなくわかってはいたがこの反応からして触れてほしくなかった感じか?それともホントに神様で俺の質問にキレたから?でもそんな風には感じないんだよな。これも俺の直感だけどな。
「何故、そう思うのだ?」
「ん?勘、何となく、神聖さに欠けるなと」
「……………くくくっ!」
やはり本物だったか?だったら謝らないとな。
「いやはや、そんな確証もない根拠でよくそんな質問ができたな」
「うん?やっぱ本物?だったら謝るが」
「ははは、謝らなくてもいいさ、事実、私は本物の月夜見様ではないよ」
あっさりと言いやがったぞこいつ。でもやっぱり違ったのか。じゃあ目の前のこいつはなんなんだって話だが、多分、月夜見の使いだとかその辺だろう。一応、神聖は感じるからな。
「言ってよかったのか?違うって言ったら信じたぞ?」
「いや何、一人くらいは知っておいてほしかったところなんだよ。いつもいつも気を張っていたら身が持たないからな」
「そんなもんか。じゃ、いつでも愚痴っていいぜ?俺の住居スペース確保してくれたらな」
「ははは!軍に入ってくれたらそれくらいは用意しよう。君には何か特別なものを感じるからね」
さっきまでの厳格な雰囲気とは一転、かなり取っつきやすくなったなこいつ。これがこいつの素なのがはっきりとわかる。公私の使い分けが上手いようで。
軍に入ってくれたらってそれ絶対用意するって言ってるもんじゃ?だってここに居させる条件が軍への入隊なんだから。
「じゃあ確定だな。軍、入るよ。じゃないと森でサバイバルだからな」
「それもそうだ!」
二人で笑い合う。この短時間で随分と打ち解けたもんだ。相当なコミュ力だな、こいつ。まあ、それくらいないと都市のトップは張れないか。
でも、気づいてても言ってないやつとかいっぱいいそうだけどな。あの八意とかな。結構鋭そうだしな。
でも、特別なものってなんのことだよ。
「居住スペースは永琳に案内させよう」
「?軍の方は?」
「聞けば、妖怪に追いかけ回されたようじゃないか。軍はまた明日、永琳に案内させよう」
「ん、それはありがたい。正直、今もぶっ倒れそうだったんだ」
「永琳、もうよいぞ」
何かに向かって喋りかけるとしばらくしてから八意が部屋に入ってきた。無線みたいなもんだろう。ボタン一つで個人に繋がるのは内線かもしれんが。とにかくその辺の便利アイテムだな。
入ってきた八意は真っ先に空気が変わっていることに気づいたが何も話さないとわかると話を変えてきた。
「それで、話は終わりましたか?」
「ああ。早速で悪いがこいつを………ふむ、いちいちこいつでは面倒だな。名前は?」
「名前?」
聞かれて名乗ろうとしたが名前だけが思い出せない。目を覚ます以前に何をしていたのか、というのは思い出せる。ここにいる原因、死んだ理由もちゃんとわかる。
ただ、何でここにいるのか、自分の名前が思い出せない。何故かはわからないが。
「………すまない、わからない」
「名前がないのか……?」
「いや、思い出せない。何故かはわからないが」
「………そう」
何だか暗い雰囲気になってきたな。俺ってそう言うの嫌いなんだよな。さて、どうやってこの空気を払拭しようかな?うーん、気にしてないことを伝えるか。
「別に、気にしてないぞ?」
「そんなこと言われても」
「うーん、でも呼ぶときに不便なのか」
「………いや、無理に思い出そうとしなくてもよいのだぞ?」
うんうんと唸っていると名前を思い出そうとしているととったのかそんなことを言ってきた。別に思い出せなくてもいいんだけどさ。いちいちおい、だとか指事語で呼ばれるとワケわかんなくなるから呼称の仕方を考えた方がいいと思ったからだ。でも、自分で考えるの面倒だな。ここは安直にいこうか。
「そうだな、別に思い出せなくても問題ないし、俺を呼ぶときはナナシとでも呼んでくれ」
「ナナシ?」
「そ、今の状態を表したもの」
「……お前はそれで、いいのか?」
「ああ、前の名前なんかには未練はないしな。思い出せないものに執着しても意味ないしな」
マジでそう思うわ。名前以外だったら全然思い出せるのになぁ。まあ言っててもホントに仕方ないし、いつか不意に思い出すだろ。
「………ナナシがそう言うのであれば、この件はここで終わりだ。永琳、ナナシを案内してくれ」
「軍の庁舎ですか?」
「いや、余っている居住区にだ」
「え」
そりゃあ驚くわな。今日会った俺を軍の庁舎じゃなくて都市の居住区に案内しろって言われるんだからな。
条件だって言ったらそこまでだが、俺にそこかでするには理由が足りないけど。
「わかりました。何か考えがあるんですよね?」
私の愚痴を聞いてもらうためだ、って口が裂けても言えないだろうな。一応神様で通してるからな。そんなフワッとした理由ではダメなんだろうな。
「では私達はこれで」
「うむ、ナナシの活躍、期待しているぞ」
「おーう、期待しないでいてくれー」
手をぷらぷらと振って八意と共に退出する。後で八意になんか言われそうだな。案内されながらくどくどと礼儀がどうとか言われそうだな。神じゃねぇってわかったから礼儀がどうって言われてもな。一応都市のトップな訳だけどさ。思ってたらホントに案内されてる間にくどくどと説教してきた。ははー、予想通り過ぎてビックリしてる。て言うか、周りから変な目で見られてるんだけど?俺が余所者だから?それともこいつと一緒にいるから?いや、両方か。むしろ余所者が結構な地位にいる八意と一緒にいる時点で注目の的だっての。
「はぁ、まだまだ言いたいことはあるけれど、とりあえず着いたわよ。ここが貴方の家よ」
「ん、サンキュ」
「今日はしっかり休みなさいよ」
「わかってるよ、ほら早く帰れ、お前くらいだと仕事あるんだろ?」
ジェスチャーで帰れと伝える。これは建前だが実際に思ってることでもある。本音はまだ良く知らないやつが近くにいると眠れないのだ。早く寝たいから帰ってくれないかな?八意は少し不服そうにしながらも踵を返し帰っていった。ふぅ、これでやっと寝れる。
家の中に入り寝室を探してベッドに倒れ込み死んだように眠りについた。
どうでしたか?慣れない環境に放り出されて自分の体を無理矢理動かしていたこともあって最後は深い眠りについてしまいました。
さて、住居を与えられたオリ主君はこれから一体何を為していくんでしょうか?
それでは今回はここまでです。また次回